猫を起こさないように
プロメテウス
プロメテウス

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プロメテウス


『しかし、誰もが親の死を望むものではありませんか?』『私は違ったわ』。ストーリー展開のトンデモを指摘する低評価が多く見られますが、いいですか、これはSF作品ではありません。リドリー・スコット作品です。「このモビルスーツからはオマンコの臭いがしない」で有名な某監督と同じく、あらゆる台詞、あらゆる場面、あらゆるデザインが個人の妄念と情念に由来していると考えましょう。すべては必然なのです。あと、SF作品としての既視感を指摘する声があるようですが、いいですか、ブレードランナーとエイリアンはリドリー・スコットが作りました。これらから派生した多くの亜種・亜流を回収して再集約する試みがプロメテウスであって、某国のように起源を曲げた発言をしてはいけません。私たちが見てきたあらゆるSF的映像は、リドリー・スコットの影響下にあるのです。有象無象のコピー作品群とは異なった、本家の圧倒的なセンスの良さを感じとりましょう。それと、開始後すぐに物語最大の謎が明かされて拍子抜け、みたいな批判が散見されますが、あのね、それは配給会社が宣伝文句として投げかけているホワットであって、この映画の問いの本質はホワイなんです。だいたい、リドリー・スコット監督という時点で、映画館に入る前からホワットの問いはすでに答えが割れてるみたいなものでしょう。そうですね、この映画を視聴すべき層へピンポイントで届かせるには、きっとタイトルを“エイリアン・ゼロ”とかにすれば――おおっと! あぶない、あぶない! あやうく重大なネタバレをするところでした! 「その名を聞けば無条件で視聴し、視聴前から批評を越えている」数少ない監督の一人なのでこれ以上は語りませんが、ひとつだけ。親を憎むクリエイターが、親を憎まない人物を主人公にする。多くの物語の本質はそこにあるのかな、と思いました。