猫を起こさないように
ゲーム「FGO第2部終章」感想(レイド戦後)
ゲーム「FGO第2部終章」感想(レイド戦後)

ゲーム「FGO第2部終章」感想(レイド戦後)

 ゲーム「FGO第2部終章」感想(レイド戦まで)

 遅ればせに、FGO第2部終章クリア後の感想を述べます。敷いたバンズの上にレタスやパティやトマトをのせていき、どこまで具材を追加するかはシェフ次第で、いつフタのバンズをかぶせても完成できるハンバーガーのような物語構造であったことが、ついにあきらかとなりました。あらかじめ、このエンディングを用意ーー7年前くらい?ーーしていたからこそ、ほとんど野放図かつトンチキに「型月時空」の風呂敷を広げていくことができていたのだと、ようやく舞台裏のカラクリを目撃した気分です。いまは、バッターボックスで配球をゴチャゴチャ考えていたら、「球速180キロをほうれるピッチャーに、なんで変化球が必要なんだ?」とばかりに、ミットのど真ん中へ続けざまに豪速球が3つ投げこまれるのを、ただ見送った打者の心境になっています。最終回だからこそ語れる内容や、”その後”をかえりみなくていい展開など、有利な加点要素はかなりありましたが、私の中ではやはり奏章IIIに軍配があがります。ファンガスは、執拗に同じテーマとモチーフだけを語り続けている作家で、FGO第2部終章の結部には、これまでになかったほど率直に、それが表れているように感じました。すなわち、「本質的に、人は善行を為そうとする生き物である(結果として、その行為が悪に転じることはある)」「天才は時代に固有の孤島であり、世界のもといとなるのは、いつだって凡人たちである」「世界を救える立ち場に置かれたら、だれだって世界を救おうとする」という考え方がそれで、個人の主義主張にとどまらず、「人間社会の持つ、当然の枠組み」として真正面から語られるのです。「でも、受け入れられない人もいるのでは?」というおずおずとした問いかけに、「いまはわからなくとも、いつか受け入れなければならない」とまっすぐに目を見つめながら返答してくる感じで、これを”説教”ととらえる人がいるのは、よく理解できます。

 世界を救おうとしている人物へ、「毎朝のコーヒー1杯」や「悪夢から目覚める1秒」を与えるために、おのれの生命や人生を投げうてることを”至高の献身”と描くのは、充分に感動的ながら、どこか日曜日の特撮ヒーロー的であり、「だれを悪とし、なにから世界を救うのか」という今日的な問いからは、くり返されすぎたあまり、少しズレが生じているような気はしました。「人の歴史は、善と悪をくりかえしながら高い塔を築いており、いつかその先端でだれかが真理にたどりつく」という胸をうつ述懐も、文系由来の劣等感をこじらせた小鳥猊下には、「(ただし、理系に限る)」との注記がまざまざと見えます。宮崎翁が「ひとつの作品の寿命は30年」と看破したように、「積みあがらず摩耗して、時の流砂のうちへ埋没して消えゆく」のが、あらゆる文系的想像力のたどる末路ではないでしょうか(すいません、自分語りです)。そして、ファンガス本人はけっして認めないだろう、FGOを通じてたどりついた”テキスト界の大御所”へ、面とむかってはだれも言えなくなった批判に、「どれだけガワをたがえても、ヒロインの中身はみんな同じ」があります。いつだって、作中でもっとも残酷かつ悲惨な目にあわされるのが、「オレの至高で最愛なナオン」というわけです。もちろん、稀代のストーリーテラーであるファンガスに、他のキャラ造形や他の展開を書けないはずがありません。型月のヒロインたちは、くりかえされる作品テーマと同じく、彼/彼女の心に巣くうアニマを”逆”ファム・ファタールーー必ずひどい目にあうのでーーとして、「全人類は残らずこの凌遅刑を、魅力的と感じるべきアルよ!」とばかりに渾身の筆で出力した存在であり、性癖に駆動された激しい衝動によって、そう書かずにはおれないのです。

 なんだか全体的にディスってるみたいになってきましたが、小鳥猊下にとってのディスりはファンガスのヒロインいじめと同質のものであり、レイド後の終章をプレイ中はずっと泣き続けていましたし、いまも大きな喪失感にFGOアプリをなんとなく起動しては、すぐに終了させることをくりかえしております。すでにお伝えしているように、率直な読後感としては「エロゲーのノーマルエンド」であり、「ストーム・ボーダーによる脱出直前の、ダビンチちゃんの呆け顔」みたいな、回収されていない伏線とおぼしきものも散見されますので、いつになるかはまったくの不明ながら、もういちど「ドンデンがえしのトゥルーエンド」が語られるような気がしてなりません。ともあれ、10年間をほぼ毎日ログインして、ログボ入手とAP消費をすませて5分ほどでログアウトするコトリ・ゼム・ゲイカa.k.a.コトリゲイカ・ブルーフィルムは、ファンガスのこれまでの旅路をことほぐとともに、ホヨバにバトンをわたしてのFGOリメイク発表を心待ちにするものであります。