猫を起こさないように
日: <span>2019年11月20日</span>
日: 2019年11月20日

ゲーム「ディアブロ3」感想

 しゃちくのぼくわ、へいじつのゆうがたにディアブロスリーおたのしむフリーメンたちがログインできずにのたうちまわっているとゆうニュースおきいて、むねがスーッとらくになった。しゃちくこそがかちぐみなのだ。

 なんだろう、この、ディアブロ3をプレイしているという事実がもたらす未来感。21世紀を迎えたときでさえ、こんなに未来を感じることはなかったのに。いっそ団塊の世代の、大阪万博くらいの感じだ。

 『砂漠はからっぽ……でも、それはわたしも同じ』

 「近いわ!」「なぜわかる?」「カンよ!(てへぺろ)」 エンチャントレスきゃわわ! エレクトレスの小生も思わずエレクト! 小鳥猊下であるッ!

 これからときどき忘備録として、ディアブロ3への雑感をこのツッタイーa.k.a.言葉のスクラップ工場へ投棄していきたい! イヤなら見るな! イヤなら見るな! アンフォロー・ミー!

 パブリックで手早くクリアして、トレハン作業に移行しようと思っていたが、開始一時間ほどで考えを改めた。少なくともマルチプレイの早い展開で、ストーリーや膨大なテキストを追いきれるほどの英語力は持っていない。この手のゲームで勤め人がどれだけ余暇や睡眠時間を削ろうとも、先頭を走ることが不可能なのは痛いほどわかっている。なので、難易度ノーマルは世界観を味わうことを中心に、まずはソロでゆっくり進めようと決めた。

 オリジナルスタッフがいないせいだろう、ディアブロシリーズの固有名詞をちりばめた、ファンジンを思わせるストーリー展開に最初は辟易したが、ACT2の中盤当たりからグッと面白くなってきた。加えて、数多く用意されたNPCとの掛け合いがすごく楽しい。楽しいだけではなく、ときどき考えさせられる内容もある。スカイリムも悪くないが、擬似にせよ、2D見下ろし型のRPGは世代的にひどくしっくりくる。一人称視点はリアルさの追求には最適だけれど、意識の拡張がない。例えば一流のスポーツ選手に訪れるような、世界を完全に把握する俯瞰の瞬間がない。古臭いの一言で一蹴されようと、私は哲学的鳥瞰、超越体験を与えてくれる2D見下ろし型が好きだ。

 ともあれ現在、クリア前の私がこのゲームに関して最も強く言えることは、エンチャントレスきゃわわ! 外人の声優の演技に“萌え”を感じるのは、じつに新鮮なエクスペリエンス、デース!

 『お前の言う、空虚について聞かせてくれるか』

 『わたしの心には失われた部分があるわ。けど、どこか頭の片隅には残っていて……ただ、手が届かないだけ』

 『私は空の器たろうと、肉体と精神を無にしようと努めてきた……だが、お前の言う空虚は私のそれとは違うようだな』

 小鳥猊下がACT4に到達。「すげえ! ゴッドサイダーみてえ!」

 ディアブロ3雑感。「ガビーン! 7つの悪魔が1つになって、すっかり倒しやすくなっとるー!」

 ディアブロ3雑感。「人間化したティラエルを黒人として描いたのは、マイノリティ優遇が逆差別をもたらす米国の歪みの現れ。なーんちゃって。てへ」

 小鳥猊下がナイトメア進行中。「なにこのインフレ! ドラゴンボールみてえ!」

 小鳥猊下のモンクが地獄で立往生。「装備が整うまで高難易度における前衛職は、言わばニガリをうたない豆腐、高温下でのバター……!! 最初のキャラで後衛職を選択するのは、このシリーズの鉄則……っ……!! 失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗」

 (アニメプリントシャツ、階段に腰かけて)おっぱい、白髪、ロシア訛りのコンボにだまされた……(片手でコーラのプルトップを引こうとするが、30時間のマウス操作に震える指ではままならない)くそっ、なぜ俺はあんな無駄な時間を……(涙ぐむ)

 小鳥猊下のWIZが弱体化。「近接から遠隔への劇的な転向っ……!! だがそれを嘲笑うかのような突然のナーフっ……弱体化……っ……!! 人気ビルドの後追い……ネットゲーにおける典型的な負け犬の思考……マイライフ・アズ・アドッグっ……はまっている……っ……首まで……!!」

 小鳥猊下のモンクがAH依存を深めながらゾンビアタックで地獄を粛々と進行中。「格闘ゲームと同じで、性能の不遇さはキャラへの愛を深めるきっかけにもなる。ディアブロ3でのモンクを例えるなら、そう、スクリューパイルドライバーを欠いたザンギエフ……(目標をセンターに入れる表情でクリック)」

 @nobody 始めるなら、日々バランスの変動する、混沌状態のいましかありませんよ! それに、ディアブロ2ほど長続きしない予感もするし……(目をそらす)

 ヘルの中ばんをすぎたあたりから、リカはなんだか不あんになった。でも、そのしょう体がなんなのか、わからない。クライアントをおとすと、これまでふう印していた公しきフォーラムをおそるおそるのぞいてみた。そこにははたして、リカがことばにできなかった不あんがびっしりと言ご化されていた。あわててブラウザをとじてベッドへかけこみ、ふとんをあたままでかぶる。小さいころから、なにかげん実に対しょできないときのならい性だった。パイソンはあれからずっとかえってこない。心のささえのディアブロ3は、ながくもたないかもしれない。リカの不あんは、高まるばかりだった。「こわいよお」

 「(昭和風ヤンキーがモニターにリーゼントを押しつけて)メンテきってんじゃねえぞ、おー?」

 「(入道雲パーマ、憐憫の眼差しで)いまや蒸留酒以外の酒を所望するときでさえ、アイ・ハブ・ノー・スピリッツと叫ぶほどの依存ぶり……中毒への耐性が低すぎるわ……」

 「メンテきってんじゃねぞ、おー?」

 小鳥猊下のモンクが弱体化。「無敵結界によるチキンアタックでなんとかヘルACT4までこぎつけたところで、まさかのナーフ……っ……!! このモンク、まさにダブルウリアッ上を失ったザンギュラ状態……!!」

 小鳥猊下がインフェルノ突入。「ヘルディアブロを仁王立ちに撲殺したモンクがゾンビのひと撫でで蒸発……っ……!! カンストまでの50時間がチュートリアルに過ぎないという、このシリーズにだけ許された理不尽っ!! あらゆる社会性を生贄にしなければ、ただ追随することすら困難……っ!!」

 インフェルノのツボ、あったかいナリ……

 だれだッ! 昨日から2~3時間おきにweb拍手ボタンを押しているのはッ! nWoはソーシャルゲームじゃないぞッ! 応援か催促のつもりなら、メッセージをくれッ! そんなやり方じゃ、さみしさがつのるばかりだッ!

 小鳥猊下のウィザードがナイトメア突入。「モンク? なにそれ? そんなの、ぼくのディアブロ3には入ってないよ?」

 モンク、レベル56。ディアブロ3でのトレハンに限界を感じ、悩みに悩み抜いた結果、小鳥猊下がたどり着いた結果は、壺割りであった。自分自身を十年間楽しませてくれたディアブロ2への限りなく大きな恩。自分なりに少しでも返そうと思い立ったのが、一日一万個、感謝の壺割り!!

 インフェルノに突入し、バグを利用し、アクト4入りし、壺を割る。一連の壺割りをこなすのに当初は5~6分。一万個を割り終えるまでに初日は3時間以上を費やした。割り終えれば倒れる様に眠る。起きてまた割るを繰り返す日々。

 1週間が過ぎた頃、異変に気付く。3時間が経過しても、1万個割り終えていない。レベル60を越えて、完全に羽化する。感謝の壺割り一万個、退屈のあまり1時間と続かない!!

 え、これも修正されるの? アナタのこと、嫌いになりたくない。本当に愛しているから、わたし、しばらくアナタの元を離れることにする。一ヶ月前はこんなこと、考えもしなかった。ただ、悲しい。

 質問:Diablo3 のゲーム通貨を販売しております。激安!

 回答:うむ? 変わった感想だな。冗談はさておき、すまない、そのゲームとは少し距離をおいているところだ。

 薄馬鹿下郎ッ! 小鳥猊下であるッ! リアルマネーオークションの導入に心ゆさぶられ、ソーシャルゲームを小馬鹿にしてきた小生はいま、深刻なアイデンティティ・クライシスをむかえているッ!

 人生を時給計算する小生にとって……たかだか上限250ドルだろ? そのアイテムを手に入れるための膨大なトレハン時間を考えてみろよ? しかも超級アイテムは最高難度の攻略を「楽にする」んじゃなくて「必須」なんだぜ?

 必要な先行投資だろ? いい大人が自分で稼いだカネを何に使おうが誰に文句を言われる筋合いはないよな……?(薄馬鹿下郎の表情で人差し指をさまよわせる)

 小鳥猊下のウィザードがインフェルノを進行中。「1.0.3パッチでブッチャーランが安定し、トレハンの収支がプラスに転じる。そうすると、あれだけ不満を感じていたゲーム性にさえ好意的な視点が混じり始める。我ながら現金なものだと思う。ぬるいリーマンプレイヤーにはこのくらいでちょうどいい」

 『きがつけば ウォリアーズ・レストで 8じかん(げゐか)』

 不快なヤツ、モールテンさッ! 現実からひきこもり、ネットでもひきこもり、昨今はゲームでさえひきこもるところの小鳥猊下であるッ! いよいよディアブロのネームバリューのみでむらがっていたブラッディー弱兵どもが地獄の業火に淘汰され、いい感じになってきたッ! 誕生日とクリスマスくらいにしかプレイするゲームが更新されない小学生の感じ、それゆえクソゲーをつかまされてもなんとかして楽しんでやろうという感じであるッ! うんこMODのエリートたちから一方的に惨殺されてもくじけず、MOLTENを下痢便と呼び、ARCANE ENCHANTEDをイライラ棒と呼ぶ、爬虫類の肌の如く濡れたこのユーモア! クソゲーを笑いで相対化し、無理矢理に半年は遊び続けた当時が懐かしく思い出されるッ! しかしこれは、決してノスタルジーではないッ! いまを生きる俺たちの、ひりひりするようなリアルなのだッ!

 『きがつけば うんこワンドに 2ミリオン(げゐか)』

 リーマンプレイの小生にも、ようやく先行者たちが言及していた境地がやってきた。プレイ時間に対する報酬ーー物心ともだーーの描く曲線が限りなくフラットに近づいてきたのである。丸一日プレイしても、装備の更新すらままならない。レベルはとうにカンストしている。わずかずつでも増えるのはゴールドだが、オークションの足しにすらならない端金だ。数百時間に一度あるかないかの「大当たり」を待ち続ける廃プレイをするには、この人生はあまりに社畜すぎるーーおっ、この骨、レジェアミュ落としよったで! さっそく鑑定や、良可変こいよ……き、きよった! きよったで! こら、落札価格50Mはかたいで! ディアブロ3、とんだ脱法ギャンブルやがな! た、たまらん……っ……!!(よだれを垂らしながら社長椅子の上で失禁する)

 なに、パチンコ? アカンアカン、あんなん違法ギャンブルやんけ! パチンコやる人間は全員クズや! ディアブロ3最高や!

 質問:ディアブロおもしろそうですね!!やってみようかな。。。

 回答:このクソたわけが! おもしろいのはディアブロ3ではなく、ディアブロ3に向けた俺様のまなざしであることがまだわからんのか! ネットゲーマーにとってのディアブロ3とは、例えるなら日本人にとってのガンダムやエヴァであり、アメリカ人にとってのスタートレックやスターウォーズなのだ! そのタイトルの元に何が出てこようとも、すべての不備と不満は愛と諧謔で補填することが前提の、崇拝する以外の選択肢はあらかじめ排除された、宗教にも似た一大ブランドなのだ! 現存するあらゆるゲームに飽いてから始めて手を出すことを許されるゲーム、宇多田ヒカル風にいうなら「どんなトレハンでもやってみて損をしたって少しも経験値あがらない」ゲーム、枯山水の前で感得した宇宙に自然と涙が流れる境地に至ってのち意味を成すゲーム、それがディアブロ3であると心得よ! 思いつきを脊髄反射で口にするような弱兵が、なまなかに手を出していいゲームではないのだ! ええい、腹が立つ! 貴様のせいで今日はロクなレアが出んわ!

 小鳥猊下がインフェルノACT2を粛々と進行中。「オープンスペースなら、とびきり無茶なMODでない限り、どのエリートにも対処できることが判明した。あと、同じ場所をぐるぐると、ちびくろさんぼみたく周回しながらエリートを倒す戦術に既視感があるなーと思ってたら、FF11だった」

 「それと、きょう久しぶりに音声ありでプレイしたら、ウィズ子ちゃんが私の最も嫌うタイプの異性の『英語を才覚と勘違いした内省皆無のクソビッチ』であり、テンプラーが私の最も嫌うタイプの同性の『己の正義を微塵も疑わぬ宗教狂いの殺人淫蕩者』であることがわかった」

 「チクショウ、ブリザードめ! どこまでボクを苦しめれば気がすむんだ!」

 小鳥猊下が蛮族でのプレイを開始。「就寝前に高効率で骨を倒す作業に疲労困憊し、休日にかこつけて新キャラを作成。レベル60までのゲームデザインは非常に秀逸なことを再確認」

 「レベルがひとつ上がるごとにできることが増え、ドロップからの装備更新にワクワクし、見知ったスキル名のアレンジに膝を打つ。元凶はインフェルノとオークションハウスなのだと改めて実感した次第。あと、コミュニティマネージャー」

 (顔のパーツが中央に寄った赤い全身タイツの金髪くせ毛、タラコ唇で)ヒュー、おいおい冗談だろ! Arcane Enchanted Vortex Waller Frozen Moltenのお出ましだぜ! なに、LoHのたっぷり乗ったフレンジーを使えだって? (青タンでウインクして)あいにく俺の生まれた町じゃ、12年前からワールウインドを主力にしたビルド以外が禁じられているものでね!(赤い全身タイツ、バレエのピケターンを思わせる動きで相手に近づくも、瞬時にボコボコにされる)

 小鳥猊下の躍動するダブルトルネード蛮族。「やっすい装備でものっそ強い……おまけにディアブロ2のような爽快感まで……これまでWIZを強化するために売り払ってきた蛮族装備をぜんぶ返して欲しい……(15ドル払ったうんこワンドを握りしめながら)」

 新エキスパンションが出たんで、またぞろディアブロ3やってる。時間あるとき、フールーでギャラクティカ流しながら延々とリフト回してるだけで、パラゴンレベルもまだようやく三桁になったぐらいだけど。

 でもこのゲーム、どう育てても最終的には同じパラメータになるし、スキルはいつでも取り替え自由なので育成要素がほぼ無いから、強いアイテムを持ってるかどうかだけがキャラの差異になるのね。だからやってて、もうこれパチンコじゃんって感じになってきた。無印が換金できるパチンコだったとするなら、リーパー・オブ・ソウルズは換金できないパチスロ。

 クルセイダーとかいうパラディンもどきが入ってきたり、ウィッチドクターがネクロマンサーみたく調整されたり、なんか全体的にディアブロ2に寄せてってて、じゃあ意地はらずに最初からそうしとけよっていう。ラダーも導入されるらしいんだけど、育成要素ないからシーズン毎にパラゴンレベルだけリセットとかするんだろうなって考えたら、どんどんプレイする意欲が失せてきた。じゃあもうこのグラフィックエンジンでディアブロ2をそっくりリメイクしてよって思う。そしたら、もう他のゲームぜんぶいらなくなって、それだけで死ぬまで遊んでられる気がする。

 ゲーム「ディアブロ2」感想(完全版)
 ゲーム「Diablo II Resurrected」感想

再録「nWo名作ツイート劇場vol.3(2010.10)」

 あー、テステス。マイクテス。

 貴様ら、初老の男性が誇らしげに「定年を迎えるまで一日も欠かしませんでした」と宣言するが如く日々俺を舐めておるのか! 「ねえ、今月ピンチなんだけど、おカネ貸してくんない?」「えーっ、またなのぉ」「絶対返すからさあ」「もーっ、ほんとにこれが最後だよ?」と甘い声で俺に言わせんばかりか!

 何より腹立たしいのは、軽音楽を主題とした部活動アニメに関する先日のツイートの件である! あれだけ俺を時流へおもねらせておきながら、貴様らは相変わらず苛められるクラスメートを取り囲む薄ら笑いの青春群像か!

 それとも、あまりに俺のツイーティングがハイレベル過ぎたため、お前たちの薄まった精を主題とした知能では理解できなかったというのか! よし、貴様らに解説してやろう! いや、解説させて下さい!

 「わかったぞ……!! HTTとは、Humanity Terminated by Totalism……つまり、報道しない自由を振りかざすマスコミによる全体主義的報道管制に圧殺された、我々の人間性のことを表していたんだよ!」「な、なんだってーー!!」

 見よ、この凄みを! 凡百のネット耽溺者ならば、HTTからまず即座にHTTPを連想し、Pの部分を”Penis(陰茎)”か”Pedophilia(小児性愛)”か”Peropero(ぺろぺろ)”へ改変した段階で満足し、すべてやりきった感をだらしなく発散しながらツイートしたことだろう!

 おお、つまりは「放課後ティータイムぺろぺろ」といった無様さにゃん!

 それにひきかえ、俺のツイーティングは欠陥言語でありながら数だけは一人前にそろった英語とやらの母語話者にも配慮してあるし、かつ、HTTの正体に対する”Profiling(プロファイリング)”の裏へ”Pedophiling(ペドファイリング)”という揶揄を含ませておるのだ!

 なんという読解能力にチャレンジなさっているフォロワーどもであることか! それもこれも、俺のツイート偏差値が高すぎるのが災いしておるのだ! こうなったら、ツイート偏差値を下げるしか他に方法はあるまい!

 (軽く開いた両手を腰へ、膝を合わせて内股に構えて)呼ォォォォ……ッ!!(両端を絞った大小の楕円が、男のシルエットを覆うように光線で描き出される。縦の線が楕円を等分に割ると、銅鑼の音とともに鞭毛状の線が外縁を取り囲む)

 (段ボールを鼻に装着した外人が額から一条の汗を垂らして)41、40、39……下ガッテユク! ゲイカのツイート偏差値ガスゴイイキオイデ下ガッテユクネ!

 (入道雲状パーマの女性、腕をもみしぼって)35、34、33……もうやめて、それ以上やったら、猊下に戻れなくなってしまう! ああッ、あなたは愛しすぎる……どうして、(すすり泣きつつ)どうして低い方に合わせる必要があるの……!!

 (男、先ほどのマークと同じ左目をして)この世はリツイートズラ! リツイートされんツイートにゃ、何も価値もねえズラ!

 (無音)

 「ぐわーっ! スラックスの股間がまるで生き物みたいに!」

 「ペニペニーっ! 怪人ペニス男さまの股間のもりあがりはだれにも見切れんペニ!」

 「くそ、もりあがりの出どころはわかっているのに、かわせないなんて」

 「フフフ、1日100回股間をもりあげることができるオナニストならだれでもできる芸当ペニ」

 「うう、わたしの負けです。降参のしるしにこのジーンズをどうぞ」

 「殊勝な心がけペニ。うむ、なかなかの履き心地ペニ」

 「ひっかかったな! おまえの負けだ、怪人ペニス男!」

 「なにを言っているペニか、かえりうちにして……ううっ、デニム生地のスリムジーンズでは股間がテントを張れんペニ! これをねらっていたペニか!」

 「くらえ、必殺・ポロリ落とし!」

 「うわーっ、きれいに出たペニーっ! かんぜんに負けたペニーっ!」

 おわり(制作・著作 NWO)

再録「nWo名作ツイート劇場vol.2(2010.10)」

 あー、テステス。マイクテス。

 nWoがインタラクティブ性を最重要視していることは、ファンの諸君全員が承知と思う。一見、散発的なやり方で複数の方向性を投げかけ、反応のあった部分を濃くしてゆく仕組みだ。

 だが、労をねぎらってもらうまでもない。誰も読まない長めの更新をノーペイで三度も行い、いま四度目の準備をしておるほど強靭な精神力と忘却力を有する俺様であるから、ツイッターぐらいの作業は朝飯前、英語で言えばwith one handなのだ。

 (鼻段ボールの男がひどい寝癖のまま、カメラの前に現れて)エー、タダイマ、タイヘン不適切ナ発言ガアリマシタコトヲ視聴者ノミナサマニオワビ申シアゲマス。申シ訳アリマセンデシタ(深々と頭を下げる)。

 事実、このツイーティングも右手をずっぽりと鼻腔、左手をべったりと陰茎で行っているくらいの気軽さである。

 (入道雲パーマの女性、戸田奈津子の字幕調で)どうやってキーボードを?

 (鼻段ボールの男、ソファに前かがみで座り、両手に顎を乗せて)コレハマダ仮説ノ段階ニスギマセンガ、アノゲイカトイウ男、オノレノ意志デツイート偏差値ヲ自在ニ変化サセルコトガデキルノデハ?

 (無音)*なお、このツイートのみをリツイートして文脈を改変することは、法律により固く禁じられています。

 「シナ! シナ! シナシナ!」

 「なんだ、このさわやかな季節を台無しにするような卑猥な歌は!

 「シナ、シナ、シナ、シナ、シナびマラ~!」

 「おまえは、怪人シナ男!  ここでなにをやっているんだ!」

 「シナーっ! 我が国固有の領土で何をしようがこっちの勝手シナ! おまえこそ、何をしているシナ! 即時の立ち退きを要求するシナ!」

 「くそ、シナ男め! やさしくしてれば、つけあがりやがって!」

 「私が発見した古地図にもそう書いてあるシナ! これ以上居座れば、賠償を求めるシナ!」

 「何が古地図だ 、イトーヨーカドーのチラシじゃないか! 世迷い言もたいがいにしろ! ここは我が国固有の領土だ! 立ち退くのはお前のほうだ!」

 「うう、ひどいシナ……これ以上、我が友邦にディアスポラの苦しみを味あわせ続けるわけにはいかんシナ……」

 「よく見ればコイツ、シナ男じゃない、怪人シナゴーグ男だ!  しまった、争点はパレスチナ問題だったのか!」

 「ひどいでゴーグ、民族離散の苦しみ、ここまで悪しざまにののしられるとは思わなかったでゴーグ……」

 「くっ、まぎらわしい語尾を使いやがって! まずい、このままでは外交問題に発展してしまう! ここはこの一手しかない! どうもすいませんでした!」

 「むう、五体投地シナ? いや、ちがうシナ。これはかの有名なドゲザ・ディプロマシー……まさか、この目で見れるとはシナ」

 「踏んで下さい! あなたの気がすむまで、ボクのあたまを踏みつけにして下さい!」

 「これが一国のあるじの姿とは、信じられんシナ。では、お言葉に甘えるとするシナ。むぎゅっとシナ」

 「ふはは、かかったな! この額に付着したビンディ状のイボは、圧をかけられると下半身のバネを駆動させる仕組みになっているのだ!」

 「し、しまったシナ! 罠だシナ!」

 「くらえ、必殺・土下座スプリング!」

 「シナーっ! 陰茎がバネのように下半身を跳ねあげ、私の下アゴを打ちぬいたシナーっ! 骨はコナゴナで大出血シナーっ! 完全に私の負けシナーっ!」

 おわり(制作・著作 NWO)

再録「nWo名作ツイート劇場vol.1(2010.9)」

 (胸元の位置にギターを抱えたバーコード状の頭髪で股引姿の中年が、重力を無視して宙空へエビぞりに静止しながら)ロックンロール! 小鳥猊下であれかしッ!

 流暢な英語が無意識に口をつく洋行帰りの性病持ちの俺様であるが、久しぶりに日本に帰ってきていちばん驚いたことといえば、町中の看板に大きく“ディック”と書かれており、その下を女学生たちが歩行していたことです。

 諸君の七曲がりディックのように話がそれかけたが、最近の貴様らはぶッたるんでんじゃねえのか。当初、俺様が利用した公衆トイレの便器さえネットオークションで落札しかねないほどの勢いでリタリンし、ベルファボーレしていた貴様らの、下腹部と心のたるみのことを言っておるのだ。

 ただ感情にまかせて貴様らを怒鳴りつけたいが、それでは貴様らのご父兄が幼少期の貴様らに行ったあの仕打ちと何ら変わらぬ。ここでは、愚者へ賢者の知恵を賢者の理解と同じ深度で伝えるために有効だと民俗学的にも立証されているところの、たとえ話をすることで貴様らの育て直しとしよう。

 (吹き替えボイスで)ウォウ、ついに憧れの外タレが来日した! このご時世に、鍋敷き程度の用途しかない彼のコンパクト・ディスクをすべてそろえているくらいの、大、大、大ファンだ! しかも、本邦独占のライブを一週間ブッ続けで行うという! しかも、入場は無料だって? イーヤッハァ!

 (憔悴した吹き替えボイスで)……最初の興奮は、まだ身体の芯に残っている。しかし、ライブ開始よりすでに72時間が経過した。それなのに、この外タレは眠るどころか、舞台袖にひっこむどころか、ギターをステージへ置く気配すら見せない。

 観客の中には倒れる者も出てきた。舞台の上ではいま、一日目と同じ曲が若干のアレンジを加えただけで演奏されている。声援を送ろうにもとうに喉は潰れ、踏み鳴らしすぎた足は疼痛をうったえ、振り上げた腕はいまや鉛のように重い。

 夜を徹して一週間のライブだなんて、聞いてなかった。いくらなんでも、こいつは気がふれている。それに、三日目にして早くも初日と同じ曲がローテーションしてきている。確かに彼のことは好きだが、ここから先はもう生で見なくても大丈夫じゃないか。

 そうさ、こんなにたくさんの観客がいるんだ、ひとりくらい応援のこぶしを下ろしたところで、誰も気づきはしないし、何も変わりはしない。

 そう考えると、君は振り上げた拳を、そっと下ろした。

 はい今死んだ! 今小鳥猊下死んだ! ステージいっぱいに臓物ぶちまけて小鳥猊下死んだよ!

 いま貴様らの胸にあるそれは、実はジャニス・ジョプリンを殺したのと同じそれであるし、さらに言えばマイケル・ジャクソンを殺したのと同じそれだ。

 いまの貴様らに必要なのは、リトリートではない、リツイートである。ライブはまだ、始まったばかりなのだから。

 (アンプのボリュームを最大に上げながら)貴様ら、この231ツイート目”ポイゾナス・ペアレンツ・ドント・ビー・ファックト・バイ・マイ・ディック”を喰らうがよいわ!(ギターをかき鳴らした瞬間、アンプより発生した爆音のソニックブームにより、外タレ、吹き飛ばされる)

 (観客席上空で歌いながら)『オフィスの営業時間にしかー、誰もツイートしていないー(コーラス:リツイートされたけりゃー、昼間にツイートしろー)、暇にあかせてついツイーティングー、アカデミズムの連中にゃ騙されるなー(コーラス:研究名目の夏休みー、経済不況で俺たちゃドカチンー)』