猫を起こさないように
スーパー!
スーパー!

スーパー!


スーパー!


この年末年始に様々なジャンルの積み映画を鑑賞したが、本作のあまりのスーパーぶりに他はすべて吹き飛んでしまった。最初のうちは「ああ、キックアスね」などと斜に構えたナメた態度をとっていたのが、終盤には自然と居住まいを正していた。米国の掲げる正義、信念と狂気の相関、ヒーローの存在意義、善悪の境界など、ひとつのストーリーラインへ様々のアナロジーが多層的に重ねられ、現代世界をいったん俯瞰する甘いフォーカスから、後半のクライマックスで一気に焦点を絞り込むという力技には、まさに度肝を抜かれた。最後の場面での「俺を殺して世界が変わるとでも思っているのか!」「殺してみなければわからない!」というやりとりは、主役の怪演とあいまって、強いメッセージとなって迫ってくる。どれほど科学が進歩しようと、どれほどネットが我々をつなげようと、死だけは不可逆の個別的な事象であり続ける。我々は誰かの生を生きることはできても、誰かの死を死ぬことはできない。フセインの殺害も、ビンラーディンの殺害も、米国の望むように世界を変えはしなかったが、やはりこの主人公と同じく「殺してみなければわからない!」と絶叫しながら殺したのだ。どんな小さな死でさえ、人には制御しえないという一点から世界の変化につながる可能性を常に孕んでいる。だから当て物のように、宝くじと同じ期待で、彼らの生命を奪った。話がだいぶそれたが、私の言葉くらいではこの大傑作の実相を伝えきれない。nWoオールタイムベスト入りを果たした本作の凄みを、君自身の目で確かめて欲しい。あと、平たい胸族a.k.a.エレン・ペイジがちょう可愛い。ボルティーのキチガイっぷりに萌えるのは、アホの子を愛でる我々オトナの嗜みと言えるだろう。