時代が求めなかった兄貴的DJの軌跡。

D.J. FOOD(1)

  「 Jam, Jam! MX7! 今週もまたD.J. FOODの”KAWL 4 U”の時間がやってきたぜ! それではいつものように始めよう、Uhhhhhhhhhhhh, Check it out!

  まァ、俺もさまざまの現代人が当たり前にやるような選別の儀式をくぐりぬけてきてここにいるんだが、受験戦争? ハ、そんな遊びのような、たとえ敗れてものうのうと誰も見ないHPを作りネットワークに負荷を付加するだけの情報を送信して自己満足できるような、腐った水の生ぬるさとははるかに遠かったね! 勝つことがすべて、敗北はすぐに死そのものを意味した…そう、あの血のベトナムではね…。今ではこんな一地方局のD.J.にこじんまりとおさまっている枯れた俺の実存だけど、血気盛んだったあの頃には米軍司令部などに乗り込み、しばしば単独でやつらを壊滅させたものだったさ! っていうか今現在チャンピオン誌上で壊滅させている真っ最中なんだけどね! おっと、いけない! これ以上しゃべったら俺の正体がいったい誰だかみんなにバレちゃうよ! さぁて、いつもの犬のようなおしゃべりはこれくらいにして、まず最初のお便りは東京都にお住まいの東鳩マルチさんからだ! 『ボクはじつは全然あなたのことなんか好きじゃないんですけどね。おぉい、みんな聞こえてるかぁ! オレはこんなにビッグになったぞぉ(爆笑)! あ、もちろん全部冗談だから気を悪くしないで下さいね(^^;。今まではしおりと言えば藤崎詩織でしたけど、これからはやっぱ斎栞(はぁと)だと思うんですよね、ボク的に。とりあえずこないだのコミケで買った同人誌の一覧つけときますんで(爆)、ボクがどんなやつなのかこれで判断してみて下さい(微笑)』YoYoYoYoYoYoYoYo, Yo Men! 死んでしまえ! 次のお便りは千葉にお住まいの子猫の吐息ちゃんから! 『最近なだらかにふくらみはじめた胸が、恋にも似た切ない痛みをうったえるようになった12歳の私という実存なんですが』 YoYoYoYoYoYoYoYo, Yo Men! 生きろ! 最後の一枚は大阪府在住の小鳥くんからのお便りだ! 『こんばんは、D.J.FOODさん。何度も迷ったんですけど、重大な告白をするためにペンを取りました。僕はオナニーをするさいにしばしば乾電池を使うんですけど』YoYoYoYoYoYoYoYo, Yo Men! くたばってしまえ!

  おっと、もうこんな時間だ! みんなからのお便り待ってるぜ! それじゃ、来週のこの時間まで、C U Next Week!」

D.J. FOOD(2)

 「 Jam, Jam! MX7! 今週もまたD.J. FOODの”KAWL 4 U”の時間がやってきたぜ! それではいつものように始めよう、 Uhhhhhhhhhhhh, Check it out!

 まァ、今ではロータリークラブという単語を取り扱うような際にも『おお、いやらしい! この童女趣味者め! オマエは欲求不満か! オマエは潜在的犯罪者か!』などと叫びパーティの席でうろたえとりみだすことも隠微な幻視を抱くこともなくなり、『ふぅん、それはちょっとイカした子猫ちゃんだね。はぐれメタルほどではないにしてもね』とクールに応対できるほど充分に成熟してしまった枯れた地方局のいちD.J. という俺の実存なんだけど、血気盛んだった頃にはしばしば名古屋方面へむけて片手で新幹線を投げ飛ばしたものさ! いやァ、あの頃は若かったからね、婦女を誘い込むために子犬だろうが老婆だろうがいい人であるところの俺を演出するための小道具として暴走する新幹線の前にしばしば配置したものだったね! そしてしばしばその子犬を助けることで意図的に競技失格になったものさ! 老婆は見捨てたけどね! 加うるに当時の俺の左足はしばしば着脱式だったよ! おっと、いけない! これ以上話したらみんなに俺の正体がいったい誰なのかバレちゃうよ! ところでロータリークラブっていったいなんだろうね! さぁて、いつもの犬のようなおしゃべりはこれくらいにして、まず最初のお便りはセミパラチンスクにお住まいのアレクセイ・グリゴリーウィチくんからだ! 『ごほ、ごほ。D.J. FOODさん、こんばんは。いつも楽しく聞いています。最近なぜかいやなせきが止まらないんです。母はそんなぼくを心配していろいろ看病してくれるんです。先日も精がつくようにって、いびつな形をしたふた抱えもあるびっくりするような大きな野菜をたくさん市場から買ってきて、野菜シチューをつくってくれました。母のためにも早く元気になりたいです。最後に、はがきが汚れてしまって読みにくくなっていることをお許し下さい。さっきちょっと血を吐いたんです。ほんのちょっとだけ。それでは』YoYoYoYoYoYoYoYo, Yo Men! 死んで・・・しまうの? 次のお便りは長崎にお住まいの虹のしずくちゃんからだ! 『最近かすかにうぶげの生えはじめた、おへその下あたりが恋にも似た切ないうずきをうったえるようになった14歳の私という実存なんですが』YoYoYoYoYoYoYoYo, Yo Men! 合格、ごうか~く! 最後の一枚は大阪府在住の小鳥くんからだ! 『こんばんは、D.J. FOODさん。何度も迷ったんですけど、重大な告白をするためにペンを取りました。ぼくはじつはオナニーをする際しばしばおいなりさんを掃除機に吸引させながらブッかくんですが』YoYoYoYoYoYoYoYo,Yo Men! くたばってしまえ!

 おっと、もうこんな時間だ! みんなからのお便り待ってるぜ! それじゃ、来週のこの時間まで、C U Next Week!」 

D.J. FOOD(3)

 「 Jam, Jam! MX7! 今週もまたD.J. FOODの”KAWL 4 U”の時間がやってきたぜ! それではいつものように始めよう、Uhhhhhhhhhhhh, Check it out!

 まァ、今では安孫子素雄がよくゴルフ漫画でやり今もやっているような、ボールが発射される際に高々と鳴り響く『ドピュ』という擬音に電車内でのけぞり、「先に球形のひっかかりのついた棒! 玉! ドピュ! おお、少年誌でなんという犯罪的な! おまえは青少年性犯罪の悪魔的扇動者か!」と叫んで人々の顰蹙を買うこともしばしばの俺の実存だったんだけど、今では充分に枯れた地方局の一D.J.という立場でもって近所の女子小学生にそれの表記されているページを見せながら「でも実際こんな音しないよね」とたずね、彼女らが早く逃れたいものだからしょうがなくうなずくところに「ふぅん。なら桜ちゃんは聞いたことがあるんだね、実際に。今そういう意味のことを言ったよね? ああ?」と畳みかけ合わせた狂信的な目をしつこくそらさずに難詰する、ふつうの成人した職を持たないHPは持っている大人がしばしばやる程度のことをお父様方の日々の晩酌のようにつつましやかにやるだけなんです。そしてあの頃は血気盛んなものでしたから、初登場の頃はただのへたれキャラだったのにストーリーが進むにつれ次第に渋い脇キャラとしての重要性を持ち始め、その自前のサザエさんのような髪型で声が潰れるまで仲間を応援したり、仲間を戦場に送り込むための肉の橋になったり、それらの事実で男色的な意味合いを読者少女層に感じさせて絶大な人気を博したり、そして感動させんがための物語のご都合主義的必然でついうっかり死んでみたり、すぐに復活して読者少女層の支持を失ったり、最後のほうにはやたら影が薄くなってみたり、そんな日々の暮らしでした。AVビデオをこそこそ借りるくらいには姑息でしたし、だからといって性犯罪を犯さない程度には生活に充足していました。そんな青春でした。あの頃の友人は今では総理大臣やってます。わからぬもんですよ。さぁて、いつもの犬のようなおしゃべりはこれくらいにして最初のお便りは…これは書いてないな、住所不明のあしたのジョーウィルくんから! 『ミサイルかっこいいよ、ミサイル! チンポみたいで! ムカついたら全部ブッこわしてくれるしさぁ! ゴジラかっこいいよ、ゴジラ! チンポみたいで! ムカついたら全部ブッこわしてくれるしさぁ! 最近あんた調子のってるよ!』YoYoYoYoYoYoYoYo, Yo Men!  や、やんのかコラァ! 次のお便りは仙台にお住まいの北へちゃんからだ! 『最近外につもる私の性的な純潔さをひそかに暗喩するところのまっしろな雪を見てると思うんです。この白を、たとえば泥やそれに類する汚れのたっぷりとついたゴム長靴で(それぞれがいったい本当は何を意味しているのかは言いませんよ)ぐちゃぐちゃになるまで汚すことができたらどんなに胸がすくだろうって思うんです。FOODさん・・・』YoYoYoYoYoYoYoYo, Yo Men! 斉藤くん、宮城行きの新幹線の切符大至急入手して! 最後の一枚は大阪府在住の小鳥くんからだ! 『こんばんは、D.J. FOODさん。何度も迷ったんですけど、重大な告白をするためにペンを取りました。ぼくはじつはオナニーをする際しばしば尿道に異物を挿入し、両手をつかわずに自力でそれをひり出すことで快楽を得るんですが』YoYoYoYoYoYoYoYo,Yo Men! くたばってしまえ!

 おっと、もうこんな時間だ! みんなからのお便り待ってるぜ! それじゃ、来週のこの時間まで、C U Next Week!」 

D.J. FOOD(4)

 「 Jam, Jam! MX7! 今週もまたD.J. FOODの”KAWL 4 U”の時間がやってきたぜ! それではいつものように始めよう、Uhhhhhhhhhhhh, Check it out!

 ハ、オリジナリティだって? そりゃテメエが出典を思い出せていないだけのことさ! うぅっぷ、それ以上芸術臭い息を俺に吐きかけるんじゃねえよ! ロックンロール! まァ、今ではハイジャッカーなどに遭遇した際にも騒然となる機内にひとり立ち上がり大きく両手を広げながら狂的とも言える信念に貫かれた瞳をそらさずに”We are the world”を歌いつつ接近することで犯人を投降させてしまい美女のボインちゃんを左手で楽しみながら右手で葉巻をふかす英雄扱いの地方局の一D.J.という枯れた俺の実存なんだが、あの頃は血気盛んなものだったからひとり荒野に立ち山に向かってギターをかきならして一週間ぶっ通しに歌い続けたり、赤く着色した戦闘機にスピーカーを積み込んでしばしば銀河を飛びまわり宇宙人を歌の力だけで撃退したりしたもんさ! …あン、空気がなけりゃ音は伝わらないじゃないですか、だと? バカヤロウ! (殴りつけられたADの一人が無数の折れた歯をまき散らしながら窓ガラスを突き破り13階下の地面へと落下していく。破られた窓はふつうのガラス窓で、何を象徴するものでもないことをあらかじめ付記しておく)細かいことぬかしてんじゃねえよ! ソウルだ、ソウル、熱いかどうかなんだよ! そして宇宙人の婦女子とのロマンスもありだったさ! 穴が開いてなかったんでびっくりして荒ゴミの日に捨てたけどな! ひとつ言っておくがな、宇宙人の婦女子が地球人の婦女子と同じ生殖機構を持ってるなんて幻想でSFやるんじゃねえよ! ロックンロール! さぁて、いつもの犬のようなおしゃべりはこのくらいにして、まず最初のお便りは群馬県にお住まいの斉藤陽介君からだ! 『こんばんは、毎週楽しく聞いています。ぼくは三歳のとき事故に遭ってから目が見えないので、一日じゅうずっとラジオばかり聞いているんですが、その中でもFOODさんはとびきり面白いと思う。FOODさんの番組には本当に勇気づけられます。…来週手術を受けることになったんです。目が見えるようになる手術です。でもぼくには”見える”世界というのがいったいどういうものなのかわからない。怖いんです。『まぶたの夕陽は美しかった』という言葉を知っていますか。半世紀以上を目が見えないまま生きてきた男が、村人たちのおせっかいで手術を受けるんですけど、見えるようになった世界に絶望してもらした言葉なんだそうです。ぼくはずっと見えないままでもかまわないんです。だって、ぼくは十年の間ずっとここしか知らな』 …おい、待て中川、俺のサロンパスを冷蔵庫で冷やすんじゃねえよ! まったく油断も隙もあったもんじゃねえ! ええと、なんだっけか。まぁいいや。忘れるくらいだ、どうせ大したことじゃねえな。ロックンロール! さて、次のお便りは栃木にお住まいの藤野あさみちゃんからだ! 『こんばんは、FOODさん。今日はひな祭りですね。慣れないせいか喉につっかえる白く濁った温かい液体を(甘酒ですよ、やだなぁ、もう。なんでも裏を読もうとするんだから)飲み下すと私も少し』 …おい、待て西島、俺のアロンアルファを冷蔵庫で冷やすんじゃねえよ! 何度言ったらわかんだこの白痴めが! (蹴りつけられたADの一人が無数の折れた歯をまき散らしながら窓ガラスを突き破り13階下の地面へと落下していく。破られた窓はふつうのガラス窓で、何を象徴するものでもないことをあらかじめ付記しておく)まったく油断も隙もあったもんじゃねえ! ええと、なんだっけか。そうそう、あさみちゃん。栃木にお住まいの藤野あさみちゃんからのお便りの途中だったな。ロックンロール! 『大人になれたような気がします。お酒に熱くほてった身体を着物の上からなでてみたり。こんな12歳の私という実存はいけない子でしょうか』YoYoYoYoYoYoYoYo,Yo Men! 中川、栃木行きの高速バスの時間を調べろ、大至急だ! 栃木に住んでる叔父が危篤だという気がなぜかするんだ! 最後の一枚は大阪府在住の小鳥くんからだ! 『こんばんは、D.J. FOODさん。何度も迷ったんですけど、重大な告白をするためにペンを取りました。ぼくはじつは』YoYoYoYoYoYoYoYo,Yo Men! 自慰行為は示威行為と同義だ! ロックンロール!

 おっと、もうこんな時間だ! みんなからのお便り待ってるぜ! それじゃ、来週のこの時間まで、C U Next Week!」 

D.J. FOOD(5)

 「先週は本当に申し訳ない。関係者のみなさん、番組を聞いてくれているみなさんの感じた憤り、不快感についてD.J.FOODは、いや、私人山田次郎は心から謝罪したい。昔は血気盛んなものだったから人間をビルの高所から蹴落とすどころか、人差し指を根本まで胸にうずめられても唇の端を切った程度の出血で全然平気だったり、最初は優しい激情家だったのがネクロフィリアでダッチワイフ好きの旧友にビルの屋上から飛び降り自殺を強要させたあたりからニヒルな殺戮家に君子豹変し、核で人類が滅びてしまったので拳法でもってというミノフスキー粒子より納得のいかない理由で暴力による世界支配をもくろむ親戚の血のつながらない兄さんを撲殺したり、ついでに婚約者の兄さんも撲殺するようなそんな平均的日本人の生活を1オングストロームほど逸脱してみせる程度の毎日だったんです。そして様々の紆余曲折を経たのちに自分の婚約者が産んだ暴力による世界支配をもくろんでいた親戚の血のつながらない兄さんの子供に屈折した教育指導を施し、ときどき記憶を喪失したりしながら歴史の彼方へと消えていくような凡々たる有様でした。それが今回の不祥事、本当に申し訳ない。収録スタジオから不慮の事故でもって墜落した二人のスタッフのうち一人は偶然マンホールのふたが開いており肉体労働従事者の黄色いヘルメットに運ばれてマンホールから顔を出したところをダンプに轢かれる程度のディズニー的軽傷ですみ、もう一人は金玉をひろげグライダーのように飛翔し土曜の新宿に衆人環視の中着地して猥褻物陳列罪に問われるだけで済んだのは不幸中の幸いと言うべきでしょう。こんなどうしようもない私ですが、みなさまから励ましのお便りを頂いておりますので二三読ませて頂きたく存じます。まず一枚目は住所は書いてありません、チンポ丸出しさんから。『この人殺し!!!おまえみたいなのが金もらってるから俺のとこにまわってこねーんだよ!!死ね!!!』申し訳ございません。全くその通りでございます。あなたがいい大学に入りいい就職口を見つけいいメシを喰うといった度外れの幸運にめぐまれず、いま人生の底の底のゴミ溜めを這って這って這って這いずっていて、ときどき匿名で品性の下劣なハガキを記述し無職の身には身を切るような辛さであろう数十円の切手を貼付しわざわざ投函するというハリウッド的劇的さでもって日常を疾駆なさっているのは何もかも私の不徳の致すところでございます。言葉もありません。次のお便りは板橋区にお住まいのときめきリズムちゃんからです。『私はFOODさんは悪くないと思う。どうかFOODさんを降板させたりしないで下さい。私の通う女子中学校で集めた署名と嘆願書を同封します。また面白いお話を聞かせて下さい』ありがとうございます。涙が出ます。幸い降板という事態はまぬがれそうです。不要になったいい匂いのするこの署名と嘆願書は、ちんちんの先端を包むなどし、積極的に私の私生活において役立てたいと思います。本当にありがとうございます。最後のお便りは大阪府にお住まいの小鳥くんからですが、残念ながらもはや紙数は尽きた。それでは来週のこの時間まで。ごきげんよう」

D.J. FOOD(6)

 「 Jam, Jam! MX7! 今週もまたD.J. FOODの”KAWL 4 U”の時間がやってきたぜ! それではいつものように始めよう、 Uhhhhhhhhhhhh, Check it out!

  まァ、今でこそ地方局の一D.J.に専属でおさまりいただくわずかのサラリーで細々と二人の娘を養う、地域振興券に非常な喜びを感じるような、お釣りの出ないことに憤りを感じるような、娘二人の現世の様々の欲からもっとも遠い清らかな寝顔に現世の様々の欲の中でもっとも浅ましい欲を抱いて自己嫌悪に陥るような、そんな小市民的な飼い慣らされた日常を堅実に歩んでいるわけだけれど、あの頃は血気盛んなものだったからMOO・念平などというペンネームで子供だましの薄っぺらい熱血学園ガキ大将漫画をしこしこと記述して小金を稼ぎ、安い焼酎などを購入して悪酔いし、抑圧の外れた意識でもって意味の通じない奇声を発しながら外へ駆け出し、電柱に激突して横転、二万人の足に被害を出すほどの荒くれ者っぷりでした。小学館漫画賞をいただいたこともあるんですよ。下から読んだらペンネーム。さて、いつもの犬のようなおしゃべりはこれくらいにして、まず最初のお便りは静岡にお住まいのバルダーズ・ゲート最高!さんからです。『こんばんは、FOODさん、いつも楽しく聞いています。楽しく聞いているんですけど、FOODさんって嘘つきだと思う。だってFOODさんの昔の話って毎回めちゃくちゃだし、全部本当なんてことありえないと思う。全然整合性がないもん。それだけです。あとはいいと思う』 うん、いい指摘だと思うな。現代ほど現実の虚構化が進んでいる時代は過去なかったと言っていい。人間の知恵がある現実を、例えば誰かに伝えるために、言葉でもって確定させようとすること、それ自体がすでに虚構をつくりだしているんだ。家を出て、見上げた空が君にとってとても気持ちのいい様子だったとする。それを、出会った友人なりに伝えるために『抜けるような青空』という言葉でもって説明したとしよう。そのとき、君の目の前の空は確かに青かったが、東のほうから黒い雲がやってきつつあったことや、飛行機が横切ったことや、月がうっすらと見えていたことなんかは省略されている。なぜならそれらは君が感じた『とても気持ちのいい』感情と反する、あるいは全く関係ない事項であるから、省略してしまったほうが相手に誤解なく君の感じが伝わるだろうと君は無意識に思ったからだ。たったこれだけの操作だけれど、それは現実を虚構化していると言える。会話だってそうだ。現代には間をきらい、声を張って、演劇的にしゃべる人間のなんて多いことだろう。そしてみんながみんな、一語の無駄もない”意味のある”やりとりをしようとしている。すべての言葉に意味性を与えようとしている。まるでそれぞれが推理小説の中の登場人物でもあるかのようじゃないか。ネット上なんかもうそれ以外は無いって感じだね。会話の即時的で無さに現実の言語化から更にキーボードやらの装置で打ち出すという段階が加わって、意味の無さは極限まで削られ、必然だけが場を支配する。ときおり見受けられる無意味性でさえ、意味性へコントラストを与えるための役割を受けている。つまり意味が与えられている。要するにね、君の感じている整合性の無さっていうのは、君の周囲をとりまいている、君が知らずならされ適応してしまった虚構内感覚での違和感なんだよ。現実にもともと整合性なんてありはしないんだ。だから君が僕の話に感じるような、もっともあり得なく思えることも、それは虚構内でのありえなさ、おさまりの悪さに過ぎないってことさ。それに、もしかしたら僕自身、虚構の中の人間かも知れないじゃないか。長くなってしまった。さて、次のお便りは栃木にお住まいの片山春美ちゃんからのお便り。『FOODさんひどい。こないだ栃木に来るって言ってたのに、来なかったじゃないですか。ずっと待ってたんですよ。藤野さんは私の友だちです。今度はぜったい来て下さい』 ごめんごめん。本当に行くつもりだったんだよ。死ぬ予定だった叔父が持ち直してね。それもこれも間違って小麦粉を送ってしまったスタッフの中川君のせいだよ。恨むなら彼を恨んでください。本当に今度行きたいと思います。ごめんね。最後のお便りは大阪府にお住まいの小鳥くんからです。『こんばんは、D.J. FOODさん。何度も迷ったんですけど、重大な告白をするためにペンを取りました。ぼくは最近ホームページを作ったんですが、なんだかダメなんです。最初のうちはいろいろみんな褒めてくれて嬉しかったんですけど、最近はもう全然なんです。どうしたらいいでしょう。気持ちに張りが無くなってしまって。このままじゃ僕はダメになってしまうような気がする』 小鳥くん、どんな劇的な革命も変革も、最後には日常に吸い込まれていくんだ。若い頃は、Life is a carnival、ただお祭りのように大騒ぎで毎日が過ぎて、こんなふうに死ぬまで過ごせたらとよく思ったものだ。いろいろと無茶なこともやったよ。でもこんな僕も、最近わかってきた。当たり前の毎日を積み重ねることの尊さを。人の親として大地に身を横たえ、次の世代の肥やしとして朽ちていく喜びを。カストロ議長っているだろう。あの人も自分を取り巻く現実を打破するために革命を求めたはずなのに、その熱狂は死体のように冷えてゆき、いつのまにか自分がかつて自分を取り巻いていた打破すべき現実とまったく重なっていることに気がついてしまったんだ。かれの演壇に立つ疲れた年老いた顔を見たとき、僕はそんなことを思った。だから君も失われていくものを嘆かずにゆっくりと前へ進んでくれ。そして時期が来たら、次に来る者たちのために身を横たえ、彼らに我が身を喰わせるといい。そうやって、人類は歩んできたんだ。今日はなんだか最後に少しセンチになってしまった。来週はまたいつものように大騒ぎでいきたい。Life is a carnival。

 それじゃ、来週のこの時間まで、C U Next Week」

D.J. FOOD(7)

 「 Jam, Jam! MX7! 今週もまたD.J. FOODの”KAWL 4 U”の時間がやってきたぜ! それではいつものように始めよう、 Uhhhhhhhhhhhh, Check it out!

 びっくらコきマラ! 空気も温み花も暗示的に咲き乱れ開放的になった婦女たちがたわわな双乳をぶるんぶるんふるわせながら町を我がもの顔で闊歩するのを電波でチャクラを解放されたお仲間が挿入を求めて襲撃するこのよき季節、特殊な嗜好を持った私なんぞはほころびかけたつぼみという修辞的表現を想起させる一定年齢以下の少女たちのする破廉恥さにこの世で一番の好物料理を目の前に出された人間のようにそれを口に入れた瞬間の悦びをより大きいものにするために幾度も幾度も舌なめずりをし自身の手のひらをにぎにぎと揉みしだいて自分をじらす毎日なんやけれども、びっくらコきマラ! まァ、あの頃の僕は今日より若かったものだから、ずっと若かったものだから時と場合によってデッサンの乱れから3~10メートルまで自在に可変する身体でマフラーをなびかせ巨大なナイフでもって世紀末の荒野を疾走する戦国武将のコスプレ集団と真っ正面からしばしば激突して彼らのほとんどを日曜の午後のほんの気晴らしに原型の推測できないミンチ状に丹念に切り刻んだものやったで! そしてちょっとした建物の三階ほどの長さの日本刀を振り回す刃物キチガイとことあるごとに互角に渡り合い、あるときは首を切らせ、あるときは首を切ってやったもんやったわ! あいつも今では某百貨店地下の食品売場で真面目に店員をやっとるんやから世の中わからんもんやね! 奥さんは男性にムチを使用することで破格の金銭をいただく職業についてるらしいで! こりゃもうびっくらコきマラ! さて、いつもの犬のようなおしゃべりはこのくらいにしといて、最初のお便りは練馬区のグンペイグンペイまたグンペイくんからだ! 『こんばんは、FOODさん。正体不明のテログループが各地の放送局とその関係者を無差別に襲撃しているというニュースを聞いたとき、僕はFOODさんが無事なのかどうかをまっさきに思いました。どうしてこんなひどい事件が起こるんでしょう。僕には想像もつかない。でもこの手紙をあなたが読んでいるということはあなたが大丈夫だったということですよね。どうぞ無理をなさらないで下さい。FOODさんの声が聞こえなくても、FOODさんが無事で生きていてくれるなら僕はそれだけで嬉しいんです』 びっくらコきマラ! そうそうそれやそれや、面白い話を言うのを忘れとったで。こないだの放送のときな、俺寝坊してしもて、なんでもっとはよ起こしてくれんかったんやっておかんに文句たれながらメシ喰うとったんや。ほんなら急にばかデカい音がするやん? 気がついたら持っとった茶碗のメシが真っ赤になっとるねん。 俺笑いながら、”おかん、どないしたんや。生理でも来たんか”言うて前見たらな、おかん首ないねん! 首からなんか漫画の管みたいのが出とってピューピュー血ィ吹いとんねん。そんでな、肝心の首はどこにあったかって言うとな、ええか、笑うなよ…なんとたんすの上の花瓶に乗っかっとったんや! 俺、メチャメチャおかしかってなぁ! つねづね俺みたいなオモロイ芸人のおかんがこんなただのオバハンやったらカッコつかんなぁ、思っとったんや。そのときのおかん、めっちゃ輝いとった。カネとれる芸やったわ。俺二時間くらいずっと転げ回って笑い続けてな、気がついたら病院のベッドの上におったんや……びっくらコきマラ! 続いて二枚目のお便りは…なんや、封書かいな…まったく迷惑極まりないで…(と、封を開けようとする。軽い破裂音)うわっ! び、びっくらコきマラ! (マイクから離れた遠い音声で)いや、大丈夫、まだ本番中だから入ってこないで。人差し指の爪が剥げただけだ…(調子を戻して)まったく、ええネタを仕込んでくれるね、ウチの聴視者さんは…ペンネームは、と。封筒燃えてもて読まれへんがな。ええとなになに、『これは警告だ。これ以上その俗悪な思想で民族の魂を汚すというのなら、君に近しい人間にまた消えてもらうことになる。君の罪を贖うために』 びっくらコきマラ! えらい時代がかっとんなぁ! エイプリルフールはもう過ぎとるで、きみ! 最後のお便りは大阪府在住の小鳥くんからだ! 『もうやってらんないっすよ、FOODさん。毎日毎日仕事仕事、家帰ってすることは眠るだけ。いいですよねえ、FOODさんは。マイクの前で一時間ほど馬鹿話して、ダベって金もらえるんですから。あ~あ、もうたまんないっすよ。やってられないっすよ』 びっくらコきマラ! (ぽつりと)…そうだね、そうかもしれない。

 おっと、もうこんな時間だ! みんなからのお便り待ってるぜ! それじゃ、来週のこの時間まで、C U Next Week!」 

D.J. FOOD(8)

 「……これが正真正銘、最後の一枚は大阪府在住の小鳥くんからだ! 『こんばんは、D.J. FOODさん。今日は重大な告白をするためにペンを取りました。じつはぼくのチンポは左方向にちょっと冗談ではすまされないほど湾曲しているのですが』YoYoYoYoYoYoYoYo,Yo Men! くたばってしまえ!
 おっと、もうこんな時間だ! それじゃ、またいつの日か、See You!」

D.J. FOOD

 ビルの屋上。空には今にも降り出しそうなぶあつい黒雲。
 「(強風とヘリのローター音にかき消されまいと声をはりあげて)FOODさん! 機材はすべて積み終わりました! スタッフもみんな! 今ならまだ間に合います! 今なら!」
 「(静かだが不思議によくとおる声で)決めたことだ。かまわず行きなさい」
 「(泣きながら)殺されてしまう! FOODさん、殺されてしまいます!」
 「悲しむことはない。すべてはこの日に定められていたのだから」
 「(首を振って)馬鹿な! 誰が、誰が人の生き死にを決めることができるっていうんですか!」
 「……(立てた人差し指を上空へと向け、何事か言う。だが、ローター音に紛れて聞こえない。ヘリが浮揚しはじめる)」
 「(身を乗り出して)FOODさん!」「(涙で顔をぐしゃぐしゃにして)FOODさん!」
 「(穏やかな表情でスタッフの顔を順に見ながら)みんな、ありがとう。よくここまでついてきてくれた。私は君たちのことを誇りに思う。君たちは、私の最高の友人だ」
 「FOODさぁんッ!!(都会の曇天にヘリが遠ざかっていく)」
 「(ヘリの姿が次第に遠ざかり、やがて見えなくなる。背後の扉が土台ごと倒壊する。砂埃の中から人影が現れる。中背の男が一人と、取り囲む黒服の男たち)よくもまぁこれだけ長いあいだ俺たちをたばかり続けてくれたものだ」
 「(ゆっくりと振り返り目を細める)……」
 「こんな廃ビルの屋上で放送を続けていたとはな。いわく最悪の扇動者、いわく神の声。(手にした拳銃の狙いをさだめる)D.J.FOOD、あんたがはじめてメディアに姿を現してから今日までじつに半世紀以上の時間が経過している……いつまでも変わらないままに人々を堕落へと導くおまえは、いったい何者だ?」
 「ただの地方局の一D.J.ですよ」
 「(FOODのすぐ足もとで弾丸が跳躍する)そんなありきたりの言葉で俺をがっかりさせないでくれ…おい(黒服の男たち、一礼すると屋内へと消える)。さァ、これで二人きりだ。腹蔵なく話しあおうじゃないか、山田次郎」
 「……」
 「どうした、マイクが無いと話しにくいか。ではまず俺の話を聞いてもらおうか。あんたは自分を殺す相手のことを事前によく知っておくべきだと思うね。(ちょっと唇を噛んで考え)…そうだな、俺が君のファンだったと言ったら驚くかい。ずっと昔、俺が何も知らないただのガキだった時分、世界とはあんたの言葉を意味していた。自分以外のものに対するあんな熱狂は、あれ以来知らない」
 「(目を伏せて)君は不幸だ」
 「(銃口を油断なく向けたまま)違うな。この世界が不幸なんだ」
 「(顔をあげて)それを贖うために私を殺すのか」
 「そうさ。あんたは世界にとっての父であり、また世界そのものだからだよ。あんたを殺すことで、世界は本来の姿へとたちかえることができる。あんたが創り上げた虚構の世界から離れてな。すべてのメディアは現実を虚構化する力を持つ。だが、あんたのその力は度はずれて強すぎ、現代の脆弱な人々の自我の上にあまりに危険すぎる。この世界のためにあんたの天才に消えてもらいたい」
 「(両手で自身の肩を抱きかかえて)私の持つこんなものが天才だというならそれは恐ろしい。ぼくの自覚するこの程度の領域が天才だというのなら、それはこの上ない絶望だ。それは人間のたどり着ける領域がこの程度までだということを意味しているのだから。私の中には何もないよ。君の求めるようなものは何もない」
 「(銃口を降ろし、うって変わって弱々しく)お願いだからそんなふうに話さないでくれ。あんたのような偉大な才能が何も見えていないことを語らないでくれ。……俺はあんたの持つ虚構を破壊することで革命を成就させなければならないんだ。あんたの確信を破壊することでこの世界すべてを変革しなければならない。だから、そんなふうには話さないでくれ」
 「私ぐらいを殺したところで世界は何も変わらないよ。変わるとすればそれは君だ。君のいう世界とは君自身のことだよ。私を殺した喪失感は君の世界を悲しみへと変質させるだろう。それだけだ。私の死は君以外の人間にとって何の意味も持たないよ。本当に、何も知らなかったんだね…(憐れみの表情で一歩踏み出す)」
 「(飛びすさり、銃口を向ける)言うか、トリックスターめ! 私は他の者たちのようにだまされはしない! (顔を歪め銃口をふるわせて)人の時代にそんな神の言葉は不要なんだ」
 「(立ち止まる)よろしい、すべて充分だ。さぁ、撃ちたまえ。私は解放され、君は永遠にとらわれる。(喉をのけぞらせ、両腕を開く。雲間から光が射し、D.J.FOODのまわりを照らす。銃声が長くビルの谷間にこだまする)」


 「(背中に光を受けて暗い屋内へ戻ってくる。黒服の男たちの一人に拳銃を手渡しながら)今世紀最大の導き手のひとりがいま、死んだ」
 「おおッ!(革命成就への喜びに湧く黒服の男たち)」
 「(両手に顔をうずめて誰にも聞こえないようにひっそりと囁く)わかりはしない。かれは私が無くしたほうの片翼だった。私はかれのことを本当に、本当に愛していたんだ」

Life is just a dream, you know