「ドラ江さ~ん、助けてよ~」
「なんや、どないしたんや」
「世界との関係性を失って自己の立脚点を相対化できないんだ。どこへも確定しないように思える曖昧な日々の現実が不安なんだ。ぼくを楽にしてよ、ドラ江さん! いつものように決めうって生きることを楽にしてよ!」
「なんや、またかいな。まァ、しゃあないの。そのためにワシはここにおるんやからな」
「ドラ江さん! やっぱりドラ江さんはぼくのたったひとりの重要な存在だよ!」
「昔っからおまえそればっかりやんけ。ホンマにそう思っとるんかいな。ええわ、ええわ。ほな、いくで。一回しか言わへんからよぉ聞けや。まず文章の語尾に(爆)(笑)(逝)(泣)や顔文字をつけるやつは、根本的に日本語力の欠如したアホや。(苦笑)と来るやつ、もうこれは白痴や。無条件で見下してええ。こいつらは、間違いなくおまえ以下や」
「ああ、ありがとう、ドラ江さん! これでネットでの生活が楽になったよ! 優か劣かの安易な二元論により、現実への対処のやり方がはるかに簡略化されたよ! ぼくの苦悩が和らいでいくよ!」
「さよか。役に立てて嬉しいわ。なんや、早速パソ通かいな」
「けけけっ、こいつ(苦笑)って書いてるよ。どうしようもない低脳め。こっちは(微笑)だってさ。女性週刊誌かって~の。ちんこ噛んで死ね」
「――でもな、のび太。一番どうしようもないのはたぶんおまえ自身なんやで――」
「『うわぁ、びっくりした(^^;』だってさ。文章書く時点で冷静になるってえの。わざとらしく驚いた演技しやがって、この大根役者め、大学生の素人アングラ演劇め、水呑み百姓め。電線のない田舎にでも引きこもって、しこしこ畑耕してろってんだ。けけ、けけけけけっ」