ゴジラSP、最終話まで見終わった。感想としては、「ワンクール13話のアニメで最終話だけがつまらない。でもいいじゃないですか、12話までは毎回楽しませてくれたんだから、最後くらいつまらなくたって」。あれだけ両手がもげるくらいの大絶賛を毎週くりかえしていた理系クラスタの方々がモニョってるというか、トーンダウンしてる理由がわかりました。家人にすすめず、ひとりで視聴して正解だったと胸をなでおろしております。「監督の仕事に必要なのは、OKかNGを出すだけ」「アングルさえ決まれば映画になる」で大失敗したシンエヴァになぞらえて本作を評するならば、「科学と数学の専門用語と古典からの引用を並べておけばSFになる」「ゴジラ作品に必要なのは、歴代シリーズとジェットジャガーへの愛だけ」となりましょうか。観客席で皆が固唾をのんで見守る中、ラスト10分、原理不明のまま巨大化したジェットジャガーがゴジラの顔面にプロレスばりのトーキックを食らわせた瞬間、ゴジラクラスタは席から立ちあがっての大喝采、理系クラスタは背もたれに深く身を沈みこませての大落胆、はたで見てる非ゴジラファンの文系としては、この上ない愉悦のショウタイムでした。特撮モノとしてはキレイにオチたけど、サイファイとしては飛翔しませんでしたね。ネビュラ賞は難しいかもしれません(日本SF大賞ならヨユー)。そして、ずっとラインだけのやりとりだった男女が、物語の最後の最後で顔を合わせるんですけど、駆け寄るでも肉声を交わすでもなく、距離を置いて黙ったままニヤッと口の端を歪めるの、最高に理系って感じがしました。他人の不幸は蜜の味ではないですが、よりもいで咽頭に詰まったままだった溜飲が大いに下がったことは認めざるをえません。あと、シンエヴァ公開直前と直後の私の反応も、こんなふうに楽しまれていたんだろうなーと思いました。
ゴジラSP、1話と13話を見返したけど、すげーわ。物語の全長を100%とすると、96%くらいまでハードSFを擬態し続けて、最後の最後で「サイファイだと思った? キャハハ、ざーんねん、トクサツでしたー! ジェットジャガーだいすきー!」とか叫びながら、白衣の腺病質のみぞおちに鉄板入りの革靴でナガブチキックねじこんでくる感じ。この展開が正のカタルシスになるか負のカタルシスになるかは、完全に視聴する側の属性に依るという作りになってて、どこまで意図的かはわからないけど、すげーわ。