ジョン・ボイエガがBLMーーくわしくないが、ブラック・マジシャンかボーイズ・ラブ・マニアックの略称と思われるーーについて語っているインタビューを読んだ。スターウォーズ・シークエルにおける自分の扱いの悪さを人種問題の観点で批判しており、さすがに今回ばかりはデ銭を擁護する気分になった。
「オイオイ、ボイエガちゃん、フィンがああなったのは主にライアン・ジョンソンのクソ野郎の天童よしみ推しが原因で、人種問題はぜんぜん関係ないだろ! それに人種以前の話で、役者としての雰囲気や立ち居振る舞いにサミュエル・L・ジャクソンほどの魅力が無かったのが、次代のメイス・ウィンドゥになれなかった主な理由だろ! 公衆の面前で情動失禁みたいなスピーチしてるヒマがあったら、まず俳優としての未熟さを自分自身の責任と認めて、演技力の研鑽にはげめよ! なんでもかんでもスキン・カラーのせいにするから、みんなだんだんめんどくさくなって、弱い差別から強い不快に変じた感情を心の底へ沈めて、表面上は無視や無関心を装うようになるんだろ!(突如たちあがって、声音を使って小芝居を始める)」
「(気色ばんで)ええッ、日程を一日延長するだって? 会場費とか人件費とか、どうすんだよ。チケットの払い戻しも出るだろうし、運営スタッフのスケジュールだって押さえなおさなきゃならない。そもそもウチの翌日から別団体が予約いれてたはずだろ?」
「いま会長が頭下げに回ってるよ。そっちの延長分も、ウチがぜんぶ払う方向で調整するらしい」
「オイオイ、莫大な労力と費用じゃないか! もちろんアイツの事務所に請求書を送りつけるんだろうな?」
「バカ言うな。そんなことしたら差別を容認する会社として、ヤツらの標的にされちまう。安くはないカネだが、ひかえめに賛意を表明することで社会的な評判も下げずにすむ。必要な広報費用と考えるんだ」
「オレは納得いかねえよ。情緒不安定なガキの世迷言に、大の大人が右往左往させられてよ。てめえのコンディションが悪いから、状況を利用してこしゃくな時間かせぎをしてるだけなんじゃねえのか?」
「かもしれん。だが、本当のところは本人にしかわからんさ。ともかく、いまヤツらはパワーを持ってる。ヤツらの正面に立たないようにすることが肝要だ。表面だけでいいから、逆らわず同調してると思わせるんだよ」
「ファック、やりきれねえ! ヤツらがやってるのはただの不法行為じゃねえか! いつまで暴力におびえて、こんな理不尽の言いなりにならなきゃいけないんだよ!」
「すぐさ。幸い、ヤツらを駆動しているのは感情で、強い感情は対象を必要とする受け身なエネルギーだ。大事なのは、それを燃やすフュエルを与えないことさ。くれぐれも本音をネットに書いたりするなよ。そうすれば、じきにガス欠になって鎮火する。いつものようにな」
「わかったよ、オレも大人になるよ……賛意を表明するメッセージを発出して、サポートしているふりをすることが、ヤツらへの最大の仕返しってわけだな(狡猾な微笑み)」
「(笑顔でサムズアップ)いいぞ、自分たちの行動で社会が変わったと錯覚させるんだ」
『このような悪は、なくさなければなりません。私たちは、世界で長いあいだ望まれていた変化へ参画することを約束します。** **、あなたは私たちのヒーローです』
……ってなるだろ!(これ以前の文章をすべて名詞化する安易で愚劣な表現)