猫を起こさないように
光GENJI
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アニメ「パリピ孔明」感想

 パリピ孔明、通して見る。そもそものところ、全然だれもパリピじゃないし、これから触れる人は1話と12話だけ見れば、特に問題は生じないと思います。いつものように何も調べず印象だけで話をすると、まずエイベックスあたりに売りたいシンガーと楽曲があって、販促用にネットで流行りの漫画をテキトーに選んで、キャバクラ会議ーー圧倒的なキャバクラへの信頼感ーーの末にアニメ化したってのが、実情じゃないですかね。個人的に、日本語ラップが存在理由を疑うレベルで大ッキライーーキミら、ちょっと親族と仲間に感謝しすぎじゃない? 特にメッセージがないなら、むりくり歌にせんでええのよ?ーーなので、中盤の印象はもう最悪でした。てかさあ、物語的にコイツを仲間にする必要まったくなかったじゃん。どこの事務所のゴリ押しなのよ?

 さて、パリピ孔明をダシにして本題へ移りますが、私の中でジャパニーズ・ラップと同じカテゴリに、スノーボードとローラースケートとブレイクダンスがありまして、この競技者たちが国営放送に権威ヅラで取り上げられるのを見るときの違和感がすごい。ひどく間違った世界線に迷いこんでしまった感じで、こんな社会ならあまり長く生きていたくはねーなと、わりと真剣に思います。かつて世間には、厳然とした強固な中央値があったのに、いまや大幅に上下方向へとブレてしまっている。先ほど挙げた競技群は上ブレ枠の「陽キャ低偏差値ヤンキー」枠であり、下ブレ枠は「陰キャ高偏差値オタク」枠で、アニメや漫画など、かつてのサブカルがそれに当たります。この上下枠のいずれにも侮蔑の視線を向けていた人々が本邦のマジョリティだったのに、いつのまにか細胞膜が溶解するみたいに混ざりあってしまっているのです。

 圧倒的な下の枠として、さげすみの眼差しを一身に受けていたあの頃が懐かしいです。それが、よもやヤンキーどもと同じ扱いになるなんて……え、あまりに物事を単純化しすぎじゃないですか、ですって? そうなんです、単純にはいかないんですよ! 中でもローラースケートがクセもので、光GENJIならヤンキー枠、ムテキングならオタク枠になるじゃないですか? あと、「ローラースケートすべらせ」た「いじわるばあさん」のカテゴライズも難しくて、青島幸男ならヤンキー枠だし、長谷川町子ならオタク枠でしょう? いやー、じつに難しい! こういうのを複雑系って言うんですかね?(ちがう)