猫を起こさないように
IN TIME
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“You can do a lot in a day.” ガタカ以降、同監督のすべての作品をチェックしてきたが、久しぶりの最新作が、これまた久しぶりのSFということでワクワクしながら視聴を開始した。既存の社会システムに対する批判と思考実験がSFの本領だと信じて疑わない小生にとって、優生学やデザイナーベイビーの問題をテーマとして見事な人間賛歌を歌い上げたガタカは、あれから十余年を経てなお、nWoオールタイム・ベストの五指に入り続けている。今作の意図は、資本主義の問題点を可視化することだということはわかる。もちろん、良作である。SF好きとして、SF作品への評価が不当に厳しくなることを前提に聞いて欲しい。はたして本作がガタカの高みにまで達していたかと言えば、残念ながら疑問を呈さざるを得ない。「俺たちに明日はない」のSFペッパー風味というか、全体の薄味をアクション要素で濃い味付けにしている感じなのだ。アタシね、左手に余命のデジタル表示が夜の海で蛍光色の緑色に輝くのを見たとき、あー、なんかこれ、どっかで見たことあるなー、ってぼんやり考えてたら、その記憶がエヴァ序の直上会戦のときの、初号機の左手だって気づいたの。気づいたとたん、ボロボロと涙がこぼれてきて、どうしてアタシ、こんなになっちゃったんだろうって。アタシ、まえはもっと強かったのにって。