猫を起こさないように
日: <span>2026年1月9日</span>
日: 2026年1月9日

映画「リバー、流れないでよ」感想

 正月休みに、気になっていた話題作「リバー、流れないでよ」を家人たちと視聴。まずざっくりとした印象を述べると、1980年代に全国各地の公立トップ校の学園祭で流されていた8ミリフィルムのような映画でした。大学時代を京都で過ごしたため、貴船一帯の風景をなつかしい気持ちで再訪した気分になれたのは、とてもよかったです。ただ、「ループ」「リープ」「ターン」「初期位置」など、ゲームやアニメに由来する用語を、作中の老若男女全員がほぼ説明なしに了解しているのには、ひどい虚構臭がしました。ループの周期が2分というのも短すぎて、家人の言葉を借りるならば「場面転換が頻繁すぎて、気持ち悪くなって」しまうほどです(90分の上映時間を2分で割ってみていただくと、未視聴の向きにもこの感覚は伝わるかもしれません)。「ループをまたいでも、全員の意識に連続性がある」というのは、主人公のみが記憶を保持する優越を楽しませる従来の作品群とは異なっており、すこし新しかったかもしれませんが、同時にループものである必然性とギミックの楽しさを薄めていたようにも思います。

 物語の終盤、「タクシーの交通事故」「板前どうしの刃傷沙汰」「作家先生の投身自殺」「猟師の猟銃自殺」と事件が続いて、いよいよ不穏な空気がただよいはじめ、うかうか「自分がループの原因である」と話した主人公のバカップルが、いよいよ猟師に射殺されるターン(笑)をまざまざと予期して、固唾を飲んで見まもっていたところ、物語は思わぬ方向へと急旋回します。いつものごとく盛大にネタバレしますと、ループ現象はあろうことか、未来人のタイムパトロールが乗ってきた、タイムマシンの故障によって引き起こされていたのです! 「乙女の祈り」「貴船の神隠し」の脳内キーワードでお話を理解しかかっていたので、アルコールが深めに入っていたことと、シアターが防音室である気やすさも相まって、「なんじゃそりゃ! ブチころがすぞ!」とかなり大きめの声で2回ツッコんでしまったほどです(家人たちはもう、慣れっこです)。冒頭に述べた「アマチュア学生の自主制作映画感」の8割ほどを、この”解決編”が醸成していると言っても、過言ではありません。

 あと、主人公の女優の挙動というか演技にかなりクセーー女が嫌うタイプの女?ーーがあり、画面に出ずっぱりである彼女を生理的に許容できるかも、本作の評価に影響をあたえるような気がしました。近い将来、アニメ化されそうな気配がビンビンにただよっており、ロケーションをのぞけば、そのくらい「ほとんどマンガ」な作品だと言えましょう。おわり。