猫を起こさないように
アニメ「リコリス・リコイル」感想(12話まで)
アニメ「リコリス・リコイル」感想(12話まで)

アニメ「リコリス・リコイル」感想(12話まで)

 みんな大好き女子高生の武器トッピング、リコリス・リコイルを12話まで見る。いやー、惜しい! 全体的にものすごく駆け足だし、この規模のストーリーとキャラクターを描くには、あまりに話数が足りなさすぎる! 全39話で季節イベント回とか、喫茶店常連の日常回とか、従業員女性の婚活パーティ回とか、幼い主人公とあしながおじさんの動物園回とか、サブシナリオで「失われる日常」を愛おしく映すからこそ、メインストーリーの追いかけるテーマが生きてくるのに! 旧版のうる星やつらで、主人公の母親の「日常とよろめき」だけを追った回があって、たぶん一度しか見ていないのに、いまだにディテールまで覚えてるんだけど、最近の1クール完結の作品では、そんな遊びを入れる余地がどこにもない。すべてのアニメに2クール以上が必要とは思いませんが、本作の語ろうとしている中身に対しては、あまりに話数が少なすぎると感じます。近年のもので言えば、オッドタクシーはまさに1クール用に研ぎ澄まされた脚本ーー余談ながら、イン・ザ・ウッズは完全なる蛇足ーーでみごとにまとめましたが、リコリス・リコイルを全13話でやっちゃダメでしょ。主人公のメインストーリーと脇役のサブシナリオをうまく構成すれば、題材(性癖?)はやや特殊ながら、令和のカウボーイビバップになれる可能性があったのに、本当にもったいない!

 個人的に、おたく向けの作品としてうまいなーと思ったのは、年上の男性へ向けた主人公の思慕の取り扱いですね。思春期にかけての少女へ、男女の成長速度の落差が大きいため、特に父親不在の場合に濃く現れるこの感情は、一過性の「必ず失われるもの」であるがゆえに、まぶしく美しいものです。しかし、純潔主義の男性おたくにとって、それはエヌ・ティー・アールと隣接した危険なものでもあります。リコリス・セコハンなんて、見たくもないですからね! その危うい均衡を、年上の男性がホモセクシャルだったとして脱したばかりか、ゴツイ黒人をお相手にすることでWHO女史とポリコレからの要請にさえ、同時に応えているのです! いやー、本当に惜しい! せめて全26話だったら、この2人の関係性をもっと掘り下げることができたのに! これじゃまるで、頭蓋骨と背骨と肋骨しかない骨格標本みたいじゃないですか! リコリス・リコイルのもったいなさを嘆くこの気持ち、まさかこれが「リコ的な感情」?(ちがう)