猫を起こさないように
日: <span>2021年9月29日</span>
日: 2021年9月29日

ゲーム「Diablo II Resurrected」感想

 Diablo II Resurrected、プレイ中。本当はこんな感想を書いてるヒマがあったら、少しでも長く触っていたいのだけれど、印象は時間とともにうつろうものなので、ここに残しておく。まず、本作はリメイクではなく、ゲーム性をいっさい変更しないまま、グラフィックとサウンドだけを当世レベルに引き上げた、完全リマスター版です。触れるオブジェクトが減って(本棚とか)いたり、スキルの挙動も一部おかしい気がしますが、今後のアップデートによって改善(回顧?)されることでしょう。もうオリジナルスタッフも残っていないだろうし、変な色気を出して「よかれと」改変しなかったのは、たいへんな英断だったと拍手したいです。ハクスラの初源にして至高、数々のコピーを生み出しながら、そのどれもが本家を越えるには至らなかったマスターピースに、新たな寿命が吹き込まれた(imbue)のですから! ゲームの視覚的進化はここ10年で急激に鈍化しているように感じるので、今回のリマスターはかなりの時間をDiabloIIに与えてくれるはずです。ここ20年、プレイを継続しているのは、中断期間こそあれDiabloIIとFF11だけで、かけた時間もそれこそ年単位でカウントすべき、文句なしに私的ツートップの一角です(次点はFallout3とNewVegasをmodでガッチャンコしたTTW)。

 レベルデザインという言葉を最近よく使ってる気がしますが、この観点から評価しても間違いなく最高のゲームだと言えるでしょう。「ドロップ品による資産形成」がゲームのキモで、「かけた時間が必ず報われる」デザインになっており、死亡による適度なペナルティも、プレイにピリッと緊張感を与えています(1回の死ですべてが失われるハードコアを耐える血管の強さは、私にはもうありません)。選べる職業が7つ用意されていて、大ざっぱにくくるとそれぞれ4パターンほどPvEのビルドがあって、30通りくらいの育成を楽しめるーー慣れてくると、ここからPvP含めて無限に細分化していくーーんですけど、資産をゼロから積み上げていく過程が、掛け値なしに面白い。思わぬドロップ品で、育成の方針や使用キャラが思わぬ方向へと、どんどん変化していく。気がつけば何時間も経過していることはザラで、社会人にとってじつに危険なゲームなのですが、今回のリマスターのおかげで、いちどハマればゲーム人生の終わりまでを伴走してくれる伴侶となったことは、間違いないでしょう。

 スマホゲーの隆盛により、ゲームパッドに比しての操作性の劣化から、システムで補正をかけたり自動化したり、プレイヤーがやらなくても済む要素が増え続けていて、それに慣れている層には「やることの多い、不親切でメンドくさいゲーム」と映るかもしれません。でも、ゲームって、こうだったんですよ。レアなドロップ品は早い者勝ちで、ボス戦のさなかにPlayerKillerが乱入してパーティが壊滅する、こういった人間由来のギスギス感に、理不尽や不愉快を感じるのかもしれません。でも、ゲームって、ずっとこうだったんですよ。カンストしたら「みんな同一の」ステータスになって、「集めるべき」装備品と「最も有効な」スキルは決まっていて、あとはそれを「正しいタイミングで」実行できるかだけが問われる、それはゲームと呼ばれるものからは遠いように思います。私の書きぶりに挑発されたと感じるのではなく、どこかにあった違和感を刺激された貴方には、ぜひいちど触れてみることをおススメします。仮に科学の進歩で寿命が200年まで延伸されたとして、このゲームは最期までずっと寄り添い、貴方の余暇と虚しさを埋めてくれることでしょう。

 ここからは余談ですけど、オリジナル発売の当時は日本語版があまり出回ってなくて、ずっと英語版でプレイし続けてきたんですよね。今回のリマスター版には各言語のローカライズがあらかじめ含まれていて、もの珍しさもあって日本語でプレイを開始したんです。最初はアイテム名が脳内で英語版と一致せず、ひろってグラフィックを見てから同定されるような感じでした。そして何より、文字フォントがダサい。Diablo IIって英語のオリジナルフォントが雰囲気を作っているゲームなのに、既存の日本語フォントをそのまま使っているものだから、当世風に言えば、ダサさがエグい。カウボーイビバップの実写版オープニングぐらい、ひどい(もう見ないことに決めました)。極めつけは、ソーサレスのスキルを振ろうとして、Warmthに「インナーフレイム」なるユニクロの商品みたいな名前がつけられてるーー翻訳ですらないーーのを見て、ただちに英語版へと戻しました。この、30年前に大作洋画の字幕でナツコ・トダがつけたようなアホみたいな和製英語、いったいどこの薄らトンチキの仕事なんでしょうね。あの頃に比べて、いまの若者たちは総体としてずっと賢いし、英語もはるかにできると思いますよ。何の意図があって、こんなクソみたいなローカライズにしたの? キミの感性、このゲームにいらんから!

 ソーサレスでNMメフィストを対岸焼きしつつ、セカンドキャラのクエストを野良パーティで進行するのが楽しくて、人生でこれほど楽しいこと他にあるのってくらい、楽しい。そして、nWoより4ヶ月も後に開設された匿名掲示板のスレッドに人が戻ってきたのも、うれしい。古強者が昔みたいに長時間プレイができないとボヤいてるの、わかるなーって感じ。あの頃は10時間くらいモニターの前に座りっぱなしでも、ぜんぜん平気だったよなー。でも、新参者がディアブロ3を元にした「改善案」なんかを肛門の反対側についた粘膜からひりだしているのを見かけると、彼/彼女が生命を喪失する瞬間に責任を持ちたいぐらい、感情が沸騰して目の前が真っ赤になるなー。しばらく忘れてたけど、ディアブロ2のこと、こんなにも好きだったんだなー。

 ラダーに新ルーンワード導入かー。クラス間の性能補正とか、不遇ビルド(弓アマなど)の調整ぐらいなら許容範囲だけど、ZODZODZODでED1000%みたいな「ぼくのかんがえたさいきょうの」ルーンワードだったらヤだなー。新モンスターにしても、世界観を壊さないようにしてほしいなー。これらの内容で新しいスタッフの力量とディアブロ2愛がはかれると思うけど、不安しかないなー。

 Diablo II Resurrected、いよいよ1stラダー開始ということで、朝の9時からヨーイドンでスタートしました。8人パーティのうち7人がソーサレスというpubゲームに微苦笑しながらも、全員が資産ゼロでウェイポイント未開通な最初期のワチャワチャがいちばん楽しいなー、なんて3時間ブッ通しのプレイでact5まで駆け抜けて、ノーマルのバールランに潜り込んでさらに2時間、自分的にはかなりの高効率でレベル45に到達して、さあどうだとランキングを見たら、トップ層はもうレベル80近い。まあ、知ってましたよ。8人組の固定チームが24時間はりついて、引率キャラが完成したらラッシュにつぐラッシュでHELLへ次々と新キャラを送りこんで、8pplのドロップ品をチームとして強くなるよう再配分して、あとはレベル99までbot によるバールランをひたすら繰り返す。ゴールデンウィークの休日出勤を終える頃には、二度と挽回できない天文学的な差に広がってるんでしょうねー。まあ、ラダーってずっとそんなもんだし、20余年ぶりの新パッチ導入によるお祭り騒ぎへ参加できただけで、私は幸せでした(涙目で)。

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