ファイナルファンタジー7リバースを驚愕しながらダウンロード。なんとなれば、まさかこの「リメイク2」が発売どころか開発にいたっていたなんて、夢にも思っていなかったからである。前作はタイトルからもわかるように、オリジナルの全長を現在の技術で作りなおすプロジェクトとして始まったはずなのに、参加メンバーのだれも進捗とリソースの管理を行わないまま、キャッキャ言いながらーーチームとは名ばかりの、かつてのスタークリエイターとそのファンたちの集まりなのだから、無理からぬことであろうーー制作を進めた結果、バイクと新羅ビルと夜の街にカネと時間をかけすぎ、当初に予定していた制作費の半分をキャバクラ通いーー「オラッ、いつまでキーボード叩いてやがんだ! ウォールマーケットの現地取材に行くぞ!」ーーに使いこんだあたりで、業をにやした経営サイドの執行役員から追加予算の打ち切りを宣言されたにちがいない。ここにいたって、ようやく二重の意味での酩酊状態から我にかえったスタークリエイターとその信奉者たちは、「作りかけのハイウェイ」(ロストハイウェイ!)というメタファーに、セフィロスとの因縁を語りつくす一大ラストバトルからザックスの顔見せまでを無理やり巻きでブチこんで、「もし制作費を回収できずに続きが頓挫しても、終わったっぽい雰囲気だけはかもすようにした」ものに、”ミッドガル編”と手書きのラベルを貼って、ギリギリで宿題を提出したのがリメイク1の実状であろう。出番のなかった人気キャラであるユフィを登場させた完全版商法であるところのインタールード発売も、この推測の正しさを裏づけるものだった。だが、制作側にとっても予想外だったのは、国内だけで400万本の超ヒットとなったオリジナルによって罹患した中2病の保菌者たちは、全国の津々浦々に多種多様な業種や役職で散らばる400万人のKURAUDOとなって症状を潜伏させており、本作にまつわるすべてを力強く買いささえてしまったのである(挿入される「暴走族の総長の復活を喜ぶかつての悪ガキたち」や「上司に早退を告げる勤続35年無遅刻無欠勤のサラリーマン」のイメージ)。
現在、第4章に入ったあたりだが、すでにプレイタイムは20時間へとせまるいきおいである。「ミッドガルを出たところで、どうせまたアンチャーテッド方式の一本道なんでしょ」とナメた態度でヘラヘラとプレイしていたところ、広大なワールドマップがドンと出現するのを目のあたりにした瞬間、かつてのエフエフ魂(ファイファン派は極刑)に火がついてしまったのだ。ファイナルファンタジー16とは比較にならないほど高密度で遊ばせるフィールドは、ミニゲームと探索要素にあふれており、気がつけば丸1日をブッ通しでプレイして、グラスランドの達成率を100%にしていたぐらいである。すべての若い女子が両腕を背中側に回して腰をかがめ、双乳を前方へと強調しながらウワメづかいに話す様子とか、ダブルヒロインのかけあいの女子校ノリというか夜職の同僚ノリというか昭和の深夜番組(ギルガメッシュも登場)ノリも、ゲーム部分が手抜かりなくキチンと作られていると、令和の倫理感にアップデートされたはずの目にも好ましく映るのは、我ながらじつに不思議だった。のちのPC版を想定しているのか、グラフィック優先の描画にするとPS5なのにモッサリ重たくなる場面があるのはどうかと思うが、逆に気になる点はいまのところ、それくらいだとも言えるだろう。レベリングとマテリア育成を行いながらのフィールド探索は、かつてファイナルファンタジー・シリーズをプレイしていたときの感覚をまざまざと思いださせてくれるし、ストーリーもオリジナルの展開をなぞりながら、「じつはザックスがキムタク」という有名なネタバレ・ミームを謎解きのミスリードに使っている感じで、エアリスのあつかいをどうするのかをふくめて先がとても気になりつつも、この良作を早解きはせずにじっくりと楽しみたいと思う。
あと、女性をふくめた全登場キャラクターのうちでクラウドがいちばんエロくてかわいいのは、いったいぜんたいだれ目線の、どういうサジ加減なんでしょうか。「学校いちの美少女と巨乳とボーイッシュ、そして裏番の長髪パイセン、みんなが夢中でゾッコンなオレの愛しい彼氏」みたいな強いビー・エルの気配ーー妻帯者だからか、バレットはそんなに”さぶ”くないーーを感じるんですけど、まさかノムさん、そうなの? そうだったの? それと、リメイク3が作れるほど本作が売れたなら、サブタイトルはまちがいなく「リユニオン」になると予言しておきましょう。