猫を起こさないように
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ゲーム「ドラゴンクエスト7」感想

 おたくの貴様らは相も変わらず俺様というネット乞食の再三再四にわたる哀願を積極的にネグレクトしながら、連休中は”トランキライザー、食え・食え!”のシリーズ第7作リメイク版を遊戯しておるというのか! 旧作からすでに12年が経過しているという事実に、慄然とせざるを得ない! ときに貴様らは時間経過の体感的な速さを表現するときに「スタンド攻撃がうんたらかんたら」と呪文を唱えるが、あれは何を意味しておるのか! 外タレコンサート最前列において、マイクスタンドの重くて固いほうでしたたかに後頭部を強打された結果の法悦的な失神体験を表現しておるのか! ともあれ、小鳥猊下アズ・ノウン・アズ萌え画像乞食の過去の栄光を貴様らにリマインド・オブさせるため、今日はこれを下賜しておこう!

 『俺たちは死ぬまで同性愛だぜ!』(7の重篤なネタバレ)

 シンボルエンカウントなのにランダムエンカウント以上の回数バトルを強いられるという矛盾! 小鳥猊下であるッ! トラ喰え7プレイなうだが、ダンジョンの敵配置がものっそヤらしい! 例えるなら、「北斗神拳継承者の動きは無意識的に北斗七星の形をなぞるから、北斗七星と同じ位置に石の柱を置いてみたら、すっごいぶつかってくれた」くらいの逆死葬感であるッ! なに考えてんだコラ! 俺にケンカ売ってんのか!

 大人になってはじめて気づくキーファのクズっぷり(挨拶)! 小鳥猊下@ドラクエ7であるッ! ときに、この伴天連多淫デイにあわせて淫らなトップ画像を寄贈する気配すら見せぬとは、貴様らは俺を愚弄しておるのか! ダズ・ユア・プッシー・スメル・ライク・チョコ・ファウンテン? 貴様らは直ちにリボンで緊縛された褐色の少女をーーあッ、チクショウ、固まりやがった! この野郎、突発的なフリーズまで忠実に移植しやがって! 社畜の平日から一時間を奪うことがどれほど罪深いか、わかってんのか! ノー・ノー! イット・スメルス・ライク・ブルーチーズ! あめゆじゆとてちて賢者(ドラクエ脳)! 小鳥猊下だったッ!

 パンチラ見えないし(天地雷鳴士)! 小鳥猊下であるッ! ドラクエ7を社畜プレイ中だが、進行するにつれ、当時のことが色々と脳裏によみがえってくる。昔のゲームを再びプレイすることで呼び覚まされる記憶や感情を題材にした現代版の「失われた時を求めて」が書かれれば、かなりの共感を得るのではないかと確信するほどである。 おお、またコンサル料が発生するような大ネタをツッタイーに無償提供してしまったわい! カミさんにもよく叱られるが、気前の良いところがワシの悪いところでもあってな、グハハ!

 で、ドラクエ7の感想に話を戻す。制作側がこれまでのドラクエシリーズからなんとか脱皮しようと苦しみ、その試みのことごとくが過去作を規定した”ドラクエなるもの”に絡めとられてしまった印象を受けた。ポートピア連続殺人事件の昔とまごうフラグ立てのお使いに奔走したかと思えば強制敗北に次ぐ強制敗北、起こる悲劇をただただ傍観し続けるだけのストーリーに、世界を救う勇者の爽快感は残されていない。さらに、本作の主人公たちは総じて魅力に乏しく、過去のシリーズで登場したキャラクターたちに及ぶべくもない。例えば会心率のブッ壊れた姫とか、即死呪文を連発する回復しない僧侶とか、ゲームキャラクターの持つ魅力が他のフィクションと異なるのは、システム面での数値的な特徴とそれが相乗効果をなす点だろう。本作の転職システムにおいて、主人公キャラクターたちは成長するほどにのっぺりと、一様な無個性の数値へと近づいていく。ゲームキャラクターとしての魅力を喪失させるために成長させなければならない苦痛は、哲学的な命題をさえ提起している。ツンデレの走りと言われたマリベルでさえ、悲劇を描く目的でする意地の悪いテキストライティングが逆説的に機能しただけであり、ゲームキャラクターとしての魅力は皆無と言えよう。実のところ、ドラクエ9と10もこの過ちを正そうとはしておらず、新しいデザイナーの好みというか、性癖というか、もはや疾患を疑うレベルの意固地さである。

 閑話休題。延期に次ぐ延期、さんざん気を持たせたことが理由の400万本、最も売れたドラクエはシリーズ中で最も低いクオリティを露呈し、結果として盛大なネガティブキャンペーンとなって、ドラクエブランドの失墜を印象づけた。当時はファイナルファンタジーが元気だったから、尚更だった。そう言えば、発表が延期になったことで期待が高まって過去最高の売上を記録し、それが同時にマイナスの宣伝となってブランドを失墜させたシリーズ物が最近あったなー、なんだったかなーと考えていたら、エヴァQだった。

 ときに良い大人の諸君、現実でのツンデレはヒステリーの一種だ! 人間ってのは年齢を重ねれば重ねるほど、性格のマイナス部分だけがどんどん強調されていく! マリベルな、ありゃ五十を超えると大変なことになると見たね! くれぐれもフィクションの甘い魅力に騙されて、性格の起伏の激しい異性と結婚したりするんじゃないぞ! 若い頃は多少つまらなく思えても、気持ちが落ちついていることを最優先に配偶者は選ぶべきだ! ぼくと君との約束だぞ!

 *関係妄想をこじらせて、母親にしか赦してもらえないようなヘイトスピーチをまきちらす多重人格者のアカウントはこちらになります。

 あの、いつもすごくちらかってて、ごめんなさい。わたしたち、なんていうのか、たくさんいるから、まとまらないの。きのう、テレビのCMに毒づいてたのは、ブルーカラーのカズヤ。味つけの濃い料理が好みで、学歴へのコンプレックスからかしら、ときどきああいう発言をするの。ゲームや映画に対してえらそうな批評をしてるのは、大学教授のセレブリャコフ。地方の大学で文芸評論の講座を担当してて、ほんとうは劇作家になりたかったみたい。若者文化とかフィクションにすごくきびしいのはそのせいかも。わたし? わたしは引きこもりのネリ。いつもカーテンをたれこめた部屋にいて、ときどきセレブリャコフにすすめられた作品にふれて、ほんのたまに散文みたいな文章をつぶやいてる。きょうはセレブリャコフがする大きな声の演説はおやすみ。昼間からカズヤとウォトカで酒盛りして、ふたりとも酔いつぶれて眠ってしまったみたい。だから、わたしが少しだけお話するね。

 セレブリャコフにすすめられたドラクエ7をクリアして、きょうほんとうの神さまに会った。今までの神さまは魔王が化けてたんだけど、なんだかすごく、パパのことばかり思いだしてた。禁欲的でガリガリにやせてて、ぜんぶの悪いことを黙って肩がわりしてくれて、そしていつだって正しくて、わたしはずっと、息がつまるような気分でいた。当てつけがましくしないで、わたしはまちがいたいの、じぶんでまちがいたいのって、あのころみたいに叫びたかった。ドラクエ7の世界が不幸に満ち満ちていたのは、ぜったいにこの、イエスキリストみたいな神さまのせいだと思う。

 でも、きょう会ったのは、つまらないギャグばかり連発して、パンツいちまいの下品なおどりが大好きな、赤らがおで小太りの神さま。たくさんのつらいお話ばかりを味わってきたわたしは、なんだか安心で泣きそうになった。ああ、たくさんの悲しみを見てきたけど、この神さまがもどってきてくれたことで、ぜんぶがよくなるんだって、心から思えた。

 ドラクエって、すごい! 西洋のファンタジーのまねごとじゃないの、ぜんぜんちがうの、ドラクエはドラクエなの! おなじ神さまを西洋ふうで描いても、ギリシャ神話みたいな、すごく生々しくて、人のイヤなところを強調したみたいにしかならないと思う。だから、やっぱりドラクエって、すごい!

 あっ、セレブリャコフが起きそうだわ! わたしがここにいたことは、ないしょだからね! じゃあね!

ゲーム「ディアブロ3」感想

 しゃちくのぼくわ、へいじつのゆうがたにディアブロスリーおたのしむフリーメンたちがログインできずにのたうちまわっているとゆうニュースおきいて、むねがスーッとらくになった。しゃちくこそがかちぐみなのだ。

 なんだろう、この、ディアブロ3をプレイしているという事実がもたらす未来感。21世紀を迎えたときでさえ、こんなに未来を感じることはなかったのに。いっそ団塊の世代の、大阪万博くらいの感じだ。

 『砂漠はからっぽ……でも、それはわたしも同じ』

 「近いわ!」「なぜわかる?」「カンよ!(てへぺろ)」 エンチャントレスきゃわわ! エレクトレスの小生も思わずエレクト! 小鳥猊下であるッ!

 これからときどき忘備録として、ディアブロ3への雑感をこのツッタイーa.k.a.言葉のスクラップ工場へ投棄していきたい! イヤなら見るな! イヤなら見るな! アンフォロー・ミー!

 パブリックで手早くクリアして、トレハン作業に移行しようと思っていたが、開始一時間ほどで考えを改めた。少なくともマルチプレイの早い展開で、ストーリーや膨大なテキストを追いきれるほどの英語力は持っていない。この手のゲームで勤め人がどれだけ余暇や睡眠時間を削ろうとも、先頭を走ることが不可能なのは痛いほどわかっている。なので、難易度ノーマルは世界観を味わうことを中心に、まずはソロでゆっくり進めようと決めた。

 オリジナルスタッフがいないせいだろう、ディアブロシリーズの固有名詞をちりばめた、ファンジンを思わせるストーリー展開に最初は辟易したが、ACT2の中盤当たりからグッと面白くなってきた。加えて、数多く用意されたNPCとの掛け合いがすごく楽しい。楽しいだけではなく、ときどき考えさせられる内容もある。スカイリムも悪くないが、擬似にせよ、2D見下ろし型のRPGは世代的にひどくしっくりくる。一人称視点はリアルさの追求には最適だけれど、意識の拡張がない。例えば一流のスポーツ選手に訪れるような、世界を完全に把握する俯瞰の瞬間がない。古臭いの一言で一蹴されようと、私は哲学的鳥瞰、超越体験を与えてくれる2D見下ろし型が好きだ。

 ともあれ現在、クリア前の私がこのゲームに関して最も強く言えることは、エンチャントレスきゃわわ! 外人の声優の演技に“萌え”を感じるのは、じつに新鮮なエクスペリエンス、デース!

 『お前の言う、空虚について聞かせてくれるか』

 『わたしの心には失われた部分があるわ。けど、どこか頭の片隅には残っていて……ただ、手が届かないだけ』

 『私は空の器たろうと、肉体と精神を無にしようと努めてきた……だが、お前の言う空虚は私のそれとは違うようだな』

 小鳥猊下がACT4に到達。「すげえ! ゴッドサイダーみてえ!」

 ディアブロ3雑感。「ガビーン! 7つの悪魔が1つになって、すっかり倒しやすくなっとるー!」

 ディアブロ3雑感。「人間化したティラエルを黒人として描いたのは、マイノリティ優遇が逆差別をもたらす米国の歪みの現れ。なーんちゃって。てへ」

 小鳥猊下がナイトメア進行中。「なにこのインフレ! ドラゴンボールみてえ!」

 小鳥猊下のモンクが地獄で立往生。「装備が整うまで高難易度における前衛職は、言わばニガリをうたない豆腐、高温下でのバター……!! 最初のキャラで後衛職を選択するのは、このシリーズの鉄則……っ……!! 失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗」

 (アニメプリントシャツ、階段に腰かけて)おっぱい、白髪、ロシア訛りのコンボにだまされた……(片手でコーラのプルトップを引こうとするが、30時間のマウス操作に震える指ではままならない)くそっ、なぜ俺はあんな無駄な時間を……(涙ぐむ)

 小鳥猊下のWIZが弱体化。「近接から遠隔への劇的な転向っ……!! だがそれを嘲笑うかのような突然のナーフっ……弱体化……っ……!! 人気ビルドの後追い……ネットゲーにおける典型的な負け犬の思考……マイライフ・アズ・アドッグっ……はまっている……っ……首まで……!!」

 小鳥猊下のモンクがAH依存を深めながらゾンビアタックで地獄を粛々と進行中。「格闘ゲームと同じで、性能の不遇さはキャラへの愛を深めるきっかけにもなる。ディアブロ3でのモンクを例えるなら、そう、スクリューパイルドライバーを欠いたザンギエフ……(目標をセンターに入れる表情でクリック)」

 @nobody 始めるなら、日々バランスの変動する、混沌状態のいましかありませんよ! それに、ディアブロ2ほど長続きしない予感もするし……(目をそらす)

 ヘルの中ばんをすぎたあたりから、リカはなんだか不あんになった。でも、そのしょう体がなんなのか、わからない。クライアントをおとすと、これまでふう印していた公しきフォーラムをおそるおそるのぞいてみた。そこにははたして、リカがことばにできなかった不あんがびっしりと言ご化されていた。あわててブラウザをとじてベッドへかけこみ、ふとんをあたままでかぶる。小さいころから、なにかげん実に対しょできないときのならい性だった。パイソンはあれからずっとかえってこない。心のささえのディアブロ3は、ながくもたないかもしれない。リカの不あんは、高まるばかりだった。「こわいよお」

 「(昭和風ヤンキーがモニターにリーゼントを押しつけて)メンテきってんじゃねえぞ、おー?」

 「(入道雲パーマ、憐憫の眼差しで)いまや蒸留酒以外の酒を所望するときでさえ、アイ・ハブ・ノー・スピリッツと叫ぶほどの依存ぶり……中毒への耐性が低すぎるわ……」

 「メンテきってんじゃねぞ、おー?」

 小鳥猊下のモンクが弱体化。「無敵結界によるチキンアタックでなんとかヘルACT4までこぎつけたところで、まさかのナーフ……っ……!! このモンク、まさにダブルウリアッ上を失ったザンギュラ状態……!!」

 小鳥猊下がインフェルノ突入。「ヘルディアブロを仁王立ちに撲殺したモンクがゾンビのひと撫でで蒸発……っ……!! カンストまでの50時間がチュートリアルに過ぎないという、このシリーズにだけ許された理不尽っ!! あらゆる社会性を生贄にしなければ、ただ追随することすら困難……っ!!」

 インフェルノのツボ、あったかいナリ……

 だれだッ! 昨日から2~3時間おきにweb拍手ボタンを押しているのはッ! nWoはソーシャルゲームじゃないぞッ! 応援か催促のつもりなら、メッセージをくれッ! そんなやり方じゃ、さみしさがつのるばかりだッ!

 小鳥猊下のウィザードがナイトメア突入。「モンク? なにそれ? そんなの、ぼくのディアブロ3には入ってないよ?」

 モンク、レベル56。ディアブロ3でのトレハンに限界を感じ、悩みに悩み抜いた結果、小鳥猊下がたどり着いた結果は、壺割りであった。自分自身を十年間楽しませてくれたディアブロ2への限りなく大きな恩。自分なりに少しでも返そうと思い立ったのが、一日一万個、感謝の壺割り!!

 インフェルノに突入し、バグを利用し、アクト4入りし、壺を割る。一連の壺割りをこなすのに当初は5~6分。一万個を割り終えるまでに初日は3時間以上を費やした。割り終えれば倒れる様に眠る。起きてまた割るを繰り返す日々。

 1週間が過ぎた頃、異変に気付く。3時間が経過しても、1万個割り終えていない。レベル60を越えて、完全に羽化する。感謝の壺割り一万個、退屈のあまり1時間と続かない!!

 え、これも修正されるの? アナタのこと、嫌いになりたくない。本当に愛しているから、わたし、しばらくアナタの元を離れることにする。一ヶ月前はこんなこと、考えもしなかった。ただ、悲しい。

 質問:Diablo3 のゲーム通貨を販売しております。激安!

 回答:うむ? 変わった感想だな。冗談はさておき、すまない、そのゲームとは少し距離をおいているところだ。

 薄馬鹿下郎ッ! 小鳥猊下であるッ! リアルマネーオークションの導入に心ゆさぶられ、ソーシャルゲームを小馬鹿にしてきた小生はいま、深刻なアイデンティティ・クライシスをむかえているッ!

 人生を時給計算する小生にとって……たかだか上限250ドルだろ? そのアイテムを手に入れるための膨大なトレハン時間を考えてみろよ? しかも超級アイテムは最高難度の攻略を「楽にする」んじゃなくて「必須」なんだぜ?

 必要な先行投資だろ? いい大人が自分で稼いだカネを何に使おうが誰に文句を言われる筋合いはないよな……?(薄馬鹿下郎の表情で人差し指をさまよわせる)

 小鳥猊下のウィザードがインフェルノを進行中。「1.0.3パッチでブッチャーランが安定し、トレハンの収支がプラスに転じる。そうすると、あれだけ不満を感じていたゲーム性にさえ好意的な視点が混じり始める。我ながら現金なものだと思う。ぬるいリーマンプレイヤーにはこのくらいでちょうどいい」

 『きがつけば ウォリアーズ・レストで 8じかん(げゐか)』

 不快なヤツ、モールテンさッ! 現実からひきこもり、ネットでもひきこもり、昨今はゲームでさえひきこもるところの小鳥猊下であるッ! いよいよディアブロのネームバリューのみでむらがっていたブラッディー弱兵どもが地獄の業火に淘汰され、いい感じになってきたッ! 誕生日とクリスマスくらいにしかプレイするゲームが更新されない小学生の感じ、それゆえクソゲーをつかまされてもなんとかして楽しんでやろうという感じであるッ! うんこMODのエリートたちから一方的に惨殺されてもくじけず、MOLTENを下痢便と呼び、ARCANE ENCHANTEDをイライラ棒と呼ぶ、爬虫類の肌の如く濡れたこのユーモア! クソゲーを笑いで相対化し、無理矢理に半年は遊び続けた当時が懐かしく思い出されるッ! しかしこれは、決してノスタルジーではないッ! いまを生きる俺たちの、ひりひりするようなリアルなのだッ!

 『きがつけば うんこワンドに 2ミリオン(げゐか)』

 リーマンプレイの小生にも、ようやく先行者たちが言及していた境地がやってきた。プレイ時間に対する報酬ーー物心ともだーーの描く曲線が限りなくフラットに近づいてきたのである。丸一日プレイしても、装備の更新すらままならない。レベルはとうにカンストしている。わずかずつでも増えるのはゴールドだが、オークションの足しにすらならない端金だ。数百時間に一度あるかないかの「大当たり」を待ち続ける廃プレイをするには、この人生はあまりに社畜すぎるーーおっ、この骨、レジェアミュ落としよったで! さっそく鑑定や、良可変こいよ……き、きよった! きよったで! こら、落札価格50Mはかたいで! ディアブロ3、とんだ脱法ギャンブルやがな! た、たまらん……っ……!!(よだれを垂らしながら社長椅子の上で失禁する)

 なに、パチンコ? アカンアカン、あんなん違法ギャンブルやんけ! パチンコやる人間は全員クズや! ディアブロ3最高や!

 質問:ディアブロおもしろそうですね!!やってみようかな。。。

 回答:このクソたわけが! おもしろいのはディアブロ3ではなく、ディアブロ3に向けた俺様のまなざしであることがまだわからんのか! ネットゲーマーにとってのディアブロ3とは、例えるなら日本人にとってのガンダムやエヴァであり、アメリカ人にとってのスタートレックやスターウォーズなのだ! そのタイトルの元に何が出てこようとも、すべての不備と不満は愛と諧謔で補填することが前提の、崇拝する以外の選択肢はあらかじめ排除された、宗教にも似た一大ブランドなのだ! 現存するあらゆるゲームに飽いてから始めて手を出すことを許されるゲーム、宇多田ヒカル風にいうなら「どんなトレハンでもやってみて損をしたって少しも経験値あがらない」ゲーム、枯山水の前で感得した宇宙に自然と涙が流れる境地に至ってのち意味を成すゲーム、それがディアブロ3であると心得よ! 思いつきを脊髄反射で口にするような弱兵が、なまなかに手を出していいゲームではないのだ! ええい、腹が立つ! 貴様のせいで今日はロクなレアが出んわ!

 小鳥猊下がインフェルノACT2を粛々と進行中。「オープンスペースなら、とびきり無茶なMODでない限り、どのエリートにも対処できることが判明した。あと、同じ場所をぐるぐると、ちびくろさんぼみたく周回しながらエリートを倒す戦術に既視感があるなーと思ってたら、FF11だった」

 「それと、きょう久しぶりに音声ありでプレイしたら、ウィズ子ちゃんが私の最も嫌うタイプの異性の『英語を才覚と勘違いした内省皆無のクソビッチ』であり、テンプラーが私の最も嫌うタイプの同性の『己の正義を微塵も疑わぬ宗教狂いの殺人淫蕩者』であることがわかった」

 「チクショウ、ブリザードめ! どこまでボクを苦しめれば気がすむんだ!」

 小鳥猊下が蛮族でのプレイを開始。「就寝前に高効率で骨を倒す作業に疲労困憊し、休日にかこつけて新キャラを作成。レベル60までのゲームデザインは非常に秀逸なことを再確認」

 「レベルがひとつ上がるごとにできることが増え、ドロップからの装備更新にワクワクし、見知ったスキル名のアレンジに膝を打つ。元凶はインフェルノとオークションハウスなのだと改めて実感した次第。あと、コミュニティマネージャー」

 (顔のパーツが中央に寄った赤い全身タイツの金髪くせ毛、タラコ唇で)ヒュー、おいおい冗談だろ! Arcane Enchanted Vortex Waller Frozen Moltenのお出ましだぜ! なに、LoHのたっぷり乗ったフレンジーを使えだって? (青タンでウインクして)あいにく俺の生まれた町じゃ、12年前からワールウインドを主力にしたビルド以外が禁じられているものでね!(赤い全身タイツ、バレエのピケターンを思わせる動きで相手に近づくも、瞬時にボコボコにされる)

 小鳥猊下の躍動するダブルトルネード蛮族。「やっすい装備でものっそ強い……おまけにディアブロ2のような爽快感まで……これまでWIZを強化するために売り払ってきた蛮族装備をぜんぶ返して欲しい……(15ドル払ったうんこワンドを握りしめながら)」

 新エキスパンションが出たんで、またぞろディアブロ3やってる。時間あるとき、フールーでギャラクティカ流しながら延々とリフト回してるだけで、パラゴンレベルもまだようやく三桁になったぐらいだけど。

 でもこのゲーム、どう育てても最終的には同じパラメータになるし、スキルはいつでも取り替え自由なので育成要素がほぼ無いから、強いアイテムを持ってるかどうかだけがキャラの差異になるのね。だからやってて、もうこれパチンコじゃんって感じになってきた。無印が換金できるパチンコだったとするなら、リーパー・オブ・ソウルズは換金できないパチスロ。

 クルセイダーとかいうパラディンもどきが入ってきたり、ウィッチドクターがネクロマンサーみたく調整されたり、なんか全体的にディアブロ2に寄せてってて、じゃあ意地はらずに最初からそうしとけよっていう。ラダーも導入されるらしいんだけど、育成要素ないからシーズン毎にパラゴンレベルだけリセットとかするんだろうなって考えたら、どんどんプレイする意欲が失せてきた。じゃあもうこのグラフィックエンジンでディアブロ2をそっくりリメイクしてよって思う。そしたら、もう他のゲームぜんぶいらなくなって、それだけで死ぬまで遊んでられる気がする。

 ゲーム「ディアブロ2」感想(完全版)
 ゲーム「Diablo II Resurrected」感想

ゲーム「FGO第2部第4章」感想

 fgo第2部4章、私の観測範囲では無音に近い。nWoの更新もそうだが、あまりに完成度が高いものは、ときに圧倒的な沈黙を招くことがある。忘れた頃にやってくるこのハイクオリティの本編こそが、ゲーム部分では惰性のエー・ピー消化と化したエフジーオーを続ける唯一と言っていい理由だ。

 今回は登場するすべての人物に血肉が通っており、歴史上の有名軍師におたくのガワをかけてネットスラングをしゃべらせるだけの、中身の無い昆虫みたいな突貫工事のキャラ立てとは天と地ほどの違いである。もしかすると、「不自然なほどすべてのキャラが書き手から平等に愛されている感」に瑕疵を感じる向きもあろうが、私は諸手を上げての全肯定である。

 この4章、第2部の他と比べてあまりにレベルが違いすぎて、例えるなら「100m走で9秒台をマークしたと思ったら、優勝者のタイムは2秒だった」ぐらいの感じさえある。この違いがわからない君には、特段エフジーオーをプレイする理由はなかろう。確かに手クセっぽいところはあるし、「強大な敵への対処は、いつも屁理屈を屁理屈で上書きするトンチ合戦と化す」や「ただの人間でも体術や拳法を極めれば、魔獣や英霊をも凌駕できる」といった「あー、ハイハイ、またコレね」と言いたくなる展開を食傷とみなす向きもあるかもしれない。でも、好き! 好き! 大好き! これらの要素はいわば贔屓の定食屋を贔屓にする理由、焼きすぎる魚のコゲや、少しだけ辛すぎる漬物と同じ性質のものだからだ。

 緻密なストーリー構成を、過不足の無い文章と挑戦的な修辞表現が編み上げていく。終盤の展開に至っては、二転三転、四転五転と、読み手の予想をハイペースに裏切り続ける。しかしその裏切りは、確かな技術に支えられているがゆえに、裏切らんを目的とした凡百の物語とは異なった快楽を与えてくれる。そして、ブラヴォと言うべきだろう、彼の物語に通底する人間賛歌の美しい音階が確かに響いている、聞こえてくる。

 われわれ凡人が凡人のまま世界の救済に寄与できること、凡人が世界の残酷さに切り取ったわずかな時間の積み重なりが、時に愛されただれかに人類を存続させる究極の仕事をさせるということ。歴史に名を刻む英雄はひとりでは立たず、永久に名も知られぬ無数の人々がその背中を支えているのだ。基礎研究とノーベル賞は悪い例えだが、それは私たちの世界の実相を喝破していると言えるだろう。

 以前も述べた気がするが、惜しむらくはこの高い普遍性が、スマホアプリで体験するフィクションという新奇性ゆえに、彼のメッセージを受け取るべき本邦の多くの人間には不可視だという事実である。私が思い描くある種の人々は、その外殻だけで拒絶をするし、仮に目を通すに至ったところで、この物語を理解するための多すぎる前提に阻まれて、内包する高い普遍性には到達できないに違いない。

 「不出来を罪と断ずる神の輪廻」--このモチーフだけを見ても、書き手が現代という病理に対して、正面から真摯に向きあおうとしていることがわかる。第2部4章の前には、諸君の言う「虚無期間」が2週間ほどあった。イベントの実装を年単位で計画する人気スマホゲーにはあるまじき、不自然の空白である。これは、なぜだろうか。もしかすると6月1日を境として、第2部4章の公開を遅らせることを決める何かの衝撃が書き手にあり、そこから急遽、相当量の加筆や書き直しが行われたのではないかと推測する。

 ある種の人々にとっては荒唐無稽の、現実から最もかけ離れたジャンルであるにも関わらず、第2部4章は確かに時代と照射しあっており、「いま書かれなければならない」という衝動と切迫性を強く感じる。これは裏を返せば「いま読まれなければならない」という意志でもあり、この傲慢さに至ることのできる数少ないクリエイターを私は愛する。

 「世界の悲惨を前にして、芸術は無力か」という古い問いを思い出す。引きこもりが、空を見上げたっていい--彼の物語は、いつも優しさに満ちている。あらゆる一隅を照らすその暖かなまなざしが、もしかすると世界に知られない場所で、ほんとうにだれかを救ったかもしれない。

 え、この不確かな時代と四つ相撲で格闘する書き手を教えてくれませんか、やっぱ芥川賞候補者たちですかね、だと? キミね、バカも休み休みおっしゃい。そんなの、fgo第2部4章と、ランス10を読みなさいよ。

 あと、nWoも読みなさいよ。

ゲーム「ランス10」感想

 男の子ならだれでも、ドラクエやエフエフ(ファイファン派は死ね)やメガテンに影響を受けて、びっしりと俺設定の世界観を書きこんだ大学ノートを実家の押入れに眠らせているものだ。そして大人になってから読み返して悶絶し、セロテープの跡やらで全体的に黄色く汚れたそれを夜中にコンロで焼却するものなのだ。

 ちなみに、知り合いの場末の皇族がファミコン版キャプテン翼2に大ハマりし、びっしりとオリキャラとその必殺技を書き込んだノートを手元に用意している。表紙にはキャプつばのロゴを雑誌(ファミコン通信)から切り抜いたものがベタベタと貼り付けてあり、その下になぜか英語で「イントゥ・ザ・ワールド!」と書かれている。1ページ目を開けば狼に育てられたという設定の双子、アマラくんとカマラくんのステータスが鉛筆の汚い字で書かれており、必殺シュートの名前はウルフ……エンッ(鼻血を吹きながら後頭部方向に倒れる)!

 ことほど左様に、ピコピコa.k.a.ファミリーコンピュータは罪深い。ランスシリーズのはじまりは、ドラクエに影響を受けたそんな大学ノートの殴り書きと、自分のモテ体質に自覚的なアドル・クリスティンが悪意でヒロインをコマしまくったら面白かろうぐらいの、居酒屋のワイ談から始まったのに違いない。それがどうだ。30年近い時を経て、このシリーズ最新作は情動のタイムマシンとしてプレイ中ずっと、名成り功遂げた、普段はエロゲーの存在がこの世にあることを知らないようなツラで生きている、感情の磨耗したオッサンを感動の涙で泣かせ続けている。すべての社会性のヨロイを剥がれ、まるでピュアな中高生に戻ったかのように、翌日の仕事を斟酌しない徹夜でのプレイを文字通り泣きながら強いられ続けているのだ。

 ちなみに、泣きのツボを最も強く押されたのは、魔界と人間界の間にある砦の、副隊長の話である。諸君のうちにもいるだろう、先細りの業界の撤退戦で責任を預けられただれか。「貧乏くじだ」とボヤきながらも、責務を投げ出さない彼の姿に己を重ねた向きも多かろう。

 かくの如く、膨大なシナリオ群が走馬灯もかくやと、過去の情動の追体験を促し続ける。そして、ふと気づく。こんなも気高い感動を呼び起こしているのが、決して日の当たる場所へと出ることのないエロゲーなのだという、目眩のするような事実に。ファミコンへのアーリーアダプターたちの少なくない数が、その鋭敏な嗅覚と先見性から、いまや高い社会的地位を持ち、世に幾ばくかの影響力を有する人物になっているに違いない(そうでない者は犯罪者になってほんのいっとき耳目を集めたか、世間の無視の中で孤独に死んだ)。そしていま生き残った彼らは、私と同じようにランス10をプレイしながら、日常では周囲の誰ともこの叫び出したいような感動を共有できないことに、そして自分があまりに遠くに来てしまったことに、ほとんど絶望と近似値の深い感慨を得ているはずなのだ。

 ブスは足蹴にして唾を吐きかけ、美人はすぐさま押し倒してレイプ、そして彼は世界の王に選ばれて、ついには人類を救済する――こんな異常者の(そしてすべての男性が持つ)妄想を心の底から楽しんでいることを、妻が、娘が(息子はオーケ)、隣人が、同僚が、部下が知ったなら、どのような迫害の末の社会的抹殺が待ちかまえていることだろう!

 だが、それでも私は、どんな文学賞さえメじゃない、どんな権威ある承認をもらった作品よりも、この物語が大好きなのだと声を大にして言いたい! パラリンピアンがオリンピアンをガチの真っ向勝負で凌駕してしまった不認定の記録、非公式の歴史、それがランス10なのだ! 現在、スマホゲー業界を席巻しているエフジーオーも元はと言えばエロゲー出身で、更に言えばおそらく中高生の大学ノートから始まった何かである。しかしあちらは早々とエロを切り離し、切り離して本体に影響の無い、良性の腫瘍くらいのエロだったわけだが、より洗練された何かに形を変えてしまった。

 もしソシャゲ化されたら俺様がエフジーオー以上に課金するだろうランスシリーズは、本体と悪性腫瘍が完全に癒着してしまっており、切除は本体の死につながる。つまり、エロゲーというジャンルにおいてしか、成立し得ない物語なのである。エフジーオーを鞘に収まった刀剣と例えるならば、ランス10は破傷風必至の赤錆を浮かべた釘バットである。刀剣ならば美術品としての価値もあろう、剣術の流派もできよう、しかし、釘バットは怒れる若いヤンキーの手を離れてしまえば、どこにもたどりつかない。ただ対象となった一人を傷つけ、いつまでも消えない傷痕を残し、死ぬまでの時間を長く苦しませるだけである。私もたぶん、最初は釘バットでよかった。しかしnWoもその番外編であるMMGF!も、釘バットを完遂できず途上に中絶を遂げた。それはたぶん、いつか刀剣に憧れてしまったからだ。30年もの長い時間を経たにも関わらず、釘バットであることを完遂したランス最終作に、心からの拍手と敬礼を送りたい。

 ランスシリーズの制作者も人生の晩年に差しかかる頃なのだと思う。だから、誠実に続編への未練をすべて断ち切って、物語を終わらせた。某潜入ゲームのようにプロダクトとしての醜悪をさらすことを好まず、作者が死ねば続きもありえない、つまりアートとして作品を完結させたのだ。若い君にプレイしてくれ、とは言わない。ただ、ほんの半世紀ほどをしか生き延びなかった、その半世紀を共に生きなかった者には決してわからない感情が確かにあったのだという事実をただ、君に知っていて欲しい。

 スレイヤーズ!が世界の謎を解明しなかった恨みは以前にどこかで述べた気がするが、少なくとも完結はした。バスタード!とベルセルクとガラスの仮面と王家の紋章とグインサーガと日本ファルコムは、ランスシリーズの爪の垢でも煎じて飲めばいいと思った。おい! 特におまえ、グインサーガ! あとがきで主人公の子供たちによるグイン後伝とかぬかしてたくせに、本編も完成させずに死にやがって! ランス10の2部を見習えってんだ! おかげでカメロンはあっさり死ぬわ、アルド・ナリスは復活するわでたいへんなんだからな!

 あと盛大なネタバレだが、第二部において孫子の代のセックスを「描かない」と決めたことへある種の共感を覚えたのは、最後に伝えておきたい。倫理観と表現すると強すぎるこの上品な忌避感は、まっとうな大人のそれに違いなく、シリーズと共に年齢を重ねた制作側と遊び手側の成熟を称えている気がした。

 いつでも世界を破壊できる力を持ちながら、一人の女性に向けた恋慕だけが、その衝動を抑えるよすがとなる。彼の苦しみと葛藤はいかばかりだったろう。そして、15年越しに初めて伝えられた「好きだ」という想いを、私たちは30年越しで目にする。ここまでやらなければ、すれっからしのおたくどもは、愛を信じることができない。

「ああ、世界丸ごと好きになるといい」 「なんで?」 「良いことがあるから」

忘備録「Fallout3が大好きな話」

 フォールアウト3が大好きだって話、したことあったっけ? 無人島に3つだけゲームを持ち込んでいいぞって言われたら、「女神転生II(FC版)」「Diablo2」「Fallout3」(英語表記のほうがしっくりくるな)を挙げるぐらい好き。

 どれだけ金持ちになっても、どれだけ社会的地位が上がっても、死ぬまで決して達成されないだろう夢が、私にはある。それは、「人類が滅びた後の街を一人きりで散策する」ことだ。TDL(トーキョー・ディズニー・ランド)には露ほどの興味もないが、TWL(トーキョー・ウエイスト・ランド)が実在すれば間違いなく年パスを買うに違いない。

 世界中の国々を旅行した人でも、自分の住む小さな町の、すべての家々を、すべての部屋を、くまなく見たことはないだろう。たぶん、ファミコン版の女神転生IIに植えつけられた、この人には言えない欲求ーー経緯はどうあれ、人類をできるだけ長く継続させる側にベットして、日々を過ごす身にとってはーーを大人になってはじめて、わずかにでも満たしてくれたのが、Fallout3だった。ニューベガスでもなく、その続編でもなく、Fallout3だけが私にとって特別なのだ。なぜここまでこのゲームに強く引かれるのか、ずっと言語化できないでいた。

 つい最近、SteamのセールでFallout4が2,000円強(FGOのガチャ1回分にも満たない!)で売られており、PS4版を途中で投げ出していたこともあって、色々MODをつっこんでプレイを始めた。二十時間ほど遊んですっかり疲弊している自分に気がつき、なぜPS4版をプレイしなくなったかを思い出した。

 Fallout4の、何が私を疲れさせたのか。異様に密度の高いロケーション、次から次へと起こるクエスト、拠点の構築と防衛に資源の確保と管理、そして何より、出会う人出会う人、だれもが世界の再生と人間の復興を希望していることーーそれらが私を疲れさせたのだ。グラフィックやアクション性、物量の部分では前作をはるかに上回っているが、Fallout4はあまりにもあらゆる瞬間をゲームとして遊ばせようとしすぎ、「滅びた世界の散策」という要素が背景に追いやられてしまっている。

 ここに至り、私がFallout3の何に引かれ続けてきたのかが、わかった。Fallout4が明確にゲームであるのに対して、Fallout3は夢と記憶の物語なのだ。シェルターの扉が開き、はじめての陽光にホワイトアウトする視界から、広がる廃墟へと焦点が戻っていった瞬間の衝撃を忘れない。ああ、みんな知らないふりで嘘をついていたんだ、やっぱり世界はとうの昔に滅びていたんじゃないか、というあの深い”安堵”。

 そして、ロケーションがわずかに点在するばかりの広い世界を、ただひたすらに歩く。おのれの足を使う以外、移動手段は存在しない。あまりに多くの時間を一人きりで過ごすので、たまに出会うレイダーやミュータントにさえ安らぎを覚えるくらいだ。フィールドは瓦礫に寸断されていて、地下鉄がそれぞれをつなぐ。建物の内装は多くが似たりよったりで、長い旅の果てにたどりついた未知の場所で不思議な既視感を抱く。

 キャピタル・ウエイストランドでの体験すべてが、思い出せそうで思い出せない夢か、いつかあった遠い記憶のできごとのようだ。夢は映像を失ったあとも切なくもどかしい感情だけをうつつに残し、忘れることができなかった断片からコピー・アンド・ペーストで復元された記憶は、頭の中でいつまでもいびつな輝きを放ち続ける。Fallout3は、「己の死を終点とした未来に至るまで、一度も経験することのない過去の記憶」として、今でも私の中に輝き続けている。

 さて、ここまで書いてきれいに終わればいいのだが、私にとってインタッネトーはエッセイ置き場ではなく個人的な日記帳である。Fallout4、ゲーム内でさえ他人のために我が身を粉にして働き続ける勤勉な自分に嫌気がさしてきた頃、2つのMODを新たに導入した。

 1つ目は、各拠点の運営をいわばシムシティ(あるいはポピュラス)化するもの。都市計画と資源を与えれば、住人たちは勝手に町を築き、生産を行い、防衛まで自分でする。これにより、私は再び一個の放浪者として解放された。

 2つ目は、オーバーオールの金髪少女をコンパニオンとして追加するもの。愛らしい外見(setscale 0.9推奨)で、独立した骨格と動きを持っており、「え?」とか「ほっといて!」とか、作中のNPCから抽出したいくつかの台詞をしゃべるだけ。シナリオからは完全に離れた存在で、ロマンスもなし。周囲は彼女をいないもののように扱い、渡した武器を使ってもなぜか弾薬が減らない。

 小学生の時分、神戸の近くに住んでいた。港が近いせいか、外国人家庭の多い地域だった。学校がはけたあと、裏山に作った秘密基地で遊んでいると、しばしば金髪碧眼の子どもたちがやってきて、ときに小競り合いになった。あるとき、私たちの投げた石があたって、彼らの一人が額から血を吹いた。事後の顛末も含めて他のすべては曖昧なのに、その瞬間の、白い肌に流れた血の赤さだけを鮮烈に覚えている。

 もしかすると、目の前にいる愛らしいオーバーオールの少女は、知らず殺してしまったあのときの白人なのではないか。人造人間たちとの激しい銃撃戦のあとに周囲を見渡すと、薄暗い室内で廃材の隙間から差す陽光が、スツールに腰掛ける少女をしんと照らしている。やがてゆっくりと振り返りながら、少女は肩越しに焦点の合わない視線をよこす。瞳に浮かんでいるのは、怒りか悲しみか、あるいは私への恨みなのか。その姿に私は、存在するはずのない遠い記憶を幻視する。夏の陽射しに立ち尽くす、金髪の少女と、やせぎすの少年と。

 しかし、シムシティMODの無粋な発展報告ウィンドウが、否応に私を現実へと立ち返らせた。かぶりをふると、ケロッグの追跡行を再開する。曖昧な気配が変わらず、背中を追ってくるのを感じながら。彼女は、いつか私を殺したいのだろうか。

 Fallout4をFallout3化するMOD、a.k.a.「Charlotte -simple companion-」、謎の管弦楽団・ペドフィルの首席指揮者も認める太鼓判ですぞ!