アンストッパブル
デンゼル・ワシントンが主演の時点で、米国の低所得者慰撫が目的の映画であることは確定的に明らか。機械と人間、資本家と労働者、若者と老人、恥ずかしいほど塗り重ねられる対立の構図へさらに並行する家族の問題。あらゆるテーマが列車の暴走を食い止めることへ収束し、二時間が経過する頃にはすべてびっくりするほどきれいさっぱり解決する。きっと労働者階級の憤懣による蜂起をくじくため、老人の資本家どもが「やはりグリフィス四重奏団の音は世界一だねえ」とか言いながら(マスターキートンからの知識)、後ろ手に縛られたデンゼル・ワシントンのビキニパンツへ百ドル札とかいっぱい突っ込んで作らせたに違いないよ! こんなのがすごい面白いなんて、く、くやしい……ビクンビクン!