ブラック・スワン
“I have nothing.”。芸術の魔性。”dark impulse”の源泉。すなわち、親殺し。己の生命を燃やし尽くした先に到達できる、人類の存続さえ超越した至高の瞬間。私が次の世代への継続を語るとき、この深奥へ到達できないことへの諦めが、はたしてそこに無いと言えるだろうか。メフィストフェレスのファウストへ告げるが如く、世界の全てを魅了する一秒を積み上げた数十年の幸福と交換に与えようと言われれば、はたして私は拒絶できるだろうか。しかしながら、崇高な疑念の交錯する中に去来した小生の下世話な想念は、「まるでアミダラ王女がアナキンの苦しみを苦しんでいるみたいだな」という内容でした。