ヘブバン、未練の毎日ログインのためだけにスマホへ保持しておくにはあまりに大容量になってきたため、泣く泣くPC版へと移行する。しかしながら、大きな画面に映して良いスピーカーで鳴らすと、見えなかった筆づかいが見え、聞こえなかった音が聞こえるようになり、手間ひまかけて作りこまれたゲームであることを、あらためて認識できました。なのに本編シナリオは……というところへまた愚痴がいきそうなので、最新イベントをイッキ見した話をすることにします。いやー、ヘブバンのギャグパートは肌があうっていうか、やっぱりメチャクチャ好きだなー。執拗な繰り返しでのギャグは、フルボイスならではのスタンダップ・コメディであり、テキストだけで同じことをしたら、きっと連打で読みとばされてしまうことでしょう。その繰り返しの部分も微妙に演技が違う感じで、「否、否、えろ」にはこらえきれず、大爆笑してしまいました。
お決まりのシリアスな締めも、いつものようなベショベショではなく、今回はカラッとしていて好印象です。見ていて、なぜかマスターキートンの爆弾処理の話を思い出しましたね、有名な「穏やかな死」のほうではなく、バルセロナ五輪で新聞社に爆弾がしかけられる回。「まったく動揺を見せない完全無欠と思われていた人物が、内心では動揺してビビりまくっていた」というプロットが共通していたからでしょうか。ついでに、それこそ20年ぶりくらいにその回を読み返してみたんですけど、ひどく心にしみましたねー。「自分がいちばん上手くできるのはわかっているが、大きな恐怖ーーが大げさなら、億劫さーーを伴う仕事」って、事の大小こそあれ、勤め人ならだれでも持っているんじゃないでしょうか。恐怖や億劫さに負けてそれをだれかに丸投げしたら、失敗した上に時間だけが空費された状態で手元に戻ってきてしまう。この類の仕事を、泣き言はおくびにも出さず、「これはオレの役割だ」とつぶやいて、周囲に気づかれないうちに処理してのけるのが、私にとっての大人のイメージなのかもしれません。
銀英伝で例えるなら、フィッシャー中将みたいな人。うん? 銀英伝は好きですけど、そんなキャラいましたっけ、だって? (微笑んで)そう、それ、そういうのがいいんです。けれど、いまやこういった仕事のバトンは、社会や組織の中で受けわたされることなく、消えていっていると感じます。ハラスメントという名付けで単色に塗りつぶされてしまったグラデーションの辺縁に、そのテイクオーバー・ゾーンはあったような気がしてなりません。