猫を起こさないように
映画「シンエヴァ」特報2.5感想
映画「シンエヴァ」特報2.5感想

映画「シンエヴァ」特報2.5感想

 特報2.5見る。いや、目に入ってしまう。ハーッ(深いため息)、あのさあ、最後のふりがな付きテロップ、あれなんなん? ほうほう、小学生の新規層を獲得するため? ハハハハ、そっかー、なるほどなー、気づかなかったわー……(突如激昂し、掌で机を一撃する)まともな親がこんな異常で不健全な作品を子どもに見せるわけねえだろ! ユアストーリーのほうがまだ心の傷が浅くて済むわ!

 さんざんQの文句言ってきて、これだけは触れるまいとずっと我慢してボカしてきたけど、もう本当にアッタマきたから言わせてもらう! 聞きたくないヤツは耳ふさいどけ! オマエさあ、震災で未来が絶たれた絶望をリアルに表現するために、二人の間に子どもができなかったことをエヴァQの演出に織りこんだだろ? それだけはよ、人としてやっちゃいけなかったんじゃねえか? 眼窩から血の涙を流す妻の顔を無言で眺めるゲンドウとか、血と肉に爆散する肥えた妊婦体型のリリスとか、リリスから出てきた使徒(イコール胎児)の首をはねたりとかさあ! テメエにとって大切なだれかの尊厳を踏みにじってまで、たいそうな「ご気分」とやらをフィルムに「定着」させる大義なんて存在するはずがあるかよ!

 オイ、結婚してから数年間子どもを授からなかった女性が正月にダンナの実家へ帰省した際、箸袋の「××子」という名前から「子」だけ消されていたみたいな嫁イジメの話を思い出しちまったじゃねーか、けったくそわりい! Qをはじめて見たとき、このイジメの話をはじめて聞いたときと同じくらいゾッとして、もっとも秘すべき夫婦のできごとさえ満天下へ無邪気に(そう、表情だけは深刻に、無邪気に)晒し上げられるなんて、クリエイターのヨメにだけはなるまいと固く誓ったわ!

 あのさあ、アンタ、シン・エヴァをよ、家族と被災者を生贄に捧げてまで完成させた、あの倫理無視・道徳遺棄の大失敗作、エヴァQの続きとして作ることにもう決めたんだろ? そんなら、小学生に向けたひらがな付きテロップなんて一切いらねえし、腹を据えて覚悟を決めろよ! 自らの恥部をさらけだし、家族の恥部をさらけだし、震災から9年が経過したいまの「気分」に正面から向き合えよ! 旧エヴァみたいな、そういう人肉の量り売りみたいな、アングラ単館上映フィルムの作り方をするって、決めたんだろうがよ! それが、子ども向けの冒険活劇漫画映画だァ? いまさらクソみてーな逃げ口上をうって、日和ってんじゃねえよ! 本当に商売抜きでいまを生きる子どもたちの困難さに向きあいたいなら、そのためだけの完全新作を立ち上げればいいじゃねーか!

 そういや、旧劇場版の最後に見たくもねえラブ・アンド・ポップのCMをブチこんできやがったことをいまさら思い出したぜ! 何がシン・ウルトラマンだよ! すでに腰が引けてんじゃねーかよ! またエヴァをプロダクトとして完結させることから逃げるのかよ! いい加減そろそろ大人になって、世間を知りニャさいッ! 今回の冒頭10分公開以降、お得意の広告手法でSNSの反応をリサーチしたら、もうエヴァの現状がどんなもんか、よーくわかったろうがよ! かつて旗振りの急先鋒だった高学歴の知識人や著名人は軒並み沈黙(笑)を守り、出てくる意見は冷めた批判や無関心ばかりで、期待感を示している少数はパチンコから合流した(コード・トリプルセブン!)低学歴・低所得のヤンキーばかり! Qのせいで序破からの客は全員いなくなって、もうどこにも新規なんて増えてねーんだよ! 閑散とした会場には旧エヴァが好きだったから、この作品の最期を看取ろうという層しかもはや残ってねーんだよ! 昔みたいには声もでないヨボヨボのロックスターの、ジジイの腰振りを見にきてるジジイばかりなんだよ! その点で言やあ、シンカイさんのほうがまだ誠実に作品に向き合ってるじゃねえかよ! アンタが適当にしゃべらせた破のシンジ君の「セカイがどうなったっていい」発言に対して、映画丸々一本つかってアンサーしてきたじゃねえかよ! しかもすでに百億かせいで、エヴァ・リブートよりはるかに売れてんだよ!

 なに、天気の子の終盤で雷が落ちたトラックの挙動がおかしくないですか、どんな物理法則で前輪が浮いたんですか、あと落雷から爆発までしばらく間があるのもよくわからないです、だと? バカモノ! あれはシンカイさんが旧エヴァ劇場版でネルフ職員の「南の、ハブステーションです」という台詞の直後に、トラックの正面から砲弾が二発撃ち込まれ、時間差で爆発したシーンのカッコよさにウレションし、オマージュし、トレースしたからに決まっておろうが! シンカイ・ワールドの物理法則はエヴァンゲリオン・ワールドに準拠し、さらにエヴァンゲリオン・ワールドの物理法則は、トクサツ・ワールドの物理法則に従う! つまりシンカイ・ワールドの背景美術がハイパー・リアルなのにところどころ物理法則がおかしいのは、エヴァ好きが昂じすぎて結果として、トクサツ・ワールドから動きを孫引きしてしまっているからだ! ピアノの一音ごとに背景が切り替わる演出は旧エヴァ劇場版の実写パートから引っ張ってきていたり、女子のパイオツのサイズに関したビロウ(尾籠)・トークと思春期ポエム以外は、シンカイ・サンにとって映画はぜんぶエヴァンゲリオンなんだよ!

 怒りすぎて何を言っているか自分でもわからなくなってきたが、シン・エヴァではもうこれ以上、矛盾した情報を小出しに撒いて、視聴者を混乱させることでバズらせる(バズってない)宣伝手法を使うのをやめてくれ! 何があっても来年6月までは生き延びて、必ず初日に見に行くから、品よくおとなしくしていてくれ! シン・ゴジラのときに興行はバクチと言っていたが、エヴァの大看板に対して小手先の広報は必要ないどころか、むしろ邪魔になってると言わせてくれ!

 頼む、どんなキッタネー最期を迎えても、必ず看取るって約束するから!

追悼「シン・エヴァンゲリオン劇場版:呪」