猫を起こさないように
押井守
押井守

アニメ「新版・うる星やつら」感想(第1話)

  うる星やつらの新版アニメ、第1話を見る。やっぱりラムちゃんって、じつにアイコニックな不朽のキャラクター造形だなあと、改めて感じます(本作のデザイン、SMD虎蛮ぽくない?)。初登場シーンに一瞬だけ「ラムのラブソング」が流れかかるのは、スターウォーズ7での「ダースベイダーのテーマ」のあつかいを彷彿とさせて、あふれでるラスボス感に笑ってしまいました。旧版のアニメがマモルさんによるアレだったので、今度こそ原作を忠実になぞっていく意図のリブートだと思うんですが、スマホやSNSの登場するスタイリッシュな令和のオープニングに対して、黒電話で連絡し突然の暴力が頻発し不適切発言の横行する昭和の本編をどうすりあわせていくのか気にかかります(メタとか夢オチとかで昭和から令和に遷移したりすれば、旧版アニメと同じになっちゃうし……)。

 自分の中の価値観が変化ーーアップデートとは言わないーーしたのに気づかされたのは、主人公の母親が繰り返す「産まなきゃよかった」というセリフが、かつては笑えるギャグだったはずなのに、いまではあまりにセンシティブに聞こえてしまったことです。他にも公衆の面前でブラジャーをはぎとる展開も、知っているのにギョッとしてしまいましたし、原作に忠実であればあるほど、今後こういった違和感はどんどん増していくのでしょう。「令和と昭和に横たわる価値観の隔絶をどう料理していくのか?」を楽しみ半分、怖さ半分で見届けたいと思います。

ドラマ「THE NEXT GENERATION パトレイバー」感想

 故人を冒涜するCMで契約者を増やし続ける動画配信サービスに、パトレイバーの実写版が登録されているの発見する。昨年を通じて、実物大レイバーなどのケレン味あふれる宣伝を目にして気にはなっていたので、さっそく見てみた。ネクストジェネレーションと言いながら前作とまったく同じ造形の人物が配置されていたりとか、アニメの手法をそのまま引き写した演出やセリフ回しとか、楽屋落ちもいいところのシバシゲオとか、たぶん客観的に判断すれば褒められないほうの映像化だと思うんだけど、個人的にはすごい面白かった。

 ひさしぶりのうる星やつらノリというか、パトレイバーを利用して監督が思考や私生活を垂れ流しにしてる感じが楽しい。たぶん企画を通したりカネを動かしたりできる地位にパトレイバーファンがいて、実物大レイバー作ってくんなきゃやらねーとか、配役と脚本に口出ししたら許さねーとか、俺がハマってる空手をちゃんとやんねーと出さねーとか、全編そんな感じでワガママ通しまくってるのが見えて微笑ましい気持になった。

 かつて原案に関わった人たちが全員シャットアウトされているふうで、「いったい彼が何を考えているのかわからない」とかネットでこぼしてるのに、「ぼくが怒ると思ってるのか、だれも何も言ってこない」などと舞台挨拶で放言しているのも素晴らしい。スラムダンクをサッカー漫画と記述したヤオイ関連本がノーチェックで出版されていた晩年の栗本薫を思わせる狼藉ぶりで、外野からは「いいぞ、もっとやれ」とやんやの拍手喝采を送りたい気分である。

 結局、本邦のご多分に漏れず私小説が大好きなので、何が語られているかではなく誰が語ったかが私にとって重要なんだなと改めて考えさせられた。ある種の人々にとっては、近所のオッサンが使ったチリ紙より、アイドルが使ったチリ紙の方に価値があり、彼は私にとってのオッサンアイドルなのです。私のフォロワーたちも、私の発言の中身を吟味しているというよりは、十数年前にテキストサイトで一年ほどハッスルしていた人物の消息が知りたいという気持ちが大きいのだろう。でも、企画を通したりカネを動かしたりできる地位についているキミは、もっと現世利益を誘導してくれてええんやで?

 引き続き、パトレイバー見てる。全編が躁のテンションに満ち満ちていて、本当に好き勝手にやってる感がすごい面白い。しかつめらしく「このままでは特撮が死んでしまう」と語ってみせることより、特撮の棺おけとして博物館を建てることより、新たなファンを流入させる方法として実作ほど有効な手段は無いとひしひし感じる次第である。某Cunt-Qは新劇をさっさと終わらせて、実写でエヴァのネクストジェネレーションを撮った方がよっぽどその目的を達成できるのになあ、と思った。

 突然Qみたく前世紀エヴァンゲリオンと化したり、若い層が何の思い入れもない怪獣映画の監督に名乗りをあげたり、自身が常に批判しているオタク的な性向の袋小路へと入りこんでいくのを見るにつけ、パトレイバーのこの力の抜け方はたいへんに心地よい。同時に、彼を嫌う人がいるのもわかる気がする。うる星やつら、パトレイバー、攻殻機動隊、いちど手をかければ、どんなオリジナルも己の作品として乗っ取ってしまうからだ。いったんやられてしまえば、どれだけ原作サイドがイメージを取り戻そうとしても、二次創作としてしかふるまえなくなってしまう。Cunt-Qが彼と違うところはオリジナルへの愛が強すぎて、原典をはるか越えた後も自らをコピーと自虐してしまうオタク気質だ。マモルさんの自己愛の十分の一があれば、いまごろ新エヴァは無事にハッピーエンドを迎えていたに違いない。

 ええい、チクショウ、書いてて無性に腹が立ってきた! なんでエヴァを放り出してまで、またぞろゴジラなんてつまらない、ハリボテトカゲへの強い執着を表明してやがるんだ! Zガンダムの劇場版に感化されて新エヴァを始動したCunt-Qのことですから、きっと今回もパトレイバーに影響を受けてゴジラをやろうって決めたんですよね! そのへんの尻軽なミーハーさはアマチュア時代からの持ち味だと思いますが、このペースだとすべてやり切る前に寿命が尽きてしまいますよ! それとCunt-Qの奥さん、あなたの新聞連載のゆるキャラにスヌーピーのポテンシャルはありませんし、エヴァほどの思いで続きを待ち望んでるファンなんていませんよ!  ワーキングマンの続きを描くか、さもなければそろそろダンナの世話だけに専心してください! 今のCunt-Qに必要なのは意識の高い食生活(有機野菜のスムージー!)や甘えさせてくれる女性(診断書なしの鬱で無期限有給!)じゃなくて、一発ブン殴ってくれる誰かですよ! いや、むしろマモルさんに殴ってもらえ!