猫を起こさないように
日: <span>2023年9月11日</span>
日: 2023年9月11日

ドラマ「ワンピース(実写版)」感想

 悪い評判が流れてこないので、イヤイヤ薄目でゴム人間の実写版1話を見る。ファンから総スカンを食らったカウボーイビバップ実写版の制作会社によるもので、正直なところ、クオリティはあちらと大差ありません。マッケンユー等の見どころは若干ありますが、他の漫画実写化で言えば、るろ剣というよりハガレンの方にカテゴライズできるでしょう。アルファ的な方々が、チラホラ頭のいい批評的な褒め方をしてるのは、どうにも「企業案件」くさいなと思っています。本当にファンへ受け入れられて流行っているなら、まっさきに低偏差値ヤンキーどものアホな歓声がタイムラインを埋めつくすでしょうからね!

 少し話はそれますが、原作の漫画は本邦において「マスコミ不可触群」に繰りいれられていることが、容疑者が海賊団の首魁を名乗る例の事件で明らかとなりました。この不可触群の中身としては他に、親族や私生活がどれだけアレでも騒がれないフィギュアと新体操の元メダリストや、千と千尋ばりの「本名剥奪刑」を受けたのにどこの人権団体も動かない女優や、「美男の名優」という公式設定を各社が共有するチンピラ大根などが挙げられるでしょう。最近、ようやく旧メディアへ現出するようになった「邪児縊頭(キタキターン!)」の、過去最大1億2千万人の共犯者を持つ「漏れスター(アイドル失禁?)事件」にせよ、外圧からの出火が自然鎮火しそうにないことを充分に確かめてから、横目で互いの動向を確認しつつ、早すぎないよう遅すぎないよう、会釈と見分けがつかないレベルの謝罪を申しわけに公表するのがマスコミ仕草であり、「数ヶ月におよぶ誤報と3行の訂正文」が天地開闢よりずっと変わらぬ、きゃつらの心根の正味なわけです。そして、我々が住まう地の本質とは「泣いている者と怒っている者」が共同体の安定のため、最優先でケアされるクレーマー天国a.k.a.土人の巣であり、この環境下においてはヤクザ者のたつきが消えようはずもありません。

 話をラバーメンに戻しますと、こちらが燃えず、カウボーイビバップが燃え、範馬刃牙が燃えず、チェンソーマンが燃えたことは、フィクションの特性を分析する上で好対照の材料になっているように思います。キーワードは「リアリティラインの位置」と、それに伴って変動する「原作ファンのシリアスネス」だと指摘できるでしょう。チェンソーマンが作者の資質から、「文学」や「芸術」の枠組みに片足をつっこんでしまっているのに対して、ワンピースはどれだけ連載が長期に渡ろうと、任侠風味の「少年向け冒険活劇」という範疇にとどまります(刃牙シリーズ? あれは、ジャンルが唯一無二の「格闘ギャグ」になって長いから……)。そして、オリジナル版カウボーイビバップの「構成の見事さ」と「アニメによるウソ」から絶妙に成立する高品質の「リアルな本物っぽさ」は、大の大人をシリアスに狂わせるレベルにまで達していたわけです。実写化によって、この2つの要素を失った残骸を見せられ、ファンは自分たちの信仰を侮辱されたように感じてしまったのでしょう。

 原作ラバーメンは「グランド・リアリティ・ライン」がどこまでも低めーー人間がゴムて、キミ!ーーなので、期待値ゼロベースからの加点方式で評価が行われているのが、燃えなかった理由かもしれません。ゴチャゴチャ言いましたが、単純な真相は連載開始から25年が経過した現在、もう熱心なファンがそれほど残っていないってことじゃないですかね! そろそろ禁断のパチンコ・ブースト、いっときますか!