猫を起こさないように
月姫
月姫

ゲーム「FGO第2部7章後半」感想

ゲーム「FGO第2部7章前半」感想

 FGO第2部7章後半を読了。「育ちの悪い会社」だなんて、「だれかが非難や糾弾に用いる言葉は、その人が最も言われたくない言葉でもある」を地で行く育ちの悪いシャバゾーがチョーシこいて、本当に申し訳ありませんでした(土下座)。重課金者にとって愉悦のORT戦についてはすでにお伝えしておりますが、カマソッソさんが文字通りのゾンビアタックでこの難敵を単騎撃破したことを想像するとき、私のマナコとオソソッソはじゅんと熱くうるんできます。戦闘の合間合間に語られる挿話はどれも出色の出来で、アルコールが入っていたこともあり、ずっと号泣しながらプレイしていたことをまずお伝えしておきます。都市英霊の最期へ至る顛末は「勝ちがないのに、なぜ戦うのか?」という問いへ真正面から答えており、いままさに行われている地上の虐殺のすぐ傍らへ鳥瞰から舞い降りるような気さえしましたし、異霊プロテアの言葉なき翻心を描く下りには、「人は打算には打算を、気持ちには気持ちを返すものだ」という台詞を思い出して、夜中なのに強めの嗚咽がほとばしり出て近隣を騒がせたほどです。

 良質な物語だけが与えられる豊かな余韻に浸りながら、さらに思いつくまま7章での印象に残った場面をあげていきます。ある人物へ向けた「リーダーの器でないことを自覚しながら、必要な場面では逃げずに気持ちをふるいたたせ、必ず決断の責任を取る」という評が、個人的に深く胸へ刺さりました。存外「決める」ことのできる人間は少なく、それが組織や人の生き死にに関わるとなれば、さらにその数を減じるにちがいありません。社会の底から見上げる野党的な視点のフィクションばかりが横行する現在、意図せぬまま高所に立たされた者の責任と覚悟の気高さを描けるのは、FGOが空前の大ヒットとなったからこそで、他のスマホゲーでは表現のおよばない魅力だと言えるでしょう。じっさい、昨今のSNSにおける他責や他罰の有り様は見ていられないほどですし、学生の世迷言や貧乏人の私小説なんて、もう薬にもしたくないですからね!

 また、あるディノスの死に際しては旧エヴァの「彼の方がずっといい人だった。生き残るならカヲル君の方だったんだ」という告解を思い出しましたし、「フィクションには涙を流せるくせに、身近な人たちの死にはまるで不感症である」という自責の吐露は、己のことを言われているようでした。以前、「nWoに可能な愛と勇気の物語を」とスタートした小説に「紡がれるのがどのようなテキストであれ、私たちは本質的に小鳥猊下を読んでいるのです」という感想を寄せられたことがあり、当時は批判のようにも感じられたのですが、いまならばこの感覚はよくわかります。私がFGOに触れるときの態度がまさにそれで、本作を通じて「リアルタイムで追う最高の物語のひとつ」を体験しているのと同時に、「同じ時代を生きるファンガスの人生」を読んでいるのだと言えるでしょう。第2部6章が彼の歴史観や人間観を高い視点から集大成的に表現していたのに対して、この7章は王道的なストーリー展開でありながら、地に足をつけた彼の個人的な感覚や感情を引き写して、そこここに落とし込んでいるような印象を受けました。

 マーリンに代表される「現世と隔絶された、孤高の観察者」というモチーフには、生涯を語り部として過ごしてきたファンガスの人生と自意識が仮託されていると確信するのですが、今回の「星見の姫」はより解像度の高いリフレインとなっているように思います。これだけ多くのファンたちに求められている人物の自意識が、「与えられた環境からは離れて生きられない巨竜、その心はどれだけの時間を経ても成長せず、善悪の区別なく未来永劫を観察し続けるのみ」であることには悲しみにも似た、しんとした気持ちにさせられます。成長とは幻想であり、たとえ家族を持ち日々を仕事にやつしたところで、容れ物の外殻が厚みを増すだけのことで、たたえる中身が大きく変質することはありません。彼はあるキャラの幕間の物語において「生きることは、濁ること」と表現しましたが、その言葉とは裏腹に出力されるテキストは、ますます清明に研ぎ澄まされていくのです。この事実は私に、戦争帰りのトランペット吹きを書いた古い小説を想起させました。人を殺したために音楽から見放されたと嘆く黒人ペッターへ、乞うて一曲を吹かせたところ、これまでに無いような深い音を響きわたらせる。彼はその直後に、信じていた音楽から裏切られたと感じ、自殺してしまうーーそんな内容です。

 あと、「死徒」とか「直死の魔眼」とか、月姫リメイクアルク・ルートだけ読んで続きを断念した私にもかろうじてわかる単語を散見しましたが、「同じ部品で再構築しても、機能停止を一度でも通過すると再起動できないのが、生命の本質であり死の定義」という考え方は、初期作品での観念的な「書生の繰り言」から大幅にアップデートされた「魂の思想」とも言うべき何かへと至っており、「書き続けること、生き続けること」による長い時間をかけた変化を見ることができました。キノコの着ぐるみの中にいるファンガス本体はアラフィフぐらいだと推測しますが、この年代は論語とは違って天命を知るどころか、フォントサイズ100かつボールドの「惑」一文字であり、人生の残り時間が見えてくるからでしょうか、傍目には無謀に思える大転身をする方々がポロポロ出始める時期です。どうか社長を筆頭とする周囲の大人たちは、この希代のストーリーテラーが乱心して道を踏み外さないよう、最果ての塔の錠前をしっかりとロックして、物語だけをさえずるカナリヤとしての天寿を、彼にまっとうさせてあげて下さい。

 7章読了後に型月世界とやらのwikiを眺めていると、20年を塩漬けにされていた大学ノートの「最強設定集」が、FGOの大ヒットにより正史として語られ始めていることへ感動を覚えると同時に、これがコアなファンの内輪ウケに消費されるだけでいっさい世に出ないまま、書き手が寿命を迎える未来も充分にありえたのだと思うと、そら恐ろしい気分にもさせられるのです。もはや中身がスッカスカのアバターでさえ、「全5部作!」なるキャメロン翁の妄言を看過しているのですから、型月世界の膨大な裏設定をすべて預けられつつあるFGOなら、「全9部作!」くらいブチ上げてファンガスに残された作家人生へ明確なロードマップを引いても、だれからも文句は出ないでしょう。

 そして古希を迎えるあたりから、FGOが「世界の真実」を観念的なテキストで語る新しい宗教と化していったとして、それを2次元文化の成熟が生みだした新たなパースペクティブとして全面的に受け入れ、什一税のお布施も死ぬまでは欠かしませんので、関係者のみなさま、どうか何卒、なにとぞ!

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ゲーム「FGO第2部6.5章」感想
雑文「虚構時評(FGO&MANGAS)」

 どこかで深く信頼していたものから、シンエヴァのごとく裏切られた傷心を癒すためにFGOを起動すると、なぜか聖晶石が1000個(時価総額6万円)ほどボックスに配布されていて、今度は自分の気がくるったのかと疑いました。7周年ピックアップを見て、「まーた、この顔かよ」なんて微苦笑しながらも、身内優遇で性能がいいことだけは間違いないので、300個分ぐらいガチャを回したら、運よく2枚を引けました。んで、種火をつっこんで再臨させてから、ようやく「これ、月姫のキャラじゃん!」と気がついた次第です。うーん、オルガマリーをアルクェイドで倒すみたいな展開は、昔ながらの型月?ファンにとっては嬉しいのかもしれませんが、エヴァンゲリオンマトリックスの最終作みたいに、作中の困難やテーマを「キャラで解決する」エンディングになってしまうのではないかと恐れています。時代時代の「人間」や「世界」といった抽象を語りきるのが文学の役割であって、FGOは現在までのところ、ファンガスの筆でのみという条件はありながら、その域に達していると思うのです。何度も言及していますが、キャラと文学を両立させて終わることのできたジュブナイルは近年においてランス10のみであり、これらの妄言もFGOがそれへと続くことを心から願うがゆえの老婆心だとお受け止めください。

 FGO、やはりファンガス千年王国の礎を築いた母たる存在だからだろう、7周年記念のマザー・ムーンキャンサー(中黒の位置に注意)の異様に優遇された性能が使うほどにわかってきた。さらに言えば、今後の第2部クライマックスに向けて、シナリオでの最恵鯖待遇(なんじゃそりゃ)も間違いないだろう。そんなわけで、宝具3&スキルMAXの状態から、ベター・コール・ソウルの2周目マラソンと並行してレベル120まで上げたーー参考として、AP半減+大成功率UPで青リンゴ130個くらいで到達ーーものの、今度は宝具の威力に不満が出てくる。このマザームー、おっとマザー・ムーンキャンサーは宝具レベルに比例して威力が上昇する仕様であり、気前よく1000個も石を配布しているように見せかけて、星5キャラを5枚引く期待値とだいたい同じ数が計算づくで、プレイヤーに手渡されているのである。さらに、マザームーン・キャンサーのガチャは夏イベ開催の直前でちょうど終わることになっていて、無料石でガチャの気持ちよさを思い出させると同時に課金への抵抗感を下げてから、3体の星5水着を投入するというユニファイなチャーチばりの奸計が、善意を見かけとした裏に張りめぐらされているのだ。就職アイスエイジ・エラを出自に持つ金髪美少女である実存は、貧困層の常として短絡的な消費に我慢がきかないため、「乗ろう、あなたのイービル・集金スキームに!」と高らかに叫びながら残った600個ほどの石をブン回して、マザームーンのガン細胞野郎を宝具5にしてやりました。

 あと、例のファミ通インタビューを読みましたけど、業界にまぎれこんだガチのファンから矢継ぎ早に投げかけられる第2部6章に関する質問へ、まさに快刀乱麻、すべて明快な即答を与えていくのは、さすがファンガスだと感心しました(まあ、取材後の校正で追記した可能性もありますが……)。そのやりとりを生温かい視線でながめながら、かつて栗本薫が「ファンタジー小説を書くなら、作品世界の隅々までを熟知してないとダメ。もし何か聞かれて即答できなくても、『次までに、現地の生物学者に聞いておきます』ぐらい言えなきゃ」みたいな話をしていたのを思い出した次第です。そして、「長くサービスを続けていくために、開発の方法を抜本的に見直した」という発言から、第2部終了をFGOのそれとしない(できない)気配がただよってきましたが、第3部は所持サーヴァントと育成状況のデータごと、「古臭く」ない新アプリへと引き継ぐことを大いに期待しております(2回目)。

質問:小鳥、シンエヴァ呪詛は面白かったのにfgoはエアプが漏れてんな
月姫リメイクなんてクソオタクは買ってないのでアルクェイドは古参が騒いで回してるから回しとこ!のクソ短絡的なゴミですよ バカじゃなかったら温存してるか徐福引いてる
回答:いいですね、じつにいい! 最近のネットって凪いだ水面に清らかな水質って感じで、古参の泥魚にとっては棲みにくさに窒息しそうな場所ですが、湖底の泥の下には昔ながらのエゲツないクリーチャーどもが、まだまだ元気に生き残っているのですね! こういうこじらせたファンが現存してるのって、さすが30年を長らえた同人IPだなーって気持ちにさせられました(まさか、「ブドウ酸っぱい」じゃないよね?)。エヴァのことなら人後に落ちる気はまったくしませんが、月姫についてはリメイク(オリジナルは未プレイ)のアルク・ルートだけ、かろうじてクリアして投げてしまった程度の、文字通りの「エアプ野郎」ですからね! ぶっちゃけ本丸のFGOにしたところで、萎えていく気持ちをおもしろテキストで自家発電して盛りあげて、第2部の終わりを見届けるために、離れていく心を無理矢理つなぎとめるだけになってきているのです。ともあれ、テキストに残されたほんのわずかな瑕疵から、サトリの化物のようにニュウビイのエアプを見抜いてウザがらみする古参とは、あらゆる創作物のファンがやがてたどりつく、異形の終末なのかもしれません(エヴァ呪を読み返しながら)。

 配布石1000個でアルクェイドを宝具5にしたことはご存じのことと思いますが、話題のレディ・アヴァロンもなぜかちょこちょこ配布される石の無償11連1回だけで手に入ってしまいました。最後にFGOへ課金したのがいつだったか忘れるほど課金してないので、そろそろ課金したかったのになーと残念に思っている自分がいて、それを不思議な気持ちでながめております。まあ、残り2体の星5水着の性能に期待しましょう。型月ガチ勢の皆様にエアプの感想を漏らしますと、レディ・アヴァロンは劣化マーリンといった手触りで、宝具を重ねる意味もあまりなく、マザームーンとはちがって追い課金の魅力に乏しいキャラですね。ただ、顔がいい。顔だけは、すごくいい。なので、NP100礼装をつけた浴衣道満とアルクェイドで周回する際、レースクイーンとしてカタワらに立たせております。2騎3ターンでバトルは終わるので、レベル10にしたスキル群に指を触れてさえやりません。タイムラインによく流れてくる「ひとりだけ腕立て伏せをさせてもらえない」漫画のように、レディ・アヴァロンを精神的に痛めつけるのはゾクゾクします。

 いやー、それにしてもアルクェイドをレベル120宝具5にしたのは大正解でした! こういう大きな決断を躊躇なく下せるのは、まがりなりにもマネジメントを経験し、自由にできるカネがある大人の特権ですね! ムーンキャンサーの「ほぼ全クラスに等倍」という特性は、言い換えれば「弱点がない」ということですからね! さらに再臨2はバニヤンばりの高速宝具なので、イベント周回もストレスフリーです! 「充分に強化したアルクェイドは、全体宝具バーサーカーと見分けがつかない」というアーサー・C・クラーク御大の名言を引用することで、ニュウビイからパイセンへの反論に代えておきましょう。(熊フェイスで)宝具1か2のみんな、いまどんな気持ち? ねえねえ、どんな気持ち? (女児フェイスで)宝具3とか4でビビッちゃうなんて、ざこ、ざぁーこ! 上手にお願いできれば、(視線をそらし、頬を赤らめ、鼻の下を指でこすりながら)フレンドになってやってもいいんだぜ……?

 ゲーム「FGOぐだぐだ新邪馬台国」感想

 FGOの新イベント、開始5行でだれが書いたかわかり、ゲンナリして読む気をなくさせるって、逆にすごくないですか? スタートアップの黎明期に創業メンバーとしてまぎれこんだミソっかすが、大企業へと躍進したあとの重厚な広報誌に嬉々としてポンチ絵の4コマ漫画を寄せている感じ。きっとハイテンションで早口の、アゲアゲアッパーな女性なんでしょうねー。「そういえば、小鳥猊下がほめていたな」とFGOをいまさら始めただれかが、今回のイベントから読みだしたとするなら、恥ずかしさのあまり首を吊るレベルです。それに、今回の新キャラにせよ、ジャック・ド・モレーにせよ、書き手の力量に対して豪華すぎるメンツ(ポプテピピックじゃないんだから!)で、あまりにもったいない使い方だと思います。本編での活躍予定がないなら、早くファンガス再生工場に回さないと、ヨゴレが落ちなくなっちゃいますよ!

『生きるということは、
 即ち濁るということ。』

これぞ、茸再生工場の面目躍如となるフレーズ。 けれどトラオムは、「濁り」どころか「腐れ」。

雑文「小説道場・月姫編」

 続いては門弟志望、那須キノコ(このペンネームなんとかならんかね)『ツキヒメ』。五千枚(長い!)の力作である。
 いまは懐かしい「吸血鬼モノ」(ときめきトゥナイト!)なのだが、アニメと私小説がごっちゃになったような不思議な読み味の作品だった。キャラクターの描写もほとんどマンガで、登場人物が多いわりに三人ぐらいまでの書き分けしかできていない。世界観は魅力的なので、いいイラストレーターと組んで挿絵がつけば、若干、印象はマシになるのかもしれないとは思う。
 文章について指摘すると、ところどころに光る修辞はあるものの、全体的に表現が冗長で硬い。へんへーにはすごく、だれかから批判されることを恐れてわざと難解にした、防衛的な硬さに思えたね。ただ、この硬さがバシッと決まる場面もあるので、もっと読者に対するガードを下げて、短くて平易な文章を意識して増やすといい。そうすれば、ずっととっつきやすくなるだろう。
 キツイことを言うようだけど、いまの君にはまだ、この規模の群像劇をキチンと書き上げるだけの地力はない。もっと登場人物を減らして、いちばん書きたい関係だけにしぼってごらん。そうして、少しずつ書ける範囲を広げていったほうがいい。ほんとうは、先輩なんかとではなく、もっと妹との関係を掘り下げたかったんじゃないの? たいせつなのは、物語がどう動きたがっているかの声をじっくりと聞いてあげることだ。それは同時に、自分の心を知る作業に他ならない。
 そして、ひとつ私が大きな瑕疵であると感じるのは、不死身の吸血鬼をそれと知らずに殺害してしまうくだりだ。夢の中で人を殺してしまい、汗びっしょりに目を覚まして、夢だったことにホッと安堵する。そんな経験はだれにでもあるだろう。着想の原点はそのあたりじゃないかと思うが、殺人(この場合、殺バンパイアか)を肯定するために「天涯孤独の粛清マシーン」みたいな設定をひねりだしたところで、主人公の動機が「快楽殺人を目的とした通り魔」のそれであることは決して消えやしないのだ。もちろん、小説に書いてはいけないことなどない。しかし、君があつかおうとしているのは、死ぬほどデリカシーのいる、極めてセンシティブな内容だ。君にその覚悟があったとは、とうてい思えない。力量もだ。自分の娘を通り魔に殺された両親の気持ちが、いったい君に想像できるのかね?
 なるほど、君は自分の苦しさのために書いたのであって、その人たちのために書いたのではないと言うのかもしれない。だが、小説を世に問うというのは、そういうことなのだ。娘を殺された両親の元へこの作品が届き、彼らの感じることに対していっさいの申し開きが許されないということなのだ。かように、書くことは地獄だ。けれど、先生はこの地獄が嫌いではないのだよ、那須。もしかすると君はまだ若く、切実に自分が救われることを願っていて、そんな親の苦しみなんて薬にもしたくないと思っているのかもしれない。君に必要なのは、おそらく時間であり、人生経験だろう。しかし、あせって大人になることはない。愛するに時があり、憎むに時があり、戦うに時があり、和らぐに時がある。きっといつか、私の言うことがわかる時が来ると思う。
 最後に辛辣なことを言ったが、世界観や造語のセンスにはキラリと光るところがある(ような気がする)。いちど吸血鬼モノから離れた別の作品を見せてください。四級。

 ……そして、次作の『Fate/stay night』で、大絶賛から初段へ昇格するイメージ。

 うーん、ツギハギって感じで、似ないなー。これでシンエヴァ批評やりたいのになー。

ゲーム「月姫リメイク」感想

 月姫リメイクをダウンロードする。ビジュアルノベル(死語?)なのに1万円近くする価格設定で、「やっぱ、FGOへの課金にしとくのが賢明かー?」と最後まで迷いましたが、全編がファンガスの筆だということと、今後のイベントでコラボがありそうな感じなので、購入に踏み切りました。正直にぶっちゃけますと、月姫については完全未履修なんですよねー。ヒロインのビジュアルと主人公の能力くらいしか知らない。その断片的な知識だけで「少女保護特区リライト版」というパロディをでっちあげたんですけど、直後に実施したアンケートに「こいつァ……!!」と書き残したのは、まちがいなくファンガス本人でしたねー。いやー、まいっちゃうなー。

 月姫をさわりだけ読んだ猊下に去来する、アタタカイオモイ。

 ファンガスの文章なのに、漢字の開き方が異なるという違和。
 書き手の「若さ」を強くにじませた、横溢する観念的な述懐。
 ここからアヴァロン・ル・フェへ至る、遥かな道程への感慨。

 ーーーそして、気づく。

 ああ、なんてことだろう。
 午前6時33分は。

 早朝ーーーではーーーないーーー

 月姫リメイク、学校を早退してヒロイン?と出会うとこまでプレイ。うへえ(ドン引き)。まあ、展開自体はうっすらと知っていましたよ。でも、夜道で襲われて、死にたくないから仕方なく眼鏡を外す、みたいな流れだと思ってたんですよ。それが、勝手にストーキングして不法侵入して有無を言わせず一方的に、って完全にアウトのやつじゃないですか! 生き返ったからオーケって、なんの正当化にもなってませんからね! SATSUGAI時に地の文のフォントを変えてあったりしたけど、なんらかの叙述トリックになってて、事実が反転したり納得できる動機が示される解決編を用意してあるの? この人物が主人公である物語を読み進めるのはキツイなー、と思い始めています。

 月姫リメイク、最初の吸血鬼を斃す(笑)ところまで読み進める。「両親が他界してから妹に飼われながらメイドにかしずかれつつパツキン美女と深夜徘徊する異能力者のオレ」は、まさに中二病のダブル数え役満であり、十代の頃に出会って魂に刻んでおくべき作品だったと、いまさらながらに悔やまれます。そして、これはこれで面白いのですが、FGOが大ヒットしたことはファンガスの作家人生にとって、本当に僥倖であったと改めて感じました。もっともアクティブ・ユーザーの多かった時期に配信された第1部6章・7章・終章のことが語られがちですが、第2部4章・5章後半・6章における「視点の上昇」は、書き手がそこからさらなる進化を遂げたことを如実に表しています。FGOはリリース最初期でけっこうなやらかしをしていて、もし早々にサービス終了の憂き目を見ていたら、その世界線でのファンガスが何を書いていたかを想像すると、けっこうゾッとさせられるものがあります。話を月姫に戻しますと、あまりに唐突なSATSUGAIの動機については、これまでのところグジグジとした繰り言ばかりで、ずっとモヤモヤさせられっぱなしです。これ、事故の記憶や母親の死と関わってて、「なぜ、他ならぬ彼女を殺さなくてはいけなかったか?」がちゃんと回収されるんですよね? 若かったとはいえ、ファンガスのつむぐ物語であり、「ただの中二病的フレーバーでした」で終わらないことを信じたいです。

 あと、「アルトリア」が「アーサー」の変形であるように、「アルクェイド」って悪魔城伝説の「アルカード」から来てるんですよね? もしFGOで「アルパチーノ」が女体化実装されたら「アルピトゥーナ」とかになるんだろうなー(妄言)。え、月姫リメイク、フルプライスのくせにストーリーが半分しか収録されてなくて、妹ルートは未実装ですって? あの意味深ムーヴなツンデレ女子の秘密を知るのに、もう12年待つ必要があるの? キミら、よくこんな遅筆作家のファンをずっと続けていられるね!

 アルクェイド・ルート、クリア。結局、主人公の正体と殺害の動機は明かされないままでした。ヒロインもずっと「無垢ゆえの残虐と処女性」みたいな描き方だったのに、最後の最後でネトラレっぽい告白を始めたり、全体的にキャラと性癖とテーマがとっちらかってるなー、と感じました。サブヒロイン・ルートでこの隙間が埋まることを強く期待しつつも、英霊システムというのは改めて偉大な発明だったと言わざるをえません。そして、十代の「クラスのうちで目立たないコ」に向けた幻想とはいえ、プレイ時間の割にボリュームを感じなかったのは、やはり生死にまつわる観念的なト書きに共振できないほど、私が年を取ってしまったということでしょうか。初老を越えたら死は、健康診断の数値に表される、ただの現実ですからね。最近、思うところあって、江森備の私説三国志を読み直してるんです(蒼天航路を経たいま、脳内ビジュアルがあっちに引っ張られて大変)けど、もし月姫が小説道場に投稿されていたら、栗本薫はどんな評をつけただろうなーとか、終盤のプレイ中に考えていました。

 あと、Z指定なのにセックスシーンの描写が江森備ばりに短い(あっちはそれでも超ドエロだけど)のには、たいそうガッカリしました。なんのために上限いっぱいの年齢制限をしたんや! Fateの王様ルートでの魔力供給のアレみたいに、高校2年生が突然、オッサンみたいなネチッこい言葉ぜめーーノベルだからしょうがないのかしらーーをやりだすのを、有名声優の熱演で聞けると期待していたのに! それ以前に、吸血衝動うんぬんがセックスの暗喩(若い書き手の含羞による)だと思ってたので、あの場面では思わず、「ファックするんかい!」と声を出してしまいました。Fateシリーズと違って、月姫世界では血液と精液は別モノなんですかね? 「上の口から血液を飲むことを拒絶しても、下の口から精液を入れたら魔術的に同じことなのでは?」などと思ってしまいました。

 それと、代行者先輩(笑)が「なぜあんな化物を気にかけるの?」みたいなことを尋ねて、主人公が「愛してるから」と答える場面があるじゃないですか。もしかすると感動的なシーンなのかもしれませんが、やっぱり美醜の問題を感じてしまいましたねー。ガワがパイオツカーデーのパツキン美女なら、中身が化物だろうが宇宙人だろうが、愛せるに決まってるじゃねえか、っていう。あらためて、ファイアパンチでの問題提起(トガタの退場とともに消失したけど)が、二次元業界内では類まれなことを確認できました。なんか以前、似たような感想を抱いた作品があったなー、なんだったかなーと考えていたら、ゼノブレイドクロスだった。

 シエル・ルート、少し読んでは私説三国志に戻るのを繰り返している。全面改稿ではなく「書き直し、書き足し」のようで、オリジナルの文章ママとおぼしきところで、ちょっと読んでられない気持ちになってしまうのです。

 あと、女性キャラクターがこぶしを軽くにぎって上腕を双丘の傾斜に沿わせるようにハの字に胸元へ引き寄せる「肉のカーテン」みたいな仕草、すごく昭和レトロって感じがするなー。こんなムーヴをする女子、最近とんと見ないなー。

 雑文「小説道場・月姫編」