闇の子供たち
存在が発覚するとご近所、特に妙齢の婦女たちが逆の意味でざわめくところの鈍色アンチ・スターこと“ぺ様”であられる諸君は、とりあえず己の嗜癖にどの程度の深刻性が含まれるかを確認するため、視聴するとよい。肉体的に反応があれば、君は相当の人物である。映画としては、まあ、アレだ。映画が題材にビビッてる感じ。
銭ゲバ
言葉や論理を必死に整合して、なお伝わらないという経験を幾度繰り返しただろう。ここにはすべてを飛び越えて、ただ「伝わる」だけがある。暴力的なまでに伝わる様が、ひどくうらやましい。
ゲットスマート
nWoが自信を持って推奨するギャグ映画である。多くのキャプションや過剰なリアクションに慣れた本邦のお笑いファン諸君には、敷居が少々高すぎるかもしれないがね。
おくりびと
風呂敷をたたみすぎた印象。本邦独自の死生観を西洋的なトラウマの解消へ収束させるのはいただけないが、それが受賞の理由なのかなあとも思った。あと、ヒロスエの演技の大根ぶりが英語では充分に伝わらないのではと危惧したが、それが受賞の理由なのかなあとも思った。
イーグル・アイ
凡百の監督なら3時間かけてダラダラ撮影するだろう、ほとんど陳腐なパーツの組み合わせでしかないシナリオを、場面場面を点と割り切って編集することで緊張感に満ちた2時間を作り上げた。その短歌的な方法論には脱帽である。「ええ? 人間の感情の崇高さを描きたいって? ハハハ、ボーイ、まず舞台装置から用意しなよ!」。世界の謎とか人類の救済とかを半ば本気で思索するnWoには生涯到達しえない境地に、嫉妬と無力感で死にそうになる。そして、以上すべては皮肉ではないのだ。スピルバーグ、すげえ! どこまで進化する気なんだ!
度胸星
なんとか兄弟が流行っていると聞いたので、急遽追加である。前述の作品にせよ、なんとかネテスにせよ、宇宙という壮大さを舞台にしながらジャンルはホームドラマである。一方、度胸星はSFである。宇宙という神の冷厳さを人間の持つ価値観の矮小さで暖めない倫理観がSFなのである。オバマ似の黒人大統領をはじめとして、いろいろと予言しすぎた作品であり、そして予言しすぎるものは時代に拒絶される運命を持つのである。ハハハ、お前の思いつめた表情はまるでnWoがそうですと言わんばかりだな!
「このままじゃ、nWoはダメになる!」」
長髪熟女の雨宮がテーブルの上に片足立ちで指差しながらした酒の席での放言を真に受けて、漫画的な鼻水を垂らした袖口のゆるい薄幸少女であるところの事務次官が泣きながら何やらごそごそとサイトの改変を行いはじめた。全身剃毛・七三カツラの俺は、まだダメになる余地がnWoへ残されていることに驚愕し、花粉症で鼻腔が通らぬため口にくわえたちくわぶをシューシュー鳴らして抗議の意を露にしたが、「おまえはすっこんでろ!」の叫びと共に鳩尾と顔面を同時に殴られ、路地裏のゴミ捨て場でひとり意識を取り戻す有様であった。無論、以上は虚実の入り混じったイメージ画像である。
しかしながら、結果として冒頭の指摘は炯眼だったと言わざるを得ない。虚構日記と銘打ちながら、全く日記的ではない内容を記述してきたnWoにとって、作品が更新された順で並ぶことに大きな意味は無いだろうと全裸で青白く痙攣しながらサイト移転した俺の認識は、間違っていたのである。それを証拠にいま時系列で過去ログを読み返せば、初期における一日単位の目覚ましい進化と中期における己の尻尾を追いかけるような螺旋状の混迷とが、当時の現実とそれへ付随する精神状況をまざまざと思い出させ、書き手のモチベーションにとって極めて有益であることが判明した。
だが、いったいどういうわけか最も恩恵を被るはずの読み手からは全くと言っていいほど反応がない。思わず契約しているプロバイダへ、主に俺の精神を安定させるためだけにモンスターの如きクレームの電話を入れかねないほどの黙殺である。見かねた新宿オフ参加者の数名が掲示板やweb拍手へメッセージを書き込む気の遣いようは、小生にとって堕ちた偶像の自覚を否応に促し、惨めさは増すばかりである。また、加速する内輪受け感がnWoの持つ人類史的な意味付けを矮小化しているのではないかと心配するあまりの深酒で夜中に絶叫し、このご時勢に通報寸前まで隣人を脅えさせるほどの情緒不安定ぶりである。
とりあえずネット界隈に影響を持つブロガーの諸君は、nWoのことを積極的に宣伝してよい。ありがたいことに、ちょうど新しいトップ画像が寄贈されたところである。銭を取れる萌え絵だ。愛らしい猫のバナーを併用し、萌え系の画像掲載サイトとして偽装する勢いで宣伝していただきたい。なんとなれば、少女保護特区は正に佳境にあり、ジャズセッション的に更新を行いたい俺としてはオーディエンスからの反応を切実に求めている。更新が成った瞬間、物語の行く末は永久に固定される。何らかの関与が可能なのは、この空白期間のみだと理解されたい。人類滅亡は思春期の類型的な夢想だが、実際に全人類を殺害できる力を持つ者がその実行を願った場合、魂の可塑性を越えた悪が彼ないし彼女の実存を永久に改変するだろう。果たしてそこに救済は存在しえるのか? この、少女保護特区が問う命題に対し、諸君の直接・間接問わぬ関与を期待する。
ワンダービット
氏の最高傑作。ストーリーテリングに対するおそらく劣等感から語り始めるが、次第に含羞が勝り物語が崩壊するという過程を幾度も見てきた。秀逸な短編の連続が、結果として長編を構成するというこの方法論は、氏の持ち味の良い部分だけを最大限に引き出している。4巻まとめて読むべし。え、もしかしてこれも絶版なの? なっ! 何をするだァーーーッ! ゆるさんッ!