猫を起こさないように
漫画「プラネテス4巻」感想
漫画「プラネテス4巻」感想

漫画「プラネテス4巻」感想

 世代の特徴と言うべきなのだろうか。某SF漫画を遅ればせに読んで、考えた。憎悪で膨らんだ世界観が愛で救済されるときの鼻白みと腰砕け、憎悪が漂白されれば残された解答はまるで宗教のようになり、宗教のようになれば語るべきは失われ、自壊あるいは拡散して物語自体が消滅してゆく。宇宙と対峙しながら、個人の内面へとその極大を押し込める。文化と歴史を前提としないからこそ、愛が憎悪を救済できるのだ。

 それに気づいたとき、小生思わず悶絶し、深く反省をした。完全に全き状態を到達地点に想定する、その錯誤は虚構の中にしかあり得ないと気づいたのだ。特定の人間関係の中で特定の課題へ繰り返し取り組むことは、個人の中のある部分を助長し、ある部分をより深く所与命題に適合するようたわめ、そして確実に必要ないがゆえに消滅してしまう人格の部分を持つということである。その失われる部分が悲しい口惜しいというのは、人間であることをどこかで拒否しているということだ。私が更新も無いままサイトを閉じようとせぬのも、変わりゆく自分への悲しみゆえなのかも知れない。

 しかしそれは一種の引きこもり的錯誤なのだ。繁忙期も過ぎつつあるし、そろそろ次をお見せしたい。いわば人外の獣がする同族殺しへの悲鳴である。