猫を起こさないように
日: <span>2019年11月26日</span>
日: 2019年11月26日

ゲーム「ファイナルファンタジー14」感想、あるいは麻雀について

 土間式麻雀(土を突き固めて作った玄関口において、蚕や牛のかたわらで行う麻雀の意)! 小鳥猊下であるッ!

 何やら無料で四人対戦ができるとのことで、東風荘の閉鎖からこちら遠ざかっていたネット麻雀を再開してみた。何を隠そう、私は麻雀が弱い。雀歴は20年以上、阿佐田哲也や片山まさゆきや押川雲太朗の著作をすべて読破し、戦術などへの理解は深いはずだ。しかし、とにかく弱い。今日も今日とて「久しぶりに麻雀ってヤツをやってみるか」などとワニ蔵の顔でつぶやき、対局相手全員の手牌を読みながら、捨て牌の手出し・ツモ切りをすべて把握しつつ、真剣に打った。するとどうだろう、4連続ラスを引き、うち2回はトビ終了だった。内容はと言えば、12局連続ノー和了、数少ないアガリはすべて低目、勝負牌はことごとくドラを抱えた相手のペンチャン・カンチャン待ちにつかまる。

 麻雀というのは本当に怖い遊びで、ドラ集めと絵合わせでなく、真剣に取り組めば取り組むほど、その人物の現在のカンや運などのパラメータをじつに正確に反映するようにできている。私が株やギャンブルの類を一切やらないのも、麻雀を通じて必ずトータルで負けることを知っているからである。

 しかし、読書をしながらの片手間とか、酒を飲みながらの絵合わせとかになると、かなり勝ててしまうのである。私が物事に当たるとき、少し力を抜いて正面から組みにかからない理由も、ここにあると言えよう。

ゲーム「FGOイベント『閻魔亭繁盛記』」感想

 エフージオ、ジョンストン掘りの裏側で金リンゴをかじりまくりながら、閻魔亭クリア。いったんファンガスの胞子を浴びれば使い回しの汎用モーションで、ストーリー的にもイマイチ印象の薄かったフィン・マックールでさえ、ホラ見ちがえた。惜しむらくは、あっさりとチュチュンを引けてしまったので、この良イベントに対して十分だと考える課金ができなかったことであろう。

 人類の歴史がなぜ継続しているのかと問われれば、いまこの瞬間にも世界のどこかで名も無き人々が、すんでのところで人間の破滅を防ぎ続けているからである。そして破滅へと至らなかった事象は、だれの記憶にも残らず、どこにも記録されることはない。ちょうど小さな善意が、大きな悪意に先んじて日々のニュースを飾らないようにだ。本イベントにおける新所長の言動は、世界の破滅に対する我々の、無意識の善なるふるまいを代表していると言えるだろう。ファンガスがこの感じ方を共有しているのかは、わからない。ただ、共有しているように思えるというのが、私にとって非常に重要だ。

 僕の優雅な年末におし入って来た、この奇妙な慈愛のようすがそれからどうなったかというと、実はまだ続いているのです。

 「よい大人のnWo」なるサイトを年始の暇にあかせて読み返しているが、どれもこれも才気にあふれており、ひどくおもしろい。にもかかわらず、この人物はもう書いていないのだという。だれも彼に声をかけず、何よりだれも彼にカネを払わなかったことが原因である。私がエフ・ジー・オーにできるだけ課金しようと思うのは、そのうちのいくらがファンガスの懐に入るのかは知らないが、彼に書き続ける意志を失ってほしくないからである。痴人への愛という更新の登場人物が、次のように述懐している。

  「私ね、舞台に上がる前は奇跡が起きるような気がするの。もし、この舞台をうまくやり終えたら、みんなが私に拍手をして、そうして次の日からは誰からも愛されるように、誰からも必要とされる私になれるんじゃないかって思うの」

 とてもよくわかる感覚だ。そして、この気分をいつも裏切られ続けてきたことで彼女は摩耗してしまったのだろうな、と思う。昨年末に行った更新とその後の無視および無反応で、久しく忘れていたこの感覚を思い出した。だれかの目に少しでも留まるよう、最新の更新から気に入りのフレーズを紹介する。

 『そうだ、ウガニク。いまのインターネットはすべて偽物の、まがい物だ。テキストが魔法として機能した神代のインターネットは1999年まで、それ以降はただの言葉の下水道じゃないか。』

 『きみの汚い言葉は最高にきれいだった。ぼくの下劣な言葉は最高に美しかった。ぼくたちのテキストサイトには、確かなキュレーションがあった、審美眼があった。』

 『それがどうだ。回線は馬鹿みたいに速く安くなったけれど、いまや恐ろしい分量の美しい言葉ばかりが下品に乱雑に、かつて美術館であり博物館であった場所の床へ足の踏み場もないほどに、ただ放置されている。』

 『さあ、ウガニク。君のあとから来たまがい物どもを、ぜんぶ、ぜんぶ殺しつくしてくれ。』

 新年の抱負は、「バズる」「炎上する」。小鳥猊下でした。