猫を起こさないように
忘備録「正しい英語、あるいは人種差別について」
忘備録「正しい英語、あるいは人種差別について」

忘備録「正しい英語、あるいは人種差別について」

 お前らから萌え画像を、もらう前に、言っておきたい、ことがあるッ! それは何かと問われたならば、「ツッタイー」とか「ノトー」とか「タラムイーン」みたいな間違った表記の外来語を、俺様が多用する理由についてである。

 “Education is important, but beer is importanter.”みたいな看板がタンブラーで「いいね」されまくっているのを見たことが、そもそものきっかけだったように思う。このフレーズ、いったい何が面白いかというと、「教育よりもビールの方が重要」と言いたいのに文法が間違って(more important、為念)おり、この台詞をしゃべっている呂律の回らない低学歴のアル中を読み手に想起させ、やっぱり教育って大事だよなー、という逆の教訓を感得させるところがキモである。調べてみると、beerの部分をディスりたい別の対象に変えた派生が山ほど出てくる。つまり間違った文法というのは、時としてネイティブどもa.k.a.偶然英語圏に発生した生命体群に「軽蔑を伴う可笑しみ」を否応に惹起するということだ。

 また、トラヌプ・ビッグ・統領が本邦の棟梁(土建国家のボス、の意)であるアビー(かわいくないほう)の英語を揶揄するときの仕草と周囲の反応を見てもわかるように、正しくない発音は「公の場で指摘するのは上品ではない」が、「確実に皆の下卑た笑いを誘う」のである。何度も例えに出していると思うが、チーム・アメリカで北の総書記の言う”inevitable”へ白人女性が執拗に聞き返しをする様とか、サウスパークで単語の末尾へつけた母音を強調させる日本人の発音とか、おそらく不自由な英語を揶揄することは、人種差別などに属する性質の悪い笑いなのだと推測する。

 さて、そろそろ小鳥猊下の深淵なる意図が理解されてきたことと思う。そう、「猊下なんて衒学の極みみたいな敬称をわざわざ自分で使っておきながら、致命的に英語が間違っている」という滑稽さ、厳粛な謁見の間で男たちは下を向き、女たちは袖に口元を隠すという、権力者を笑う笑いをねらっているのだ。

 やれやれ、兵馬俑なみに無言の臣下どもへ、また重大な無私の贈り物をしてしまった。きょう以降、小鳥猊下のツイトーは貴様らにとって、ますます玄妙なる可笑しみを増すことであろう!

 それでは諸君、グッバドイー!(退場する主君へ、居並ぶ臣下からの忍び笑い)