猫を起こさないように
アポロ13
アポロ13

アポロ13


アポロ13


劇場で見た際にも感動したのだけれど、それは話のスケール感とSFっぽさに対する漠然とした中身に過ぎなかった。今回あらためて視聴する機会を持ち、普段はまとまらない組織がひとつの大目標や危機の共有を通じて結束してゆくダイナミズムに心うたれたのである。そして、十五年という歳月がもたらしたものに感慨を覚えたのだった。君と私が何よりの生き証人だと思うが、個として切り離された場合の人類がまったくどうしようもないふるまいをする生き物であることを否定はできまい。だがもしかすると総体としてならば、我々は何か大きな命題を成し遂げ、ある種の崇高さに至れるのではないかという淡い錯覚――それは希望の別名である――をこの映画は与えてくれる。もっとも、本邦においてはここ半世紀というものずっと、結束へと向かう熱の高まりはすべて、民族レベルの防衛機制が自動的かつ徹底的に無意識を検閲し、シラケへと上書きされてしまう状態が続いているのだが! 紙と鉛筆で軌道計算をするところと、苛立たしく投影機を脇へやって黒板にチョークで書きつけるところが、すごく好き。