猫を起こさないように
崩壊スターレイル
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ゲーム「崩壊スターレイル・第3章前半」感想

 崩壊スターレイル、ピノコニー編を実装部分までクリア。本作のシナリオは、同社の他作品と比して「情の原神、理の崩スタ」とでも評すべき、仮面ライダーみたいなテイストの棲み分けになっています。「新規のSF的概念」「組織と人物の相関図」「各キャラの台詞と、その裏」を、かなり丁寧に読みこんでいかないとストーリーの本筋が理解できない作りになっていて、グラフィックというよりテキストに強く依存した形式は、かつてのゲームブックを彷彿とさせます。その一方で、JRPGに向ける怖いような畏敬から造形されたフィールド部分に、イヤというほど盛りこまれた大量のギミック群は、本邦のユーザーに「知育玩具」と揶揄されるぐらい、わざわざプレイさせる意味を哲学的なレベルで考えてしまうほど単純なものばかりで、「漢詩の教養が市井の一市民にまで浸透しながら、理系分野においてはいまだひとつもノーベル賞の受賞がない、スーパー文系国家」である事実に由来しているのではないかと、邪推しておる次第です。理系分野の根幹を成す数学という技術は、乱暴な言い方をすればIQテストのパターン認識と事物の抽象化であり、「重厚なシナリオと対極をなす、簡素きわまるパズル遊び」は、中華のその特性にピッタリと合致するように感じられます。

 第三章前半のストーリーについて言えば、今回も世界情勢との意識的なリンクをうかがわせる内容になっていて、故郷を失った「星間難民」であるヒロイン(ホタルたん!)が違法なデバイスを使って夢の世界に密入国したことを告白するくだりは、世界各国の12言語を相手に物語をつむぐホヨバにしか、正面から取りあつかえないだろうと思わせるもので、そこへさらに「筋ジス患者にとってのバーチャル・リアリティ」とでも表現すべきハードな詩情を盛りこんでくるのです。最近、タイムラインに流れてきた「現実が厳しい者は仮想現実を選び、現実に満足している者は拡張現実を好む。それを証拠に、メタクエストは500ドルで、ビジョンプロは5000ドル」という記事を読んださいには考えもしなかった、「現実への充足」とはカネや社会的地位だけを意味するのではないという気づきを前に、五体と五感が不足なく動くことを当然とみなす人物の背筋は、内省によってわずかに伸びる感じさえありました。パイモンのしゃべくり一人称で進行してゆく原神と比べて、崩スタは無言の主人公と距離をおいた三人称のカメラで語られるせいか、ただでさえ速いストーリー展開は緩へ急へとさらに大きな振り幅を見せ、そのドライな筆致によって重要と思われる人物を拍子抜けなほど、アッサリと退場させたりする。もしかするとその唐突ささえ、第三章の後半であつかわれるだろう「夢の中での死は、精神的な死である」という指摘が、いかなる実相をともなうかを種あかしの中心にすえたミステリー要素の一部なのかもしれず、いまはあらゆる想像や予断を外して心静かに続きを待ちたい気分でおります。

 そして、ここまでのマジメな考察と分析をすべて台無しにする萌えコションならではの視点を、我慢できず露出狂のようにまろびださせていただくならば、ピノコニー編に登場する多くの新キャラのうち、なんといってもその白眉は金槌花火(たぶん偽名)たんでしょう! この少女は、下品なワードなので自分のテキストに残すのも正直はばかられますが、いわゆる「メスガキ」というエロマンガ由来のネットミームからその造形をスタートしつつ、その概念をいったんすべて脱構築してから、異なる位相で再構築したキャラになっているのです。同ワードを用いて、本邦の創作者たちが描くだろうエレメンタリー・ガールを想像してみましょう。いま貴君の脳内にうかんでいる、魚類に関するワードを連発する記号まみれのコピーキャットから遠ざかって一個の人格を編みあげた上で、なお「メスガキ」と呼ぶにたるというのは、じつに見事な手腕です。これはまさに、足し算と掛け算をいったん別宇宙に分離してから再構築するがごときアクロバットの所業であり、金槌花火(おそらく偽名)たんの存在は、美少女ゲーにおける宇宙際タイヒミュラー理論だとさえ言えるでしょう(言えると思う……言えるんじゃないかな……まあ、ちょっと覚悟はしておけ)。画面外の大きなお友だちは大興奮なのに、画面内のキャラたちはだれもがうっすら彼女のことを嫌っていて、すでに「どうしてみんな、しかめっ面するの」みたいな負けフラグも口にしており、「登場時に必敗を前提とした優越を持つ」みたいなルールを付与されているところまで再現されていて、花火たんが今後いかに敗北するかを想像するだけで、もうワクワクがとまりません。

 あと気になったのは、特に三月なのかや今回のヒロインであるホタルたんに顕著なんですけど、朗読されるセリフに息つぎのブレスが入りまくるところです。これって本来は編集で消すべきなのか、話し手がブレスの瞬間にマイクを外すべきなのか、どっちが正解なんでしょうか?(旧エヴァ第弐拾弐話のビデオフォーマット版で、「時計の針は元へは戻らない」というゲンドウの台詞の直後に、本放送版ではなかったかなり大きめの息を吸いこむ音が収録されていて、演出意図なのか消し忘れなのかわからず延々と悩んでいたのを、いま思いだしました) 最後に、中華サイファイから理論物理学へと連想ゲームを飛躍させた近況報告で終わります。以前、ピーター・ウォイトのブログを週イチでチェックしていることをお伝えしましたが、あれだけ厳しく弦理論をとりまく状況を批判しておきながら、リジェクトされた論文未満の万物理論に関するアイデアを科学誌のインタビューで得々と語ってしまい、ストリングスの専門家と同じ不健全さでマスコミを利用しているとブログのコメント欄が炎上していることに、満面の笑みを浮かべております。もっとも冷静かつ論理的であらねばならない理系分野のテニュアどもが、ほとんど2ちゃんねるやツイッターみたいなレスバトルをくりひろげている様子を極東の観客席から眺めるのは、(ビールの泡を白ヒゲに、破顔して)本ッ当に最高の娯楽ですね!

雑文「STARRAIL SENSATION(近況報告2023.10.26)」

 崩壊スターレイル、PS5版の登場による実装分を最後までクリア。以前、「西洋のSFは空間の横軸的な広がりを志向するのに対して、東洋のSFは時間の縦軸的な経過を志向する」と指摘しましたけど、新キャラの専用イベントを通じて、その確信はますます強まりました。さらに、ファンガスの記述するFGOが「生命の一回性を通じて、人間讃歌をうたう」一方で、崩スタは一貫して「不死は呪いである」と繰り返すことで「定命である尊さ」を逆説的に浮きあがらせることに成功しているのです。メインストーリー部分では現在、ロシアと中国をモチーフにした2つの惑星が実装されていて、中華人民とその歴史を魅力的に語るーー皮肉ではないーー段階をようやく終えて、今回は3つ目の惑星へと旅立つまでの幕間が描かれたのですが、いまを生きる人々が読むべき緊張感をはらんだ内容となっています。幹部たちが2つ名で呼びあうカンパニーなるアメリカ(の企業体)相当の組織が登場し、先祖の残した数百年前の借金をカタにロシアへ主権を売りわたすよう詰めより、その代わりに極寒の大地をテラフォーミングでかつての温暖な気候に変えてやると迫る。若い君主が国体の維持と国民の幸福を天秤にかけられて苦悩する中、日本人・中国人・ドイツ人・異星人から構成される「列車組」ーー武力介入しまくるので、国連というよりは「沈黙の艦隊」的な存在ーーが両者の調停に立ちあがる……どうです、そこの未プレイ組のアナタ、読みたくなってきたでしょ?

 パッと見は、美少女・美青年を美麗に彫刻する超絶3Dモデルの「萌えゲー」なのに、ほんの一皮をめくれば現代の世相に対して、かなりハードに接近した物語になっている。そして、すべての組織のメンツをつぶさないまま、「絶対悪」を想定しない解決を語りきる手腕は、もう脱帽という他ありません。まさに、ホヨバの企業理念である”Tecn Otakus Save the World.”を、絵空事ではなく実践してやるんだという気概が、ビンビンに伝わってくるのです。かつて栗本薫が好んで使った「飢えた子どもの前で、文学は有効なのか?」という問いに、彼らは「少なくとも、私たちは有効だと信じている」と歯を食いしばりながら答えるだろうと信じさせてくれる。この、創作物を用いて現実と真正面から対峙する「意気と視点の高さ」は近年、界隈において見つけるのが難しくなってしまったものでもあります。そして、これだけ今日的に重要な課題に取り組んでいるにも関わらず、崩スタにせよ、原神にせよ、本邦において批評的な言説の俎上にのぼるどころか、ほとんど感想をさえ見かけません。今回の幕間劇は、「どれだけキレイごとをならべても、最後の解決は暴力によって行われる」という矛盾、すなわちJRPGというシステムの宿痾に対して、アンサーを与えるべく苦心しているようにも見えるし、かつてのエロゲー全盛期に存在した「傍流に一流が集結する」、あの梁山泊的な熱気が吹きあがっていて、現在進行形で追いかけるべきゲームであることを、強く感じさせてくれます。

 古いオタクたちは、16bitセンセーションなる「初老男性の懐古的な自分語り」を目的とした昭和の談話室に引きこもるのはやめて、令和の不愉快な黒船である崩壊スターレイルをこそプレイするべきだと、ここに断言しておきましょう。ゲイカ、あっちのアニメの制作者インタビューにもイヤイヤ目を通しましたけど、どうしたらあの本編からこの内容が出てくるんだという感じの、コンサルそっくりの語り口になっていて、「いやー、豪華なパワポやねえ」というのが、商材の実際を見てしまった者のいつわらざる感想でした。「どんなガラクタでも売ってみせますよ」というのは、居酒屋で放言する個人の自負としてはけっこうなことですが、企業としては魅力的な製品を作っていただくことが、まずもって先決ではないでしょうか、知らんけど。その点、ホヨバさんの商品はどれもこれも生地と縫製がしっかりした(て)はるわー。今後も贔屓にさせてもらいますさかい、あんじょうよろしゅうお願いします。

雑文「STARRAIL, DIABLO4, OTAKU-ELF and KYLIELIGHT(近況報告2023.6.9)」

 崩壊スターレイル、最新イベント「パンクロード精神」を最後まで読む。正直なところ、ログボ取得とデイリー消化の、所謂「ボイド・ターム」が続いていたため、ほとんど視界から消えかけていたのですが、心のファイヤーが再び着火されたことをお伝えしておきます。いやー、やっぱり億単位のユーザーを相手にする会社はちがいますねえ! いまの自分が奪われたらもっともダメージのあるものが何かと問われれば、やっぱりあちこちに課金したゲームのアカウントなので解決編に納得感があるし、何よりこのシナリオにはアホがひとりも登場しないのがいい。原神もそうですけど、膨大な数のプレイヤーにはあらゆる属性の人間が含まれるわけで、そのだれひとりをも軽んじないシナリオというのは、もはや世界を相手にするメーカーにとっては、必須とも言える要件なわけです。不興を買った1名が毎月数千万ドルを課金するアラブの王族だって可能性も、冗談ではなくあるわけですからね! また、新たな固有名詞によって明かされる世界観がほんの氷山の一角に過ぎず、まさに宇宙レベルの広がりを想像させてくれるライティングもすばらしい。どこぞの死ネヴァーー*おおっと、ミスタイプ!*ーーみたいに、世界はベニヤ板の書き割りでキャラは還暦オヤジが裏声のゴッコ遊びで演じわけてるような、ペラッペラの情けない土人サイファイとは格の違いを感じますね! 崩スタ、原神ほどはプレイあたりのカロリーが高くないーーある程度まで進めたあとは、週日10分週末1時間くらいでOKーーので、ぜひ体験しておくことをオススメします。

 ついでにディアブロ4の近況報告もしておきますと、サブシナリオで各地をウロウロしているだけでレベル40台も半ばに近づき、そろそろメインストーリーを進めようかと着手したら、レベルと装備は充分なはずなのに、節目節目のボス戦でなかなか勝てない。説明しておくと、手持ちのポーションが何個かあって、ボスの5目盛りほどのライフゲージを1目盛り削るたびに、新たなポーションが2つ落ちる仕様なのね。そして、ボスはプレイヤーのライフを半分以上フッとばす必殺攻撃をときどき放ってきて、ボス戦以外ではほぼ使わない新アクションならぬ死にアクションのダッシューー無敵時間もないのに長めのクールタイムはある、なんとなくの思いつきで入れたポンコツーーでぜんぶ回避する必要があんの。あのさあ、ディアブロにアクション要素なんてビタイチいらねーんだよ! 反射神経の衰えたアルコール・ソークト脳なミドルエイジでも、コツコツ装備を集めればやがてどんな難敵にも余裕をもって勝てるっていう爽快感が、ハクスラ最大の売りじゃねーか! なんで偉大なジャンルの創始者がその面白さの本質を理解せずに、わざわざゲームの間口を狭めにいってんだよ! 大味なマウス操作でボスの攻撃の狭い隙間をぬっての回避なんて、できるわけねーだろうがよ! ここだけゲーム性がファミコン時代のアクションか、昔のイース・シリーズみたいになってんだよ! オレがなりきりたいのはバーバリアンであって、アドル・クリスティンじゃねーんだよ! ボス戦だけまんま3のクソさを継承してて、「ディアブロ2に似てる」なんて言ったオレがバカみてーじゃねえか! 「キチンと成長させれば、どんな強敵にも余裕をもって勝てる」っていう、ホヨバのバランス調整を見習えよ! いちばんカネを余らせてる世代の親指5本ブッチャーに不快なゲーム体験を与えて、いったいどうしようってんだよ! Buriza-Do社のエイジ・ハラスメント、最低や!

 あと、ディアブロ4のオトモに話題の江戸前エルフを再生したけど、昭和生まれの独居オタクをねらいうちにしたレトロなキャラデザと内容で、メチャクチャおもしれえじゃねーか! 生まれ落ちた性別を捨てて不老不死となり、世話をしてくれる美少女たちを衰えた性欲から孫子に向ける視線で愛で、スのままの自分をいっさい変えずに近隣住民と地域社会へ受け入れられるーーまさに初老オタクにとってのトリプル数え役満、男性版ハーレクイン・ロマンスな盛り盛りの願望充足器ぶりには、画面の前で思わず「すげえ!」と感嘆の声がほとばしりでちまったほどだぜ! 願望充足器で思い出したけど、オイ、目をそらしてんじゃねーぞ! オマエのことを言ってんだよ、FGOサンよ! 全サーバントの中でもっとも絆レベルの低い薄情な盾女(箱男の文化的対偶)の宝具を、見えないところでしれっと強化してるんじゃあないぞ! ここまで何年も何年も、さんざんっぱら引っ張りに引っ張っておいて、昔からのファンであればあるほど絆レベル上限解放にあわせて、第2部終章あたりでシナリオと連動した宝具強化をするんだろうと、ジリジリしながら待ってたはずなんだよ! 「いつまでも宝具スキップの実装を許さない、ファンガスの意固地なまでのスタボーンネス」にしても、その偏執狂的なまでのこだわりがシナリオのクオリティにつながってることをみんなわかってるからこそ、生あたたかい微笑で見守ってきたんじゃねーか! 建て増しと耐震補強でなんとか持たせている古臭いアプリを皆が見離さずにいる理由として、「ストーリーテリングにおける手抜きの無さ」の他に何があるってんだよ! よりにもよってその、いちばん裏切っちゃならねえファンの信頼の部分を裏切りやがって! 怒りすぎて血管の強度が心配になってきたのでこのくらいにしておくが、後付けでもかまわないから納得のいく行間の補完をしろよ……しろよ!(まあ、本当に怖いのは「ファンガスが事故や大病で、いま現場のジャッジをできない状態にある」ことなんですが、関係者のみなさん、大丈夫ですよね?)

ゲーム「FGOリリムハーロット」感想

 崩壊スターレイルの合間に、FGOの最新イベントを読む。アーケード版は未プレイであり、物語の背景はよくわかりませんが、すべてファンガスの筆なのでたいへん気持ちよく読めました。しばらく翻訳ダラダラ長文ばかり読んでいたので、日本語ネイティブの達人による各単語の定義がカチッと決まった畳みかける短文は、まるでぼやけていた視界のピントをしぼられるようで、少し背筋の伸びる感じがあります。しかしながら、PSP版エクストラ?の世界観について、かけた労力と思い入れに比して満足な反応を得られていないと感じているのでしょうか、FGOを含めて何度も何度も再話されるのには、いささか食傷ぎみなことも事実です。特にこのネロ・クラウディウスというキャラクターは、ファンガスにとっての惣流・アスカ・ラングレーに相当しており、作り手の思い入れが観客のそれを凌駕してしまっている点でも共通しています。また、第1部終章における人類悪の概念は文学方向にもっと普遍的な解釈を許すものでしたが、その候補者たちがすべて出そろったいま、結果としてFate世界におけるキャラクターの話になってしまったのは、非常に残念なところです(「人類悪は人類愛」なるスットコドッコイの定義も、Fate世界の神であるファンガスによって明言されてしまった)。

 崩スタは第2章の公開されているところまでストーリーを進めましたが、「不老不死を終わらせるため、非人間的な概念に近い神を殺すことを目途として、宇宙を彷徨う船団」という設定と展開には、ひさしぶりに背筋がゾクゾクしました。もしかすると、「神が人の知恵と言語で定義できる内面を持つべきではない」というのは、かつてラブクラフトやムアコックを愛好したがゆえの、抜きがたい「刷り込み」となっているような気がします。ドラコーの内面を記述するテキストの見事さに嘆息しながらも、書かれている内容へ共鳴する部分が少なかったのは、個人的に「泣いている子ども」の話はもういいかなと思いはじめているからでしょう。その一方で、毎夜アルコールを入れつつ推しの子のミュージック・ビデオを見てはらはらと落涙しており、もしかするとこれは「愛されること」から「愛すること」へとうの昔に視点が移動していた事実に、ようやく気づかされたゆえなのかもしれません(ちなみに、第2話以降のサスペンスには、やはり関心が持てませんでした)。

 あとさー、今回のイベントに「きれいはきたない、きたないはきれい」ってフレーズが出てくるんだけど……貴様ッ、見ているなッ(星マークの刺青)! もちろん、シェイクスピアからの引用だってことは百も承知だけど、そう考えたってしょうがないじゃん! 昔っから小鳥猊下って無名なのをいいことに、エロゲ作家とか、ラノベ作家とか、純文学作家とかから、無断で引用されまくってるんだもん! 最近、AI絵師が商業絵師にオリジナルであることを否定されて暴れてる様子がタイムラインに流れてきたけど、なんだか気持ちはわかるって思っちゃったなー。クリエイター職の人って、非クリエイター職の人に対して、ときどきビックリするほど冷淡なことありません? それも、他の職種からは決して感じないレベルの、かつての地域差別に近いようなトーンなのです。あの感情って、いったいどこから来てるんでしょうね?

 それと、原神の新しい伝説任務を読みましたけれど、これってほとんど「Kの一族」の話じゃないですか? 来たる鍾離先生ピックアップのためにコツコツ貯めていた石をぜんぶ使って、白朮先生を引くハメになったことを最後にお伝えしておきます。原神って、「永遠の否定」をテーマとして強く押しだしているので、この人がラスボスでもおかしくない感じ、出てきちゃったなー。

 FGOの新イベントに関する感想をつぶやいたら、半日もしないうちに2名ほどの匿名オタク(or本人)が現れて、「特にキミのファンでもないんだが、ふだんあまりゲームもしないんだが、ファンガスが書いたというのは事実誤認なんだが? リリムハーロットはスチールアロー刃の手によるものなんだが?」と中指で眼鏡を押しあげながら、一方的に宣言して去ってゆかれました。わざわざご指摘いただき、誠にありがとうございます。余計なお世話なんだよ、テメーら! テキスト嚥下障害のあるウチのオジキがちゃんと飲みくだせて症状も緩和されてんだから、だれが書いたものだろうと何の問題もねーじゃねーか! それをプラセボだのジェネリックだの、いちいち小うるせーんだよ! 気になって調べてみたらよ、スチールアロー刃が所属していた良く効く心臓病の薬みたいな名前の会社は、オレがインターネット便所壁へと上梓した「慟哭ゲー」の内容を剽窃するエロゲーを、贄の刻印の如く明白なエア・マルシーを無視して、強引に発売へと踏み切ったところじゃねーか! 「ヒロインを選択する際の一回性」や「USBイコール小型HDが販売メディア」というクリティカルな部分のアイデアをシレッとパクりやがって! まどマギのライターからニチャッと横目で社内回覧されたんだろうが、オマージュならオマージュでぜんぜんかまわねえから、元ネタにはキチンと言及して敬意をもって紹介しろよ! なんでリアルにくらべてネットでのオレの扱いは、いつもいつもこんなにぞんざいなんだYoYoYoYoYoYoYoYo, Yo Men! コイツらもじっさいに会ったら、どうせ「昔から読んでました」とか「あまりに恐れ多くて」とか言うんだろうけど、そんな身銭を切らないオツイショーはもうビタイチいらねーんだよ! 初対面での親しみやすさと距離感が最接近状態で、その後はどんどん出ッ歯ムーンウォークで遠ざかっていく系のオタクを救えるのは、現世のオーソリティであるキサマらだけなんだよ! 遠巻きに後頭部へ片手を当てて会釈してないで、ただただオレのテキストに現世の利益を誘導してくれよ! この度は、ご指摘ありがとうございました。真摯に受け止めて、次へ生かしたいと思います。

雑文「GENSHINとSTARRAIL(近況報告2023.5.3)」

 崩壊スターレイル、第1章クリア。シリアスのテキストは原神に軍配が上がりますが、ギャグ・小ネタ・設定のテキストはこちらの方が好みです。そうそう、また冒頭から盛大にレイルを外れますが、原神の最新イベントはまさにそのシナリオが持つ魅力を臨界にまで凝縮した内容でしたね! 崩スタの終始ツッコミ不在の感じに比べて、パイモンの狂言回しとしての優秀さもあらためて理解できました。「性格は運命になる」ーーボーイズ・ラブにおわせの目的で唐突に投げこまれたように思えた「CLAMP型金髪美青年」がここまで大化けに化けるとは本当に、想像だにしていなかったです。これだけ多くのキャラを動かしながら、NPCを含めてだれひとりとして下げずに語りきるのは、原神の特筆すべき美点と言えるでしょう。余韻としての後日談は「かゆいところ」をあらかじめマッピングして、ひとつも余さず順にかゆみを消していったばかりか、「失われた手紙」という将来への伏線までキッチリと用意されているのは、もう脱帽という他ありません。本邦における近年の創作界隈で特に顕著な、「特定のキャラをアホか悪役にして、主人公が作者の化身となってそれを一方的に断罪してスカッとする」作品群が、いかに精神的な未成熟から発したものであるかを、原神の成熟は教えてくれます。

 さて、強引に崩スタのギャグ・小ネタ・設定の方へとレイルを戻しますが、特にゴミ箱とか公衆電話とか、街の設置物を調べることによって次第に明らかとなる主人公の狂気じみた内面(ピエロ方向)は、本作のユニークな見どころだと言えるでしょう。皆さんの感想を読みたくて、ツイート検索しようとしたらサジェストに「微妙」というワードが出現し、「おッ、キッズ諸君、元気にやっとるねえ!」と愉快な気持ちになりました。確かにこのゲーム、プレイ入口の手触りはJRPGの窮屈さを完璧に擬態しながら、それ以外すべての要素が湯水の如く金銭を投じたハイパーさという異常な作り方になっているので、本質を見抜くにはある程度まで長く触ることが必要でしょう。繰り返しになりますが、この世界観を原神のマップとアクションで再現「できる」のに、あえてそれを「しない」選択が意識的になされているのが、おそろしいのです。例えるなら、歩行の不自由なヒョロガリ(JRPG)がよろめいて転倒するのを、筋肉質の大男が指さしてゲラゲラ笑っていると思った次の瞬間、そのマッチョは真顔になって五体投地から額を地面に擦りつけ、ウラナリ(JRPG)を伏し拝み始めるみたいな異様さが、全編にわたって横溢している。また、模擬宇宙を始めとするテキストにかつてのゲームブックを想起させるものが多くあり、「ファミコン世代の生き残りが、人生におけるアナログとデジタル双方のゲーム体験をふりかえりながら、JRPGの衰退を歴史的な文脈で鳥瞰する」ときに、本作の面白さは最大化される気がします(私だけ?)。

 あと、課金をためらわせないためにプレイヤーへ与える納得として、なにが最も重要だと思います? ワクワクするストーリー? 魅力的なキャラクター? 高精彩なグラフィック? 戦略性にあふれたバトル? いやいや、正解は「自分の興味が無くなるまでは、サービスの継続が約束されていること」です。崩スタは、少なくとも6年先までの運営とアップデートが明言されており、加えて原神の世界的な成功がその実現性を担保しているのです。本邦のスマホゲーの多くが大陸と半島に負け続けている理由がまさにこれで、調子のいいときはエコノミック・アニマル的な下品さが全面に出てくる一方で、いったん負けがこんでくると敗北の受忍を「引き際の潔さ」に読みかえた破滅を、逍遥と受け入れる傾向が我々の根っこに横たわっている。それは、彼らの「生き汚なさ」と真逆の位置にあるモーメントで、単なる資金繰りや経営の話がいつのまにか哲学や美意識の話へとすりかわってしまう(そして、負ける)。

 さて、最後に再び大脱線した話を元のレイルへと戻して終わります。原神のアクションをタッチパネルでプレイすることは、親指5本の中年にとって文字通りの「無理ゲー」でしたが、崩スタはコマンド制なので切迫的なアクション要素がなく、外出先でのスマホプレイに向いている点がすばらしいです。それとよく見ると、「崩壊スターレイル」のタイトルロゴのデザインが、まんまファイナルファンタジーなのは笑いました。あのな、キミたちのレスペクト、ちょっと重ためのメンヘラ片想いみたいになっとるで? 悪いけど、ウチ(以下、語尾あがり)らにはもう、そんなふうに想ってもらう資格なんかないねん……だって、ウチらは、ウチらは……ヤリーロ・セックス(韜晦帝翁真君)!

ゲーム「崩壊スターレイル」感想

 崩壊スターレイル、シアタールームで現世を遮断して、どっぷりと10時間ほどプレイした感想を書きます。冒頭から脱線ーーレイルだけにな、ってやかましいわーーさせていただきますと、日本ファルコムの株主総会に毎年参加する謎の中国人が、原神の制作会社社員だったという話をどこかで読みました。PCエンジン版の初代英雄伝説(アグニージャ!)をくるったように周回ーーハイ・レスポンスの快作だったので、周回数だけなら月風魔伝を越えるかもしれないーーし、その後リリースされた風の伝説ザナドゥの1と2は私の中でかなり神格化されている作品です。そこからしばらくは疎遠となり、ひさしぶりに軌跡シリーズの零と碧をプレイして、老いた会社が老いたファンより細々と集金するための装置である「終わらない物語」のにおいを嗅ぎとり、離れてしまったユーザーでもあります。最近、ゲーマーとしての「老い」を実感したのは、原神のアンケートで生年月日を選択する項目に「1980年以前」の表記を見たときです。いまや昭和は我々にとっての明治くらいなんだなと、とても愉快な気分になったのを覚えています。本邦のロールプレイングゲーム、いわゆるJRPGの現在位置を赤裸々に示す作品としては、ソウルハッカーズ2が挙げられるでしょう。あらかじめプレイしておくと、本作と比してのフリーフォール級の落差を実感できると思います。

 長い前置きでしたが、崩スタ(天理スタミナラーメンの略称みてえ)は戦闘とマップをのぞくと、システム部分はほぼ原神のそれを踏襲しています(課金や育成まわりのギミックも同じ)。しかしながら、もっとも注目すべき点は戦闘とマップの仕様であり、まずもってこの令和の御代に、いまをときめくゲーム会社が、わざわざ古臭いターン制コマンドバトルを持ってきたのは、純粋な驚きだと言えるでしょう。ぜひ、ソウルハッカーズ2で最も作りこまれているリンゴたんの動きと比較してほしいのですが、「前進してなぐって、元の位置にバックジャンプ」をあざわらうかのように、本作では個体毎に違うモーションを与えられたキャラたちが、超絶的なカメラワークでギュンギュンと動きまくります。リリース直後にもかかわらず、すでに20体以上はいるプレイアブルキャラのどれもが、ハッカーズ主役チーム4体のうち、最も作りこまれているはずのリンゴたんをはるかに凌駕する仕上がりなのです(当然、戦闘だけでなく移動用のモデルも用意されている)。

 次にマップですが、細かくエリア毎に区切られているばかりか、エリアの終端を表すラインがご丁寧に空中へ明示されており、エリア間の移動にはロード時間が伴います。さらにジャンプの機能は実装されておらず、わずかの段差も徒歩で乗り越えることはできません。まるでどこぞのJRPGのようですけど、いいですか、原神のマップを作れる技術力の会社がね、これをシームレスで自由に上下へ動き回れるようにできないはずがないんですよ! リワードのひとつに「オープンじゃないワールド」って揶揄があるんですけど、本邦の技術力の無さから逆算された窮屈な仕様を面白がりながらも、コイツら「敬意をもって」わざと模倣してやがるんです! これを例えるなら、両手両足を縄でしばったフルチンのスイマーが全日本選手権に現れ、まったくふざけた泳法で全種目の日本記録を塗りかえていくようなもんですよ! しかも、それぞれで10秒以上を短縮しながら! 馬鹿にされてるならまだ戦いようもありますが、停滞したJRPGの「破れたズボンの膝に色のちがうパッチを当てる」がごとき貧乏くささを「尊敬」して、自らをダウングレードしてまで目線を下げて、わざわざ我々のレベルにまで「降りて」きてくれているんです! 原神のときは「まさか、負けるのか! このオレ様が!」とひどくうろたえる感じがありましたが、崩スタでは余裕に満ちた強者の手加減を目の当たりにして「ああ、俺たち、負けるんだなあ……」という脱力感にも似たあきらめを覚えます。

 半ば虚脱状態のまま続けますが、ゲーム導入部の印象としては、スレイヤーズ!の作者が書いていたSF作品(名前は忘れた)をなぜか思い出しました。そして、中国哲学を宇宙の成り立ちに敷衍した「神々と世界の謎」は、膨大なテキスト量で深い考察を許してくれます。さらに、星神たちの設定にはクトゥルフ神話やゴッドハンドの狂気を連想するものがあり、「1惑星1物語」の展開はデュマレスト・サーガを彷彿とさせます。これが軌跡シリーズなら、惑星ごとに作品が分割販売され、後から来た者たちが見たらとっちらかった順序に、追いかける気をなくすことでしょう。「いや、20作品あるけど、ホニャララ編だけでも面白いから!」と熱弁されても、いまさらメンドくさい古参からウザがらみされるためのニワカになる気は起きません。

 ワンパッケージでどの時期から参入しても混乱なくストーリーを追うことができ、潤沢な課金で制作費をまかないながらどんどん世界を拡張していくクリエイティブの永久機関とも呼ぶべきこの仕組みを、なぜ本邦において日本ファルコムあたりが構築できなかったのか、心の底から残念でなりません。もしかすると、最初期の哲学なき拙劣な課金ゲームーー「ボクたち、任天堂の倒し方を知ってますよ」ーーへの嫌悪感のせいで、それを自分たちの「芸術品」と合体させるという発想から遠ざけられてしまったことが原因なのでしょうか。そんな「あいのこ(ラブ・チャイルドの意)」には、家名を継がせられないと考えたのかもしれません。結局、我々はどの業界においても、たとえ滅びてゆくとしてさえ、我々の本性を形づくる「潔癖さ」と心中する他に道はないのでしょう。

 あと、古くからの読者は知っていると思いますが、小鳥猊下の誕生日は3月7日って設定なんですよねー。崩スタの「三月なのか」ってキャラ、え、あれれ、もしかしてそうなの? いやー、まいっちゃうなー、本邦の気難しい中年オタク層にテキストで原神をエヴァンゲルしたのは確かだけど、その功績がホヨバに認められたのかなー、こいつはとんだハニートラップだなー。正直、ガチャで引いたキャラのほうがぜんぜん強いんだけど、よーし、オジサン、なのチャンをご指名して最後まで育てちゃおうかナ! あッ、崩壊スターレイルの致命的な欠陥を唐突に思い出しました! それはこのキャラの一人称が「ウチ」なのに、語尾さがりで発音するところです! このジャリ、けっこうな頻度でウチウチ連発しよんねんけど、ぜえんぶ語尾さがりになっとうから、関西人のワイはごっつうイラつくねん! こんだけで、パーティから外したろか思うわ! 「ウチ」の発音は語尾あがりがフツウやろがい! 「ウチは日本いち不幸な少女や」やろがい! この件に関してはな、全セリフの再録を求めて徹底的にホヨバと戦っていくで!

 雑文「GENSHINとSTARRAIL(近況報告2023.5.3)」