猫を起こさないように
日: <span>2006年3月2日</span>
日: 2006年3月2日

十四日して、曰く

あれから二週間、私の周囲は完全に無音である。諸君の心境を想像するのは難くない。諸君の私への愛情が、沈黙を選ばせるしかないほど深いということを私は理解する。もし下手に声をかけて、苛烈極まる罵倒が返ってきたら、私を嫌ったり、拒絶したりすることを選ぶしかないと諸君は考えているのだろう。好きな人を好きでい続けるために、校舎の影からのぞき見て告白しないことを選ぶわけだ。馬鹿。そんな処女か童貞のような繊細さで、本当の意味で人を愛したりできるものか。例えば敬愛するロックスターのライブで、彼の観客席ダイブに骨折したとして、彼を告訴しようと思うだろうか。ギプスのはまった片手を振り振り、いかに彼がアナーキーでバイオレンスであったかを語り、その一端に触れえたことをむしろ誇りに思うはずだ。例えば敬愛するラップ歌手のライブで、彼の流麗な観客罵倒フリーラップの対象にされたとして、そのとき受けた精神的外傷を理由に彼を告訴しようと思うだろうか。心の傷によるチックに頬を痙攣させながら、彼がいかにレイシストでレイピストであったかを語り、その一端に触れえたことをむしろ誇りに思うはずだ。私の求める愛とは、全人格的な許容である。社会的な場に全人格をさらけだすことは難しい。しかし、nWoには拙かろうと醜かろうと、私のすべてが記述されている。その事実に諸君は戦慄し、アンプから引き抜かれたエレキギターの殴打に頬骨を破壊される歓喜に身を震わせるべきだ。以上。