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漫画「タコピーの原罪」感想

質問:あけましておめでとうございます。「タコピーの原罪」どうですか?

回答:元・いじめられッ子のバ美肉ロリコンおじさんたちが、イビツな自己投影とオナニー的欲情を次々と表明するのを横目には眺めていました。語っている面々を含めて、エロ漫画の佳作みたいな取り上げられ方だなーと感じました。話題作に乗っかったSNSらしい激賞は多く見かけながら、1話のインパクトが最大で、読み手の受ける衝撃はそこから漸減しているように思います。絵柄でごまかされますが不幸の描き方も類型的であり、個人的にストーリーテラーとしてはまだ評価できる段階にありません。一過性の話題にとどまらないブレイクスルーを期待する一方で、モルカーのようになってしまうーー風刺性が消滅し、キャラだけが残るーー可能性は大いにあるでしょう。いま抱いている印象は以上で、完結するまでは評価を保留します。

質問:タコピーは昨今氾濫する人生やり直し系(ループもの・転生もの)を否定して更新する作品だと思ったんですが大袈裟でしょうか。完結時の感想を楽しみにしてます。

回答:タコピーの原罪、この質問もそうですけど、「賢明な読み手による解釈」が先行していて、その中身が作品の身の丈を越えている気がするんですよね。それに、新井英樹の作品群にもときおり感じる、「2つの可能性がある場合、必ず悪い方の分岐へ話が転がる」という負の予定調和は、作者の意図とは逆に読者へ安心感を与えちゃうんですよね。あ、これも作品を越えた「賢明な読み手による解釈」になってますね。「語りたくなる作品」であることは、間違いないのかもしれません。あらためて、完結までは黙りたいと思います。

 「2つの可能性がある場合、必ず悪い方の分岐へ話が転がる」で真っ先に思いだす作品は、新井英樹のRINなんですけど、「恋人ないし配偶者が自分以外の異性と肉体関係を持つことに興奮する性癖」ってあるじゃないですか。ネットでキャラ付けとして「グフフ、小生NTRは大好物ですぞ」などと発言する方々って、アダルトビデオで同性側に感情移入しない視聴態度を持っているか、元より人生に恋人がいた瞬間が無いため、他人の不幸として溜飲を下げているぐらいのものだと感じるんです。前作のSUGARでは「性格に難がありながら、才能はピカイチのボクサー」を魅力的に描いているのに、続編のRINでは手クセとも言える負の予定調和で、どんどん話が悪い方へ悪い方へと曲がっていくのです。圧巻は想い人との破局の描き方で、男女両性にとってーーえ、ノンバイナリーなので傷ついた? ならペドフィリアも社会的に認知しろ!ーー究極のネトラレとなっていて、これを読んで興奮できる向きをだけ、ただのファッションではない、両親との関係性に起因した「病としての性癖」だと認定しましょう。

質問:タコピーの原罪が最終回を迎えました。感想をお願いします。

回答:忘れてた。読んできた。やはり作品の身の丈を越えて騒がれすぎましたね。ここまで毎週を激賞してきた方々が、タイムラインへ流す感想にどう落としどころをつけるか、四苦八苦しているように見えます。私はてっきり、主人公の母親を登場させるんだと思ってましたよ。なんか似たような読後感の作品あったなー、なんだったかなーと考えていたら、正解するカドだった。こんな凡庸なテーマを語るにしては、不必要に子どもたちを不幸にしすぎだし、「かわいそう」という言葉の裏に少女への嗜虐心というか、性的な興奮が透けているように感じていました。子を殴った親が殴ってから理由を探すようなもので、この漫画の構造そのものが児童虐待と同じになってませんかねえ。俺は好きだなって感想、僕は嫌いだな。