アークナイツ:エンドフィールドをサルのようにプレイ中。いよいよもって、なにか新しいゲーム体験を得たいと思ったとき、本邦のそれをファースト・チョイスにする選択肢は無くなってきたように思います。少なくとも虚構分野において、パトリオティズムに起因するエクスクルーシオニズムは、私の中で完全に消滅しました。これまで、原神がブレワイのビジュアル的フォロワー、崩壊スターレイルが軌跡シリーズの精神的フォロワーであると指摘したことになぞらえると、エンドフィールドはゼノブレイド系の「完全上位互換である」と表現できるかもしれません。リリースしたばかりなのに、すでにとんでもないボリュームのコンテンツが実装されていて、手ざわりはオンラインのソシャゲというより、買い切り型のオフライン大作RPGといった具合です。ゲーム開始から最初の5時間くらいは、「美少女たちと歩む、超絶美麗オープンワールド」といった風情なのですが、それは新規プレイヤーを引きかえせないほど深く巣の奥にさそいこむための、チョウチンアンコウの発光部分が女体になっている捕食者による、下準備みたいなものでした。ユーザー・インターフェースがけっこうわかりにくくて、「ホヨバのゲームなら、どれに相当するか?」を手がかりに脳内で翻訳しながら、ようやく操作感が手になじみはじめたころに、突如として怒涛の工場チュートリアルがはじまるのです。説明の文章をなんど読んでもサッパリ意味がわからず、これは相手が自分の言語能力を上まわっているからか、中国語からの翻訳に難があるのか、けっこう真剣に悩んだほどでした。
理解を断念して、工場生産パートをスキップして先に進めようとするのですが、ストーリー展開とマニュファクチャリングがあざなえるナワのように一体化しており、避けて通ることは不可能になっているのです。正直なところ、土日の休みをはさんでいなければ、ここで永久に脱落してしまっていた可能性は充分にありました。なかば意地になり、数十個はあるチュートリアルを順にクリアしてゆき、手にいれた図面から製造システムを設置して、ああでもないこうでもないと丸一日さわり続けるうち、エウレカ的な瞬間が訪れて、すべての設備が詰まることなく流れはじめると、一気にゲーム世界へと深くダイブする感覚がありました。さらに驚いたことに、いったん自動化に成功した工場設備は、ログアウトしたあともサーバー上で生産を続けているのです。この仕様は、「時間の経過を裏切る、現実の積みあがらなさ」をつねになげく、社畜マネジャーたる小鳥猊下のハートをワシづかみにしました。アークナイツ:エンドフィールドは工場生産パートの存在によって、これまで大陸および半島から上梓された大作ゲーム群のどれとも異なった存在となることに、成功していると言えるでしょう。また、鉱石の採掘場を建設するために、電柱を小脇に抱えてフィールドをかけめぐるのも楽しく、先のオートメーション・ファクトリーにくわえて、どんどん設置物を増やしても寸毫の処理落ちさえ生じず、ほんのわずかな刺激でCTDしまくるベセスダゲーを経験してきた者として、いったいどんな超絶技術がこのゲーム体験を裏でささえているのか想像するだけで、「本邦の衰退」という言葉とともに、背筋のうすら寒くなる感じをおぼえるほどです。
さて、ここまでをほぼ両手ばなしの絶賛で埋めてきたわけですが、いにしえよりインターネットに棲息する、すれっからしの虚構アディクトとして、約束された輝かしいエンドフィールドの未来をさらに盤石なものとするために、いくつか苦言を呈しておかねばなりますまい。まず、前作?であるアークナイツのシナリオを、エッキスに巣くう虚業従事者たちが絶賛しているのを横目にながめていたこともあり、事前にかなり期待を高めていたのですが、長大なメインストーリーと膨大なサブシナリオのどれもが驚くほどつまらなくて、逆にビックリさせられました。これは物語の進行がマップの開拓と綿密にからみあっているせいかもしれず、スターレイル方式ーーマップを無視して会話劇とムービーだけで物語を進めるーーを踏襲しはじめた最近の原神は、もしかしたら正しかったのかもしれないと考えさせられた次第です。システム面はすばらしいのに、少なくともストーリーへの興味に駆動されるゲーム体験にはなっておらず、今後の改善が期待されるところでしょう。次に、ゲーム内の音楽がどれもまったくと言っていいほど、耳に残らない。リリースから3日で20時間以上プレイしたはずなのに、頭の中にフレーズが充満して幾度もリフレインされるというあの感覚が、まったくもって生じません。しかしながら、これは生粋のトーンデフによる難クセの可能性が捨てきれないことは、付記しておきます。最後に、かなり致命的な弱点である気がしているのですが、固有名詞のセンスがどれも絶望的に悪い。パンダの見かけをしたキャラの名前がダパンだったり、舞台となる惑星の名前がテラから安直にタ行とラ行で連想したタロだったり、既存の神話由来のものをのぞいては、人名や造語の”ツクリモノ感”がひどく、世界観への没入を阻害する要因にさえなっています。あらためて、カルデアとか、キリエライトとか、アニムスフィアとか、FGOの固有名詞はどれもセンス抜群だったなと思わされました。
ともあれ、数年単位を惰性で続けているいくつかのアプリゲーを引退してまでプレイ時間を捻出したいと思わせた、業界最高峰の技術の集積体であるアークナイツ:エンドフィールド、いちばんダイナミックにゲームそのものが変容していく、まさに旬の時期であるリリース直後のいま、ゲーム好きなら少しでも体験しておくことをオススメします。