ボラット
体制と良識に対する挑戦、揺さぶることで既存の枠組みを可視化させるのが、芸人の機能である。例えばテレビで政策を語る誰かは、あらかじめのエクスキューズを得ている点で、パラリンピックの競技者に酷似している。ボラットの方法論を採用しないならば、本来の役割を喪失した彼は、個の欠落を優越にすりかえる欺瞞となる。
年: 2007年
ラストキング・オブ・スコットランド
ラストキング・オブ・スコットランド
人食い大統領アミンの蛮行から、人を殺せる権力さえ手に入れれば、英語が汚くても大丈夫ということを学びました。そして、青年医師の人物造形が素晴らしすぎる。きっとみんなあんなふうに行動するぜ。
ヨーロッパの個人主義
ヨーロッパの個人主義
評論ではなく、私小説として読むべし。未だ認められざる者の噴き上がりが最高にロックだ。最近の復刻版あとがきに漂う権威臭に、長年の呪縛が解けました。その記念として君におすすめ。講談社版から読もう。
善き人のためのソナタ
善き人のためのソナタ
真冬の陽光、砂漠の雨。文学や音楽の豊かさを享受するためには、精神的な欠乏や飢餓が不可欠である。水ぶくれの我々には望めない感動がそこにあるのだろう。”This is for me.”
リトル・ミス・サンシャイン
リトル・ミス・サンシャイン
8月段階で2007年度の私的ベストの予感。家族という系は世間という系に対するアンチによってのみ機能し得る。unusualな、家族という強度に聞く未来への賛歌。