猫を起こさないように
学校教育
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ドラマ「鈴木先生」感想

 『ねぇ、僕は今こんなことを考え付いたんですがね。僕たちが教育っていっているものはもしかすると単に力の問題でしかないんじゃないかって』

 Huluで鈴木先生のドラマ版見る。こちらから原作へ誘導するには良い出来かと思う。しかしながら、原作にあった「聖と俗の綱引きで、最後にはほんの少しだけ聖が勝る」という絶妙のバランスが崩壊してしまっている。全般的に「実録・中学教師の肉欲」みたいな、「ああ、なんや、聖職者、言うたかて、先生も人間やさかいに、大変どすなあ」みたいな、すごく世間のゴシップ的関心に寄った作りで、原作の魅力を大いに減じていると感じた。混沌に秩序を与える鈴木先生のカリスマ性は後退し、卑俗な独白と妄想ばかりが強調された傍観者に成り果てている。初回放映時はほとんど視聴率が取れなかったと聞いていたので、原作の聖の部分にフォーカスしたもっと舞台演劇ふうのものを想像していただけに、余計にガッカリ感は大きかった。

 だいたいさあ、ワンレンの小川蘇美ってどうなのよ。最も重要な人物の性格設定を完全に無視してるじゃん。彼女がすごく下品な感じがするのも、ドラマ全体の雰囲気にマイナスの影響を与えているなあ、と思った。