アイスボーン
アイスボーン、とりあえずエンディングまでクリア。ここまでの感想だが、本作のハンターはとにかく強すぎる。攻撃操作を右レバーで行なっていた時分からの大剣使いとして言わせてもらえば、「抜刀納刀による機動力」「真溜めによる爆発力」「クラッチによる対空迎撃」に加え、限定的だが気絶攻撃まで追加され、全方位的に隙が無さすぎてモンスターが気の毒になるくらいだ。無印のときに見つけた海外の感想「このゲームはリアルな動物虐待だ」が笑えないぐらいのタコ殴りっぷりである。おかげさまで、これまでのところコントローラーはひとつも破壊されていない。個人的には、アルコールを入れながらプレイできる、このくらいのユルさがちょうどいい。今後はきっと、王とか極とかが追加され、ストレスフルな環境へと変じていくのだろうが、いまは弱い敵相手のミー・ストロング、達人ゴッコを楽しみたいと思う。あと、無印からずいぶん経っているのですっかり忘れていたが、このシリーズ、シナリオというか文芸がとにかくひどい。ゲーム部分の完成度の高さに比してあまりに拙劣なので、ライターが社長の親戚みたいな強いコネの存在を疑うばかりである。特にイビルジョーをもじって腐される例の嬢の人物造形は、二択で間違ったほうを選び続けたような悲惨さに達している。食いしん坊で好奇心旺盛、天真爛漫でおっちょこちょい、抜けてるように見えるけど本当はしっかり者、若さを重視せず年上の女性にもきちんと敬意を払うーー老若男女、だれからも好かれるキャラを目指した結果、好印象を与えようという意図が交通渋滞を起こしており、全方位的に嫌われる歪なキメラと化してしまっている。調べると女性ライターであり、「男ってみんな、よく食べる頭カラッポの若い娘が好きよね。でも、この子は本当は賢くって芯があって、年配の職業夫人をキチンと敬えるのよ。あと、育ちがいいから達筆なの」みたいな昭和感あふれる、ねっとりとしたワイン片手の解説が聴こえてきそうだ(幻聴です)。ゲームはアートである前にプロダクトなのだから、個人の感性によるライティングに預けず、ピクサーみたいに複数のライターによる合議制にした方がいいんじゃないかなあと思った。どれとは言わないけど、最近の劇場アニメにもそれを強く感じます。閑話休題。本作のゲーム部分とシナリオ部分のアンバランスさを現実の何かに例えるなら、「プレイメイトのボディに昆虫の知能を備えたトロフィーワイフ」だと言えるだろう。同時代の雄・エフジーオーは正にこの真逆の欠点を苦しんでおり、世界のままならなさの縮図を見る気分にさせられる。