猫を起こさないように
日: <span>2020年12月8日</span>
日: 2020年12月8日

ゲーム「FGO第2部第5.5章」感想

 FGO2部第5.5章クリア。都合、8時間くらいかかった計算。ネタバレなしの感想? 「些か」「言の葉」への「想い」が強すぎますな。

 ゆかい。ハア? 小鳥猊下であるッ! ンンンン、以下はバリバリのネタバレですので、未クリア者はミュート推奨ですぞ!

 2部第5.5章、エフジーオーの本編としては「些か」食い足りないが、坂田金時を主人公とした少年漫画と考えれば、まあまあの仕上がり。しかしながら、書き手がファンガスでないときの避けられない瑕疵として、「世界の謎については表面をなぞるばかりで、真実へはどうにも肉薄できない」という点があり、アルターエゴ・リンボという大悪党を数年越しに倒す話なのに、イマイチ盛り上がりには欠けました。どんなに良い書き手であっても、ことエフジーオー世界においては最善の書き手であるファンガスが常に比較対象としてあるため、ハナっから勝てない試合をさせられるのはかわいそうだとは思います。なので指摘するのは酷なんですけど、今回の書き手はストーリーラインが細くなると無意識にか語彙を厚塗りするというクセがあり、それゆえ登場キャラクター全員が一個の自意識から延長された人格だとわかってしまうのです。完全に単独の作品ならば見過ごされるだろうことを、最善との比較から指摘されてしまうのは恐ろしいと思いました。個人的なことを言わせてもらえば、1部第4章のキャラクターたちがすごく嫌いなので、第七節くらいまでは読み進めるのがしんどかったです。バベッジとかパラケルススとか、どうひっくり返しても魅力的になりようがないキャラへテキストを割くぐらいなら、清少納言をもっとお話にからめて欲しかったなー、と思いました。もっとも、彼女はファンガスの持ちキャラなので、年末に向けて監修の時間が取れなかったことが、申し訳程度の出番(平安京なので出さないわけにはいかない)で終わってしまったことの理由ではないでしょうか。

 あと終盤で、「人類愛がないと人類悪になれない」とか言い出したのには「うわー、やっちまったなー、ファンガス怒るぞー」って思いました。この前後もそうですけど、今回の書き手は語彙が重たいわりに、ストーリーテリングが単純で直線的なんですよね(逆にファンガスは平易な語彙で重層的に物語る)。不安になったのか、最後の最後でカルデアの面々に「でもリンボの言うことだから、真実である可能性は薄いよね」とか言わせて予防線を張っていたのには笑いました。リンボってミステリアスでインパクトのある隠れた人気キャラだと思うんですけど、異星の神との関係もほとんど明らかにされず、なんだか雑に処理されちゃって残念だなーって感じです。それと終幕はいつもファンガスの監修がガッツリ入って、強烈なクリフハンガーで終わるのが常なのに、今回は「あっちのオレ、どうだった?」「ゴールデンでしたよ!」みたいなシャバい終わり方で、「ああ、年末のサプライズに向けてファンガスが忙しくて、修正の手が回ってないんだな」と思いました。

 ここのところ、来るイベント来るイベント、ぜんぶに文句つけてる気がしますけど、何度も言いますが私にとって、書き手がだれであるかが最も重要なのです。つまり、スターウォーズはジョージ・ルーカスに関わってほしいし、エヴァは庵野秀明に監督してほしいし、グイン・サーガは栗本薫が書いたとこまでしか認めないし、ペリー・ローダンは読む気にならないし、FGOはファンガスにすべてのテキストを書いてほしい、単純にそれだけのことで他意はありません。