猫を起こさないように
ゴジラ・キング・オブ・モンスターズ
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ゴジラ・キング・オブ・モンスターズ


映画作りの下手な怪獣オジサンによる、このジャンルがなぜ衰退してしまったかを余すところなく説明するB級、いや、C級作品。三十年前でさえ古臭いガイア理論(キミら、ホンマ好っきゃな~)をテーマに、家族と地球の命運が並走するアメリカ版セカイ系の支離滅裂なシナリオで、みんな大好きケン・ワタナベを筆頭とした出演料が安いことがキャスティングの理由であろう錚々たる大根役者たちが繰り広げる壮大な学芸会。映画全体の三分の二、下手すると四分の三が神妙な顔のクソ演技(特に主役の白人男性がひどい)をドアップで見せられるものだから、開始1時間でもう劇場を出ようと腰を浮かせかけたくらいだ。本作がシン・レッド・ライン以来の不名誉な二作目とならなかったのは、前の席の兄ちゃんがほんの数秒差で席を立って出ていったのへ鼻白んだからに過ぎない。特にひどいのは登場人物の感情の流れが、ほんの数分のシーン内でさえ一貫性と連続性を保てていないところだ。これを言うとまたドぎついストーカーを招きそうでイヤだが、カイジュウやロコモーションを偏愛するようなある種の人々は、他人のエモーションの感知について致命的な問題を抱えているのではないかとの疑いを強くした次第である。あと、熟練のテロリスト集団から安々と最重要機器を盗み出したばかりか南米の山奥っぽい基地からボストンの野球場へ瞬間移動までする謎ビルドのジャリとか、ドローンの電子機器をクラッシュさせるほど強い放射能の中でボッ立ちできるほどビルドの極まったアジア人男性とか、ツッコミだすときりがない。それと気に食わないのが、小賢しげな中国出資枠のこの女優……え、チャン・ツィイー? これチャン・ツィイーなの? マジで? クルーエリティ・オブ・タイム(初恋の来た道をザリガニ・ムーブメントで後退していきながら)!