猫を起こさないように
Es-6
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追憶の夕べ

 「(ベランダで海に沈む夕陽を眺めている。目尻を指でぬぐいながら振り返り)いや、失敬。みっともないところをお見せしてしまったようだ。今日はね、いつものような大騒ぎの感じではなく、一度静かに君と話してみたいと思っていたんだ。センチと笑ってくれてもいい。そういう気分なんだ。
 「アメリカと呼ばれる国がある。世界の中でも最も新しい国のひとつだ。映画産業や、宇宙開発や、まァいろいろあるが、かれのするすべての行動に共通する要素は、先へと進むことを自らの存在に課しているという点だ。誰に求められたわけでもないのに、かれが誰よりも先に前へと進まなければならないのは、野盗の切り取りのごとき後ろ暗い発生の理由を、その根源にごまかしようもなく抱えているからだよ。過去へ誇ることのできる存在の基盤を持つことができないかれの過剰なまでの進取は、殺戮と駆逐という名前の原液を溶液へと薄める続けることでついには無くしてしまおうとするためにそそぎ込まれた薄めの水そのものであり、知られたくない出生の秘密を覆い隠そうとする決死のもがきの現れに他ならない。かれの発する言葉がすべて論理であり、かつ奇妙なほど小昏い部分を持たないのは、かれの持つわずかの歴史のほとんどが、その正反対の性質のもの――つまり、不条理と昏い闇に彩られてきているからと言えるだろう。その意味からすると、宇宙開発は、誰かの手にあるものをもぎとるしかなかったかれが、誰の手のものでもない場所へ到達することによって、存在の基盤を清浄な次元へと移行させようとする必死の努力であると見ることができるし、、映画産業は、クレープの薄皮のように、誰の手にも触れられない虚構という次元を現実へと広げることでの、遠回しな集合無意識への介入であるとも言えるかもしれない。でも、それだけじゃあない。裏切りと策謀の果てに玉座へと上った孤独な王が毎夜見る、これまでの自身の行動の鏡写しとしての悪夢に、かれはさらに経済という名前の単一のパラダイムで世界のすべてを併呑しようとする。様々の血が混ざり合っているという、自らの存在の定義の曖昧さへの釈明として、かれが好んで声高に主張する”個性”という言葉はここにおいて反転し、かれが本当に求めていることは、多様さによる個性どころではまったくないことがわかる。かれが望むのは、自分と同じ価値観による世界の没個性化なんだ。かれの恨みは自分に歴史が無いことにあった。血とか、家とか、ただ続いてきたというだけで強烈に存在し、この上もない確かさで主張し、自らを脅かすものども、何の理屈も無く結びあい、維持する能力も持たないままゆるゆると愚かに継続する非論理。自分には無いその確かさ、ゆるぎない唯一性を、かれは気の狂うほど欲した。例えどれだけ時間が流れようとも、元々敷設されていた旧来のレールの上を走る限り、新参が新参でなくなることはありえないからね。かれがそれを達成するために求めたのは、かれの提供する新しいパラダイムの上でのすべてのやり直しだった。スタジアムに遅れてきたマラソン選手が、先を行く他の選手を呼び止めて、マラソンなんかつまんない、そんなのはやめてやっぱり走り高跳びで勝負しましょうってな具合だよ。でも、いったいどこのお人好しが自分のリードを放棄してまで、相手の得意分野に競技変更しようと思うだろう。匕首を相手の喉元につきつけてのやり直し請求はほとんど成功しかけているように見えた。だが、羽虫と羽虫が違うように、牛馬のそれぞれ持つ個性のように、たったひとつの価値観が世界をおしなべてしまうことは、少し東洋的に過ぎるかもしれないが、更なる巨大な摂理の流れに矛盾すると言える。そこへ、摂理の揺り返し、あるいはまったく別のパラダイムからの巻き返しが起こったとして、何の不思議があるだろう。業の精算を過去ではなく未来に求めたこと、自分は本当は生まれてくるべきではなかったのではないかと煩悶する子どもが、自らの存在を内へと許容することではなく、外へと主張することによって居場所を作り出そうとしたこと、それらの歪みが臨界点へと達した結果、かれのすべてを盲にする特異点が生まれ、 巨視からの揺り返しが起こった。簡単に言いかえれば、かれは自身のトラウマからの逆襲を受けたんだ。血塗れの半身を押さえながら立ち上がり、しかしかれはなお外へと主張しようとしている。許容することは、自分が正しくなかったことさえも同時に認めなくてはならないからね。そして、それを認めてしまえば、かれはこの世界に存在できなくなってしまう。
 「オヤ。なんだか岸田透みたくなってしまった。そうだね、こんななんでもお見通しの神様みたいな言い方じゃなくて、個人的な感想を言わせてもらおうかな。今回の事件を知ったとき、ぼくは本当に、心の底から興奮した。だって、そうじゃないか。ぼくが生まれたとき、すべては終わってしまっていて、世界は情事が終わった後の娼婦みたいに、ぼくを拒みもしないかわりに、ぼくを受け入れもしなくなっていた。ネクタイを締めて、あるいは制服を着て、毎日会社や学校へ行き、たまの休みには家族や友人とそれなりに楽しくないこともない時間を過ごす、そんな世界の揺るがなさは、例えぼくが百万年生きたところで、一千万年生きたところで、決して変わることはないと、ぼくは何の根拠も無しに信じていた。そうだということを知っていたんだ。ぼくは、死んだ祖父が熱っぽい目をして戦争を語るときに必ず感じた、あの言いようのない劣等感を久しぶりに思い出した。ぼくは、それに対しての快哉を叫んだのかもしれない。一番最初にぼくに浮かんだ気持ちは、同情でもなく、悲しみでもなく、まして憤りですらなく、そう、快哉だったんだ。世界という名前のゆるやかなあきらめに生じた亀裂を見た者の、変容への期待に満ちた快哉。言ってくれなくてもいい。ぼくは、異常者だ。どれだけ強く殴れば人が死ぬか、どれだけ深く刺せば人が死ぬか、最も秘すべき性の知識でさえも湯水以下の価値の情報として氾濫する中で、本来なら生物がすべて持っているのだろう、その命への実感がぼくには決定的に欠落している。ぼくの知っている血は、瞳に照り返すゲームのモニターの赤でしかない。ありとあらゆる知識をあびるように与えられ、肉を養うすべての栄養をふんだんに与えられ、そうして、ぼくは命の実感とは最も遠いところにいる。もう一度言うよ、ぼくが最初に感じた気持ちは、そのあと生まれたすべての良識的な社会からの感情を越えて、まぎれもない快哉だった。世界が再生するための死のイベントへ向けた、心からの喝采だったんだ。自分以外のもののする痛みを知らず、羽虫の浮いた水たまりに這いつくばり、陶酔した表情で泥水といっしょに快楽をすする、ぼくは、異常者だ。
  「相手に与えたものは、必ずそれ以上の大きさで返ってくる。暴力をするものには、より苛烈な暴力が。ただ、愛だけがこの法則の例外なんだ。いくら与えようとも、それは――(海へとせり出したバルコニーの籐椅子に腰掛ける一人の男。背後からその頭蓋に銃口が押しあてられる。次第に上昇してゆくカメラ。男の姿が完全に映像から消えた瞬間、銃声が鳴り響く。カメラのレンズへ、わずかに血の飛沫が付着する。照り返す夕陽に、無限の美しさをたたえた南国の海)

枯痔馬酷男(1)

 「(右手にペンを走らせ、左手の服の袖でよだれをぬぐいながら)ククク…おしゃれだ、こいつァ、たまらなくおしゃれだよ」
 「(大気を震わせる重低音で)ゴルルコビッチ、ゴルルコビッチ」
 「(ハッと顔を上げ)この重厚かつ珍奇な移動音は、まさか…(おびえるように振り返る)こ、こ、(暗闇から染み出すように、中肉中背の特徴に薄い男が現れる)枯痔馬酷男監督ッ!」
 「(造作は普通のはずなのに内面からにじみでる何かがその印象を一種異様なものにしている顔面と、異様にくぐもった聞き取りの困難な発話で)どうだ、リトルグレイ・インプラント編の執筆は順調に進んでいるか、賢和(口元だけを泣き笑いに歪める微笑みで、男の肩へ鷹揚に手を置く)」
 「(嬉々として机の上に置いてあった原稿を差し出しながら)もちろんですよ、監督ッ! 今日も今日とて主人公とその恋人のとびきりおしゃれな会話シーンを完成させたところです!」
 「(原稿を取り上げる)どれどれ…(音読する)『それから君の部屋に行って朝までキングコングを見た。2人で、何度も何度も』」
 「(腰を浮かせて)どうですか、枯痔馬監督。最高におしゃれでしょう? (屈託の無い笑顔で)会心の出来です」
 「バカヤロウッ!(振り向きざま、裏拳を男の顔面へめり込ませる)」
 「ぐはぁッ!(糸の切れたマリオネットのようにフッとび、コンクリートの壁に叩きつけられる。泣き出しそうな表情で首だけ持ち上げて)こ、枯痔馬監督?」
 「(もはや隠しようもなく露出した頭皮からもうもうと蒸気を立てながら)おれこないだ言ったよな、安直な比喩に頼るなって。おまえ何度言やわかんだ、賢和? つい先日自分史を書き始めた50代デパート店員みてえな、コタツにこぼれた醤油臭え文章書いてんじゃねえ! 世界の枯痔馬の名前に泥を塗るつもりか、コラ(”世界”という語を殊更に強調して発話しつつ、倒れた男の脇腹に靴のつま先をねじ込む)」
 「(せき込みながら、血と欠けた歯を床に吐き出して)そ、そんなつもりは、本当に、私ぐらいは枯痔馬監督のような深い洞察や文章感覚は到底持ちあわせておりませんので…よ、よろしければ、私めに道を指し示しては下さいませんでしょうか(うるんだ瞳で、床へ身体を投げ出すようにひれ伏す)」
 「(肥大した自意識を刺激される心地よさを見せまいとする、装った見下す無表情で)フン、才能に乏しい後発どもを指導するのも、まったく骨が折れることだぜ。(原稿を手の甲で叩きながら)キングコングを媒介とし、殊更にそれへの焦点を高めることで、おまえは2人の激しい情事を読み手へと婉曲的に示そうとした。そうだな?」
 「(がくがくと首を縦に振って)はい、その通りです、ご推察の通りでございます。ですが、猿めの浅知恵でした」
 「わかってりゃ、得々とおれに手柄顔で近寄るんじゃねえよ。失敗した比喩が放つ悪臭にも気がつけない、この最低の明き目盲めが。(床に唾を吐いて)…まァ、いい。こんな(口の端を歪める)状況設定自体、世界の枯痔馬酷男にはありえない話なんだが、あえて、もし、おまえが提出しようとしたこの状況をおれがリライトとすると、こうなる。よく聞いとけよ、一行10万の大シナリオ書きの言葉だ、一字たりとも聞きもらすんじゃねえぞ」
 「(大慌てで)か、紙。え、鉛筆」
 「(咳払いして、しかしくぐもった声で)『夜の底の街路樹たちは愛液を含んだ陰毛のように、夜霧のうちにしっとりと濡れていた。空に浮かぶ摩天楼の群れは、まるで林立する黒人の禍々しいチンポの如く傲然と屹立しており、発情猿の、下から見上げる群衆へと向けて挑戦的にパックリと開いた血のように真っ赤な巨大オメコを、それらのビルヂングは端から順に荒々しく突き上げていっているようにも、当時のおれの目には映ったものだった。もっとも、君のあえぎ声といえば間違いなくキングコング並だったが(苦笑)』(左頬をひきつるように上げて)どうだ?」
 「(筆記する手を止めて、おそるおそる)あの、”(苦笑)”はどうかと思うんですけれど」
 「バカヤロウッ!(男の頬にこぶしが根本までめり込む。”く”の字に折れ曲がる顔面。ガラスの粉々に砕けるような音とともに部屋の壁へと叩きつけられる男) 自身が虚構であることを自覚した明確なそこへの線引き、物語の最高潮にも読み手を没入しすぎない冷静へと立ち返らせる客観的な視点、それがおれの、世界の枯痔馬様の、枯痔馬節のうなりなんじゃねえか! テメエの悪臭放つ排便シナリオを大音響とともに棚上げして、よくもおれの極上のウィットに薄汚ねえ自己防衛と批判のゲロを浴びせることができたもんだな、アア?(男の襟をつかむんで引きずり起こす)…おまえ、どんなエロがこの世で一番エロかわかってんのか?(男の頬を平手で痛打する。その言葉を言うときだけ激しくどもりながら)イ、イ、イ、インポの男が持つエロに決まってんだろうが! (感情の昂ぶりから左頬に現れたチックを隠そうともせず)エロなんてのはしょせん、誰も見たことのない抽象、ほとんど神話とも呼べる幻想に過ぎん。女と交接すりゃ、幻想は現実と重なり、ついには入れ替わっちまう。だが、エロという名前の幻想を少しも放出せずに、最も純粋な幻想のままに放置しておけば、そうさ、ホースの穴の詰まった(どもりながら)イ、イ、イ、インポ男の中でそれはグズグズに腐り、ドロドロに醗酵し、ついには脳髄の芯の芯まで酔わせる極上のエロへと醸造されるんだよ! おたく野郎どもは現実との交接を相互関係によって生きる命としての極限まで薄めているという一点において、どれだけチンポをオッ立ようと(どもりながら)イ、イ、イ、インポとほとんど同義であるということができんだ。食べるに殺さず、交わるに犯さず、歴史上のどんな聖職者よりも清い、最低の売女の息子どもめが! 目もくらむようなやつらのエロへの妄想の中で、こんな三文新聞小説みてえなくすぐりに、どのおたくが本気でオッ立てると思ってんだよ! (襟を持ったまま激しく揺さぶりながら)毎晩の安いオナニーでエロを殺してんじゃねえ! おまえ、それを売って生きようってんだろうが! 情欲は鈴口じゃねえ、カラス口からほとばしらせんだよ、俺たちは! (ズボンの隙間から男のパンツの中へ手を突っ込む)どうだ、賢和、おまえもおれと同じ(どもりながら)イ、イ、イ、インポにしてやろうか? おまえに才能がありゃ大作家、才能が無けりゃキチガイ病棟!(つかんだ手に力を込める)」
 「いひィィィ(涙と鼻水を垂れ流しながら、おこりのように震えると失禁する)」
 「(近づけた顔からのぞきこんで)なぁに本気にしてんだよ。おまえのチンポを直々に握りつぶしてやるほど、おれがおまえの才能を信じてると本気で思ったんじゃねえだろうな? (男を床へと突き飛ばすと、取りだしたハンカチで手をぬぐう)とはいえ、このまま賢和にすべてを任せることで、我らが主人公”ソリッド・スネエク”の完成し、ある意味では肥大化を始めている英雄像を崩すわけにもいかん。…ときに賢和、今回のサブタイトルである『ピンチ・オブ・ポヴァティ』には、二重の意味が込められているんだが、わかるか?」
 「(ひどく脅えた様子で)わ、私ごときの痩せた感性で、枯痔馬大監督の深淵かつ高邁な思想がいったいわかるはずがありましょうか」
 「(自尊心をくすぐられた様子をあからさまに小鼻に表しながら)フン、追従者めが。このサブタイトル、表面の意味をそのまま汲み取ると”金が無くて大変”の意味になる。だが、ピンチ(PINCH)をアナグラムしてみろ。どうだ、チンポ(CHINPO)となるだろう? つまり、ここには本来の意味を越えた”貧相な男根”の意味がサブリミナルに与えられてるんだよ!(口元を歪めて、得意げに両手を広げる)」
 「(紙に筆記してためすがめつしながら)あの、監督。でも、”O”が足りませ…」
 「バカヤロウッ!(男の半開きの口元に、革靴の尖ったつま先を蹴り入れる。口腔から血を吹きながら後頭部方向に倒れる男)そんな枝葉末節にこだわってるヒマがあったら、テメエのシナリオの不備の方を考えやがれ! (床をのたうちまわる男を尻目に)しかし、納期も目前に迫ったいま、賢和の才能の突発的な開花に期待してすべてにリテイクを出すことはあまりに危険すぎる――(目を閉じて)考えろ、その世界を席巻した素晴らしい頭脳で考えるんだ、酷男――(カッと目を見開き)見えたッ! 賢和、リトルグレイ・インプラント編の主人公をソリッド・スネエクではない別の人物に設定しなおせ。これなら、シナリオのマイナーチェンジで事は足りるだろう。その新しい主人公の名は、名前は、(突如両手を前傾姿勢から後ろ向きに伸ばし、異様な光をはらんだ目で宙空を凝視しながら)最も敏感な類の警備兵が異変に気づく……大気中に混じるかすかな腐臭……生きながらただれてゆく肉の放つ腐臭……まるでモーセする奇跡のように、兵士の海は2つに割れる……その衆人環視の中、”潜入”を果たすその男の名は……(後ろ向きに伸ばした両手を激しく羽ばたかせる仕草で)癩ッ、伝ッ!(窓の外を稲光が走る。部屋に落ちる恐ろしい沈黙)」
 「(自失から回復して)あ、あの」
 「(手で制し)待て。連絡が入ったようだ。(懐中から携帯電話を取り出す仕草をするが、その手には何も握られていない)もしもし、私だ。何かあったのか。(相手の返答を待つような沈黙)何ッ! 北米で先行発売だと!? それは上層部が決めたことなのか…(慌てて)いや、カナダはまずい! あそこには、セリーヌ・ディオンがいるだろうが! (相手の返答を待つような沈黙)とにかく、おれが行くまでなんとかお偉方の決断を先延ばしにしておいてくれ。(沈黙。苛立ったように)わかってる、漫談でもなんでもかまわん! (親指で空を押す仕草をする。男の方へ向き直り)聞いての通り、緊急の用件が入った。おまえはシナリオの執筆を続けろ、賢和。いいか、(立てたひとさし指を左右に振って)安直な比喩はタブーだ。では、また来る(きびすを返し、歩み去ろうとする)」
 「待って下さい! (ためらうように)あの、以前から、前作の頃から聞きたかったんですが……ソリッド・スネエクという主人公の命名には、いったいどんな意味が含まれているんでしょうか。あの、よろしければ、参考にお聞かせ願えませんか」
 「(口の端を歪めて)いいだろう。スネエクは西洋文化におけるチンポの陰符。ソリッドのソリは”反りくり返ったチンポ”の”反り”、ソリッドのドは”怒張したチンポ”の”怒”、だよ。(自分より背の高い女性へと手を回し、肩越しにその胸をもみしだくパントマイムを行いつつ、立ち去る。重低音で)ゴルルコビッチ、ゴルルコビッチ」
 「(後ろ姿を見送りながら、人差し指で鼻の頭をこすって)へへッ、やっぱり枯痔馬監督は別格だ。いつ見てもすげえや!」