猫を起こさないように
クリード
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前回のファイナルから相当度の自己模倣が行われていたものの、あくまでロッキー・バルボア個人の物語であったため、作品テーマそのものがぶれることは無かった。しかし本作では、新人ボクサーの話をしたいのか、引退したボクサーの話をしたいのか、最後までどっちつかずのまま進行していく。過去作の名曲をフレーズのみで引用し、頑なにフルコーラスを流そうとしないことを考えれば、おそらく制作者のつもりは前者なのだろうが、オールド・ファンは射精直前の寸止めを幾度も食らった気分に陥り、イライラは募るばかり。そしてポッと出の新キャラが偉そうに愛する旧キャラをディスる様は、そう、まるでエバー・キューにおいて桃色タラコ唇がシンジさんを見下す様を想起させ、小生の怒りのボルテージは否応に高まるのであった。父親の名前を借りたのではない、自らの能力を証明するというテーマは、いまさらオリジナルの新規ボクシング映画を売る自信が無いという制作者の怯懦により、完全に裏切られている。さらに言えば、主人公が金持ちのホワイトカラーとか、恋人の難聴設定とか、ロッキーが癌になるとか、いくらでも刈り込める不要な枝葉が多すぎ、全体のバランスはグダグダである。あとさあ、試合に負けて勝負に勝ったっていうの、もうエエから。主人公のレガシーとやらの継承にテーマがあるなら、物語の必然として勝たせるべきちゃうん。ロッキー方向に日和っとるから、作品の自走性を信頼できずに自己模倣になるねん。ホンマ、けったくそ悪いわ。