ムーンライズ・キングダム
つまるところ、「じぶんである」ということのどうしようもなさには手のふれようがなくて、ぼくたちはそれをそのままに、なんとか日々をやっていくしかない。ときには、どうしようもなさとどうしようもなさがあいまって、救われることだってあるのだから。もちろんその救いは、嵐の夜におとずれる風雨の高まりのような、陽がのぼればたちまち消えてしまうような、とどまらずに過ぎてゆく性格のものにはちがいない。でも、それがあったことを知っているから、なんとかどうしようもないじぶんをしのいでいけるんじゃないか。ああ、ただだれも否定しないということが、なんとむずかしいのだろう。