猫を起こさないように
ブレードランナー2049
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スターウォーズ7とは逆で、ハリソン・フォードが出てくるまでは面白かった。それ以降は、腐っても「ブレラン」の続編をうたうのだから、最高の環境で視聴しようと思い、アイ・マックス・スリー・ディーを選択したことがアダとなる。オリジナルの冒頭で流れる例のみょんみょんしたテーマっぽい音楽が、ゴスペル風テルミンみたいにアレンジされて重低音で響きまくり、人物アップの長回しが多用されるのと相まって、nWoオールタイムワーストであるところのシン・レッド・ラインを視聴したときと同じ気分にさせられたのには参った。他にも、サイレンスの宣教師みたいなウォレス社のラスボスとか、レプリカントたちの蜂起とか、9つのオフワールドとか、ブレランの世界観をマルチバース的に広げたいんだろうなと推測させる続編への色気が、全体的に悪目立ちしていたように思う。主人公のKが一度は手に入れたと錯覚するオリジナリティ・イコール・アイデンティティが尽く借り物であったことと、ブレランの続編を制作する行為そのものとのオーバーラップが自己言及的に読める部分だけを焦点化し、完全に閉じたまま終わることができれば、作品の格はもう少し上がったことだろう。てなわけで、全体として監督が誘導する方向に全然ノレなかった俺様だが、追い討ちをかけるように後半、後ろのオッサンが嗚咽まで漏らして号泣しだしたので、最高にダウナーな気持ちにさせられた。これがあるから、映画館で見るのはイヤなんだ!