猫を起こさないように
エヴァQ
エヴァQ

映画「シン・ウルトラマン特報」感想

 シン・ウルトラマンの特報が目に入ってしまう。怪獣を「禍威獣」と表記しており、軽薄なまでの節操の無さとアタマの悪さに思わず失笑する。

 太平洋戦争の経験者が語る悲劇ーーより正確には戦争経験者によるフィクション群ーーがうらやましくてうらやましくて、東日本大震災に大喜びで飛びついて「これこそが、オレたちの世代の悲劇……!!」とエヴァQを作ったくせに、今度は未曾有のコロナ禍を迎えて「いやいや、こっちがオレたちの世代の悲劇……!!」と口元を例の形にほころばせながら命名したんでしょうねー。そしたらついに本当の戦争が始まって、「待って待って、オレたちの世代の悲劇もやっぱり戦争で決まり……!!」と、シン・仮面ライダーのどこに反映させるか表情だけは深刻に、ウキウキで考えてるにちがいありません。

 まあ、戦隊モノのパロディで不謹慎きわまる替え歌を作っていた学生時代と同じ心性のままなんでしょうねー(以下、引用)。

「もしも日本が弱ければ
 ロシアはたちまち攻めてくる
 家は焼け、畑はコルホーズ
 君はシベリア送りだろう」

 ホラ、監督の大好きな時代とのシンクロニシティですよ! すいません、表記を間違えました、シン・クロニシティが正解でした! これはもう、次々回作は「シン・サンバルカン」で決まりですね! 言いにくいから、タイトルは「シンバルカン」でどうでしょうか(ヤケクソ)!

アニメ「シン・エヴァンゲリオン劇場版・本予告」感想

質問:シンエヴァの本予告、出ましたね。試写会を見た人の評価もすこぶるいいみたいですし、これは期待できるのでは?

回答:うーん、試写会の感想っていっても、関係者のでしょ? Qのときも公開前に原画マンだったかのひとりが、「我々はとんでもない怪物を作りだしてしまった」とか興奮ぎみにツイートしてたの覚えてんだけど、フタを開けたら中身はあんな感じだったじゃない? 作る側は創造の熱狂で作品への客観性なんか吹きとぶものだし、アニメーターの方々の評価は、全体のバランスというより切片へのフェティシズムーー「今の動きすごいな!」「この構図キマッてるね!」ーーにあふれているので、一般的な評価者としてはまったく信用できません。私とエヴァの関係はさんざん語ってきましたけど、熱烈な恋愛でゴールインしたはずの夫がDVモラハラ野郎だったと判明し、長い苦難の結婚生活の果て、別れ話を切り出したら、もう暴力はふるわない、真人間になって定期的に家へカネも入れる、なんて泣きながら言われて縁を切れず、どこか信用しきれないまま、いつまたなぐられるかビクビクしている幼妻と同じなのです。

 つらつらと本予告を見た感想など述べると、ぶんだー(笑)とピンクタラコとコネメガネがいくら出てきても鬱の底みたいに気持ちは動きませんが、無重力空間でアスカの下半身を執拗に映し続けるのにはEDなのにチンピクでしたし、シンジさんが初号機のコクピットに座っているのには目頭が熱くなりました。第三新東京市を背景にした、旧劇の量産機とのバトルとは大違いの、ヌルヌルと重量感の無いCGぽい殺陣がわざとだとすると、冒頭10分の映像でも画面外から繰演線が見えてるみたいな指摘もあったし、ストーリーにVR的な要素も入ってくるのかしらん。でもね、もし13号機(たぶんカヲル君が乗ってる)がラスボスなのだとしたら、本当にガッカリですよ。エヴァって、理由もわからず我々を滅ぼしにやってくる、ディスコミュニケーションの象徴としての、天使の名を持つ正体不明の使徒に、どう人類が抗うかという巨大なスケールの話だったのに、前も言いましたけど空前絶後の大駄作であるQ以降、浅間山荘の内ゲバの話へと卑小化されちゃってるんですよ。エヴァの魅力をエヴァの創始者が理解していない、あるいは我々が小出しの情報から二十六年もカン違いをしていたのだとしたら、これほど不幸なすれちがいはないでしょう。予告の最後の「さようなら、すべてのエヴァンゲリオン」ていうシンジさんのつぶやきにしても、旧劇の「さよなら、かあさん」に引っかけてんでしょうけど、エヴァンゲリオンって単語が機体を指してんのか、なんかの概念を指してんのか、作品そのものをメタく意味してんのか、まず「ボクの考えたカッコいい台詞」ありきみたいな感じに響いて、物語からは浮いちゃってる気がするなー。

 あと、十年くらい前にルーブル行って、ほぼ貸切の状態で館内を見学して、モナリザの防護ガラスにキチガイがティーカップを投げつけてついた傷も間近で見た私だから言うんですけど、テーマソングの歌詞、なんかダサくないですか? それと、もし本作が並行宇宙の結論に落ちるのだとしたら私がもっとも見たいのは、2011年に震災が起こらず、2014年か2015年に破の続きとして新エヴァが終わる世界線です(もちろんエンディングは、beautiful worldのアカペラ・バージョン)。予感ですけど今回のシンエヴァは、話の緻密さは脇に置いて、若干の謎の整合性は投げうって、スターウォーズ9みたく大団円のための大団円をやる気がします。そして公開が終わったら、エヴァ界隈はシークエル後のスターウォーズみたいな状況になるのではないでしょうか。全体としては冷めてるけど、マンダンロリアンとか「わかってる」スピンオフが局所的に傷を癒やしてくれるみたいな。読んだことないですけど、ANIMAのTVアニメ化とかね。残りの1ヶ月は一縷の希望ーーシンエヴァにまつわるこれまでの映像情報すべてがフェイクで、純然たる破の続編としてのエヴァ急が上映され、騒然となる会場でひとり莞爾として笑うーーにすがりながら、下を向いて過ごしたいと思います(静かにうつむく)。え、冬にたたずむ謎の子どもキャラ、だれなんでしょうねって? (ゆっくり顔を上げて)前にも言いましたけど、トウジと委員長の子どもなんじゃないですかね。ちょっと父親の面影があって、鼻ッぱしらの強そうなとこ、萌えますよね……。

 「(ハンドポケットの銀髪が遠目で)キボウ……これがリリンの言う、希望ですか」

追悼「シン・エヴァンゲリオン劇場版:呪」

雑文「エヴァQ生実況(2014.9.5)」

 すごい早回し。この併映いらなかったよな。

 この巨神兵がセット販売なのも、Qの嫌いなところだ。明らかに現実のとある災害を本作へ紐付けようとしている感じが。

 すべてのエヴァファンをだまくらかした(気難しい、何も褒めないことを信条とする批評家連さえ!)伝説の8分が始まるよーー‼︎

 思えば金ローでこの先行放送を見て、実際に劇場へ向かうまでの20時間くらいが、もっともエヴァ熱が高まり、いちキモオタとして存分に二次創作的な妄想を膨らませるのできた、楽しく幸せな時間だった。

 これまでカントクが関わった作品へのオマージュをふんだんに盛り込んできた新劇である。ラスト二作はバイオレンス・ジャック的な大お祭りのエンターテイメントをやるんじゃないかと想像していた。

 たとえばこの場面に先駆けての、戦略自衛隊が迫る中でのオネアミスばりの弐号機打ち上げシーンが見られるのかもしれないと期待していた。

 そして、地球に帰還したシンジ君の大活躍を、何の疑いもない未来として、まざまざと幻視していた。

 それが、あんなふうに、陰惨に裏切られることになるとは……

 サターンファイブみたいな小ネタにイラッとくる。うるせえ。

 なんか画面暗くない? ジバニャン好きの小学生に配慮しているの?

 旧劇と同じく四人に囲まれて銃を向けられる主人公。戦自と同じデザイン?のコスチューム。いま思ったけど、スターウォーズep3の感じで新劇から旧劇へと巻き戻そうとしたのかな……

 おい、ポッと出の新キャラごときがシンジさんをにらんでんじゃねえよ!

 おい、状況を説明してやれよ! ブッ殺すぞババア!

 寒々しいまでに上滑りしたブンダー起動シークエンス。ここ、地球のどこなの……

 Qの中で、この「緊張するわー」だけはゆるす。

 なんで登場人物の全員が同じ語彙レベルなんだよ……

 ポッと出の新キャラごときがシンジさんに舌打ちしてんじゃねえよ!

 だから、説明してやれよ!

 なんで説明しないのかさっぱりわからない。ねえ、説明したら死ぬの?

 明らかにこの場面、膣内に槍イコール陰茎を突っ込んだ子宮口ないし処女膜の破砕を連想させようとしている。ここまでの新劇には無かった、あからさまなセックスの暗喩である。

 子ども向けのアニメにセックス要素を取り入れるなんていう、90年代全開のアングラ感、カッコイー‼︎ コウノトリを信じる(以下略)!! これがライブ感なんですね、カントク(cunt-Q)⁉︎

 唐突にサラリと明かされる、時空制御さえ可能とするスーパーテクノロジー。

 ほんとここ、地球のどこなの……

 たった十四年でここまで科学が進歩することをもはや信じることはできない。なぜならぼくたちは、自家用車が空を飛ばない2014年をすでに生きているから。

 ギターのウィープが視聴者の慟哭を表しているんですね!

 人類も滅んだみたいだし、もう地球を捨ててどっかいっちゃえよ。いや、もしかすると今後のギャラクティカ路線への伏線なのかもしれない。

 いや、なんで技術屋じゃなくてテストドライバーが事故の責任負わされんのよ。社長もだんまりやし。悪いの君らやないの。

 そんな効果音じゃ、強化ガラスは割れないよ!

 出た、「エヴァの呪縛」! 古い鯖に当たったときのような深刻な蟻走感が全身を包む!

 だから、説明しろよ! クソババアどもが!

 この期に及んで高圧的な命令口調……毒親の典型例……

 勘弁して欲しいのはこっちだよ!

 アウト・オブ・レンジ(ファンの心が)。

 そうこの、ネルフ本部とブンダーしか劇中に存在しない感じ。アングラ演劇を思わせる閉塞感。制作側が意図してその雰囲気を作ったのでは「ない」ことが透けて見えるのが、絶望に拍車をかける。

 ちょっと待って! なんであのドーム状のものを見ただけでエヴァってわかったの?

 旧劇の殺戮会場。

 ピアノの上達スピードが速すぎる! 3秒で雨だれ式から両手を!

 ジェネシスつながり?

 たぶん回収されない伏線。

 「元気少ない」「おなか満腹」。脚本家の自意識が鼻につく。

 言葉だけで解説すんなよ! わけがわからないよ!

 ダッシュがついてた。

 なんでピアノの内部構造を3D化するのに何千万もかけたんですかァーーッ‼︎ 何千万もかけてるのになんでテレビ版ではバッサリ編集しちゃうんですかァーーッ!! 無意味の浪費が本作の裏テーマなんですか、カントク(cunt-Q)ゥーーッ‼︎

 エロゲっぽい写真。旧劇の巨大アヤナミの残骸。

 旧劇の記憶の洪水を連想させるシーン。突然の絶叫を少しズラして、エヴァファンをビックリさせるという、憎らしいセルフパロディ演出。

 ふたりで完成できるようなものなんだ、エヴァって……

 まさか、これを見た誰もが「エヴァなんてどうでもいいんだ」と考えるようになるとは……ライブ感?

 「君になら」「君となら」。日本語最大の特徴であるところの、助詞を上手く処理した名セリフの誕生だァーーッ! と、脚本家が考えていそうなところがすごいムカつく。

 ほんと、ネルフ本部とブンダーしか存在しないのね。

 インフィニティ……もう英語の単語はダサいってことに気づこうよ。

 いや、テレビ版ではそんないうほど連弾しなかったし。

 マークシックス……バックセックスみたいなポーズだな。

 だから暗いよ! もっと光を!

 だから武器をおいて説明しろよ! 28歳なんだろ! おまえが馬鹿なガキだよ!

 旧劇に逆行した血涙という露悪趣味。

 操縦席に飲み物がたくさん散らかっばってるってことは、13号機がフタを開く前からそこにいたんだよね。どこから入ったの?

 いや、どうでもいいんだけど。もうキミ、ほんとどうでもいいキャラになりさがったよね。意味深なセリフのすべてに、なんの意味もないことがわかったからだよ。

 男とか女とか言わないのが新劇だったのに、いまのセリフは旧劇そのものだ。

 エヴァの特撮的対比による巨大感がことごとく失われる状況設定。たぶん、制作側の意図したものでは「ない」ことが絶望に拍車をかける。

 いや、だからなんでその黒いソウメンが使徒だってわかったの……

 新規ファンに旧劇のアレっぷりを体験させるためのQなんですよね? 次回は破の続きなんですよね、カントク(cunt-Q)?

 本作では碇司令の婿養子設定が消滅しているが、これはカントク(cunt-Q)が自分のスタジオを持ったゆえの主体性回復を、お得意のライブ感覚で表現しているのではないか。

 さらに、Q制作の中で多くの離反者を生んだことが、廃墟に立つ孤独な王としての自己イメージを碇ゲンドウに投影させたと思われる。カントク(cunt-Q)ならではの、疾走する山吹色のライブ感だ。

 改訂できるんだ。聖書とコーランもあとから書きかえできるよ!

 冬月先生の電源コード抜き削除とか、やっぱQには余計なシーンが多すぎたね!

 俺たちは中指を立てたい気持ちでいっぱいだ!

 ブラックボックスを抱えたリアルロボットを人の知恵でなんとか制御しながら運用していくもどかしさがエヴァの魅力だったのに、この弐号機は原理不要の絵作りスーパーロボットと化してしまっている。おそらく、ライブ感によるものだろう。

 全身がコア……全身がクリトリスみたいな感じ?

 ほんと、支離滅裂なストーリーを音楽で無理矢理ひとつにつないでる感じ。

 旧劇っぽいセリフ。Qってカントク(cunt-Q)がほとんど脚本書いてるんだろうな。

 あれ、モザイクかけないの?

 また男と女に拘泥したこのセリフ。すごい旧劇っぽい。

 なんや、世間って。人類ほろびたんとちゃうんか。

 テレビ局のお偉いさんたる「ゼーレ」がいなくなった今、物語のすべての帰結はカントク(cunt-Q)の責任ですよ!

 旧劇の記憶がないと「自分のことばっかり」なんて発言は出ませんよね。

 L結界密度……放射能を連想させようとしてるのか……

 NEXT。EVANGELION3.0+1.0。これは破の続きからの急やりなおしで決まりだね!

 最後に不謹慎を承知で、フォロワーの減少を覚悟で言わせていただきます。東日本大震災における本邦最大の喪失のひとつは、エヴァンゲリオンです。あの震災さえなければ、エヴァンゲリオンは今度こそまっとうなエンターテイメントとして終わることができたのに!

追悼「シン・エヴァンゲリオン劇場版:呪」

ドラマ「THE NEXT GENERATION パトレイバー」感想

 故人を冒涜するCMで契約者を増やし続ける動画配信サービスに、パトレイバーの実写版が登録されているの発見する。昨年を通じて、実物大レイバーなどのケレン味あふれる宣伝を目にして気にはなっていたので、さっそく見てみた。ネクストジェネレーションと言いながら前作とまったく同じ造形の人物が配置されていたりとか、アニメの手法をそのまま引き写した演出やセリフ回しとか、楽屋落ちもいいところのシバシゲオとか、たぶん客観的に判断すれば褒められないほうの映像化だと思うんだけど、個人的にはすごい面白かった。

 ひさしぶりのうる星やつらノリというか、パトレイバーを利用して監督が思考や私生活を垂れ流しにしてる感じが楽しい。たぶん企画を通したりカネを動かしたりできる地位にパトレイバーファンがいて、実物大レイバー作ってくんなきゃやらねーとか、配役と脚本に口出ししたら許さねーとか、俺がハマってる空手をちゃんとやんねーと出さねーとか、全編そんな感じでワガママ通しまくってるのが見えて微笑ましい気持になった。

 かつて原案に関わった人たちが全員シャットアウトされているふうで、「いったい彼が何を考えているのかわからない」とかネットでこぼしてるのに、「ぼくが怒ると思ってるのか、だれも何も言ってこない」などと舞台挨拶で放言しているのも素晴らしい。スラムダンクをサッカー漫画と記述したヤオイ関連本がノーチェックで出版されていた晩年の栗本薫を思わせる狼藉ぶりで、外野からは「いいぞ、もっとやれ」とやんやの拍手喝采を送りたい気分である。

 結局、本邦のご多分に漏れず私小説が大好きなので、何が語られているかではなく誰が語ったかが私にとって重要なんだなと改めて考えさせられた。ある種の人々にとっては、近所のオッサンが使ったチリ紙より、アイドルが使ったチリ紙の方に価値があり、彼は私にとってのオッサンアイドルなのです。私のフォロワーたちも、私の発言の中身を吟味しているというよりは、十数年前にテキストサイトで一年ほどハッスルしていた人物の消息が知りたいという気持ちが大きいのだろう。でも、企画を通したりカネを動かしたりできる地位についているキミは、もっと現世利益を誘導してくれてええんやで?

 引き続き、パトレイバー見てる。全編が躁のテンションに満ち満ちていて、本当に好き勝手にやってる感がすごい面白い。しかつめらしく「このままでは特撮が死んでしまう」と語ってみせることより、特撮の棺おけとして博物館を建てることより、新たなファンを流入させる方法として実作ほど有効な手段は無いとひしひし感じる次第である。某Cunt-Qは新劇をさっさと終わらせて、実写でエヴァのネクストジェネレーションを撮った方がよっぽどその目的を達成できるのになあ、と思った。

 突然Qみたく前世紀エヴァンゲリオンと化したり、若い層が何の思い入れもない怪獣映画の監督に名乗りをあげたり、自身が常に批判しているオタク的な性向の袋小路へと入りこんでいくのを見るにつけ、パトレイバーのこの力の抜け方はたいへんに心地よい。同時に、彼を嫌う人がいるのもわかる気がする。うる星やつら、パトレイバー、攻殻機動隊、いちど手をかければ、どんなオリジナルも己の作品として乗っ取ってしまうからだ。いったんやられてしまえば、どれだけ原作サイドがイメージを取り戻そうとしても、二次創作としてしかふるまえなくなってしまう。Cunt-Qが彼と違うところはオリジナルへの愛が強すぎて、原典をはるか越えた後も自らをコピーと自虐してしまうオタク気質だ。マモルさんの自己愛の十分の一があれば、いまごろ新エヴァは無事にハッピーエンドを迎えていたに違いない。

 ええい、チクショウ、書いてて無性に腹が立ってきた! なんでエヴァを放り出してまで、またぞろゴジラなんてつまらない、ハリボテトカゲへの強い執着を表明してやがるんだ! Zガンダムの劇場版に感化されて新エヴァを始動したCunt-Qのことですから、きっと今回もパトレイバーに影響を受けてゴジラをやろうって決めたんですよね! そのへんの尻軽なミーハーさはアマチュア時代からの持ち味だと思いますが、このペースだとすべてやり切る前に寿命が尽きてしまいますよ! それとCunt-Qの奥さん、あなたの新聞連載のゆるキャラにスヌーピーのポテンシャルはありませんし、エヴァほどの思いで続きを待ち望んでるファンなんていませんよ!  ワーキングマンの続きを描くか、さもなければそろそろダンナの世話だけに専心してください! 今のCunt-Qに必要なのは意識の高い食生活(有機野菜のスムージー!)や甘えさせてくれる女性(診断書なしの鬱で無期限有給!)じゃなくて、一発ブン殴ってくれる誰かですよ! いや、むしろマモルさんに殴ってもらえ!

漫画「HUNTER×HUNTER 33」感想

 ハンターハンター連載再開の第一話を読む。こちらが用意したあらゆる予想をことごとく裏切り、かつそれが邪道ではないという凄さに感動を覚える。例えば、エヴァQが予想を斜め下方向に裏切る、視聴側の予想を外すことだけが目的の大邪道だったのに対して、本作の変わらぬ王道感は素晴らしい。レベルの低い創作は、アマチュアの心をざわめかせる。オリジナルと二次創作の違いが薄まり続ける中で、つまりはプロとアマチュアの差が縮まりづつける中で、ゆるぎない本物のプロが存在することに安堵する。ハンターハンターを読むとき、私は決して敵わない何かへ素直に頭を垂れることができる喜びに、いつも深い安らぎを覚えるのだ。

 それにしても不思議な漫画である。週刊少年ジャンプに連載されているにも関わらず、もはや少年漫画ではない。かといって、青年向けの漫画ではさらにない。例えるなら、四角いゴムボタンの初代ファミコンが独自進化を遂げ続けた結果、いつかプレステ4を凌駕してしまったみたいな面白さだ。確かな作家性にそれは担保されており、少しでも似ている作品を現在の市場に見つけ出すことはできない。とりあえず、暗黒大陸編(?)の終了までは生きていたいと素直に思った。

 ギャラクティカの記事を追ううち、エヴァQ制作陣が同作品の記念イベントに出席しているのを発見し、またぞろ次作に対してイヤな予感が高まっている。未登場の旧キャラが残存する人類を集めた統一政府の大統領になっていたり、ネルフのメンバーは機械化やクローン化ですでにサイロンと近いような存在になっていたり、ヴィレの新キャラに二重スパイが紛れこんでいたり、今作舞台の地球は実は偽物で宇宙のどこかにある本物を見つけるための探索行に旅立ったり、裏切り者の主人公が突然「アイアムアンインストゥルメントオブゴッド」とか言い出したり、最後は奇形の箱舟戦艦が太陽にとびこんで人類が救われたりしそうだ。公開当時の感想にも書いたが、Qをパラレルのバッドエンド側として処理し、次回はトゥルーエンド側の急プラス最終作を公開する以外、まっとうな収集をつけることはできないのではないか。

 ああ、冨樫先生なら! 冨樫先生ならこんな地べたを這うシロウトの妄言に一瞥さえ与えず、はるか上空を軽々と飛び越えていってくれるのに!

映画「エリジウム」感想

 前作とは比べものにならないほどの予算や大物俳優を有しながら、ここまでダメな映画にできるってどないやねん。

 タイトルとなった宇宙ステーションは申し訳程度の短い描写しかなく、物語の大半が第9地区のセットをそのまま持ってきたのかと疑わせる、スラム街での小競り合いに終始する。アフリカで難民となったキャットフード好きのエイリアンとか、低予算を逆手にとった前作の設定は、おそらくブレードランナー以降で示された中でもかなりユニークなSF的世界観だったように思う。

 ひるがえって、本作は何も新しいアイデアを持っておらず、伏線の欠如した場面と場面をそれらしく貼り合わせるだけの、致命的に構成の下手な監督であることを露呈してしまった。ストーリーは行き当たりばったりの支離滅裂、伝えたいメッセージは何もなく、かろうじて撮りたい設定やギミックだけが先行してあり、それらさえも二作目にして老大家の如き自己模倣が始まっている。もうびっくりするほど、褒めるべきところが見当たらない。特にステーション内の通路に桜だか梅だかを配置した戦闘シーンには、これを新しいと思っているのだろう監督の自意識と圧倒的なセンスの無さが鼻について、即座に視聴を止めようかと思ったぐらいだ。

 あれっ、登場人物の感情の動きを含めて、映画を構成するあらゆる要素が設定に隷属させられてるのって、最近どっかで見たなー、どこだっけなーと思ってたら、エヴァQだった。

映画「シンエヴァ」特報2.5感想

 特報2.5見る。いや、目に入ってしまう。ハーッ(深いため息)、あのさあ、最後のふりがな付きテロップ、あれなんなん? ほうほう、小学生の新規層を獲得するため? ハハハハ、そっかー、なるほどなー、気づかなかったわー……(突如激昂し、掌で机を一撃する)まともな親がこんな異常で不健全な作品を子どもに見せるわけねえだろ! ユアストーリーのほうがまだ心の傷が浅くて済むわ!

 さんざんQの文句言ってきて、これだけは触れるまいとずっと我慢してボカしてきたけど、もう本当にアッタマきたから言わせてもらう! 聞きたくないヤツは耳ふさいどけ! オマエさあ、震災で未来が絶たれた絶望をリアルに表現するために、二人の間に子どもができなかったことをエヴァQの演出に織りこんだだろ? それだけはよ、人としてやっちゃいけなかったんじゃねえか? 眼窩から血の涙を流す妻の顔を無言で眺めるゲンドウとか、血と肉に爆散する肥えた妊婦体型のリリスとか、リリスから出てきた使徒(イコール胎児)の首をはねたりとかさあ! テメエにとって大切なだれかの尊厳を踏みにじってまで、たいそうな「ご気分」とやらをフィルムに「定着」させる大義なんて存在するはずがあるかよ!

 オイ、結婚してから数年間子どもを授からなかった女性が正月にダンナの実家へ帰省した際、箸袋の「××子」という名前から「子」だけ消されていたみたいな嫁イジメの話を思い出しちまったじゃねーか、けったくそわりい! Qをはじめて見たとき、このイジメの話をはじめて聞いたときと同じくらいゾッとして、もっとも秘すべき夫婦のできごとさえ満天下へ無邪気に(そう、表情だけは深刻に、無邪気に)晒し上げられるなんて、クリエイターのヨメにだけはなるまいと固く誓ったわ!

 あのさあ、アンタ、シン・エヴァをよ、家族と被災者を生贄に捧げてまで完成させた、あの倫理無視・道徳遺棄の大失敗作、エヴァQの続きとして作ることにもう決めたんだろ? そんなら、小学生に向けたひらがな付きテロップなんて一切いらねえし、腹を据えて覚悟を決めろよ! 自らの恥部をさらけだし、家族の恥部をさらけだし、震災から9年が経過したいまの「気分」に正面から向き合えよ! 旧エヴァみたいな、そういう人肉の量り売りみたいな、アングラ単館上映フィルムの作り方をするって、決めたんだろうがよ! それが、子ども向けの冒険活劇漫画映画だァ? いまさらクソみてーな逃げ口上をうって、日和ってんじゃねえよ! 本当に商売抜きでいまを生きる子どもたちの困難さに向きあいたいなら、そのためだけの完全新作を立ち上げればいいじゃねーか!

 そういや、旧劇場版の最後に見たくもねえラブ・アンド・ポップのCMをブチこんできやがったことをいまさら思い出したぜ! 何がシン・ウルトラマンだよ! すでに腰が引けてんじゃねーかよ! またエヴァをプロダクトとして完結させることから逃げるのかよ! いい加減そろそろ大人になって、世間を知りニャさいッ! 今回の冒頭10分公開以降、お得意の広告手法でSNSの反応をリサーチしたら、もうエヴァの現状がどんなもんか、よーくわかったろうがよ! かつて旗振りの急先鋒だった高学歴の知識人や著名人は軒並み沈黙(笑)を守り、出てくる意見は冷めた批判や無関心ばかりで、期待感を示している少数はパチンコから合流した(コード・トリプルセブン!)低学歴・低所得のヤンキーばかり! Qのせいで序破からの客は全員いなくなって、もうどこにも新規なんて増えてねーんだよ! 閑散とした会場には旧エヴァが好きだったから、この作品の最期を看取ろうという層しかもはや残ってねーんだよ! 昔みたいには声もでないヨボヨボのロックスターの、ジジイの腰振りを見にきてるジジイばかりなんだよ! その点で言やあ、シンカイさんのほうがまだ誠実に作品に向き合ってるじゃねえかよ! アンタが適当にしゃべらせた破のシンジ君の「セカイがどうなったっていい」発言に対して、映画丸々一本つかってアンサーしてきたじゃねえかよ! しかもすでに百億かせいで、エヴァ・リブートよりはるかに売れてんだよ!

 なに、天気の子の終盤で雷が落ちたトラックの挙動がおかしくないですか、どんな物理法則で前輪が浮いたんですか、あと落雷から爆発までしばらく間があるのもよくわからないです、だと? バカモノ! あれはシンカイさんが旧エヴァ劇場版でネルフ職員の「南の、ハブステーションです」という台詞の直後に、トラックの正面から砲弾が二発撃ち込まれ、時間差で爆発したシーンのカッコよさにウレションし、オマージュし、トレースしたからに決まっておろうが! シンカイ・ワールドの物理法則はエヴァンゲリオン・ワールドに準拠し、さらにエヴァンゲリオン・ワールドの物理法則は、トクサツ・ワールドの物理法則に従う! つまりシンカイ・ワールドの背景美術がハイパー・リアルなのにところどころ物理法則がおかしいのは、エヴァ好きが昂じすぎて結果として、トクサツ・ワールドから動きを孫引きしてしまっているからだ! ピアノの一音ごとに背景が切り替わる演出は旧エヴァ劇場版の実写パートから引っ張ってきていたり、女子のパイオツのサイズに関したビロウ(尾籠)・トークと思春期ポエム以外は、シンカイ・サンにとって映画はぜんぶエヴァンゲリオンなんだよ!

 怒りすぎて何を言っているか自分でもわからなくなってきたが、シン・エヴァではもうこれ以上、矛盾した情報を小出しに撒いて、視聴者を混乱させることでバズらせる(バズってない)宣伝手法を使うのをやめてくれ! 何があっても来年6月までは生き延びて、必ず初日に見に行くから、品よくおとなしくしていてくれ! シン・ゴジラのときに興行はバクチと言っていたが、エヴァの大看板に対して小手先の広報は必要ないどころか、むしろ邪魔になってると言わせてくれ!

 頼む、どんなキッタネー最期を迎えても、必ず看取るって約束するから!

追悼「シン・エヴァンゲリオン劇場版:呪」