猫を起こさないように
ムフェトジーヴァ
ムフェトジーヴァ

ゲーム「MHWI:ムフェトジーヴァ討伐戦」感想

 カンコレから解放された先の週末は、文芸の不自由な例の狩りゲームのレイドイベントやってた。ファースト・インプレッションは、動けるラオシャンロン。全部位破壊の一巡目討伐を目指さないのであれば、野良で適当にプレイしてもクリアできる程よい難易度ーー仕事帰りの深夜にアルコールを入れながらでも死なないのが「程よい難易度」だーーに社畜の小生も思わずニッコリ。ワールドおよびアイスボーンから導入されたアクションとギミックをフル活用させる攻略法には、「ボクの考えたゲームがいちばん最強なんだッ!」と絶叫する製作者の自負が垣間見えるようで微笑ましい。

 ただ、プレイさせる動機の部分でスマホゲーを想起させる焼き畑農業が始まっているのは気にかかった。つまり、新イベントでしか手に入らぬアイテムが、旧来すべてのそれらをしのぐ性能を持たされているという点である。「なァに、下位から上位、上位からマスターへの移行がすでに、サトウキビ畑にする米軍の火炎放射そのものですよ」と言われれば返す言葉は無い。だが、週末を費やして手に入れたショウグンギザミみたいなダサい(でもとても強い)この大剣が遠くない未来にゴミと化すのを想像すると、費やした時間でできただろう人生のよしなしごとを考えて、昏い気持ちにはなる。また、武器強化アイテムの取得だけでも他のモンスターへ分散することによって、遊び方の多様性を維持するという自明すぎる解決を避けるのは、プレイ人口の分母がそれを許さないほどまで減っているのやもしれず、正に焼き畑農業の指摘を裏打ちする。

 しかしながら、これらの述懐はすべて精神薄弱に起因した繰り言、本イベントの素晴らしさにとって些末事と言える。赤い巨竜とのバトルは、いまは顧みられることのない多くの海外ファンタジー小説たちを読んでいたとき、我が脳内に繰り広げられた妄想と驚くほどに合致している。男一匹が抜き身を引っさげ、スターウォーズ3の「運命の戦い」を想起させる甲高い男声の宗教コーラスが響き渡る中、巨大なレッドドラゴンに挑みかかるーーこれはシンプルに、当世風に言うならば「ぶちアガる」のだ!

 あとねー、フェムト・ジーヴァって名前がいいよねー、「戦いの刹那」って感じで……って、あれ? ムフェト? ムフェトなの? みなさまご高覧あれ……文芸のみならず、固有名詞のセンスにも不自由する始末でございます……!!