猫を起こさないように
よい大人のnWo
全テキスト(1999年1月10日~現在)

全テキスト(1999年1月10日~現在)

ゲーム「ランス10」感想

 男の子ならだれでも、ドラクエやエフエフ(ファイファン派は死ね)やメガテンに影響を受けて、びっしりと俺設定の世界観を書きこんだ大学ノートを実家の押入れに眠らせているものだ。そして大人になってから読み返して悶絶し、セロテープの跡やらで全体的に黄色く汚れたそれを夜中にコンロで焼却するものなのだ。

 ちなみに、知り合いの場末の皇族がファミコン版キャプテン翼2に大ハマりし、びっしりとオリキャラとその必殺技を書き込んだノートを手元に用意している。表紙にはキャプつばのロゴを雑誌(ファミコン通信)から切り抜いたものがベタベタと貼り付けてあり、その下になぜか英語で「イントゥ・ザ・ワールド!」と書かれている。1ページ目を開けば狼に育てられたという設定の双子、アマラくんとカマラくんのステータスが鉛筆の汚い字で書かれており、必殺シュートの名前はウルフ……エンッ(鼻血を吹きながら後頭部方向に倒れる)!

 ことほど左様に、ピコピコa.k.a.ファミリーコンピュータは罪深い。ランスシリーズのはじまりは、ドラクエに影響を受けたそんな大学ノートの殴り書きと、自分のモテ体質に自覚的なアドル・クリスティンが悪意でヒロインをコマしまくったら面白かろうぐらいの、居酒屋のワイ談から始まったのに違いない。それがどうだ。30年近い時を経て、このシリーズ最新作は情動のタイムマシンとしてプレイ中ずっと、名成り功遂げた、普段はエロゲーの存在がこの世にあることを知らないようなツラで生きている、感情の磨耗したオッサンを感動の涙で泣かせ続けている。すべての社会性のヨロイを剥がれ、まるでピュアな中高生に戻ったかのように、翌日の仕事を斟酌しない徹夜でのプレイを文字通り泣きながら強いられ続けているのだ。

 ちなみに、泣きのツボを最も強く押されたのは、魔界と人間界の間にある砦の、副隊長の話である。諸君のうちにもいるだろう、先細りの業界の撤退戦で責任を預けられただれか。「貧乏くじだ」とボヤきながらも、責務を投げ出さない彼の姿に己を重ねた向きも多かろう。

 かくの如く、膨大なシナリオ群が走馬灯もかくやと、過去の情動の追体験を促し続ける。そして、ふと気づく。こんなも気高い感動を呼び起こしているのが、決して日の当たる場所へと出ることのないエロゲーなのだという、目眩のするような事実に。ファミコンへのアーリーアダプターたちの少なくない数が、その鋭敏な嗅覚と先見性から、いまや高い社会的地位を持ち、世に幾ばくかの影響力を有する人物になっているに違いない(そうでない者は犯罪者になってほんのいっとき耳目を集めたか、世間の無視の中で孤独に死んだ)。そしていま生き残った彼らは、私と同じようにランス10をプレイしながら、日常では周囲の誰ともこの叫び出したいような感動を共有できないことに、そして自分があまりに遠くに来てしまったことに、ほとんど絶望と近似値の深い感慨を得ているはずなのだ。

 ブスは足蹴にして唾を吐きかけ、美人はすぐさま押し倒してレイプ、そして彼は世界の王に選ばれて、ついには人類を救済する――こんな異常者の(そしてすべての男性が持つ)妄想を心の底から楽しんでいることを、妻が、娘が(息子はオーケ)、隣人が、同僚が、部下が知ったなら、どのような迫害の末の社会的抹殺が待ちかまえていることだろう!

 だが、それでも私は、どんな文学賞さえメじゃない、どんな権威ある承認をもらった作品よりも、この物語が大好きなのだと声を大にして言いたい! パラリンピアンがオリンピアンをガチの真っ向勝負で凌駕してしまった不認定の記録、非公式の歴史、それがランス10なのだ! 現在、スマホゲー業界を席巻しているエフジーオーも元はと言えばエロゲー出身で、更に言えばおそらく中高生の大学ノートから始まった何かである。しかしあちらは早々とエロを切り離し、切り離して本体に影響の無い、良性の腫瘍くらいのエロだったわけだが、より洗練された何かに形を変えてしまった。

 もしソシャゲ化されたら俺様がエフジーオー以上に課金するだろうランスシリーズは、本体と悪性腫瘍が完全に癒着してしまっており、切除は本体の死につながる。つまり、エロゲーというジャンルにおいてしか、成立し得ない物語なのである。エフジーオーを鞘に収まった刀剣と例えるならば、ランス10は破傷風必至の赤錆を浮かべた釘バットである。刀剣ならば美術品としての価値もあろう、剣術の流派もできよう、しかし、釘バットは怒れる若いヤンキーの手を離れてしまえば、どこにもたどりつかない。ただ対象となった一人を傷つけ、いつまでも消えない傷痕を残し、死ぬまでの時間を長く苦しませるだけである。私もたぶん、最初は釘バットでよかった。しかしnWoもその番外編であるMMGF!も、釘バットを完遂できず途上に中絶を遂げた。それはたぶん、いつか刀剣に憧れてしまったからだ。30年もの長い時間を経たにも関わらず、釘バットであることを完遂したランス最終作に、心からの拍手と敬礼を送りたい。

 ランスシリーズの制作者も人生の晩年に差しかかる頃なのだと思う。だから、誠実に続編への未練をすべて断ち切って、物語を終わらせた。某潜入ゲームのようにプロダクトとしての醜悪をさらすことを好まず、作者が死ねば続きもありえない、つまりアートとして作品を完結させたのだ。若い君にプレイしてくれ、とは言わない。ただ、ほんの半世紀ほどをしか生き延びなかった、その半世紀を共に生きなかった者には決してわからない感情が確かにあったのだという事実をただ、君に知っていて欲しい。

 スレイヤーズ!が世界の謎を解明しなかった恨みは以前にどこかで述べた気がするが、少なくとも完結はした。バスタード!とベルセルクとガラスの仮面と王家の紋章とグインサーガと日本ファルコムは、ランスシリーズの爪の垢でも煎じて飲めばいいと思った。おい! 特におまえ、グインサーガ! あとがきで主人公の子供たちによるグイン後伝とかぬかしてたくせに、本編も完成させずに死にやがって! ランス10の2部を見習えってんだ! おかげでカメロンはあっさり死ぬわ、アルド・ナリスは復活するわでたいへんなんだからな!

 あと盛大なネタバレだが、第二部において孫子の代のセックスを「描かない」と決めたことへある種の共感を覚えたのは、最後に伝えておきたい。倫理観と表現すると強すぎるこの上品な忌避感は、まっとうな大人のそれに違いなく、シリーズと共に年齢を重ねた制作側と遊び手側の成熟を称えている気がした。

 いつでも世界を破壊できる力を持ちながら、一人の女性に向けた恋慕だけが、その衝動を抑えるよすがとなる。彼の苦しみと葛藤はいかばかりだったろう。そして、15年越しに初めて伝えられた「好きだ」という想いを、私たちは30年越しで目にする。ここまでやらなければ、すれっからしのおたくどもは、愛を信じることができない。

「ああ、世界丸ごと好きになるといい」 「なんで?」 「良いことがあるから」

映画「シンエヴァ」冒頭10分感想

 シン・エヴァの冒頭公開を見て、自分でも驚くほどにガックリきている今の心情をここに残しておきたい。

 エヴァ新劇場版、序と破までは明快にエンタメ活劇路線だったし、カントクと作品の間に適切な距離感があった。新しく会社を立ち上げ、エヴァという大看板を意識的に利用して、アニメ製作の社会的位置をきちんと確立することを主眼に動いているように見えた。タイアップを含めたマネタイズをきっちり行い、スタッフにはスキルに応じた金銭的還元を怠らず、公開後は全記録全集でいかに創造したかの舞台裏を後から来た人たちが理解できるよう丁寧に残して、持続可能な文化プラットフォームとして日本のアニメを未来へ繋げていこうという確かな意志が感じられた。個人的には、カントクの公人としての性格が前面に押し出されている感じがしたわけ。登場する大人たちも旧作よりはずっと成長していて、それぞれが次世代への責任を果たそうと動いていたし、作品の内外にわたるそういった成熟のおかげで、見ていて大きな安心感があった。

 それが、Qでガラッと変わってしまった。序破のエンタメ活劇から純文私小説路線に切り替わり、カントクと作品の距離がゼロになって、旧作のように彼の情動がモロに前面へ押し出されるようになった。サードインパクト後の世界設定が嘘くさく空回りしているのに、「男と女」「セックス」「石女」などのモチーフだけが妙にリアルで生々しくて、両者のバランスが非常に悪いがゆえに、ひたすら不安感だけを掻き立てる作品となってしまった。意識的かどうかはわからないが、Qではカントクの私人としての性格が前面に押し出されている。

 公開後、自信をもって送り出した作品に対する批判的な受け止められ方にカントクは苛立っているように見えたし、Qについてだけ全記録全集が発売されていないことはこの推測を裏付ける。Qにおける大きな変節は、東日本大震災に影響された(御大が被災地にカントクを連れていきさえしなければ! 彼は眼前に広がる光景に「衝撃を受けなければならない」し、自分はそれに「作品をもって応えなければならない」と真面目に考えたのだと想像する)ゆえだと私は確信している。

 もしかすると、シン・ゴジラの大成功によってその呪いは解かれたのではないかと、どこかで期待していたのだ。しかし、公開された10分余の冒頭は、あえて言う、失敗作だったQの続きとなっていて、魅力のない新キャラと舞台設定を画面密度と情報量(空疎な造語が主な)で無理矢理に押し切ろう、マイナスから物量でメーターを振り切ることで前作ごとプラスに転換しようとあがいているとの印象をしか受けなかった。正直、序破の段階では「迫りくる滅亡を前に、小異を捨てて大同へ団結する人類」みたいな展開を期待していたのだ。今度こそ自らが生み出したセカイ系を打ち破り、相容れない他者と協調しながら世界の存続を目指す--シン・ゴジラでは、それができていたのに! そもそも、協調すべき他者としての人類はQ世界では死に果ててしまっており、もうどこにもいないのだった。

 「科学技術ではギリギリ届かない空隙を、人の知恵と努力で補って勝つ」という、かろうじて我々の現実の枠内に収まる(ように思えた)制約から来ていたエヴァの醍醐味は、重力制御なんてもの(古代人のオーバーテクノロジー!)が出てきた時点で、作品世界のルールの底が破れて、雲散霧消してしまった。依拠する現実を失い、次元跳躍、時間遡行、死者蘇生、何が出てきてもおかしくないこの状況は、自由を突き詰めた先の狂気に達していて、シン・エヴァの何を楽しめばいいのか私にはわからなくなってしまった(少し気持ちが動いたのは、パリの街が復元したところと、USBの裏表を間違えたところだった)。

 じゃあ、公開されたら見ないのかと聞かれれば、初日のできるだけ早い回に見に行くだろう。内容に関わらず、三回は見るだろう。若い諸君からの「イヤなら見なきゃいいじゃん(笑)」の軽口が聞こえるようだが、二十年以上(二十年以上!)を人生と並走した作品の完結編である。二十年以上を連れ添うDV夫について「別れればいいじゃん(笑)」のご忠告に従ったとして、DV夫と過ごした二十年が人生から消えることはないし、平穏な日常に現れた彼はヨリを戻そうと、また昼間から超絶技巧のセックスで迫ってくるのだ。

 あと、エヴァQと最後のジェダイは、連作なのに張られた伏線には特に意味が無いことを示し、シリーズの持つ暗黙のお約束(不可欠な)を壊した点で、非常に似通った性質を持つ作品だな、と思った。どちらも「別にそれをやること自体は否定しないけど、わざわざ固定ファンのついたシリーズでやらなくてもいいんじゃねえの? あれか、新作だとそのアイデアじゃ客がつかないからか」という気分にさせられる。ライアン・ジョンソンはポッと出のお調子者だからまだ許せた(許せない)が、カントクはエヴァの創始者その人なのだからいっそう罪が深い。

 それと、素朴な疑問なんだけど、どんどん敵役でエヴァもどき人造使徒(あるいは使徒もどき人造エヴァ)が出てくるけど、あれ、誰が作ってるの? ネルフってもうおじさんとおじいさんの二人しかいない組織(副司令が黒幕の電源プラグを手ずから抜きに行かなければならないほどの人手不足)なのに、ねえ、誰が作ってるの?

 え、AVANT2あるの? マジで? これはやはり、破の続きバージョンも用意されて……(以下、ループ)

追悼「シン・エヴァンゲリオン劇場版:呪」

映画「シンエヴァ」特報2.5感想

 特報2.5見る。いや、目に入ってしまう。ハーッ(深いため息)、あのさあ、最後のふりがな付きテロップ、あれなんなん? ほうほう、小学生の新規層を獲得するため? ハハハハ、そっかー、なるほどなー、気づかなかったわー……(突如激昂し、掌で机を一撃する)まともな親がこんな異常で不健全な作品を子どもに見せるわけねえだろ! ユアストーリーのほうがまだ心の傷が浅くて済むわ!

 さんざんQの文句言ってきて、これだけは触れるまいとずっと我慢してボカしてきたけど、もう本当にアッタマきたから言わせてもらう! 聞きたくないヤツは耳ふさいどけ! オマエさあ、震災で未来が絶たれた絶望をリアルに表現するために、二人の間に子どもができなかったことをエヴァQの演出に織りこんだだろ? それだけはよ、人としてやっちゃいけなかったんじゃねえか? 眼窩から血の涙を流す妻の顔を無言で眺めるゲンドウとか、血と肉に爆散する肥えた妊婦体型のリリスとか、リリスから出てきた使徒(イコール胎児)の首をはねたりとかさあ! テメエにとって大切なだれかの尊厳を踏みにじってまで、たいそうな「ご気分」とやらをフィルムに「定着」させる大義なんて存在するはずがあるかよ!

 オイ、結婚してから数年間子どもを授からなかった女性が正月にダンナの実家へ帰省した際、箸袋の「××子」という名前から「子」だけ消されていたみたいな嫁イジメの話を思い出しちまったじゃねーか、けったくそわりい! Qをはじめて見たとき、このイジメの話をはじめて聞いたときと同じくらいゾッとして、もっとも秘すべき夫婦のできごとさえ満天下へ無邪気に(そう、表情だけは深刻に、無邪気に)晒し上げられるなんて、クリエイターのヨメにだけはなるまいと固く誓ったわ!

 あのさあ、アンタ、シン・エヴァをよ、家族と被災者を生贄に捧げてまで完成させた、あの倫理無視・道徳遺棄の大失敗作、エヴァQの続きとして作ることにもう決めたんだろ? そんなら、小学生に向けたひらがな付きテロップなんて一切いらねえし、腹を据えて覚悟を決めろよ! 自らの恥部をさらけだし、家族の恥部をさらけだし、震災から9年が経過したいまの「気分」に正面から向き合えよ! 旧エヴァみたいな、そういう人肉の量り売りみたいな、アングラ単館上映フィルムの作り方をするって、決めたんだろうがよ! それが、子ども向けの冒険活劇漫画映画だァ? いまさらクソみてーな逃げ口上をうって、日和ってんじゃねえよ! 本当に商売抜きでいまを生きる子どもたちの困難さに向きあいたいなら、そのためだけの完全新作を立ち上げればいいじゃねーか!

 そういや、旧劇場版の最後に見たくもねえラブ・アンド・ポップのCMをブチこんできやがったことをいまさら思い出したぜ! 何がシン・ウルトラマンだよ! すでに腰が引けてんじゃねーかよ! またエヴァをプロダクトとして完結させることから逃げるのかよ! いい加減そろそろ大人になって、世間を知りニャさいッ! 今回の冒頭10分公開以降、お得意の広告手法でSNSの反応をリサーチしたら、もうエヴァの現状がどんなもんか、よーくわかったろうがよ! かつて旗振りの急先鋒だった高学歴の知識人や著名人は軒並み沈黙(笑)を守り、出てくる意見は冷めた批判や無関心ばかりで、期待感を示している少数はパチンコから合流した(コード・トリプルセブン!)低学歴・低所得のヤンキーばかり! Qのせいで序破からの客は全員いなくなって、もうどこにも新規なんて増えてねーんだよ! 閑散とした会場には旧エヴァが好きだったから、この作品の最期を看取ろうという層しかもはや残ってねーんだよ! 昔みたいには声もでないヨボヨボのロックスターの、ジジイの腰振りを見にきてるジジイばかりなんだよ! その点で言やあ、シンカイさんのほうがまだ誠実に作品に向き合ってるじゃねえかよ! アンタが適当にしゃべらせた破のシンジ君の「セカイがどうなったっていい」発言に対して、映画丸々一本つかってアンサーしてきたじゃねえかよ! しかもすでに百億かせいで、エヴァ・リブートよりはるかに売れてんだよ!

 なに、天気の子の終盤で雷が落ちたトラックの挙動がおかしくないですか、どんな物理法則で前輪が浮いたんですか、あと落雷から爆発までしばらく間があるのもよくわからないです、だと? バカモノ! あれはシンカイさんが旧エヴァ劇場版でネルフ職員の「南の、ハブステーションです」という台詞の直後に、トラックの正面から砲弾が二発撃ち込まれ、時間差で爆発したシーンのカッコよさにウレションし、オマージュし、トレースしたからに決まっておろうが! シンカイ・ワールドの物理法則はエヴァンゲリオン・ワールドに準拠し、さらにエヴァンゲリオン・ワールドの物理法則は、トクサツ・ワールドの物理法則に従う! つまりシンカイ・ワールドの背景美術がハイパー・リアルなのにところどころ物理法則がおかしいのは、エヴァ好きが昂じすぎて結果として、トクサツ・ワールドから動きを孫引きしてしまっているからだ! ピアノの一音ごとに背景が切り替わる演出は旧エヴァ劇場版の実写パートから引っ張ってきていたり、女子のパイオツのサイズに関したビロウ(尾籠)・トークと思春期ポエム以外は、シンカイ・サンにとって映画はぜんぶエヴァンゲリオンなんだよ!

 怒りすぎて何を言っているか自分でもわからなくなってきたが、シン・エヴァではもうこれ以上、矛盾した情報を小出しに撒いて、視聴者を混乱させることでバズらせる(バズってない)宣伝手法を使うのをやめてくれ! 何があっても来年6月までは生き延びて、必ず初日に見に行くから、品よくおとなしくしていてくれ! シン・ゴジラのときに興行はバクチと言っていたが、エヴァの大看板に対して小手先の広報は必要ないどころか、むしろ邪魔になってると言わせてくれ!

 頼む、どんなキッタネー最期を迎えても、必ず看取るって約束するから!

追悼「シン・エヴァンゲリオン劇場版:呪」

ゲーム「FGO第2部第4章」感想

 fgo第2部4章、私の観測範囲では無音に近い。nWoの更新もそうだが、あまりに完成度が高いものは、ときに圧倒的な沈黙を招くことがある。忘れた頃にやってくるこのハイクオリティの本編こそが、ゲーム部分では惰性のエー・ピー消化と化したエフジーオーを続ける唯一と言っていい理由だ。

 今回は登場するすべての人物に血肉が通っており、歴史上の有名軍師におたくのガワをかけてネットスラングをしゃべらせるだけの、中身の無い昆虫みたいな突貫工事のキャラ立てとは天と地ほどの違いである。もしかすると、「不自然なほどすべてのキャラが書き手から平等に愛されている感」に瑕疵を感じる向きもあろうが、私は諸手を上げての全肯定である。

 この4章、第2部の他と比べてあまりにレベルが違いすぎて、例えるなら「100m走で9秒台をマークしたと思ったら、優勝者のタイムは2秒だった」ぐらいの感じさえある。この違いがわからない君には、特段エフジーオーをプレイする理由はなかろう。確かに手クセっぽいところはあるし、「強大な敵への対処は、いつも屁理屈を屁理屈で上書きするトンチ合戦と化す」や「ただの人間でも体術や拳法を極めれば、魔獣や英霊をも凌駕できる」といった「あー、ハイハイ、またコレね」と言いたくなる展開を食傷とみなす向きもあるかもしれない。でも、好き! 好き! 大好き! これらの要素はいわば贔屓の定食屋を贔屓にする理由、焼きすぎる魚のコゲや、少しだけ辛すぎる漬物と同じ性質のものだからだ。

 緻密なストーリー構成を、過不足の無い文章と挑戦的な修辞表現が編み上げていく。終盤の展開に至っては、二転三転、四転五転と、読み手の予想をハイペースに裏切り続ける。しかしその裏切りは、確かな技術に支えられているがゆえに、裏切らんを目的とした凡百の物語とは異なった快楽を与えてくれる。そして、ブラヴォと言うべきだろう、彼の物語に通底する人間賛歌の美しい音階が確かに響いている、聞こえてくる。

 われわれ凡人が凡人のまま世界の救済に寄与できること、凡人が世界の残酷さに切り取ったわずかな時間の積み重なりが、時に愛されただれかに人類を存続させる究極の仕事をさせるということ。歴史に名を刻む英雄はひとりでは立たず、永久に名も知られぬ無数の人々がその背中を支えているのだ。基礎研究とノーベル賞は悪い例えだが、それは私たちの世界の実相を喝破していると言えるだろう。

 以前も述べた気がするが、惜しむらくはこの高い普遍性が、スマホアプリで体験するフィクションという新奇性ゆえに、彼のメッセージを受け取るべき本邦の多くの人間には不可視だという事実である。私が思い描くある種の人々は、その外殻だけで拒絶をするし、仮に目を通すに至ったところで、この物語を理解するための多すぎる前提に阻まれて、内包する高い普遍性には到達できないに違いない。

 「不出来を罪と断ずる神の輪廻」--このモチーフだけを見ても、書き手が現代という病理に対して、正面から真摯に向きあおうとしていることがわかる。第2部4章の前には、諸君の言う「虚無期間」が2週間ほどあった。イベントの実装を年単位で計画する人気スマホゲーにはあるまじき、不自然の空白である。これは、なぜだろうか。もしかすると6月1日を境として、第2部4章の公開を遅らせることを決める何かの衝撃が書き手にあり、そこから急遽、相当量の加筆や書き直しが行われたのではないかと推測する。

 ある種の人々にとっては荒唐無稽の、現実から最もかけ離れたジャンルであるにも関わらず、第2部4章は確かに時代と照射しあっており、「いま書かれなければならない」という衝動と切迫性を強く感じる。これは裏を返せば「いま読まれなければならない」という意志でもあり、この傲慢さに至ることのできる数少ないクリエイターを私は愛する。

 「世界の悲惨を前にして、芸術は無力か」という古い問いを思い出す。引きこもりが、空を見上げたっていい--彼の物語は、いつも優しさに満ちている。あらゆる一隅を照らすその暖かなまなざしが、もしかすると世界に知られない場所で、ほんとうにだれかを救ったかもしれない。

 え、この不確かな時代と四つ相撲で格闘する書き手を教えてくれませんか、やっぱ芥川賞候補者たちですかね、だと? キミね、バカも休み休みおっしゃい。そんなの、fgo第2部4章と、ランス10を読みなさいよ。

 あと、nWoも読みなさいよ。

映画「スターウォーズ8 最後のジェダイ」感想

 よくスターウォーズってさ、「銀河を股にかけた親子喧嘩」って揶揄されるけど、ジェダイもシスもさ、どこまで行っても血筋の問題だってのが、作品にある種の深みを与えてたと思うんだよね。なぜって、ルーカス自身も明言してるように、スターウォーズは神話の文法に沿ってるからだよ。

 プリクエル、嫌いな人も多いみたいだけど、俺は大好きなの。ルーク・スカイウォーカーの物語が、ダース・ベイダーの物語に塗り替えられたという批判は正しくて、子は親になることで初めて、かつて暴君にしか見えなかった親の、裏側にあった悲哀を理解できるんだよね。指摘するとキリがないけど、右腕を切られたアナキンがルークの右腕を切り落としたり、親の知恵ではなく傷こそが子に継がれるというメタファーがすごく切実に迫ってくるの。

 ルーカスのインタビューにもあるけど、否定しようともがきつづけた父親・イコール・権威を、スターウォーズというファンダメンタルを築き上げたことによって自分が体現してしまっていたという悲しみを表現する「シスの復讐」は、彼のフィルモグラフィーを完結させる上で最後のマスター・ピースなわけ。カウンセリングの個室ではなく、文字通り全世界のスクリーン上で極めて私的なトラウマの表現をエンターテイメントに昇華できたという点で、ルーカスは人類史上唯一無二のクリエイターだと思うのよ。キリストでさえ、それはかなわなかったんだからさ。

 話を戻すけど、血筋まみれのヨーロッパから逃げ出した人々の作った「新世界」だからこそ、ブラッドラインの孕む何かに、おそらく後ろめたさから無意識の神秘性を与えてしまい、それがスターウォーズを超大なエスタブリッシュメントに押し上げる不可欠のエッセンスとして機能したと思うんだよね。カイロ・レンがレイに言う「おまえはこのストーリーに必要にない」という台詞は、スターウォーズが過去6作に渡って血統の物語であり続けたことを――前作のフォースの覚醒でさえそれは否定していない――観客へメタ的に読み取らせることを意識した制作側からのメッセージだ。

 一般人に過ぎない存在がスカイウォーカー家のフォースを凌駕したことは、スターウォーズ的世界観の明確な否定につながる。作品外からメタ的に読ませる小技の連続は、スターウォーズのような大作にふさわしいとは思えず、ファンの期待に逆張りするライアン・ジョンソンの小物ぶりばかりを際立たせる。そうなれば、亡くなったキャリー・フィッシャーが死亡フラグをことごとくへし折って、あまつさえフォースの使役にまで目覚めて2時間30分を生き延びたのすら、もはや現実を逆手にとったメタ的なギャグにしか見えなくなってしまう。

 作品舞台にしても両陣営の艦橋とカジノと島くらいで、スペオペ的な広がりは絶無であり、作品世界の狭さに息苦しさすら覚える。さらにエンディングでは馬屋の少年がジェダイの片鱗を見せ、8以降、フォースの使役は血筋に寄らないことを執拗に上書きしていく。これらは紛れもないディズニーの刻印であり、さんざん指摘されていると思うが、ヒューマノイド内の政治的正しさに腐心するあまりエイリアンたちへの目配りが絶無で、ほとんどそれはレイシズムの域にまで達している。チビの天童よしみや紫髪のライリー先生を描写することばかりに尺を割いて、アクバー提督をナレーションの一行で殺せば、ファンも署名活動に至ろうというもの。

 次回作において、旧来のファンが作品へ向けた歪んだ妄念を、同じく顔の造作の歪んだアダム・ドライバーが肩代わりして、ディズニー的絶対ヒロインのデイジー・リドリーにやすやすと斬り殺されることで、これまでのファンが愛したスターウォーズは血筋ごと、この世から完全に抹殺されるのだろう。デイジー・リドリーは作品中で血脈の特権を否定しながら、皮肉にもディズニーという巨大資本から特権を与えられてしまった。デイジーはディズニーがカメラを向けることを選んだシンデレラだから、修行も必要ないし、右腕を切り落とされることもない。なぜなら、ヒロインとして選ばれたからである。ディズニーがそれをやりたいと言うなら、やるがいい。

 しかし、最後のジェダイであるところのレイが、メイス・ウィンドウをはじめとした綺羅星の如き過去のジェダイたちと比べて絶望的に魅力的ではないことは、やはり大きな問題ではあろう。怒り眉を吊り上げる演技しかできない、寝屋ではサイレンの如き嬌声を上るばかりの何の面白みもないファックをしそうな、抱きたくない女優ぶっちぎりのナンバーワン――おっと、男性タレントには許されるこのランキング、女性様方にはご法度でござったかな? メンゴメンゴ! 酔っぱらいの戯言でござる!――スタローン級の大根役者であるデイジー・リドリーは、前作では感じなかったが、血筋の問題から解き放たれた今となっては、あまりに清潔に脱臭され過ぎ、あまりにもディズニー的正統派ヒロインであり過ぎる。その不平等な世界観は、キャリー・フィッシャーとマーク・ハミルが10キロを越える減量を強いられたのに対して、前作から明らかに増量してふくよかになったデイジー・リドリーが、何のダイエットも求められないまま撮影されていることからも、容易にうかがえるだろう。

 実際、ハン・ソロが死に、ルークが死に、レイア姫がリアルで死に、作品を牽引できる旧キャラクターはもはやチューバッカくらいしか残っていないのに、このていたらくである。さらに、血筋という旧来のスターウォーズ的レジームを否定するメッセージを発しながら、感動的な場面やクライマックスはすべて旧作からの借り物であるというところも、本作の問題点であろう。スターウォーズ級の大作ならば、当然公開された後にネットでの反響はすべてチェックした上で次回作へ反映しているだろうし、レイがダース・シディアスやらダース・プレイガスの血筋というプロットも当初はあったはずである。シリーズものゆえの予定調和をことごとく無視するならば、もはや作品の舞台がSW世界である意味はなくなるし、何の血筋でもないヒロインに対しては、エヴァQの時の如く「ポッと出の新キャラごときが、減量失敗してるくせに、俺たちのルークさんへ意見してんじゃねえよ!」という罵倒しか残らない。

 そんな人非人の俺様もスタッフロールの”In our memory of loving princess”の下りには、さすがに涙腺を刺激された。しかし、結局それは旧作までの、ルーカスとキャリーの手柄に帰するもので、一瞬でも感動したことで逆にライアン・ジョンソンへの怒りはいや増す結果となった。映像の快楽を指摘する向きには、ジャンクフードの皮をかぶった高級料理が、高級料理の皮をかぶったジャンクフードに変じたと伝えて、ダラダラとした、この犬のような話を終える。戌年だけにな!

  最後のジェダイ、2回目を視聴してきた。ツッタイーに廃棄した酔っぱらいの放言を反省し、肯定的意見と否定的意見を等分にリサーチした上でのニュートラルな視聴を心がけ、成人の日にあやかって赤青メガネで飛び出すヤツみたいなのに大枚をはたいた。結果として、「笑ってはいけないカジノ惑星24時 with 天童よしみ」がまったく不要なシークエンスであることだけは確定的に明らかとなった。

 しかし、マーク・ハミルとキャリー・フィッシャーの俳優人生に焦点を当てたメタ的な視聴法によって2回目の視聴を意義深く、感動的に終えることができたので、諸賢にそれを開陳しようと思う。与えられた低予算をさらに特撮へ割いたサイエンス・フィクションに、ギャラの安さだけが理由で呼ばれた新人俳優の二人が、予期せぬ形でシンデレラボーイ/ガールとして祭り上げられ、その後は肥大化してゆくスターウォーズのタイトルに人生を呪縛され、その重力から逃れようとずっともがき続けてきた。本シリーズを足がかりとしてスターダムを駆け上がったハリソン・フォードとは裏腹に、二人は好むと好まざるとに関わらず、そのアイデンティティをスターウォーズに規定され続けてきたのである。

 しかし最後のジェダイにおいて、マーク・ハミルとキャリー・フィッシャーは初めて、スターウォーズのタイトルに正面から拮抗し、ついには凌駕してのけた。二人の人生と俳優としての力が、40年の永きを経て、このビッグタイトルにまさったのである。前作から少しも話の進まない冗漫な、絵ヅラ優先の典型的イディオット・プロットであるところの本作は、マーク・ハミルと、奇しくも本作が遺作となってしまったキャリー・フィッシャーへ、最大にして最後の舞台を与えたという一点においてのみ、他のすべての欠点を度外視して肯定され得る。

 我ながら底意地の悪い興味ではあるが、果たしてカイロ・レンとレイの俳優がスターウォーズという巨大な重力に対して、今後どのように人生を規定されていくかという点を個人的に見守っていきたい。現段階の観測として、アダム・ドライバーはハリソン・フォードと同じく、軽々とスターウォーズを踏み台にしていけるだろう。しかし、デイジー・リドリーはどうだろうか。本人の発言からもすでにある種の不安が垣間見えるし、意地の悪いインタビュアーが40年後に本作のキャリー・フィッシャーと同じようなオファーを受けたらどうするかという質問をしていたが、そんな質問を許してしまうこと自体が周囲の見方を如実に表している。

 まあ、辺境の惑星へ捨てられていた割にお肌もツヤツヤしており、唇の血色もよく、身体の肉付きも健康的、ワキや鼠径部に至るまでのムダ毛処理も完璧だろうと思わせる眉毛の手入れなど、このファッキン・ディズニー・プリンセスには、同情の余地なんてないのである。最低のビロウ・トークをもって、最後のジェダイ2回目視聴後の感想を終える。 

 最後のジェダイ追記。本作を視聴して新シリーズへの熱がだいぶ冷めた理由としては、前作で提示された伏線と思しきものをすべて無視した上で、今回の作劇が成された点にあります。ふつう三部作なんだから、最後までプロットが組んであって、若干の軌道修正はあるにせよ、想定された結末に向けて物語を編んでいくんだろうと思うじゃないですか、ふつう。でも今回のやり方は、例の週間少年漫画誌と同じで、良く言えば読者人気とアンケートを見ながらのライブ方式、悪く言えば先を決めない行き当たりばったりで、伏線から今後の展開を想像する楽しみが受け手から全く奪われてしまっています。推理小説の解決編で、作中に全く登場しなかった人物が犯人だったと考えてみてください。能動的な物語の受け止めを禁ずるような、極めてコントローリングなディズニーの姿勢を感じざるを得ません。こうなってしまえば、次回作で今回の内容をまったく踏まえなかったとしても(レイがルークの娘だったとか!)何の不思議もありません。

 だからもう私は、ディズニーがお仕着せる受け身の観客にただ徹して、スターウォーズについては前もって何も考えないようにしたいと思います。いま気がつきましたけど、ハンターハンターの面白さって伏線をきっちり張った上で、読者のあらゆる予想の埒外からそれを回収するところにありますね。キャスリーン・ケネディ・パイセンにも、この誠実な創作姿勢をぜひ見習って欲しいですね!

 あとオマエ、ライリー先生って誰ですか、だと? バカヤロウ!  nWoオールタイムベストに必ず入るところの(忘れてた)良質ジュヴナイル、「遠い空の向こうに」へ登場する、ホジキン病に倒れたMissライリーのことに決まっておろうが! ジュラシックなんとかゆうパチモンに言及する、したり顔のニワカ映画ファンどもめ! オクトーバー・スカイは1999年の作品だが、おい、ローラ・ダーンてめえ、この頃から演技の進歩がまったくねえじゃねーか! このパープル・ブラッディ・ビッチが、てめえの役割をアクバー提督さんにゆずりやがれ!

よい大人のツイッター講座 第五回(+α)

過去の講座はこちら。

第一回 / 第二回 / 第三回 / 第四回

第五回

 (解像度の低い画面。遠くからサイレンの音。綿の飛び出たカウチに浅く腰掛けた段ボール鼻の外人、至近距離からカメラをのぞきこんで)ハロー、ハロー! (画面外を見て、何かを確認しながら)写ってる? 写ってるかな?

 (咳払いして)やあ、ぼくの名前はトゥレット。みんなをより良いツイートに導く、当ツイッター講座の伝道師だ。もうだれもぼくのことも、ぼくの番組のことも覚えてないかな? 半年テレビに出ないだけで消えた芸人あつかいされる、新陳代謝の早いこの業界だ、無理もないさ! でも、それほど悲観もしていないんだ。インターネットを使えば、テレビと同じようにぼくもぼくの声をみんなに届けることができる。ユーチューバーっていうんだろ? いまでは日銭を稼ぐばかりの港湾労働者のぼくでも、ためになる動画をアップするだけで人気者になれて、どういう仕組みかわからないけど、(瞳の奥に凄惨なかぎろい)お金までもらえるっていうじゃないか! だからさ、二ヶ月ばかり飲みにいくのを我慢して、こうして中古のパソコンとネットカメラを買ってきたってわけさ! おかげで体調もすこぶるいい!

 (突然、女性の金切り声。続いて、激しく壁を叩く音)うるせえ、ババア! てめえの商売の邪魔なんざしてねえよ! そもそもてめえみたいなメンスあがりのビッチ、だれも買いにきやしねえよ! (カメラに気づき、咳払いをして)ご、ゴホン! つまりこれは……そう、汝の隣人を愛せよ、という教訓だ! では、気をとりなおして……

 まだ君はこんなふうに考えているのかい? 「アイビーリーグ出身のぼくなのに、ツイッターではペニスがついてるだけでバカとして発見されちまう!」「本当に賢い人たちはツイッターにもフェイスブックにも手を出さず、ゲーティッドコミュニティでストックオプションの豊かな老後を送っているはずさ!」「結局、セルフィーで撮影したプレイメイトまがいのソフトコアポルノをアップしたり、ワパニーズ向けのファンフィクション・ハードコアポルノをFBIの目を盗んでアップする奴らに、みんな群がっているだけじゃないか!」

 オー、イエス、アイ・ストロングリー・アグリー・ウィズ・ユー! バット、ルック・アット・ザ・ブライト・サイド・オブ・ツイッター! ナイスバディの美女でもない、エロカートゥーンさえ描けないぼくたちが一発逆転をねらえるのもまたここ、ツイッターなのさ! 失うものなんて何もない、ぼくといっしょにツイート技術を学びさえすれば、きょういまこの瞬間からラヴィアンローズ、キミにはただ手に入れ続けるだけの人生が待っているんだ! (カウチの背後からごそごそとフリップを取り出して)では、今日の教材はこれだ!

 『誰でも等分に周囲が思うよりはずっと繊細に違いない。けれど、受け入れ難い現実を前にした時、その改変ではなく逃避を選択する弱さに共感を覚える。』

 オーノー! これじゃイエス復活できない! ナザレで塩漬けになっちゃう! このままじゃ、イエス復活できないよぉぉぉ! きちゃう、サルベーション・アーミーきちゃうぅぅぅ! (金切り声、壁ドン)うるせえ、ババア! そんなに気にいらねえなら、ストリートに出てろよ! 歯抜けフェラーティオウのペニーでペニーを稼いできやがれ! (カメラに気づき、咳払いをして)ご、ゴホン!

 ジャパニーズは三つのキャラクターを備えたランゲージで、それぞれが異なった性質を持っていることは知っているね。初歩的な話だけれど、漢字キャラクターとひらがなキャラクターの持つ硬軟の差異を感じとることは、じつはとても重要だ。あ、いま鼻で笑ったね? そういうキミが初めて書いたノベルのヒロインはティーンであるにも関わらず、全部ひらがなでしゃべっていたじゃないか! ことほどかように、漢字とひらがなのバランスは難しいのさ! ひらがなを入れすぎると知性の液状化をまねいて――ちょうどキミのヒロインのようにね!――しまうし、漢字を入れすぎるとゴツゴツして読みづらい。漢字とひらがなはちょうどソバ粉と水の関係と同じで、重要なことはみんな知っていても、それを感じとるには訓練がいる。漢字とひらがなのバランスについては、自分の好みはどうか、読み手がだれか、そして流行りは何か、考えるべき要素は無数にあって、ひとつの正解はない。でも、普段からこれを意識するだけでだいぶちがってくるよ。では実際に、このツイートのいくつかの漢字をひらがなに開いてみよう。

 『だれでも等分に周囲が思うよりはずっと繊細にちがいない。けれど、受け入れがたい現実を前にしたとき、その改変ではなく逃避を選択する弱さに共感を覚える。』

 ほら、だいぶ印象がやわらなくなっただろ? ティップスとして、ふたつ以上の読みを持つ漢字で、読みの出現頻度がほぼ同じなら、必ず読ませたい方へ開こう。このツイートで言えば、時っていう漢字はジとトキの両方に読めるから、トキへと開こう。え、文節の最後だからジと読んだりする心配はないって?

 ブラッディ・アス・ホール! ホモセクシャルかよ! 人間の脳はふたつの読みをいったん思い浮かべてから、瞬時にどっちかを選択してるんだよ! 開くと開かないとでは、文章を読み下していく速度がコンマ一秒ほど変わってくるだろ! コンマ一秒あれば地上最強の生物なら二三回は殺せるだろ! 乳幼児以前の、当たり前の配慮だろ! 書き手がどれだけ論理的に時間を重ねたって、読み手が読まないことを決めるのはいつだって一瞬で感覚的なんだよ! 時間あまりのブラッディ・ニート野郎の感覚で、ツイッター上のヒリヒリするような時間の奪い合いを考えてんじゃないよ! おまえのブラッディ・ツイートなんて、だれも読みゃしないよ! コストコのチラシの裏にエロカートゥーンの練習でもしてろよ!

 漢字とひらがなの関係について、もうひとつ指摘しておこう。それは、漢語の使い過ぎはよくないということだ。多すぎる漢語は、知性への自信の無さを読み手に明らかにしてしまうんだ。たとえば「中二病がひどい」と書けばすむところを「重篤な厨弐症状の深刻な罹患の証左」なんて書くのがそれで、あまりに読み手に対して警戒しすぎている。馬鹿だと思われたくないあまり、理解されることを恐れている。理解されなければ、馬鹿にされることもないからね。そう、漢語はときに防御的になりすぎる。漢語をひらがなまじりの表現へパラフレーズすることで、読み手への信頼を表明しよう。大丈夫、理解させることで読み手は必ずキミのツイートの共犯者になってくれる。

 『だれでも等分にまわりが思うよりはずっと繊細にちがいない。けれど、受け入れがたい現実を前にしたとき、それを変えることではなく逃げることを選ぶ弱さに共感を覚える。』

 うん、グッとよくなった。読み手に対する構えが消えて、とてもオープン・マインディッドなツイートになってきた。え、「等分」を「同じくらい」に変えたらどうですかって? ハハハ、キミの頭の両サイドについてるのは、チャイニーズ・ダンプリングか何かなのかい?

 文章の冒頭からそんなに漢語を開いてどうするんだよ! まるでただの白痴じゃないか! そこまでやったら、アホの売春婦がサバ缶を片手にストリートで股を開いているみたいに見えるのがわからないのかよ! 神父からクリミナルまで、シックス・ビリオンの一方的な衆人環視を意識できないようならツイッターなんざやめちまえよ! アズ・スーン・アズ・ポシブル! 

 では、そろそろ読点を入れていくとしよう。イングリッシュのカンマとはちがってジャパニーズの読点は、単純に読みあげたときのリズムを調整するためにある。基本的にはどこに入れたって、あるいは入れなくたってかまやしない。つまり、書き手のセンスがもっとも求められるのが読点の扱いなんだ。このツイートには二箇所、読点を追加する余地がある。さあ、考えて入れてごらん。

 そうだね、「等分に」のうしろにひとつ、入れるべきだね。この節が「ずっと」以下にかかっていることがよく伝わる。それに、繊細と言われて気分の悪い人間は少ないだろうから、読点でタメを作って書き手の意図を強調するに越したことはない。ついでに「だれでも」を「だれだって」に変えておこう。「だれでも」は客観的すぎて突き放した感じにひびくけど、「だれだって」なら書き手が自分自身をそこに含めていることを伝えられる。

 次に、「弱さに」の後に読点を入れよう。なに、「変えることではなく」の後ろの方が分節の切れ目になっていていいじゃないですかって? ハハハ、キミの顔の正面にふたつあるのは ピーピング用のノットホールズなのかい?

 読点は読ませたいリズムを誘導するためにつけるって言ったばかりだろ! 文章が読み手の頭の中で音読されたときのことを想像しなきゃダメだろ! 「弱さに」までを一息で呵成に読みあげたあと、そこに共感を覚えてしまうことを異常だと思われないかという一瞬のためらいが、この読点には含まれてるんじゃないか! 外国語話者みたいな感覚で日本語をしゃべるなよ! トゥー・イージーのはずだろ! だれもユーのブラッディ・ツイートなんかブラッディ・リツイートしないよ! もうツイッターやめちまえよ! ユー・ファック! ファック・ユア・アンクル!

 『だれだって等分に、まわりが思うよりはずっと繊細にちがいない。けれど、受け入れがたい現実を前にしたとき、それを変えることではなく逃げることを選ぶ弱さに、共感を覚える。』

 どうだろう? これを完成品としてツイートしても、だれにも文句は言われないはずだ。でもそれはキミが、ファイブ・ディジッツのフォロワーを有するインフルエンサーになった後の話だ。スパム業者まみれのスリー・ディジッツ・フォロワーしかいないキミには、まだやるべきことがある。きょうはツイートの最上級技術をキミにプレゼントしよう。

 「共感を覚える」、あまりに使い古された言葉だね。いいかい、言葉は使われれば使われるほど摩耗する。このフレーズはニュース番組の原稿のように、あまりに自動的に使われすぎて、字面とは裏腹にもはや何の共感も呼び覚まさない。より摩耗度の低い言葉を探して、パラフレーズしよう。

 最後に、「けれど」を取り除こう。うん、キミの不安はわかる。接続詞を省略することは、ディスコースマーカーの役割を読み手にゆだねることで、書き手にとってすごく勇気がいることだ。けれど、それは時間を越えた意味選択の広がりを読み手にゆだねることにつながるんだ。読み手を信頼しよう。だれかを信頼することで、キミの文章は初めて普遍性と、もしかすると不朽の翼を手に入れることができる。

 『だれだって等分に、まわりが思うよりはずっと繊細にちがいない。受け入れがたい現実を前にしたとき、それを変えることではなく逃げることを選ぶ弱さに、共鳴してしまう。』

 フーム、たかがヒューマンワークにこれを言うのは神の御業への冒涜に響くかもしれない。でも、言う。これは、完璧なツイートだ。じつのところ、ツイートの技術なんてむずかしいものではなくて、もしかするとそれはすべて、盲目のだれかが見えないはずのだれかに身をあずけるような、無上の信頼なのかもしれな(語尾をかき消すような金切り声、壁を叩く音)。

 ババア、いっつも俺の邪魔ばっかりしやがって、ブチころがすぞ! 外で会うときゃ挨拶もしねえくせに、壁越しで見えねえからって調子にのってんじゃねえ! てめえなんざ、とっととチャーチにでも行って救世軍のゲロみてえな粥で溺れくたばっちまえ!(壁越しにくぐもった罵倒。鼻段ボール、猛然と立ち上がる。倒れるカメラ。静寂。騒擾。悲鳴。静寂)

おわり(制作・著作 NMO)

(おまけ・ドラクエ7編)

 トゥレットの3分間ツイート・クッキング(流れ出す例の軽妙な音楽)! ヘイ、イッツミー! ほんの短い時間で君のダメなツイートをキラキラツイートに変身させるよ! 今日のダメツイートはこちら!

『家族を持ってはじめて気づくキーファの屑さ(挨拶)!』

 ぶるぶるぶる、ディスガスティング! こいつはゾッとするね! まずは「家族を持って」を「大人になって」に変えよう! え、「子を成して」はどうですか、だって?

 カット・ユア・オウン・ブラッディ・スロート! ツイッターもやってゲームもするようなのに、まともな人間がいるわけないだろ! 自前の家族を持つだけでも十分に無理ゲーな連中なのに、さらにハードルを上げてどうするんだよ! このツイートの目的は読み手にキーファへの優越感を与えて、上から目線の笑いを笑わせることだろ! 誰だって年齢だけは自動的に重ねるんだし、「大人になった」って表現はどんなダメ人間にもオールマイティに使えるだろ! 最初からツイートの間口を狭めてどうするんだよ! 簡単なことだろ!

『大人になってはじめて気づくキーファの屑さ(挨拶)!』

 次に「屑」という漢字をカタカナに開こう。え、どっちでも意味は同じじゃないですか、だって?

 ユー・マザーファッキング・サノバビッチ! このキーファという男は、青い血の一粒種にも関わらず河原芸人との情欲に溺れた屑、歴史の流れの中に己を相対化できない痴呆めいた屑、数百年を耐えた国家を存続させる責任から逃避して賎民との交雑を選んだ真正の屑じゃないか! ありのままに漢字で書いたら、あまりに重すぎて笑えなくなるだろ! 漢字とひらがなとカタカナのうち、いちばん単語を軽くできるキャラクターで表記しなきゃどうしようもないだろ! 少しは頭を使えよ!

『大人になってはじめて気づくキーファのクズさ(挨拶)!』

 うーん、まだ少し重たい感じがするね。ここは「さ」を「っぷり」に変えよう。「飲みっぷり」「食べっぷり」の響きが示すように、「っぷり」はどんなマイナスの意味を持った単語でもいったん肯定した上で、さらに軽くする効果まであるマジックワードなんだ。セイ・マジックワード! 英語圏で親が子に求めるプリーズと同じような機能さ。「すごいデブですね」って言われたら死にたくなるけど、「すごいデブっぷりですね」って言われたら、なんだかちょっとほめられたような気になるだろ? 簡単なのさ!

『大人になってはじめて気づくキーファのクズっぷり(挨拶)!』

 ほら、たった3分間であのダメツイートが微笑みをさそう素敵ツイートに変わっただろ? いつでもどこでも誰にでも、ほんと簡単にできるんだ! オップス、イッツ・タイム・トゥ・ゴー! バッハハーイ(流れだす例の軽妙な音楽)!

アニメ「まどか☆マギカ」感想

 質問:欝展開の魔法少女ものが最終回をむかえました。猊下はあの結末をどのように見られたか教えてください

 回答:この質問はわけがわからないよ。よりによってアンチ・ギークスの大家たるぼくに、君たちにとって大切な作品への意見を求めるだなんて、よっぽど悪し様にののしられたいとしか思えないじゃないか。いや、君たちおたくは条理に盲目であれる存在だ。君たちおたくがどれだけの不条理を成し遂げたとしても、驚くには値しない。もしかすると、破滅こそが君の願いなのかもしれないね。その願い、かなえてあげるよ!

 15年前にエポックを作った福音ロボットアニメのことは君たちも覚えていると思う。劇場公開されたそのアニメの結末だけど、3つの異なる救済観をめぐっての対立だという見方ができるんだ。それぞれの勢力がどのように救われたがっているか、ということだね。この例にならって、まずは救済観という視点から読み解いていくよ。

 君たちの国の仏教には、小乗と大乗という考え方がある。小乗は個人の悟りを至上と考え、大乗は衆生の救済を至上と考えるんだ。お地蔵さまは知ってるね。あれが君たちに最も身近な大乗だよ。お地蔵さまは、仏になって浄土へ行くこともできたのに、君たちの苦しみすべてが無くなるまで現世に留まることを選んだ人なんだ。衆生のすべてが救われれば、己も衆生であるがゆえに自身も救われるという誓いになっていることがポイントさ。つまり大乗は、利他は利己へつながるという、この世の善の本質を解いているんだ。どれだけ輪廻を繰り返しても小乗ではかなわなかった救いを、大乗へのパラダイムシフトが可能にする。2つの救済観をめぐる象徴的な結末だったと言えるね。

 さて、次に考えないといけないのは、救済の有資格者がなぜ他の誰でもない、その人物だったのかという点だ。ここには、物語の主人公であったという以上の蓋然性が求められる。じゃないと、救済は絵空事に終わってしまうからね。仏陀が王族の地位を捨てて出家したのは有名な話だけど、救済の有資格者たるには、まず物質的に満たされることが要件だ。その生が一度も満ちたことが無ければ、低い欲得への渇望を断ち切ることは、君たち人間には不可能だからね。

 おや、もしかして君たちはいま、貧しい大工の息子のことを考えているのかい。やれやれ、本当にあげ足とりの好きな連中だね、君たちおたくは! 以前にも話をしたことがあるけど、ぼくはある仮説を持ってるんだ。あの大工の息子は人類史上で初めて、養育者との葛藤に人生を支配されなかった人物なんじゃないかっていうね。従属や利用ではない親子関係を得るのは現代でさえ簡単な仕事ではないけれど、当時の社会状況を考えれば、それは文字通りひとつの奇跡だ。貧しい大工の息子による人々の救済は、その精神が愛に満たされていたがゆえに可能となったんだ。

 さあ、君たちにもそろそろ論旨のゴールが見えてきたかな。無作為に抽出した市井の人でさえ、過去の王族に匹敵する物質的豊かさを享受するこの国で、養育者からの精神的な略取をまぬがれている誰か。そう、人類の歴史に照らせば、その人物は二重の意味で人々を救済する資格を持っているということさ。もっとも、豊かさについては舞台装置からの類推に過ぎないし、この作品には大人がひとりも登場しないから、実際の養育者との関係性については説明が省略されているけどね。

 さあ、ぼくからはこれでぜんぶだよ。でもこんなのは、人気作品に引き寄せての自分語りをより多くの人間に聞かせたいだけの、文系の寝言に過ぎないね。もうさんざん、どこかで似たようなことが語られてるんじゃないのかな。なるほど、君たちにとっては誰が言ったか、誰に言わせたかが重要なんだね。けどそれって、もうただの政治じゃないか。君たちと民主主義はじつに親和性が低いね。民主主義の本来は、個我の染まらなさの中でなんとか共通の結論を得るための方便なのに、君たちときたら徒党を組むことこそが目的になっている。

 君たち日本人は、本当にわけがわからないよ。

忘備録「MMGF!のサブ・テキスト(あるいはC80への軌跡)」

 (全裸の痩せた男、腕を組み、頭頂で高いブリッジ。最も天頂へ近いところに、ミドリガメが乗っている)みなさん、見てやってくださいッ! これが十年に渡る節を曲げ、時代と寝ることを哀願する男の粗末な「萌え萌え学園ファンタジー」ですッ! みなさま、拡散してやってくださいッ!(ミドリガメが首を右に振る。飛び散る飛沫) どうか拡散してやってくださいッ!(ミドリガメが首を左に振る。飛び散る飛沫) 粗末なMMGFですッ! 見られるほどにこの出歯亀野郎は興奮するんですッ! 

 あー、テステス。マイクテス。

 「(修道服姿の女性、両手で口元を覆って)ああッ、まさか、あれは!」「(全裸の小太り男、雲龍型の深い四股。突如、男はシルエットとなり、両足で形成される部分にMの赤いラインがふちどられる。銅鑼の音)MMGFッ!」

 “My favorite time of day is the brief moment when you wake up and don’t know who you are.”

 (スタジオ。机。水を満たした洗面器に顔を伏せるスーツ姿の男。静寂。やがて顔の両脇から水泡が浮かび、男、勢いよく顔を上げる)ブフゥッ! 更新した側の倫理として300時間ほどの沈黙を保ってきたが、そろそろ限界だわい! 溜りに溜まったお前たちからの疑問に(スーツの袖で水滴と鼻汁をぬぐいながら)答えてやるぜ! 長いぞぉ~~~ッ!

 質問:トップ画像がnMo(エヌエムオー)提供になってるんだけど、これって間違ってるんじゃないの?

 回答:間違ってはおらぬ! nWoは十年を経て、テキストサイトとしての寿命を終えた! いや、ブログ形式に移行した時点で、すでに死んでいたのだ! nMoとは「猫が萌えれば少女が痩せる」の略、すなわち新生「よい大人のnMo」であるッ!

 質問:新しい更新のMMGFって、萌え萌え学園ファンタジーの略なの? まさか小鳥猊下様のことだから裏なんてないよね?

 回答:俺の発想の貧困さを揶揄しておるのか! そして、小鳥猊下の全発言をフォローしておらぬほどのにわかファンなのか! 以下、労を惜しむ貴様へmixiからの転載である! ありがたく拝読せよ! 「MMGFは“Mushroom Mardi Gras Festival”の略です。いや、違いました、秘書が間違った書類を渡してきたもので。そう、MMGFは“Massive Massacre Grooves Faggot”の略でした」

 質問:どうしてこうなった…… どうしてこうなった!? どうしてこうなった! どうしてこうなった!

 回答:たわけが! nWoは常々インタラクティヴ性を重視すると言い続けてきた! イメージとしては、公衆便所の落書きに返事が来る絵面だ! 貴様らの無関心がnMoという地獄をこの世に顕在化させてしまったのだと知れ! マザー・テレサも俺のとなりで激しく同意しておるわ!

 質問:想像以上の振り幅にドキドキです。どんなお話になるんだろう!

 回答:投げ続けた方向から何も応答が無ければ、誰でもとりあえず真反対へ投げてみようと思うはずだ! ポジティブで萌え萌えなお話になる予定だが、すべては貴様らの反応次第だ! そう、公衆便所が持つグルーヴ感、スメル感、それが新生nMoのインタラクティヴだ!

 質問:今までにもまして壮大な物語が紡ぎだされる事を期待.

 回答:期待するだけでは足りん!参画し、感想し、二次創作しろ!

 質問:小鳥猊下、宇宙怪獣ジャミラみたいな人生(ジャミラ生? )に一時の潤いをありがとうございます。新作であるMMGFは私が不慮の偶然の悲劇の何かで死なない限りは読破させていただきます。

 回答:婦女子の敏感な部分を潤わせるために我が生はある! しかし、読破するだけでは足りん! 参画し、感想し、二次創作しろ!

 質問:ついに萌え萌え学園ファンタジーが始動したので糧に生きる。

 回答:貴様らの日々の糧を、生命をつなぐ以上の豊かさに変えるために我が生はある! 生きろ、力強く生きろ!

 質問:小鳥猊下の新作読む。萌え萌え学園ファンタジーだと… 続き気になる

 回答:過去の連続更新でつちかった、米ドラマばりのクリフハンガー方式にまんまとひっかかったな! 続きは貴様らの熱気と、俺の余暇次第だ!

 質問:睨下が更新開始されたご様子

 回答:前から気になってたが、睨下じゃねえ、猊下だ!

 質問:ウオオオオオオオオ!!(ときのこえ) 読みます ぜひ 読みます

 回答:「読みます」…そんな言葉は使う必要がねーんだ。なぜなら、オレや、オレたちの仲間は、その言葉を頭の中に思い浮かべた時には! 実際に更新を読んじまって、もうすでに終わってるからだッ! わかるか? オレの言ってる事…え? 「読みました」なら、使ってもいいッ!

 質問:新作の続きですね、読ませていただきます。頻繁にツイッター見ないのでいまさら感溢れる謝辞ですが、以前頂いた力強い返信、ほんとうに嬉しかったです。小鳥猊下の文言はいつも心震えます。

 回答:うむ! もはや小鳥猊下ブランドは惰性で買う外タレの新譜の如き存在だが、そのくたびれた外タレにも作り続ける以上、心の奥底に熾火のような熱は残っており、少しでも世界を変えたいと願っている! 参画し、感想し、二次創作しろ!

 (スタジオ。ハガキ状の紙片を眼前に掲げた男、カメラに視線を送って)以上だ! 最後に言っておく! 今回の更新に萌え画像を寄贈した絵師の蛮勇、いや、新生nMoに向けた熱意を賞賛しろ! その億分の一ほどの想いが貴様らにあれば、太鼓持ち的な感想やツイーティングの拡散など、昼飯前、「あ…本当にもう昼飯を食ってる。朝思った通りだ」!

 (机上にふたつの洗面器。男の背後に小柄な人影)では、無言の行へと戻ることにする。そう、世界の恒久的平和を祈願するために……さあ、テレサ、行こうか。(男と小柄な人物が洗面器に顔をつける。水音。やがて訪れる完全な静寂)

 おわり(制作・著作 NMO)

 (真昼のソープ街。アスファルトより立ち昇る陽炎の向こうから、鼻段ボールの男が両手をポケットに突っ込んだまま姿を現す。その表情は弛緩しており、頬はわずかに上気している。吐息のような声で)エム、エム、ジー……(前歯を下唇に当てる発音で)エフッ!

 (洗面器に顔を伏せた修道服姿の女性。わずかに露出した肌の部分には濃い色合いのトーンが貼られている。傍で膝を抱える男、しとどに濡れた顔面で)死んでるんだぜ、それで……更新直後から示し合わせたように感想とweb拍手が五日間途絶えただけで、もう動かないんだぜ。な、ウソみたいだろ……。

 (夜の繁華街。路地裏。泥酔した鼻段ボールの男が嘔吐している)えむえむえむえむ……(食いしばった歯の隙間から苦しげに)じー、じー……(咳き込んで)えふっ、えふっ! (座り込んでポケットに手を突っ込む。慌てて)スリ! スリー! MMGF!(3)

 (雪のきしみ。薄暗い室内。柱時計の音。湿ったコタツ布団。半纏。猫背。蜜柑籠。蜜柑の皮。老眼鏡。鼻につけた段ボールを外して鼻をかむ音が静寂を破る。再び、柱時計の音。雪のきしみ)

 質問:申し訳ありません、猊下。自分の日記では猊下万歳、MMGFに栄光あれー、と言っていましたが、猊下のお目に触れるような形で、下々の感想(寮母さん萌 え)や、この作られる天上の味わいを持つ作品に労働者的貧しい舌で難癖(塩味が足りないんだよ!! )をつけるのを怠っておりました。18番煎じくらいにはなるとは思いますが、今回も大変男性的な意味で大いに楽しゅうございま した。悪性の風邪などひかぬよう暖かくして、何があってもそれなりに強く生きてください。

 回答:まわりくどい、まわりくどい喃。上から目線なのかへりくだっているのかがまずわからん。対処に困る感想の見本のような書きぶりだ。また、nWoへ感想を送るのにnWoのモノマネをする必要は全くない。私の元へ送られてくる大半がこのようなうわごとかスパムメールであり、この世界における人間性の実在を疑う毎日である。しかしながら、それすら、沈黙よりはずっといい。ありがとう。

 質問:チョコと言う言葉に惑わされているうちは俗世の汚れが抜けていないのだと悟りましたが、現状チョコの原料を収穫する存在に対して心を痛めるべきか、逆にそれ故に美味と感じるべきか。何が本質的に残酷なのでしょう。ああ、チョコ食ってから考えましょう。

 回答:私の読解力では、この文字の羅列から意味を読み取れなかった。この感想が送られてきたのは2月17日であり、例の伴天連祭りについて言及しているのかどうかさえ判然としない。対処に困る感想の見本のような書きぶりだ。私の元へ送られてくる大半がこのようなうわごとかスパムメールであり、この世界における人間性の実在を疑う毎日である。しかしながら、それすら、沈黙よりはずっといい。感謝する。

 質問:小鳥猊下のMMGF!が面白い。

 回答:これだよ、これ! シンプルにしてディープ、良い感想の見本だよ!

 質問:溢れんばかりの感想で猊下のハイソのあるハイソな生活の妨げになってしまうかと思うと、読後二日目にしてようやくおっかなびっくりと感想を 書く次第であります。そうは言っても何を書いても、この読前読中読後に湧き上がる「まだまだ助走段階に感じられる期待感」を表現することができません。猊 下、どうか猊下の赴くままに、好きな角度、好きな強さででこの未開の作品に鉈を振るい続けてください。本質として我々は作品を読むと言うよりも猊下を読ん でいるんです。この作品に滲み出る敬愛すべき美しいまでの猊下(オーラ、臭、影、後光、存在)が素晴らしく麗しいです。冬の寒さも和らいで来ましたが、ど うかまだまだ死なないで生き地獄の中、そこはかとなく生きてください。また続きや、それ以外のものなど気長に一日一クリックしながら待っております。 MMGFラブです。

 回答:誰も指摘しないから自分で言うが、「高天原勃津矢」では青春と個人を、「生きながら萌えゲーに葬られ」では個人と家族を、「少女保護特区」では家族と社会をといったふうに、nWoは意識的に半歩ずつテーマを進展させてきた。そして「MMGF!」では、社会と歴史が描かれる予定になっている。だが、職業絵師に萌えイラストを懇願してまで更新を開始したMMGF、これまでのところびっくりするほど反応は無い。小鳥猊下に恥をかかせることを主目的とした政治結社が本邦に存在することは確定的に明らかであり、もうすべてメタメタにしてやりたい(この場合、書き手が文脈無く作中に登場して、突如読み手に説教を始めるなどの意)というドス黒い衝動を抑えきれない。でも、「猊下を読んでいる」の指摘は重く受け止めました。容姿と若さだけが売りのアイドルが「わたしをひとりのシンガーとして認めて欲しい!」と客席へ涙ながらに訴え、ファンは「☓☓ちゃんの歌はもう芸術の域だよ!」と熱狂的に返すみたいな、傍目からの茶番感を払拭できないところが、nWoの弱点であり克服すべき課題なのかもしれません。

 (雪のきしみ。薄暗い室内。柱時計の音。湿ったコタツ布団。半纏。猫背。蜜柑籠。蜜柑の皮。老眼鏡。わずかに尻を浮かせてする放屁の音が静寂を破る。再び、柱時計の音。雪のきしみ)

 質問:ほめてもらえると思ってたわけじゃない。ほんとに欲しかったのは、拒絶なのかもしれない。でも、返ってきたのは無言の一瞥だけ。この世はわたしがどうでもいい。なら、わたしもこの世なんか、どうでもいい。みんな死んじゃえ。(kotorigeikaさん)

 回答:いい年をして、少女の自我に仮託したポエムでしか己を語れぬのか。いい年をして、相変わらずその本懐は世界の滅亡なのか。情けない。だから貴様はおたくなのだ、その精神の有り様がおたくなのだ。さあ、そろそろ腹をくくれ。人類を救う覚悟を決めろ。

 @nobody うむ、誰かの関心というのは温かいものだな。現在、無言の責め苦にさらされているMMGF!は、実のところまさに君たちのような層へ向けて書かれている。昔ながらのファンには受け入れがたい変節に思えるだろうが、積極的に拡散してくれるとありがたい。

 (場末の演芸場。不安げに立つトウの立ったアイドル崩れ。歌えども歌えども、客たちは新聞を広げたり弁当を使ったりして、気の無いふう。アイドル崩れ、しおれて舞台袖へとぼとぼと引っ込めむ。とたん、巻き起こる熱烈なアンコールの拍手。頬を紅潮させて舞台へ駆けもどるも、客席には酔漢しかいない)

 更新直後は完全に無反応なのに、少し滞るとweb拍手が活性化するこの現象について、君たちはどう考えるべきか。もし更新を求めてのものならば、一言でもコメントを加えた方が効果は高いと伝えておこう。

 @nobody It is surprising to accept a message from English-speaking geeks. Curious to know how you got to know me.

 @nobody I guess you gave enough clues. I’ll wait 4 your confession till the day when you can’t carry it yourself. No secret is ever kept.

 (暗闇。蝋燭。鼻段ボール。吐息。揺れる炎。雑音の下から微かに聞こえるラジオの声)

 質問:鬱な魔法少女モノを、敬愛する小鳥猊下はどの様にご覧になられているのだろうか?

 回答:あの年代のミスコミュニケーションが無知と不作為から出来上がっていることが、非常に良く描かれていると思います。そして、良い大人の不在が、悪い大人による略取を容易にする強固な構図があります。両親を代表とする悪い大人に略取されている/いた子どもたちはそこに深く共感するでしょう。けれど、成熟した大人は公正さの不在にただイライラさせられるだけでしょう。この意味で、成長してからもアニメを視聴し続ける層の精神史と合致する内容であり、ヒットするのはうなずけます。

 ただ、みなさん、私たちは大人になりましょう。それも、良い大人になりましょう。良い大人の介入によって回避できる悲劇は、世界に数多いのですから。

 質問:猊下に質問です。今日職場の同僚が「すげー、原発w」となっていたので、危険性を理路整然と説明したら他の同僚共々「もう日本は終わりだ・・・」となってしまったのですが、いつも小粋なトークで僕らを翻弄する猊下ならこんなときどうされますか?ネタとして差し障りなければぜひご教授下さい。

 回答:回答は、貴方がその組織/共同体をどの方向に誘導したいと考えるかによって変わるでしょう。真実を論理的に伝えることが常に正しいというのは、書生的な発想です。貴方の言説によって組織/共同体の利益を損なう(不安による生産性の低下など)事態が生じたならば、今回のそれは正しくなかったということになりましょう。ただ、書きぶりからは、貴方の個人的な愉悦と優越が漂います。じっさい、世界において真実の伝達や軽妙な饒舌などは、我欲の発露に過ぎないことが多いのです。大局を見極めて行動しましょう。

 質問:誰かの間違いが繋がる、負の連鎖を感じます。まるで世界の終わりのようです。猊下のお力でせめて心の閉塞感だけでも粉砕くださいませ。 早数日経過して今更な感じですが、猊下がご無事で何よりでした。

 回答:お気遣い感謝します。連鎖していくのは、無関心や不作為だと考えます。一方に悲劇があり、他方に安寧があり、そして両者の連絡が無いとき、神の目で俯瞰するその様は古来、地獄と呼ばれてきたものと同義です。他者への関与が負となるとき、それは常に我欲から生じています。声高に騒がず、賞賛を求めず、ただ静かに行動しましょう。

 質問:MMGF、続きが楽しみです

 回答:過分な言葉をありがとうございます。現在、担当者の努力によってnWoは閲覧可能な状態を維持していますが、更新機能が死んだ状態にあります。復旧の目処が立っておりませんので、あらかじめご了解下さい。あと、MMGF!をアマゾン検索しないで下さい。泣かないで下さい。そこに私はいません。

 (暗闇。蝋燭。鼻段ボール。吐息。消える炎。ラジオから響くノイズ)

 @nobody アメリカ! うらやましい! inevitableの発音を何度も聞き返してくるブロンドがいたら、グーで殴ってください。

 『敬いはしても、そばにいてほしくはない。それが、詩人という類だ』

 (和室。文机。原稿用紙。和服の鼻段ボール、万年筆を握った右手を左手でつかみ、力いっぱい文机に叩きつける。血に染まる原稿用紙)めっちゃ萌えが不自由やん! めっちゃ、萌え、が、不自由やん! MMGF?!  MMGF!(4)

 参画し、感想し、二次創作しろ! よい大人のnWo MMGF!(4) 

 (リングのコーナーに身を預けた鼻段ボール。強い照明、きつい陰影。ターバンに白い顎髭、腫れあがった左目)ワッツ ノ、ノー・クラップ? ノー・クラップ、ジョー?(首を振る奇抜な髪型の男) オウ、リツイート! エニイ・リツイート、ホセ?(首を振る口髭の男) ノー、ノオオォォォォォォォ!

よい大人のnWo MMGF!(IZAHN)

 質問:MMGF(4) 面白いです。昨今、貴重な萌え成分を我々に分け与えて下さるなんて、なんと心の広い御方だ。ぜひ、次回も寮長さんの登場と活躍多めでお願いします。

 回答:うむ、あいかわらずの孤軍奮闘ぶりだな。文章と内容から、複数箇所の感想がすべて君からの発信であると同定できるのは悲しいことだが、少なくとも一人のハートをつかまえたことを喜ぶべきかもしれない。今回の更新群は傍目に、演技力というより美貌で売ってきた女優がするヘアヌード写真の如く見えているのではないか。本人にとっては、斜陽を迎えた人気の回復をねらう起死回生の一手だが、じっさい新規層は若くない女の裸など見たくもなく、数少ないファン層は落ち目と裏切りを同時に感じて離れていく。もしかすると今の私は、ただ若いという美が持つ単純な力強さへの嫉妬に狂うあまり精神の均衡を失い、全裸の肛門に鳥の尾羽根を突き刺し、能面を顔へかざしながら「一人パロ・スペシャル」としか形容できないポージングを激写させることで、芸術の高みを感じている真っ最中の中年女優なのではないか――あまりの無反応に、そんな疑念が尽きない。だが、少なくとも君だけは、気のふれた中年女優を黙って撮影し続けるカメラマン先生のプロフェッショナルな仕事ぶりに目を向け、そこに賞賛を送ってくれたまえ。

 @nobody うむ、タイムラインから判断するに、旅先の貴様は正にハピネス・イズ・ア・ウォーム・ビーフ状態だな。識字においてチャレンジされているだろう、イモい知人の意見など全く参考にならぬ。この場末のストリッパーへ、貴様自身の生の声を届けよ。

 言葉はだれかと気持ちを通わせるものなのに、言葉だけでは何かを作るなんてできないのに、どこかでいつのまにか勘違いをして、言葉に勝ち負けがあると思いこんで。弱い言葉には見向きもせず、強い言葉からは逃げ出して、そうして刃物みたいに言葉をとがらせ続けて、ついにはみんな触れないほどするどくして。いまでは、だれもいない丘の上でだれにも伝えられない言葉を膝の上に乗せて、「おかえり」とか「愛してる」とか、眼下の灯りから響いてくるいちばん単純な言葉に心うたれ、ひとり静かに涙を流している。なーんてね。

 質問:小鳥猊下 様、台風とか梅雨とか気をつけて生きて下さい。 @samedak 先生のお仕事はMMGF、各作品ともに眼福的意味で感謝し、そのプロ仕事っぷりに敬意を捧げております。だから、今は拍手力(ちから)も無くなりそうな小鳥猊下 様に最大の賞賛を送り、雨を、霰を、槍を(以下略)

 回答:ハイゼア! またぞろサウスパーク熱が再燃してきたので、今日は日本未公開の“Chinpoko Mon”を紹介するよ! スメラミコトを虚仮にし、クライストを嘲っておいて、ムハンマドには膝を屈さざるを得なかったのは示唆的だよね! マット! トレイ! 今シーズンでウサマを取り扱えるかがサウスパークにとっての勝負どころだよ! 極東から応援しているね!

 『この世で一番重い罪、情状酌量の余地がない罪は、赤ん坊を殺すことだと思う。未来を殺すから、という意味ではないよ。赤ん坊たちの中にある、世界に対する無条件の、無上の信頼を裏切るからだ』

よい大人のnWo MMGF!(5)

 『私は本当の神を憎んだことは一度もない。私が憎むのは、人々が信じる神だ』

 『士たる者の貴ぶところは徳であって才ではなく、行動であって学識ではない』

よい大人のnWo MMGF!(6)

 『心の中に暴力性があるのなら、暴力的になった方が良い。無気力を隠そうと非暴力を口実にするよりは』

 (黄色い僧衣に禿頭丸眼鏡の老人がスッとんで来、カメラに激しく激突する。揺れる画面。レンズに流れる赤い液体の向こうで、鼻段ボール、ヤクザキックの残心に上体を震わせ)デストロォォオォォイ! 小鳥猊下だ! 今日も貴様ら有象無象の迷いに、耳をふさぎたくなるような真実をねじこんでくれるわ!

 質問:更新に歓喜!!!!!!! ユウドがかっこいいであります。でも、それよりも体技科がマッスルイズムかっこいいです。誰が得するかわから ない要素ですが、長と部下の会話の下りに感動して心の中で泣けました。あとパンツ、馬上立ちラッキー白以外跳躍ひねりパンチラなんてステキすぎ(以下略)

 回答:うむ! 「MMGF!」はnWoにおいて、デビッド・リンチで例えるならば「ストレイト・ストーリー」に位置づけられる! ただ心を単純にし、養豚的痴呆へ身をゆだねるがよいわ!

 質問:読みました。仕事を抜けて昼間に貪る様に読みました(←駄目人間) まだしっかり感想をかけませんが面白いです。とてつもなく好きです。素晴らし過ぎて軽く放心しました。魂が抜けました。とにかく更新が早いことが怖いというのもあれですが、どうかお元気で。

 回答:う、うむ? また君か。実のところ、「MMGF!」に感想を寄せるのは君だけだ。どうやら「MMGF!」は、君と私との、差し向かいの対話になりつつあるようだな。しかし、完全な無音の中にあって、君の感想に孤独を慰撫されていることも否定できない事実だ。何年後かの己のためにいま残しておかなければならないと思ったから勝手に更新しているが、じっさいnWoのすべての更新は内的必然から生じたものに過ぎないが、今回はこれまでに比べ、少しは普遍性を持つ主題なのではないかと淡い期待を抱いていた。しかし、それは私の弱さから来る甘えだった。

 (起き上がろうとする黄色い僧衣の丸眼鏡禿頭を激しくサッカーボールキックする。尖った革靴が、こめかみへ不自然なほどめりこむ。激しい痙攣、そして弛緩。鼻段ボール、動かなくなった老人へ吐き捨てる)黙って座ってる方がよっぽどの暴力だろ、え? ちがうのか?

 @nobody いろいろ無理させたみたいですいません。でも、無事に帰京されたことは何よりです。もしかして、どこかで両手が後ろに回ってるんじゃないかと心配してましたから!

 (黄色い僧衣の丸眼鏡、左のこめかみから山羊の角のように革靴を生やし、左の眼球を眼窩からはみださせて)「ミンナ、突然ノ暴力デ驚カセチャッテ、ゴメンネ。ゼーンブ、台本アルカラ! ボク、全然ヘーキ! イマハ、大好キナガンジャモ吸エルヨ!(紙巻きを咥えると、左のこめかみから煙が立ち昇る)

 (黄色い僧衣の丸眼鏡、突如、糸の切れたパペットのように崩れ落ちる。画面の奥には、地に伏した修道服姿の臀部へ腰掛けたゴスロリ少女が、紙巻をくゆらせている。目元だけが百歳の老婆のように険しい)「フーッ……MMGF? ハッ!」MMGF!(7) 

 質問:更新お疲れ様です。HPに綴られた凛々しい文章とtwitterで垣間見せる苦悩のギャップに興奮します

 回答:相当に悪趣味な類の楽しみ方だが、nMoに改名してからの一連の更新に向けた反応として、無視と比べれば相当に好意的と言えるかもしれん! 以前web拍手から指摘を受けて反省したことだが、今後は書き手と書いたものの連絡が読み手にとって喪失する境地を目指さねばならない! 便意に俺が脱糞するかたわらで、哀切に君が落涙するような状況をだ!

 質問:待ちに待ったMMGF<7>!! 一見、ライトでポップな色合いなのに、途中のスリッドも仲間になるかもしれない展開で大団円にならない辺り に何かを感じました。MMGFを読んでいると忘れてしまうこと、これは<よい大人のnWo>に連載されている作品なんだという事実。少しそ(以下略)

 回答:うむ、どこからカネをつかまされてのことかさっぱりわからぬが、nMoの更新にあわせて感想を書き込む仕事ご苦労である! 君の上司が誰なのか教えてくれれば、この過酷な労働に対する時給を上げる旨、進言することを約束しよう! もちろんnMoはインタラクティブ性を重視しているため、このまま無視が続けば当然、全滅エンドも視野に入ってくるだろう! お仕事がんばってください!

 質問:いいわけ twitterは一日一チェックしていたのですが、携帯で見ていたので、MMGF更新の文章が前回と同じ「黄色い僧衣の丸眼鏡」で始まっていて見逃してました。こんなこともあろうかとRSS拾っててよかったです。

 回答:うむ、また君か! お勤めご苦労である! ただ今回の仕事のクオリティに関して一言申すならば、閉鎖的SNSコミュニティでの扇動を欠いていることは問題だ! あおれ!

 質問:言葉は祈りであると言えば聞こえは良いけれど、実際は精神的な面に於いてすら無力であると実感する今日この頃の自分にとってグラン・ラングは憧憬の対象であると言わざるを得ません。続きも全裸ネクタイ待機ーーと言いたい所ですがクールビズの一環としてネクタイは外します

 回答:君もご存知だろうが、文系の仕事は脱糞するほどつまらない! 世の真理とは遠い場所で、政治や多数決で真理から遠い内容を日々決定している! 当事者たちが死ねばそれまで、十年と持たないような中身を日々、さも重要そうに議論している! 対して、理系の仕事が発見する真理は世界そのものだ! 当事者たちが死んでも、それは永久に続いていく! たとえ人類が滅びようとも緑の廃墟の中で、鳥や虫たちはかつて誰かが発見した真理の上に眠るだろう! 常々ファンタジー作品の魔法は理系っぽいと考えてきた! 科学以前の世界理解をなぞっているのだから、当たり前だ! 今回の更新群では、文系のような、哲学のような魔法を想定した! つまり、文系が理系よりも世界の中心に肉迫でき、文系が発見した真理は時間に色あせないという世界観だ!

よい大人のnWo MMGF!(8)

 (黒バック白抜き、極太明朝で“予告”の文字)最後の選択は下された。だが、現実に対処できないスウは、 堅く心を閉ざしてしまう。そして、約束のときが来る。迫り来るペルガナ学園全滅の危機。死の淵へ追いつめられる体技科長。 発動する究極のグラン・ラング。阿鼻叫喚の様を直視したメンター・ユウド、最後の決断。萌え萌え学園ファンタジー同人版、MMGF! さぁて、同人版もサービス、サービスッ。

 (股間にイチジクの葉一枚の全裸男性が、直角に曲げた両腕と両足を左右交互に上下へスイングしながら)続きはウェッブ……以外で! 続きはウェッブ……以外で!

 (鉄条網の向こうで、膝を抱えた少女が灰色トーンの視線を宙に泳がせている。床に散乱する玩具)「テキストサイトの管理人?」「ええ。もう何ヶ月も、一言も更新していません」「ひどいわね」「長編を更新しても反応は無く、ツイッターでつぶやいたらフォロワーが減る。それだけの地獄を見たんです」

 質問:猊下、ごきげん麗しゅう。当初は萌え萌えぐあいにお尻のあたりがもぞもぞしてしまっておりましたが、ようやく落ち着いた気分で読ませていただけるようになりました。

 回答:うむ、婦女子の敏感な部分をむずがゆくさせてしまったことへ素直に謝罪したい! しかし恐ろしいことに、この世界はこれぐらいではピクリともしない猛者どもの巣窟のようなのだ! 萌え萌えなんて大言壮語して、すいませんでした! ぼくには無理でした!

 質問:本びっくりしました。これでMMGFを本で読んで節電と宣えます。ありがとうございます、小鳥猊下さん、さめだ小判さん。読みたい本が出来ました。嬉しすぎです。きっと裏面か口絵部分は寮長さんだと呪いに近いくらいに祈っております。

 回答:うむ、君は匿名で書き込むときぐらいは自分の色を消した方がいいな! 私のことを想ってくれているのなら、なおさらだ!

 質問:夏の有明に猊下の著作がついに顕現すると聞いて、思わず胸が熱くなりコメントを送らせていただきました。これでメジャーになってしまったら寂しいやら嬉しいやらです。楽しみにしています!

 回答:なに、アリアケという因襲の地には十年を越える時間を巻き戻す効果があるというのか! しかし最近の研究では、光子も物理法則に従うことが判明し、タイムスリップの可能性が完全に否定されたという! つまりこれは、nWo最後の花火となる可能性が高い! 介錯に集え!

 質問:MMGF本の発表から数日経ちますが、沈黙を守る猊下ハードボイルドかっこいいです。本が出るからといって浮かれた文章を撒き散らさない辺りが、さすが小鳥猊下さんだッ!! 僕が代わりに浮かれておきますね。

 回答:初老男性による自叙伝の自費出版には冷笑を浴びせるくせに、萌え小説を同人販売するのには熱狂するというその心性がわからん。当人の内側にだけ完結しているという点で、両者は同じことだ。わたしの沈黙は、己を深く恥じるがゆえである。寂しさに耐えかねて節を曲げたばかりか、よもやアリアケ、アリアケなどという……!! これを恥辱と呼ばずして、何と呼ぼうか。今回の件に関してさらに言うならば、私は昔からレベル99にしてからラスボスを倒しにいく子どもだった。そのための雑魚敵を倒し続けるうちに冒険の記憶は曖昧になり、世界への興味は失せ、ラスボスの打倒は喜びから義務へとすりかわる。

 質問:こんにちは。あなたのいちファンです。もしこちらのツイートにご興味があれば、フォロー・リムーブはご自由に。

 回答:うむ、慇懃無礼の見本のようなツイートだな! もちろん、君のツイートに一切興味はない! だが、小鳥猊下礼賛アカウントを立ち上げかけてすぐ消した君のツイートになら、興味はあるのだぜ……(舌なめずり)

 質問:とらのあなでの予約を躊躇しているうちにMMGF!が予約不可になってしまった。さすが猊下だ。 取り敢えず再販希望ボタンを押しておこう。

 回答:ダダイストの詩集ぐらいの部数しか用意できないことがカラクリで、何を驚くこともない。アリアケだ! 釜ヶ崎の労務者たちよ、アリアケに向かえ!(虎の穴、タイガーマスク、みなし児ハウス、ドヤ街、あいりん地区という連想)

 質問:超面白い。超エロい。今回も最高、次回以降も超来たい!  寮長…。

 回答:なんかすごい息切れしてきたな! もはや誤字を修正する気力も失せたようだ! 無理もない、この極寒のインターネッツは貴様のようなニュウビイには荷が勝ち過ぎる! 十二年の長きにわたる無感想更新連打という克己は、貴様には望むべくもなかったな!

 (鉄条網の向こうには誰もいない。扉が開け放たれており、入口すぐの壁には大量に血の飛沫が飛び散っている。床に転がる玩具。ピンク色をしたクマの人形。ボタンが縫いつけられた両目はいまや血糊でてらてらと輝き、意志を持っているかのようにその惨状を見つめている)

 @nobody ワ、ワッツ? ぼくの知っている、京都府在住なら即座に荒縄に後ろ手を縛られる、小学五年生好きのZIPPO先生はどこへ行ったんですかァ~ッ! RT@nobody: いや少子化してるんだしどんどん乱れたほうがいいじゃないかな?俺はロリコンじゃないですけどね。

 @nobody す、すいません、PDF(欧米におけるペドフィリアの略語)先生、つい調子に乗りました。据え膳の件は黙っておきます……!!

 @nobody 現段階では行きたいと思ってますが、諸事調整中といったところです。貴君のアルコールネタが好きなので、もっとやってください。

よい大人のnWo MMGF!~もうやめて、みんなゴア表現に震えてるわ!~(外典・狂都奈落鏖断阿修羅地獄変)

 @nobody えー、たぶん昼すぎにはいる感じになります。アル中トークしましょう。

 @nobody あるんだな、これが。事実は小説よりも奇なり

 @nobody いまでも同人しのことでときどきダコバちゃんからでん話がくるけど、さい近ではケイタイをふとんの下にかくしています。あつくたれこめたカーテンのむこうでセミがまどにぶつかるだけでも、なぜかビクッとなる。こわいよお。

 (クーラーのきいた室内。厚くたれこめたカーテン。ベッドの中央にはタオルケットの盛り上がり。窓にセミがぶつかる。ビクッとふるえる盛り上がり。ベッドの下からイン・マイ・ライフのイントロ。ブルブルとふるえだす盛り上がり)「……こわいよお」

 質問:距離的な問題でアリアケに行く予定はありませんが、猊下の御本は手に入れたい所存です。

 回答:うむ、アッツ島あたりの在住なのだな! だが、その気持はうれしい! 衣類を腰ひもで頭部にくくりつけたのち、平泳ぎ的な泳法で本土へ上陸せよ! さすればインターネッツを利用した通販も可能となるはずだ!

 質問:ヤマグチノボルも侍魂もクソゲーハンターABCも小鳥猊下も同じ時代の全盛だったのに、みんな小鳥猊下知らないってゆう…

 回答:オウ、ノボール! ハイスクールのキャフェテリアでシガーをテイクンするなんて、エシック的にもバディ的にもソー・バッドよ! オップス、ソリー! アイ・ディド・ゴー・トゥーファー! フーリッシュ! たわけが! 1ヶ月100万ヒットを優に達成していたテキスト・モンスターどもと比較するでないわ! nWoはわずか60万ヒットへ届くのに、正味12年かかっておる! つまり単純に日割りしたとしても、連中は当社の235倍グレーターなのだ!

 質問:失われた十年の分、あと十年くらいは応援します。とりあえず、虐げてください。でも、見捨てないでください。

 回答:うむ、また貴様か! 残念ながら野郎を虐げることで昂揚を得る性的な趣味を当方は持ちあわせていない! また、ここ十年で当方がファンを見捨てたことは一度もない! 誰もがそれぞれの理由を自分の中に見つけて、みずから離れていく! 貴様がnWoをのぞきこんでいるとき、nWoもまた貴様をのぞきこんでいることを忘れるな!

 質問:一人称で書くから場面転換に広がりがない。三人称で書くべき。

 回答:(口角からぶくぶく泡をとばしながら)ぼくに自然主義的な情景描写をしろっていうのかよ! そんなに三人称が良ければ、カメラまわせよ! 一人称以外で書かれた文章なんて、ぜんぶ映画芸術の後にでっちあげられた傍流なんだよ! それに、ぼくは私小説至上主義者なんだ! どこの世界に三人称で書かれた般若心経があるってんだよ! 貧弱な精神の中身をさらしたくなくて、一人称から逃げてるだけだろ、君は!

 質問:このサイトにそんな秘密があったなんて、どこか違和感を感じていましたが、驚天動地土天海冥びっくりしました。

 回答:公転周期の関係から1999年までに学生生活を送った者なら土天冥海と記憶しているはずであり、貴様は2000年以降に学生生活を送った若造に違いあるまい。ちなみに、2006年以降の学生は土天海と学習しているはずである。さよなら、プルートー。

 質問:中東に募金済

 回答:ウォッチアウト! おたく産業にまつわるジャパンマネーのリークアウト戦略は昨今、巧妙を極めているわ! 本邦の国体をウィークンすることを企図した第三世界の陰謀にはお気をつけあそばせ! え、エロ同人売買やネットゲームのRMTくらいで手に入るマネーに血道をあげてるのが笑えるって? あなた、幸せね……世界の99%は、私たちの想像を絶するほどに貧しいのよ……。もちろん、サメン・アッジーフは特別帰化を申請してるから安心ね!

 (スマートフォンをながめる黒人。画面には”Rika Calling…”の文字。ため息をついてEndボタンを押す黒人)「キョウモデナイ……コミックマスター・シャークタイガーニMMGF!ノイラストヲオネガイスルトイッテカラ、モウワンウィークニナル……リカ、イッタイドウシタンダ?」

 (空調の停止した室内。厚くたれこめたカーテン。熱気と臭気。ベッドの中央にある盛り上がり。かけられたタオルケットは赤黒く染まっている。ベッドの下からイン・マイ・ライフのイントロ。盛り上がりは微動だにしない)「ブルスコファー、ブルスコファー」

 【急告:nWo社】コミケトー3日目にSNOB NERD WORKSブースを来訪予定の琴理香でしたが急病のため、訪問を断念することになりました。代わりに正午より、弊社の企画広報室代表パイソン・ゲイが同ブースへ謝罪に伺わせていただきます。社員一同、この度お客様の受けられたご心痛に対し、心からのお詫びを申し上げます。

 【急告:nWo社】弊社企画広報室室長パイソン・ゲイが、SNOB NERD WORKSブースに到着しました。今回の件に関して、改めて謝罪申し上げます。

 【急告:nWo社】弊社資材調達室パイソン・ゲイの発注ミスにより、今回のコミケトーにおいて大量の不良在庫が発生しました。タイガー・ホールに順次投棄の予定ですが、プロジェクトMMGF!の事業継続は極めて困難な状況にあり、ステークホルダーの皆様にはこの事案について改めて説明の機会を設けさせていただきます。

 @nobody 絹のハンケチで口をおおいながらアキハバラのタイガー・ホールをくまなく探しましたが、MMGF!は見つかりませんでした。都落ちの気分で、泣きながら新幹線に乗りました。ビッグ・ファック先生が誰かはわかりました。

 【人事・nWo社】弊社研究開発室室長パイソン・ゲイが本日付けで島根支社に転属となりました。また、次回更新企画であった『戦争と小陰唇』(とる酢トイ先生著)にかかる情報漏洩が発覚したため、役員会にて同企画の永久凍結を決定いたしましたことを併せてお知らせします。

 「(車椅子の少女、焦点の無い目で何事かをつぶやいている。膝の上にゆるく開かれた手のひら。中指が小刻みな上下運動を繰り返している)……なんの因果か、末法の手先……おまんら、おまんら、おおおおおまおまおまん……」

 「(サングラスの黒人、少女の車椅子をゆっくりと押しながら)ホラ、リカ、水木ロードダヨ。アンナニモ来タガッテイタジャナイカ。アア、キミハモウソコニイナイノカ、リカ、リカ……」

 「(遠くから二人を眺める筋肉質の大男。髪の毛を海草の如くなびかせながら)捨てたな、コミケ童貞を……!!」

 赤木しげるロード (ハッシュタグ:1文字変えるだけでざわざわ)

 【人事・nWo社】島根、鳥取の主に観光名所を転々としておりましたパイソン・ゲイの配属先ですが、本日付けで本社へ帰還する旨の辞令が交付されました。この度の人事に伴う混乱に関してまして、皆様へ心よりの謝罪を申し上げます。

@nobody ソレハネェ、サメチャン。応礼勃起(おれたち)の信奉(CHINPO)する親神サマがサ、サメチャンに生きろッて逝(イ)ッてんのヨ。一人や二人ドコロじゃ奇禍(キカ)ネェ、姦(ヤ)るべき女(スケ)がマダマダごまんと(OMANKO)いるンだッて、ネ……!!

 とりあえず一週間が経過する前に、コミケ初参戦の雑感を簡単に記述しておく。C80、三日目午後のみ参加である。国が国なら少しの刺激で暴動へ発展しかねない、政府介入が前提みたいな規模の人間が一堂に会しているにも関わらず、ビッグサイトは想像よりずっと静かで整然としていた。多少は臭った。しかし、この時期にこれだけの数が集まれば、おたくでなくとも臭うだろう。ジーンズの尻にエスエイチアイティーをべっとりつけて会場を闊歩したり、ジーンズの前から隆々とまろびでたディーアイシーケーをしごきながら会場を闊歩したり、そういったド級のアンチ・ソーシャルやド級のアナーキーを期待していた私は、なんだか肩透かしをくらった気持ちになった。通りすぎる誰もが沼のように思いつめた目をしているが、驚いたことに典型的なおたくという風貌はごく少なかった。きっと皆、普段はその本性を秘し隠して生きているのだろうなと、少し考えさせられた。だとすれば、nWoでかつて更新された「生きながら萌えゲーに葬られ」は十万単位の共感を得られるポテンシャルを秘めているのやも知れぬ。ブース内で売り子も体験した。売っているものの中身を除くならば、実に起伏の無いやり取りが続く。書き手の前で中身を確認し、買わないこともできるというシステムには驚かされた。MMGF!を手にとりながら買わなかったヤツらを、追いかけてブン殴ってやろうかと半ば本気で考えた。これだけの規模のイベントにも関わらず、全体として華やかさも盛り上がりも薄いままに淡々と進行しており、「祭り」という形容に対してはるか遠い印象を受けた。だが、その理由はおそらく私自身にある。たぶんコミケは、私の中で処女や童貞が思い描くセックスと同じく、知識を持たないがゆえに野放図に広がる想像のうちで肥大化しすぎてしまっていたのだろう。倫理を喪失した異常な世界、常識を逸脱した異次元をどこかで期待していた。もしかするとそれは、私にとって保持しておくべき幻想だったのかもしれない。あと、正常と異常の分水嶺みたいなことも考えさせられた。普段は社会性を追求しているからこそ反社会性に強く傾倒するのであって、普段から反社会性を追求しているならばむしろ社会性にこそ焦がれるに違いない。この述懐は個人的な反省を含んでいる。もちろん、諸君が期待しているのはこんな素の感想ではなく、スラップスティック系のレポートであることは重々承知している。しかしながら今回、それはかなり書きにくい状況にある。ちょうどサルまんに登場した、猫を追いかける裸のサザエさんが車にはねられる4コマ漫画の如く、コミケ・レポートは本気でやると面白くなりすぎ、結果として多くを敵に回すことが目に見えているからだ。私もパイソン・ゲイ主観の翻訳丸出しレポートで、同人誌を土人誌と勘違いさせたり、サークルチケットをSacrifice Titsと勘違いさせたりしたい。だが今回は、私と縁の無い登場人物が多くなりすぎる。ファンならば憧れのプロレスラーにビンタをくらえば嬉しいが、ファン以外にとってそれは突然の理不尽な暴力でしかないということだ。どうか、その点は察して欲しい。しかし私も、「出雲の狂犬」と個人的に自分を呼んでいるところの、インターネッツの十年選手だ。あらかじめ憎悪が乗せられることが決まっている天秤の反対側へ、同じ重さの愛情や賞賛が置かれるならば、諸君の期待へ応えるに、この小鳥満太郎、やぶさかではない。

 マッド・エゴサーチャー、小鳥猊下であるッ! nWoに残されていた最後の禁じ手、萌え萌えファンタジーの同人誌販売を受け、貴様ら臣下の圧倒的な熱気が燎原の火の如くには広がらず、みるみる鎮火してゆくのをしかと見届けさせてもらった! しかしながら日課であるところのエゴサーチに次ぐエゴサーチの結果、いくつかの感想を発見することができた! 本日はその中で、最も長文の感想を真正面から名指しで叩きつけてきた@nobodyへの回答という形で「MMGF!」に寄せられた感想への返答としたい! この君を含めたMMGF!への感想群については、当方のお気に入りを参照されたい! 実のところ、この輩は天蓋付きベッドで睡眠中の深夜に@kotorigeika宛で侍従が捧げ持つiPhoneをチリンチリン鳴らし続けたので、そのときは半ば本気でブッ殺してやろうかと思ったが、安心してください! あれから三週間が経ち、ぼくの怒りもいつもの憂鬱病の中へ鎮火しました! 最近では怒りも悲しみも愛も喜びもぜんぶ、この憂鬱病が飲み込んで無いようにくれるんだ! ヘヘッ、うらやましいだろう!

 回答:長文の感想、ありがとうございます。まず読解の前提を崩すようで申し訳ありませんが、「萌え萌え学園ファンタジー」も「The Most Marginal~」も屈折した韜晦であり、一種の照れ隠しに過ぎません。最近、十代の死生観や世界観を、例えば三十代になって同一に維持し続けることは、罪悪だと考えるようになりました。人間にとって不可欠であり最重要である命題が、特に私の世代ではすべての前提になっていないという感じが、MMGF!に至る初期動機となっています。つまり、「次の世代のために死ぬ」という単純さを肯定することが本更新のテーマです。さもなければ、人のするすべての営みはキリスト教で定義されるところの”annihilation”へ帰着してしまいますから。おたくであるとは、二次元愛好や幼女愛好や薔薇愛好や百合愛好や、”annihilation”を積極的に希求することです。己の自我の残滓だけを残して、一代限りで世界から完全に消滅する、そういう生き方を余儀なくされる場合はあるでしょう。ただ、それを細分化する言説で人間の本義とすりかえてはいけないと考えます。しかし、いまのおたく界隈の論理は、一部でこのすりかえを完全に成立させてしまっているように思えます。ディベートの種としては無謬に見えるその論理へ無自覚にからめとられることは、特定の個人にとって取り返しのつかない悔悟を招く場合があるでしょう。確かに、言葉を重ねれば現実はどこまでも細分化していきます。細分化することで誰かが口を糊する隙間が生まれるのも事実ですが、この世でこれ以外を除いて必要と言えることは何も無いという幹の部分を、他の誰でもない、いまの自分のために書きとどめておきたかった。それがすべてです。

 続いて、「萌え」が薄いとのご指摘です。nWoで更新してきた文章群をご覧になればわかると思いますが、どれもテーマ設定が先行しており、それ無しでは書くことができません。本気で「萌え」をやるなら、キャラ設定を最優先に、他のすべてはそこへ隷属する作り方をしなければならなかったと思います。女性キャラが魅力的でない理由は、力量的な面も大きいと思いますが、今回のテーマに沿う女性らしい行動を与えられなかったのが最大の原因かなと考えています。これを言うと怒られますが、女性による惚れ惚れするような社会的行動を私自身、体験したことがないというのもあるでしょう。女性キャラの豹変についても、それぞれ「技術」「暴力」「論理」という属性の付加、つまり男性性への転換による魅力づけに依っています。それを魅力づけと表現する時点で、本邦のサラリーマンによく言われた精神的ホモセクシャルの傾向が、私にはあるのかもしれません。個人的に言うと、性的なものをのぞいた女性の魅力とは、両腕の無い女が自らの赤ん坊を救うために両腕を生やすというあの童話でして、常態に見えた軽薄さ(失礼)から突然、手の届かない深淵に潜るときのギャップです。だとすれば、今回のテーマを選んだ時点でたぶん、メインキャラに母親を入れておく必要があったのでしょう。この類の物語に非処女はタブーという刷り込みは強力でした。

 あと、「言葉が世界を規定する」という設定について出し切っていないという指摘は正しいかと思います。なぜならMMGF!は三部作で構成してしまっているからで、同人誌にすることが決まったのはその後でした。ですが聞こえてくる感想は、「90年代のラノベみたいで説明が多すぎる」とか「あなたの本質はブラックな笑いの方にある」とか 「いったんこれは置いといて、別のを構想した方が……」とか「コイツ、ネットでは残念な感じだけど、リアルでは面白いだろ?」など基本的にネガティブなものばかりでした。なので、設定を深めて欲しいという貴君のご期待には沿えないかもしれません。ちなみに、この物語の最後の一文は「ああ、言葉が溶けてゆく――」です。

 以上、回答おわり。なに、こういうのはインタビューズとかでやれだと? 貴様らの縦長のタイムラインへ剛直した言葉をズッポリと埋めるときの快感を放棄しろというのか! 俺様を愛しているフォロワーのタイムラインが剛直でふさがるのを想像するとすごい興奮するし、俺様に気の無いお義理フォロワーのタイムラインが剛直でふさがるのを想像するときはもっと興奮する! グロロロ、やめられんわ!

 (入道雲パーマ、両手を口元へ当てて)異常……ッ……異常性欲者……!! (両目に涙をためて)そして、タイムラインが混雑しない時間帯をねらって大量ツイートを行う、愛すべき小心者……

 一番槍での吶喊、ご苦労である! 今年は八月にコミケ童貞を喪失したことが最大のイベントだった。その際、プロに依頼してまで作成した同人誌が300部ほどしか売れず、己の能力への失望を深めた年としても記憶されるであろう。実際のところ、来年度の見通しは全く立っていない。全方位的に求められなさすぎて、次の内的必然が惹起しないというのが本当のところだ。タイガーホールの同人誌が完売することと、酒の勢いにまかせて八月のオフレポを更新できることが、いま現在の希望である。

 そうか、今日はコミケなのか。前回の(寄生的な)参加でもう充分と思っていたけれど、一度会場を見たせいだろう、西の情弱エリア在住のこの身に、祭りから切り離された一抹の寂しさが去来する。結局、「所属していないこと」が望む望まざるに関わらず、nWoのアイデンティティを形作っているのだ。などと婦女子の母性本能と粘膜へ向けて草食系やさ男ぶりをアピールしつつも、コミケトーの時期に再度宣伝であるッ! 「MMGF!」、大絶賛在庫駄々余り中! 通常の文庫ならば三冊買えるだろう、大変リーズナブルな価格設定になっているッ!

 質問:クリスマスにMMGF!をサンタさんにお願いしたのに届きませんでした。在庫がなかったからでしょうか?

 回答:在庫は四畳半一間の半分を占拠するほど余っているため、考えられる可能性は二つだ。サンタのプレゼントリストを作成するトナカイが検閲を行う際に、MMGF!の内容は良い子への贈り物として不適切であると判断を下したか、サンタなる人物は地球上に存在しないかである。

よい大人のnWo MMGF!(9)

 完結。 よい大人のnWo MMGF!(DOON)

MMGF!~見て、みごとなガテン系のファックよ!~(在庫駄駄余解消祈念C80漫遊記・前編)

 質問:日本では所謂ガチムチ体型がホモっぽいとされていますが、海外では逆に痩せていて女っぽい体型の人間がホモだと言われていますよね。どうしてですか?

 回答:わざと隙を大きくした更新をすると途端、隙の多い質問が舞い込む! だが、何の反応も無いよりはずっといい! お答えしよう! 前者は実際に野郎どもでファックする連中を想定しているが、後者は「女々しい」「男らしくない」連中への罵り言葉に過ぎない! たわけめ、ホモの実像と一般人の観念を並列にとらえるような、ねじれた発問がそもそも間違っておるわ! 実際にファックまでするホモの実相は万国で大差ない! 貴様には課題として『ブローク・バック・マウンテン』の視聴を与える! 必ず感想をレポートとして提出するように! そして件の、隙の大きい更新である! まだかろうじて、誰も傷つかないところまでが収録されている! なに、後編だと? たわけ、貴様らの反応次第だ! MMGF!~見て、みごとなガテン系のファックよ!~(在庫駄駄余解消祈念C80漫遊記・前編)

 『喜びにも既視感があり、悲しみにも既視感があり、それが本当に喜びなのか悲しみなのかも分かりません。それが自分の欲望なのか,他人の欲望なのかも分かりません』

 (吊り目の少女が頬を紅潮させながら)「ぜ、ぜんぶウソなんだからね! 本気にしないでよね!」(少女の背後で禿ヅラの親父が新聞を広げながらくしゃみをする)「ふぃ、ふぃーくしょん!」 MMGF!(在庫駄駄余解消祈念C80漫遊記・中編)

 モンリ(スカイリムを嗜む紳士の合言葉)! 小鳥猊下であるッ!

 誰も傷つかないコミケ漫遊記・前編から幾星霜、先週ようやく狂犬病の野良犬のような中編を更新した。 長くなりすぎて前後半に収まらなかったのだ。待望の続編に押し寄せるだろう山のような感想への応対を予想した一流ブルーワーカーであるミーはウィークエンドのアポイントをすべてキャンセルし、 スクリーン前でネイキッド待機していたのデス! だがーー寄せられた反応はweb拍手が二件のみだった。毎日一回拍手ボタンを押す律儀なファンが一人いるので、実質は一件である。最高に空気を読む私がモニター越しにnWoファンたちの波動値を測定すると、おおむね次の三つに収束した。

 「傷ついた。死にたい」「ウェットな部分がつまらない。余計だったと思う」「よくこんな読みづらいコンテンツ読む気になるな」

 それにしても、この週末がディアブロ3のオープンベータと重なっていて本当に良かった……(マウスを乳房のように撫でながら)……もしそうじゃなかったら、ワイヤレスマウスで首を吊るところまであったかもしれない……(マウスホイールを乳首に見立てて落涙する)

 後編の更新に関しては一切が白紙である! では諸君、モンク(Female)!

 そんなことよりさ、コミケ漫遊記の続き、だれも読みたくないの? ぜんぜん反応ないからずっと止まってるけど、いつでも更新する準備はあるんだよ? いまから前回のあらすじをツイートするので、更新希望者はリツイートかフェイバリットにて意志表明を行うとよい。

 同人誌ゎ売れなかった……こわぃ家人がまってる……でも…もぅつかれちゃった……でも…ぁきらめるのゎょくなぃって……パィソンゎ……ぉもって……ゃかたぶねで……がんばる……でも…原価……われて……ィタィょ……ゴメン……200冊もあまった……でも…パィソンとサメンゎ……ズッ友だょ……!!

 昨晩のツイートに対する反響に驚いている。今年に入ってからというもの、最も控え目に表現して「ガン無視」としか言えない状況が続いていたからだ。何をツイートしても反応は絶無であり、旺盛なリツイートを行うフォロワーも当アカウントだけは周到に避け、ときどきフォロワーが減るといった具合だ。

MMGF!~もう時効だろ?滅法卑劣なフッカーめ!~(在庫駄駄余解消断念C80漫遊記・後編)

 こんなサービス、めったにしないんだからね!

 予告で大きなリアクションがあったのデス! 本編はモア・ザン・ザット、それ以上のリツイートやフェイバリットが期待できるに違いありマセン! ワ、ワット? ホワイ・ドゥー・ゼイ・イグノアー・ミー? 土下座するのはファックまで……ジャパニーズのアグリー・ネイチャーにはボミットしきりデス!

 質問:ひどい、すごい、はげしく熱い祭りの熱気を感じ、オチに心動かされました。MMGF続きも待ってます。在庫は2を書いて1とセット販売で売り、それでもダメならもうひとつ出して1~3でセット販売をすれば完璧です。

 回答:お、元気してたか? 調子はどうだ? あんなに元気な姿で送り出した今回の更新だったが、本日夜半、残念なことに無言の帰宅をした。まあ、実在の人物へのディスが笑いの中核を成しているのだから、仕方がないと言えば仕方がない。もう私には、君がすごい萌え絵描きか、大きな組織で権力を握る人間へと育ってくれることを祈るしかない。育て!

 ところで貴様らはこの三日間というもの、なるほど・ザ・ギークス冬の祭典であるところの混み毛唐をチンタラほっつき歩いておったのか! 混み毛唐位と言えば、もう三年にもなるか、nWoをとりまく淀んだ状況に少しでも変化を与えようと、ギークスへのヘイトスピーチのみで構成され続けてきた当サイトのアイデンティティをかなぐり捨て、C80(チンコ・エイティの略)に参加したことを思い出す!

 小鳥猊下のコミケトー降臨については、以下の更新に詳しい。

 300冊ほど萌え小説を持ち込み、200冊ほど売れ、100冊ほど四畳半の西日で日焼けしてタイトルが消えかけているが、結果としてnWoの周辺状況に大きな変化は見られなかった。無念である。

 ちなみにその萌え小説については、以下の更新に詳しい。

 あいかわらず、リアルでの俺はと言えば家族と子宝に恵まれたロス在住のいち大物ロックシンガーに過ぎないし、ネットでの俺はと言えばツーチャンネルより古参でサムライスピリットより先行者の、マサやカサイのようないちレジェンドに過ぎないのだ。

映画「ドライヴ」感想

 ネットでの高評価だけを鵜呑みにして、何の予備知識もなく視聴したら前半と後半の落差にのけぞった。北野武の初期作品とか、長渕剛の昔のドラマとか、レザボアドッグスとか、そういうのと同じ匂いがする。つまり、強烈な怒りによって世に出た者に共通した、突発的かつ執拗なまでに残忍な暴力描写だ。

 メカに強くて運転がうまくて、普段は穏やかで欲がないが、他人のために怒ると滅法強い。この主人公像は、ある種の人々とってものすごく願望充足的に機能するんだろう。エンディングに流れる主題歌(?)の曲調と歌詞がストーリーの内容と異様にミスマッチだと感じた私は、監督の想定するヒーロー像に感情移入できておらず、おそらく理想的な視聴者ではない。中二病のアッパーバージョンみたいなこの内容を激賞する方々とは、ちょっと友だちにはなりにくいなー、と思った。

 あと、ドライ“ヴ”という邦題の付け方がこの映画の本質をよく表しているなー、と思った。