猫を起こさないように
月: <span>2020年6月</span>
月: 2020年6月

映画「ジョジョ・ラビット」感想

 ナチスとヒトラーをあつかった先行作品はすでに山ほど存在しており、それぞれがデリケートな題材に対して何か特別な視点や切り口を与えようと苦慮していた。ひるがえって本作はと言えば新しいアイデアは皆無であり、この題材に改めて挑戦した意義を感じることはできなかった。昔からの監督のファンだったりとか、スター・ウォーズ周辺の噂が気になる向きでなければ、ナチス政権下の市井を知るためにわざわざこの作品を選ぶ必要はないだろう。スーパーマリオのような天地人の横から構図、オブリビオンのごときバストアップを交互に切り返す会話、そして鮮やかな(ときにドぎつい)色づかい、この3つがかろうじて監督の持ち味と呼べるもので、脚本にいたっては映画業界を目指す少し意識の高い学生が書きそうな中身で小賢しさにあふれており、同テーマの作品群に比べてもひどく薄味である。オープニングがビートルズ・ナンバーで、私などのオールド・ファンはゲット・バックとか同バンドの楽曲を展開にからめるのではないかと一瞬だけ期待させられたが、ヒトラーへの熱狂をビートルズへのそれと重ねあわせて、サラリと大衆批判を行うための小道具に終わっていた。これは一例に過ぎず、指摘しだすとキリがないが、全編にわたって底の浅い意図によるしゃらくさい演出に満ちあふれているのである。監督自身が演じているイマジナリー・フレンドのアドルフもあとからとってつけた感が強くストーリーから浮いていて、狂言回しにすらなっていない。あと、アベンジャーズ女優から脱却したいスカーレット・ヨハンソンの、演技派をねらったわざとらしい演技もひどく鼻につく。暖炉の炭を顔に塗って出征中の父親のふりをする場面なんて、痛々しくて画面を正視できなかったほどだ。ただ、ふだんまったく映画を見ないようなライト層や、アメリとか好きな頭の弱い女子がベタ褒めしそうな雰囲気だけは漂っていると思いました(もちろん、アメリは傑作ですよ)。しかしながら、この作品に本当に必要だったのはそんなファッション感ではなく、ファッショ感だったのではないでしょうか……ドヤッ!

 え、タイカ・ワイティティ、スター・ウォーズ新シリーズの監督に決まったの? すいません、ライアン・ジョンソンのときと同じく、私にはもうすでに惨劇の未来しか見えません。そして、デ銭の好む監督像も明らかになってきたように思います。絵作りは個性的だけど作家性は薄く、いくらでも後から味付けを変更させてくれる人物です。脚本にクチバシをつっこんでも絵作りに触らなければ文句いわなそうな本作の監督がまさにそれ。どんなにヘタクソでもイビツでも、他者によるわずかの改変をも絶対的に拒絶するのが作家性で、ハゲの御大とかカントク(Cunt-Q)とか、目の前で自分の作品を「正しく」修正なんかされようものなら、即座に全力で殺しにいくという確信があります。ジョージ・ルーカスもまさにそれ。

ゲーム「FF11の思い出」その6

ゲーム「FF11の思い出」その1
ゲーム「FF11の思い出」その2
ゲーム「FF11の思い出」その3
ゲーム「FF11の思い出」その4
ゲーム「FF11の思い出」その5

 みんなイヤがってるみたいだから、FF11の話、手短にするね。復帰から一ヶ月半が過ぎて、ログインしてドメイン行ったら即ログアウトみたいな、プレイオンラインの表示時間のほうがむしろ長いような日々になってて、これ5年前と同じで、いよいよ引退へのカウントダウンが始まってんの。んで、もう心残りの無いようにしようって、やったことのないバストゥーク出身のガルカでたぶん最後の、「最初から」プレイを始めたのね。バストゥークのストーリーって他の二国と違って、「産業革命後における労働者階級の形成および被差別部落の誕生」みたいなファンタジーとはほど遠い内容で、特にガルカでプレイしてると鬱々としてくんの。そういえば直近のアップデートで、業者対策のためにエミネンスとかのポイント交換へ週あたりの上限が設けられたのね。どんな騒ぎになってるか興味半分でネ・ジツをのぞいたら、複アカの業者がエスカ・ジ・タからいなくなった話してて、「あいつら、本当にガルカ好きだよな(笑)」とかいつもみたくウエメセ(上から目線の略称)でバカにしてんのよ。わたしそれ見て、すっごく悲しくなったわけ。じっさい、ギル販売業者と思われるキャラのガルカ率はとてもとても高い(FF11語)んだけど、なぜかっていうとゲーム内のガルカはヴァナ・ディールにおける被差別民だからなの。いまRMT(リアル・マネー・トレードの略称)のサイトを検索してみたら、1億ギルが8〜9千円ぐらいで販売されてんだけど、複アカを駆使して最大限効率を高めたところで、本邦に住んでるだれかにとってはコンビニバイト以下にしかならなくて、時給で考えてもとうてい割にあう金額になってないわけ。つまりこれが意味するのは、ギル販売は円でもドルでもない通貨の国の住人が、先進国のバックドアからカネをかすめとるためにやってるんだろうなってことなの。貧しい彼らにとってガルカは虐げられる側の象徴で、RMTという行為自体に先進諸国に対する一種の反逆や、義賊的行為としてのメッセージが込められているように思えるのね。そうやって18年が経過して、ガルカという存在はいまやゲーム内の設定を越えて、現実世界の南北問題(経済の搾取構造)とさえリンクしていると考えると、バランスの悪い体躯に短すぎる爬虫類の尻尾とか、歩幅が大きいからタルタルとくらべるとスローモーションにしか見えない移動の様子とか、かつては欠点にしか思えなかったものが、とてもとても味わい深く感じられてきて、自分のキャラの広い背中を眺めているだけで、なんだか涙が出てきちゃった。流行り言葉にのっかれば、ガルカ・ライブズ・マターって感じ? 涙が出たといえば、最近のFF11のオトモはベター・コール・ソウル(ブレイキング・バッドのスピンオフ作品)なんだけど、弁護士で白人の主人公が自分の味方だと思っていた実の兄から「サモア大みたいな三流私立のオンライン教育で取った弁護士資格なんか認められると思うのか。おまえは俺と対等じゃない」みたいな罵りーーしかも兄はその思いをずっと弟に隠してて、問いつめたら感情とともに思わず、といった感じで吐き出された本心なのーーを受ける場面があって、「ヒュムなのに、同じヒュムどうしなのに!」って、ヴァナ・ディールと感情が混線して、号泣しちゃった。天は人の上に人を作らないけど、人が人の下に人を作ろうとする。

 『(ガルカ詩人の歌声で)たかいたかいヤシのき、おおきなおおきなヤシのみ、サモアのしま、たのしいしまよ』

ゲーム「FF11の思い出」その7
ゲーム「FF11の思い出」雑文集
雑文「私とカラドボルグ(FF11とはずがたり)」

ゲーム「FF11の思い出」その5

ゲーム「FF11の思い出」その1
ゲーム「FF11の思い出」その2
ゲーム「FF11の思い出」その3
ゲーム「FF11の思い出」その4

 よーうの、とぅばーさをー、きぃさくたぁーめぇーにー、ぎーんの、つうーぎをー、ふううのだー(シャンデュシニュのエフェクト)。あーさにー、なーれーばー、きえーうわーたーしー。ラ、ラ、ラ・テーヌ、ラ・テーヌのほしー。

 この18年で1万人くらいのプレイヤーが思いついて口にしなかっただろうネタを、令和の御代に臆面もなくエス・エヌ・エスへ投下するこの蛮勇! てか、オメーの滑舌、チャチャルンみてーだな(どき)! かつて廃人にあこがれた、いちプレイヤーであるッ!

 FF11って、いまだに一ヶ月に一回バージョンアップがあんの。でもメジャーな更新はもうしないよって2016年に宣言されててサイゼリヤの間違い探しぐらいしか変わらないんだけど、一ヶ月ですっかり底をついたアンバスのポインヨ報酬品が補充されるのよ。過激化したデモ隊の襲撃ですべての棚がカラになった食料品店に、食材を満載したトラックが横付けしてくるイメージで、暴徒たちはまだ店内に残ってエモノをベロでなめまわしてんの。元から悪いミスラと善から悪に染まったタルタル(出典:Wizardry)でかかれーっつって、トラックの運転席から降りかかってる首無し騎士と四足獣にモヤモヤした鉄パイプと貧相な棒でなぐりかかんだけど、なんか機関銃みたいな明らかに過剰防衛の反撃で6000くらいダメージくらってミンチにされて、デーン・デ・デーンとか死の音楽が流れんの。ダメージを受けると立ち上がっちまうんだナア、いつだってスタンド・アンド・ファイトとか言いながら、ちぎれかけた長いベロで何度も何度もデュラハン(ジャック兄さん)とウマ(渋川先生)にいどみかかんだけど、いっこ勝てないわけ。んで、先月までのオーク(末堂)は賭場の胴元が上客をコロす前にわざと大勝させて逃げられなくするためのワナだってわかったの。かーっ、すっかりだまされたわー、今月2キャラとも課金しちまったわー、アンバスでポインヨかせげないならもうやることぜんぜんねーわー、カネはもったいないけどいよいよ引退かー?なんて花の慶次の主馬様みたいなアザ(ウマに蹴られたので)をつけたミスラとタルタルのふたりで四畳半にねそべって親指で互いの鼻の穴おっぴろげてたら、ネ・ジツ方面の湿ったゲジゲジどもが、マリグナス装備は最強に強まっていてソロでも取れるしディ・モールト・ベネ(JOJO語)とかささやきあっているのが耳に入っちゃうわけ。しょーがねーなー、べつにあんたに言われたからじゃないんだからねっ!とかツンデレごっこしながら、北サンドリアにヘブン状態のビジュアルでワープして、当該のバトルフィールドに入るためのファントムクォーツを交換しようとしたら、どうしてかリストにないわけ。おっかしーなー、初期不良のオススメつかまされたかー?とか言いながらポプテピピックみたいに四角社を心の中で爆破していたら、なんかアルタナミッションをクリアしていないことに気づくわけ。なのにストーリーはなんとなく覚えてて、なんでかなー、ゲーム動画見る趣味はねーしなーっつって四畳半をぐるぐる半時計回りにまわって過去へと遡行してたら、それが75時代のヒゲナイトの記憶だって気づいたの。かーっ、転生前のヒュムの記憶を思い出したミスラってかー、ぼく地球(ぼくたま)みたいでオレかっけーなーとか言いながら2周目無双(主にレベルが理由)のアルタナミッションが始まるんだけど、過去の地形をデザイン(現存在)したヤツは最大限ひかえめに言ってもブッ殺してやりたいDEATH(英語)。現代の地形を熟知していればいるほど迷うようになっていて、まるで北斗神拳継承者は北斗七星の動きをなぞるのではないかってゆう、まったく根拠の感じられない仮説に基づいて石柱を立てたらめっちゃぶつかってくれてラッキーみたいな感じ(この例え何度目だ)で、あちこちおつかいしなけりゃならないもんだから、もう終始イッライラさせられんの。マウントありでもこのムカつきなんだから敵にからまれまくりながら徒歩で移動するしかなかった75時代に、ただプレイヤーの足止めだけに特化したこの仕様にゴーを出すジャッジ感覚はキチガイじみてて逆にすげーわ。これがアドゥリンまで行くと、ケイザックなんか風来のシレンを3Dにしたみたいで冒険感もクソもなくなって、怒りもわかない乾いた笑いしか出なくなってくるんだけど。でもハーフエルフーーおっと御時世的に政治的に正しく言いなおすでござるーーダブルエルフ(ノット・ピース)設定のリリゼットが表情から仕草から言動からめちゃくちゃかわいくて、いつのまにか我々の旅は推しウーマンーーおっと政治的に正しく言いなおすのでござった御時世的にーー推し月経のある人間ことリリゼットたんの追っかけとなって過去ヴァナを巡るストーカー・チック(症状)な全国ツアーと化したのであった。三国クエストとミッションと地形(地形)が複雑にからみあって(特に地形)て、ぜんッぜんストーリーは進まないんだけどネ☆(ウインクしながらピースサインを目の横に当てるポーズ)。

 話かわるけど、いまのオススメってニ・チャンそっくりになってて、二十年近くいすわってる牢名主みたいのがゴロゴロしてて、既得権益のカタマリみたいになってんの。半年ロムってろならぬ半年ソロってろが当たり前の世界で、ふつうゲームなんて1、2週間ほど遊んだり遊ばなかったりでクリアできるようなもんだけど、18年物のオススメはその発酵ぶりから質量が莫大になってて、アオりではなく言葉通り半年毎日ログインして遊ばないとわかってこないことも多いわけ。オススメって究極のところ装備集めゲーなんだけど、牢名主どもは自分の装備を賛美する新規は欲しいけど、自分を脅かす強さは手に入れさせたくないのね。きゃつらはまずアビセアのレベルキャップ解放でなんかピンクの寝巻きみたいのに過去装備群を半壊させられ、次にアドゥリンのアイ・エル装備で過去装備群を全壊させられてんの。そのファースト・インパクト(大質量隕石による恐竜の絶滅)とセカンド・インパクト(大質量隕石をよそおった使徒による人類の半壊)を生き残ったきゃつらは深海魚のような猜疑心のカタマリで、いつだってまた膨大な時間の投入によって築き上げた己の地位が失われないかビクビクしてんのよ。だから無償で新人を助けることをひどく嫌っているわけ。きゃつらの名言のひとつに「せっかく新人を助けても、半年もたたずにいなくなる」ってのがあんだけど、不死の者と定命の者がすれちがう感じがすごくよくあらわれてるファンタジックで味わい深い言葉よね。エルフにとっての100年は人間のスケールで言えば半年にも満たない時間である、みたいな。ゲームには定年による引退はないから、たぶんサ終(サービス終了の略称)まで既得権益に我利我利でしがみつき続ける感じで、それが新規参入を嫌う典型的な先細りの業界と同じ構造になってんのよ。業界の衰退が権益の消滅とイコールだとわかってても、近視眼的な月経の無い人間(男女とも)にはその気づきを行動に移すことは難しいのね。最近いちばんショックだったのはイーストちゃんがおれもあと30年ぐらいで死ぬから世界を変えることは正直どうでもよくなってきたみたいな発言をしてたことなんだけど、その感じはどれだけ否定したところで自分にも出てきてて、オススメをプレイしていてときどきたまらなくイヤになるのは、そういった寿命に由来する逃げきりの諦念みたいなのをかいま見る瞬間なのね。でもまだアカウントを停止せずにいるのは、そしてだれが読むでもないテキストをこうやって書き残しているのは、今回ここを離れたら次にヴァナ・ディールへ気持ちが向いたとき、もう戻る場所はないんだろうなっていう確信めいた予感があるからなの。翌年にはダムの底へ沈むことが決まっている村の盛夏を、最後にそぞろ歩く年老いた住人のうちのひとりが、たぶんわたしなんだと思う。

ゲーム「FF11の思い出」その6
ゲーム「FF11の思い出」その7
ゲーム「FF11の思い出」雑文集
雑文「私とカラドボルグ(FF11とはずがたり)」

ゲーム「FF11の思い出」その4

ゲーム「FF11の思い出」その1
ゲーム「FF11の思い出」その2
ゲーム「FF11の思い出」その3

 複・アカ(垢)作って、廃人スワンプ(沼)につま先だけちょいとつけた話の続きするね! ファースト・ジョブのレベル99まではキラキラした目で世界中を巡りながら、ヴァナ・ディールの星唄と複数のミッションを並行して進めてストーリーや世界観もタンノウして、すごい楽しかったのね。結局、旧エリアだけでカンストまで上げきった形なんだけど、いまのオススメってそっから先は武器・防具に設定されたレベルの平均がキャラの強さになる仕組みなのね。経験値カンストしてからたまってたポインヨでエミネンス装備とかゆうのを交換したら、ステータス全般がガガッと底上げされてとつぜん2倍ほど強くなんの、死にかけた戦闘民族がマメ食ったみたいに。んで、モーグリみたいにくるくるまわりながら、あざとかわつよい装備をうっとりとながめてたら、メインキャラのミスラが悪い顔して背後に立ってて、おまえもそろそろ経験しとかなアカン、なあに、枕に顔うずめてたらすぐに終わるさかいになっつって、アンバスとかゆうイケナイ遊びに誘ってくるわけ。そんでミスラが長いベロ出しながらオークどもをなます切りしてるかたわらで枕に顔をうめてブルブルふるえてたら、何もしてないのに半日ほどでネバネバしたポインヨがタップリとたまってんの。言われるままに交換した景品を薄暗い窓口に持ってったら、いつのまにか準最終装備がひとそろいカバンに入ってて、何の脈絡もなくまた2倍ほど強くなんの。いっこめのアカウントはエミネンス装備からアホみたいに時間かけてジリジリと装備を更新してくんだけど、にこめのアカウントではその膨大な労力をあっちゅーまにショートカットできるってわけ。もちろんマグロみたいに寝ころがってるだけなので、戦闘や魔法や床上手のスキルはいっさい身についてないから、低偏差値のガッコウから推薦でワセダ入ったセイガクみたいな状態なんだけど、事情を知らない周囲からは違いなんかわかんないわけ。2キャラいれば単純に報酬とかポインヨを1回につき倍もらえるし、世に複・アカ業者のタネはつきまじって気持ちにさせられたわ。んで、そのアンバス三店方式(ポイント入手、チケット取得、アイテム交換)でゲットした準最終装備をさらに更新していこうとすると、72時間キングベヒんもスにはりつくより毎日すこしだけーーすこしだけど必ず毎日ーーログインするのが最適解になんの。リアルの時間と社会性を生贄に捧げれば捧げるほど強くなれたあの頃の、侮蔑と嫉妬と尊敬の入り混じった廃人たちへの玄妙きわまる感情はもう遠い過去の話になってて、いまはあんな破天荒のキチガイどもじゃなくて、真面目なサラリーマン・タイプの冒険者たちが淡々と先頭集団を走ってんの。ゲームなのにエクセルとかでいろいろキチンと管理して、リアルでも間違いなく仕事できるのが伝わってくる連中なわけよ。パーティでの動きが悪くても昔みたいに名指しで面罵されたあげくネットにさらされることもなくなって、たがいに裏テルぐらいはしてるかもしれないけど、ただ次からはブラックリストで回覧されて参加を断られるようになるだけ。ほんと、現実のサラリーマン社会とソックリで胸くそ悪くなってきたんで話もどすけど、ログインしてポインヨもらって庭いじりして、ゴブ箱は45日しばり(業者のせい)で開けられず、メインキャラの引率でドメインいってアンバスいってオーメンいけない……みたいにルーチンで順にこなしてくと30分~1時間ぐらいでヒマになんのよね。なんじゃこりゃー、複アカにしてもやることぜんぜん変わっとらんやないかーい、いよいよもう引退なのかー?なんて西日さす四畳半でタルタルとふたり寝そべりながらオッ立てた中指で鼻ほじってたら、窓(windows)から薄暗いエスカ・ジ・タの空がのぞいているのが目に入ったわけ。説明しとくと、最終ミッションで導入されたエリアで、ぶっちゃけここだけでレベル99まで上げられちゃうお手軽でチョベリグ(超・ベリー・グッドの略称)なスポットなの。もうやることねーし、世界観をゆったり楽しむより効率最優先のセカセカしたゲジゲジどものジメジメのすみかで、タルタルのデコスケ野郎の別ジョブ上げて、ケアルタンクなデジョン肉奴隷にでも調教すっか!よーし、お父さん一度も恩恵を受けたことのない(ぼっちなので)パワーレベリングしちゃうぞー!なーんてはりきりながら、二人は一路クフィム島へと向かったのだった。目からハイライトの消えたタルタルのセクハラ野郎が顔面をケツにつっこむ勢いで密着尾行(/follow)してくる中で、時空のワレメちゃんにグリグリ太いのをねじこんだら、そこがもうエスカ・ジ・タなわけ。陰気な音楽の流れ続ける灰色の世界なんだけど、あらゆるレベル帯の敵がせまいエリアに三密(身密、口密、意密)状態になっててリポップもはやくて、レベル上げには最適なのね。5年ほど前、見ようみまねでサブダックションの範囲狩りにトライして、ドラゴンは倒せたけどヘンな鳥みたいのが倒せなくて床ペロ(死を卑小化するファミコン世代の妄語)して以来の来訪で、1,800日前の反省をふまえてあらかじめやり方を調べたら、なにサブダックションなんか使ってんだよ、テネブラルクラッシュ一択だろうがよ、このミスラのソロリティ野郎とかぬかすので、あまりワタクシを怒らせないほうがよろしいですわよって巻き毛ですごんだら黙った。んで、(たしかこうだったな……)とか転生前の勇者時代の最強ワザの出し方をさぐるみたいに手順をふんでくわけ。ぜんぶ黒目になった低レベルのチビスケを離れた場所に立たせて、魔法攻撃用の装備にクネクネ・チカチカ着替えて、金剛身とオカルテーションかけて、軽くジョグしながら敵にからまれて大リンクつくって、あるていど集まったら夢想花で眠らせて、最後にテネブラルクラッシュ……(だったか?)。そしたら、レトロなエヘクトとともに数十匹の敵へ10,000を優に超えるダメージがそれぞれ通って、瞬時にビャーッとログが流れてレベルアップのファンファーレが多重に聞こえるぐらいタルタルのパラサイト野郎のレベルが一気に上がったの。窓(windows)の外から両手を前に交差するミスラの詠唱フォロースルーをながめながらアタマに浮かんだのは「あれ、またオレなんかやっちゃいました?」ではなく、グラップラー刃牙でジャックハンマーのドーピングを手伝った博士が見開きでアタマを拳銃でうちぬいて自殺する場面の「ジャック……君は強くなりすぎた」ってセリフ。でもなんで死んだのか感情の動きがよくわかんないよね、あれ。んで、ミスラがもの憂げにタバコ吸いながら「比丘たちよ、意思が業である、と私は説く」とか言ってログアウトしていって、残されたタルタルが敵にからまれてプリケツさらす(死を戯画化する漫画的ビジュアルを強調した表現)の。そしたらレベルダウンの文字が画面に表示されて、アイスボーンの約束の地のレベルダウンに感じた既視感の正体はこれだったのかー、などと思わぬ疑問が氷解したのが全国の女子高生のみなさんに送る今週のビックリ・ドッキリ・クライマックス。

ゲーム「FF11の思い出」その5
ゲーム「FF11の思い出」その6
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雑文「私とカラドボルグ(FF11とはずがたり)」