MOON
良いSF作品の条件とは、若さと反体制と、何より人の孤独が描かれていることだ。この映画には、若さと反体制と、嗚咽にも似た孤独がある。監督がデビッド・ボウイの息子だというのだから、ちょっと出来すぎじゃないか。
月: 2010年8月
ゴッド・オブ・ウォー3
ゴッド・オブ・ウォー3
壁面を覆う100インチ超のモニターと7つ以上のスピーカーを備えたロスの大邸宅に住まうロックスターの俺様は、例によって片方の口角を上げた薄ら笑いでプレイを開始したのであるが、開始直後から全速全開の尋常でない迫力と熱気に、俺様の表皮の鱗を垂れ流れる白濁した液状の批判精神は、たちまちすべて蒸散したのだった。14インチブラウン管と1つのスピーカーを備えたワンルームマンションに大家族で住まうアジア在住の貴様らが、よし、このゲームへ何か人がましい言及をしたとして、もはやそれはレビューとして何の正当性も持てないだろう。だが同時に、小生のように手首を切ると青い血が垂れ流れる人間の高貴な言葉と等価の情報として、貴様らの部族の方言で語られた卑賎な言葉がネットの悪しき平等の上へ垂れ流れるのだという事実に思い至り、慄然とさせられたのである。その状況を俯瞰できる誰かがいるとすれば、王の人生と乞食の人生を、ただどちらも生命であるという観点から同じ天秤にかけるような、グロテスクな無意味さを見ることになるだろう。しかしながら、腋下や外性器への積極直舐めを誘発するような婦女子を三次元上にモデリングする技術に関しては、まだまだアジア在住の貴様らに軍配が上がることを、貴様らの名誉のために付け加えておく。主観的な省略の妙味こそ、本来は存在しない婦女子の魅力を顕現させるというからくりが、奴ら紅毛人にはわからぬのだ。あと、主人公の名前が女性の外性器の突起みたいだな、と思った。
サックス博士の偏頭痛大全
サックス博士の偏頭痛大全
週末ごとに偏頭痛を迎える偏頭痛人格の小生は、いま正にひどい偏頭痛を耐えながら、虫の息でこれを紹介するものである。この本にはあらゆる症状・症例が網羅かつ言語化されており、もし君が偏頭痛を持病とするならば、その深い孤立感を大いに弱めてくれるだろう。誰かにそれを説明したいが、説明するのが難しいと感じたことがあるならば、ぜひ一冊を本棚へ備えておくとよい。また、偏頭痛など薬にもしたくない君にさえ、人体の高度なメカニズムに対するセンス・オブ・ワンダーを与えてくれる名著である。
アリス・イン・ワンダーランド
アリス・イン・ワンダーランド
「トウの立ったアリスが最後に経済的自立を果たす」という一行まとめを聞いただけで、謎の韓流スター”ペ・ヨウジョン”の皆様は怒りのあまり鼻血を吹き、ネリチャギでちゃぶ台を叩き割るに違いない。映像技術とかシナリオとか、もうそういう範疇を越えた由々しき原典冒涜である。例えるなら、柘榴から生まれてきた桃太郎が犬と獣姦におよぶくらいの暴挙であり、万人の評価を前にしてなお、小生はひとり抗議のこぶしをティム・バートンに対してふりあげるものである。しかし、アリスが鎧を着て剣(賢明なnWoファンの諸氏には、これが何の象徴かおわかりですよね?)をかざした場面では「おお」とか言いながら、ちょっとだけこぶしを下ろした。あと、なんや、マッドハッターって。いかれ帽子屋やろが! 馳夫の中つ国をヒイヒイつらぬき丸やろが!
頒布を開始するよ!
過去更新の電子書籍版頒布を開始した。サイドバーの“非実在性虚構”からダウンロードページへと進みたまえ。第1弾は「生きながら萌えゲーに葬られ」である。
http://newworldorder.jp/ebook/
epub版、i文庫版の2種類を用意した。ちなみに、縦書き閲覧の可能なi文庫版が小生の好みだ。今後の展開については、諸君の双肩にかかっていると言っておく。なんとなれば、再三表明しているように、nWoはインタラクティブ性を最重要視するホームページだからである。
また、前回の日記に述べたように、ツイッターでツイートのツイーティングを開始している。積極的にこれをフォローし、リツイートし、クリトリスしてよい。
あと、事後報告でたいへん申し訳ありませんが、今回のコミケのことです。結局、だれからの声かけもありませんでした。世界よ、滅亡するがいい! 小鳥猊下と、少女たちだけを残して!
インビクタス
インビクタス
ようやくモーガン・フリーマンがネルソン・マンデラを演じたことに、誰もが溜飲を下げたことと思う。”Your country is proud of you.” ”Listen to your country.” スポーツに預けた単純かつ力強いメッセージに胸を打たれた。人は、自分以外の何かのために働いたとき、その力を最大に発揮できる。この実感を与えられないまま生を終えることは、悲劇に他ならない。それにしても、こういうのを見せられると、つくづく映画芸術は本邦の持ち物じゃねえなと、元・名誉白人で政治嫌いの一おたくは極東で感じるのであった。でも、フォレスト・ガンプのノリで歴史映像を改竄した冒頭だけはどうかと思った。
父として考える
父として考える
挑発でフックを作り集客につなげた初期のnWo風に記述すれば、私はずっと、子どもも伴侶もいないのに人文・社会学系の言説で飯を食う連中を胡散臭く、全く信用に足りないと考えてきた。その類の人々は己のライフスパンを越えた先についてめったに思考しないし、例えしたとしても我が身に引きつけての切実さは求めるべくもない。彼らは人類という名の船へ一時的に乗船した客に過ぎず、その言葉が覚悟に欠け、何より決定的に軽いのは、己の死をもってここから下船できると心のどこかで考えているからだ。自我の消滅が世界の終焉を意味するがゆえに、人類の継続を笑止の絵空事としてとらえている。そうすれば、どこまでもシニカルに生命の営みを嘲弄できるし、あるいは無謬の傍観者に徹していられる。この本を読んだとき、常の遠雷ではなく、初めて鼓動としての声を聞いたと思った。子を持つとは、一個の意識の消滅を越えた先に不滅を信じ、善と永遠を信じる愚かさに添い遂げることである。
つぶやきはじめたよ!
約2名という圧倒的な臣下からの要望を受け、約1名しかおらぬnWo構築担当を泣かせて、ついばみ乳首、ではなくツイッターとやらをnWoからのリンクに加えた。貴様らマイミクa.k.a.緘黙観客どもは積極的にこれをフォローし、リツイートし、エレクチオンしてよい。
http://twitter.com/kotorigeika
加えて、萌え萌え学園ファンタジーの更新可否について、継続して意見を受け付けている。詳しくは前回の日記を読むがよい。
あと、えッ、コミケって今週末なの? いやーん、全然知らなかった! 全然興味なんかないけど! ないんだからね!