「グレーゾーン」「アウトサイダー」「システム」をテーマとして、原作の2つのエピソードを融合させた脚本の良さが際立っている。二人のアウトサイダーがたどった異なる結末を対比することで、「もしかすると、世界は良い方向へ変わっていけるのかもしれない」という希望を、絵空事ではなく信じる気持ちにさせてくれる。
ご存知のように小生は、世代のバトンによる変革というメッセージに極めて弱い。原作を偏愛する身にとってテレビ版は承服しがたいものだったが、この映画版へは手放しの称賛をさせていただきたい。
しかしながら、小川蘇美役の演技は映画の良さを一等減じており、このキャスティングだけはテレビ版に引き続きなお承服しがたい。