猫を起こさないように
月: <span>2026年10月</span>
月: 2026年10月

雑文「復活のヴァナディール」

 またぞろ、FF11に復帰してんだけど、本家の世界観を丸パクりした寄生虫的なFF14がバージョンアップのたびに”さいきょーそーび”を更新して、過去のアイテムが陳腐化してゴミになって、やることはすべて運営の敷いたレールから外れることのない、決められた手順とタイミングでボタンを押せるかを確認するだけの”大縄とび”という痴呆めいたゲーム性に飽きられて、ゼイゼイ息ぎれしはじめてんのに対して、FF11は30年ちかく前の装備がいまだ現役だったり、運営の想定しない奇妙キテレツなプレイヤー側の戦術を生む土壌が健在だったり、いまは廃れてしまったMMORPGというジャンルを生き生きと現役でやってんのね。5年ぐらいまえに書いたFF11にまつわる自分のテキストを読みかえしてんだけど、サービス終了への予感に目がうるんでて、滑稽なぐらいに感傷的なわけ。最近では、過去のnWoテキストをあざ笑うようにオススメのユーザー数は増えてきてるみたいで、その理由は30年ちかく前のユーザーがそろそろ定年をむかえはじめてて、老後の”終の住処”をヴァナディールにさだめてるからじゃないかって思うのよ。わたしもここ数年、なんどか復帰しようとしてたんだけど、むかし使ってたマクロがぜんぶ消えてるとか、パッドのキーコンフィグがうまくいかないとかで、つど断念させられてたわけ。それもこれも、あきらかな加齢の影響で酔っぱらってるときの集中力と記憶力がよわまってて、前夜の試行錯誤が翌日へとつみあがっていかないからなのよ。それをエイヤと一念発起して、休日1日をまるまるFF11の環境構築につかったら、無事、5年ぶりに復帰できたってわけ。

 30年もののセーブデータが垢バンされるのを怖がって、みんな口をつぐんでると思うんだけど、Windowerっていう海外のソフトを導入すれば、PC1台で複数アカウントを起動できるし、解像度やFPSや操作性もオリジナルから大幅に改善されるし、これをつかわないテはないくらいの、ディ・モールト・ベネ(JOJO語)なシロモノなのよ。もうぜんぜんWindower使ってることを公言すべきだし、新規層をとりこむためにもバンバン宣伝していくべきと思うんだわ。それた話をFF11本体にもどすけど、2016年に大型アップデートを終了するとか、病床の老人みたく弱気なことを言ってたくせに、ひさしぶりに復帰してみれば、初代のラスボスであるカオスにまつわる新エキスパンションがまるッと追加されてたり、レリックとエンピとアナルファック(ちがう)を強化するための新コンテンツが大量に導入されてたり、末期ガンで遺書までしたためてたのになぜか寛解したうえ、90歳でトライアスロンをはじめた老人みたいなありさまで、ベッドのわきで手をとりながらおいおい泣いていた孫としては、ほんまおまえなんやねん、あのときの気持ちをかえしてくれよ、ってなる。以前のくりかえしになるけど、いまのオススメは1日30時間ノートリアス・モンスターにはりついて、釣り負けたらネットに相手LSの誹謗中傷を書きまくる、将棋でたとえるなら坂田三吉みたいな豪放無頼の廃人は鳴りをひそめ、1日1回かならずログインして、時限コンテンツをエクセル管理しながら粛々とこなす藤井聡太タイプが着実に強くなっていく、盤外戦のきかない、人間力による逆転のない世界になってんのよ。レベルキャップが75だった時代を知る者としてはさみしいかぎりだけど、もう徹夜なんてできない身体にとって毎日1時間ばかりのログインですむのは、スマホのアプリゲーみたく生活に組みこんでしまえるし、たいへんにありがたい進化なのね。

 ハンターハンターのグリードアイランド編に登場した”攻防比”なるワードは、ある時期にFF11の廃人だったところの冨樫義博がパクッ……もとい拝借した概念なのは有名な話だけど、この5年でどうもそのキャップが順にはずされてってるみたいで、最高ダメージ99999のようなエクストリームにきわまった世界が強化をつきつめた先にあるのは、90歳の老人がハッピーに腹上死で昇天するみたいなもんで、なんだかすごく楽しい気分になるんだわ。もっとも、その境地へたどりつくには数年単位の研鑽が必要なこともまた事実であり、いよいよサービス終了とおのれの寿命がデッドヒートのチキンレースをくりひろげる段をむかえている、古代のプレイヤーたちも少なくないのではないでしょうか(真顔)。今回の復帰にまつわる個人的な話をしておくと、操作方法やマクロの使い方を実地でさわって指におぼえこませながら、倉庫やカバンに入っている装備やアイテムから、5年前に自分がなにをしていたか思いだしていくのは、まさに記憶を失った異世界転生者ーー最新のシナリオにこの単語が登場するのを見るのは、じつに味わいぶかいものでしたーーといった感じで、ああ、コルセアのロール装備を強化しようとしていたんだなとか、なぜか緑にモヤッたイドリスがあった(こわ)ので、風水士をやるためにデュンナを作ろうするもOboroが素材を受けとってくれず、よくよく確認するとすでに持っていたり、巷間にあふれる異世界モノすべての源流であるヴァナディールにおいて、「記憶を失った勇者」をやれるのは、半世紀ちかくにおよぶゲーム遍歴があるからこその体験で、古参プレイヤー冥利につきるなー、やっぱオススメって最高だなーとあらためて感じておる次第。

 あと、BGMがアゲアゲのソーティっていう最新コンテンツの仕様がすごくドルアーガの塔ーー装置にエモーションしたり、すッぽんぽんで物体にさわったり、ひとりプレイでは発見しようのない数々のギミックーーっぽいなーと思ってたら、開発インタビューでそれを目ざしたとじまんげに語ってて、笑った。

ゲーム「FF11の思い出」その2
ゲーム「FF11の思い出」その3
ゲーム「FF11の思い出」その4
ゲーム「FF11の思い出」その5
ゲーム「FF11の思い出」その6
ゲーム「FF11の思い出」その7
ゲーム「FF11の思い出」雑文集
雑文「私とカラドボルグ(FF11とはずがたり)」
雑文「ヴァナ・ディールの癒し」

ゲーム「原神・冥府へのレクイエム」感想

 原神、中年期以降の人生における体感時間に照らせば、スネージナヤ実装からの怒涛の展開にようやくひと息ついたところ、次の呼吸をするいとまもなく新バージョンが投入されたような印象で、その矢つぎばやな供給に目を白黒させております。さらにそこから、アナスターシャとレインドットによる丁々発止のやりとりを通じて、女皇の正体と神の目の用途が明らかとなり、ロノヴァより死の権能を奪って完全に消滅させるところまで行くのだから、もうすこし長く原神世界にひたっていたい者としては、「待って待って、はやいはやい」と軽快に駆けてゆくホヨバの足元にすがりつきながら、引きずられているような状態になっている。神の目を利用した時間操作で生の執政による蘇生を遅らせ、天理が眠りについているーーパイモンの自我が優勢だからーーさいにのみ有効な、天空の島による理屈不在のオート・パニッシュメントを起動させる流れは、ファンガスの書くFGOなみにゾクゾクするギミックでしたし、テイワット世界の根幹でもある”不死の呪い”の大元を断つ展開は、スレイヤーズ!で言うならシャブラニグドゥーー30年ぶりぐらいに意識の上にのぼった固有名詞ーーの分体ではなく本体をうち負かし、ドラグ・スレイブーー同30年ぶりーーなる魔法を地上から永久に消滅させたようなものです。

 あと、ロノヴァを討滅するさいの豪華ムービーがハチャメチャにエヴァンゲリオンで、エネルギーの奔流をシールドで受けとめて2つに割るとか、上空からの落下物をバリアーで受けとめるとか、大爆発の直前に無音となって白背景に線画のエフェクトが入るとか、黒煙が晴れてゆくと無傷の敵がこちらを見下ろしているとか、もうとにかく徹頭徹尾、エヴァンゲリオンの映像文法で演出がつけられているのです(特に、テレビ版の第拾九話をつよく感じる)。特撮の手法をコピーした旧エヴァの段階では、たとえば爆発のさいの演出に関して言えば、「白背景は閃光に目がくらんだことを表現しており、無音は爆風による一瞬の真空状態を意味する」ような、現実と地続きの物理法則にのっとった意図が背景にあったと思うのですが、原神からは「Qアンノがそうしていたのが、最高にカッコよかったから」という、崇敬からの五体投地的なオマージュをしか感じられないのは、オタク文化が何世代か進んだことによる、じつに興味ぶかい変化と指摘できるでしょう。死の執政の消滅により、人類の持つ科学技術の進展を阻害する要因が消滅し、ヤドリギ計画を最終段階へと進めようとするところで今回のバージョンは幕となるのですが、これまでそれなりの課金をしてきたファンとしては、原神の終わりに向けた心の準備がまったくできておらず、「待って待って、はやいはやい」と、ただただホヨバの腰にしがみつきながら、うろたえるばかりなのです。

 それと、今回のストーリーで大きな感銘を受けたのは、氷の女皇による「私は自分の記憶さえ、信用していない」というセリフで、過去に天理から特定の人物に関する情報の改竄を受けたことへ起因する行動原理なのですが、この言葉はマネジメント層の持つべき、ある種の心がまえであるように感じました。なぜなら記憶というものは、我々が強固だと信じているよりもずっと簡単に、自己弁護や一時的な感情によって書きかわってしまうからです。つまり、接点を持つ人物たちの評価をふくめて、公に物事をジャッジするとき参照すべきは、記憶ではなく記録のほうであり、不確かな主観には立脚せず、客観的な事実のみをベースにせよという”いましめ”を説いているのだと言えましょう。家族愛のどっしりとした大切さを、軽佻浮薄な本邦に在住するオタクたちに思いださせるだけでなく、じっさいに有効な人生訓まであたえてくれるゲームを、寡聞にして他に知りません。ねえ、ほんとうにホヨバは原神を終わらせるつもりなの? 現実の世界情勢をビビッドに反映した、中国とロシアが星の命運をにぎるSFファンタジーなんて、人類史上、まさに唯一無二の存在だというのに!