「トマホゥゥゥクブゥゥウメラン」
「あっ。小鳥猊下が肩口にぼんぼりのようなものをつけた、ぴったりと張りつきそのボディラインを陰毛と乳首まであきらかにする真っ白な王子様の服を上半身に装着し、過去に一度真ん中で折れてしまってから誤った角度のまま完治してしまったためL字型をしているブツをいくぶん腰を引き気味にゆらゆらとゆっくり左右にゆらしながら御出座なされたぞ」
「ああ、なんてエロチックなダンディズムなのかしら。私の局部がしっとりと湿気を帯びはじめたわ」
「婦女は目を伏せなさい」
「……宮にまで遡ることができるわけなんですね。え? 何? マイク入ってなかった? じゃあ今までの全部流れてないの。ふぅん。責任者殺しちゃって。うん、そう。殺すの。二度言わせないでよ。温厚なぼくでも怒るよ。あ、待って。楽に殺しちゃ駄目よ。生まれてきたことを千回も万回も後悔するような殺しかたでやってよね。この講演会場に地縛するくらいにさ。ビデオも忘れずまわしといてよね。講演終わったらメシ喰いながら見るから。うん。お願い。
「……というわけでこのHPなんですけれど、ええっと、何話したっけか。こういうのってライブ感覚が大事なんだよね。スピーチ原稿なんて用意してないしさ。ああ~ぁ、さっきまでいい調子だったのになんだかムカつくなぁ。ねえ、さっきのヤツ家族いるの? あ、そう。じゃ、その写真をぶらさげながら殺しちゃってよ。マイホームの前で家族全員で飼い犬といっしょに写ってるようなのがいいな。うん、そう。とびきりよく写った幸せそうなのをさ、ちゃんと見えるように目の前に吊すの。けけっ。二度言わせないでよ。温厚なぼくでもいい加減怒るよ。ほんとに。
「……よくみなさんからお受けする質問に『日記じゃない』というのがありますが、それは認識が正しくありませんね。ふつうみなさんがやるような日記というのはほとんど日々の身辺雑記のような、事実の羅列なわけなんですけれども、それはみなさまが気を悪くされることを承知で言うなら、次元が低いと言わざるを得ません。人間という生き物は、岸田透さんもおっしゃるように、その無意識層にさまざまの感情なり性格なりのアイデンティティの根本を負っているわけです。我々自身が自覚することのでき、ある程度まで操作の可能な意識層の情報は極論すると、この無意識層に澱のように蓄積された情報にくらべ、より重要度が低いと言うことができます。
「私がHPにやる日記は、言わば、これら無意識層からのマグマの噴出を書き留めているわけですね。そういった意味では夢日記に近いということもできるかも知れません。わかりやすいように1月24日の日記を例にあげてみるならば、私が『ラオウのチンポ』というよりインパクトのある書き方を選ばなかったのは、それは私の無意識にある私の気がつかない何かがそうさせたと言うことなんです。そしてそれは『のチンポ』という表現よりもはるかに重要なんですね。交遊関係であるとか、どこへ行ったとかのくだらない日々の雑記よりも、このようなかたちのほうが私という個人のことを、ある種の人々にとっては更に深いレヴェルで認識できる結果になる、とこう思うわけなんです。
「ようするに、私の生殖器が実際どのようであるかということを克明に描写することが重要なのではなく、そこに表記されている記号が”ちんぽ”なのか”チンポ”なのか”ペニス”なのか”ちんちん”なのか”チンポコ”なのか”ぽこちん”なのか”ブツ”なのか”男性自身”なのか、あるはそれらのどれでもないのか、それを選択した私自身の無意識下の動きがもっとも重要なんですね。まァ、私のほんとうの形状を知りたいというご婦人がこの会場におられるなら、今お見せすることにやぶさかではないですがね(会場爆笑)
「ああ~ぁ、疲れたよ、ほんと。ねえ、死んだ? ちゃんと死んだの? どう、つらそうだった? あっ、だめ。言わないで。推理小説とおんなじでこういうのって先に聞いちゃうとおもしろくなくなるからさぁ。ちゃんとビデオ撮れてるだろうね。いいとこで切れてたりしたら温厚なぼくでも怒るよ。ほんとに。ああ~ぁ、焼き肉喰いてえなぁ、焼き肉。店予約してきてよ。ちゃんとビデオも見れるようにセッティングしといてよね。シャワー浴びたらすぐ行くから。
「……え、何? まだ車来てないの。湯冷めしちゃうじゃない。あと十分待つの。ふぅん。責任者殺しちゃって。うん、そう。殺すの。二度言わせないでよ。温厚なぼくでも怒るよ、いい加減。両手両足を四台のハイヤーに結びつけて別方向へ同時に引っ張らせてよ。けけっ。